撮影日記 2009年2月分 バックナンバーへ今週のスケジュールへTopPageへ
 
 

2009.2.27〜28(金〜土) お知らせ

今月の水辺を更新しました。

 

2009.2.26(木) そして反省も(1)

 長期取材の際はいつも傍らに帳面を置いておき、撮影や車に寝泊まりする生活に関して少しでも不具合を感じたら、それを欠かさず書き留めることにしている。
 そして帰宅をしたら、僕はそのすべてに対して必ず何らかの手を打つ。
 以前は、一ヶ月の取材をしたら書き留めるべきことがあまりにも多くて、ノートが1冊では足りなくなる有様だったが、ここのところはそれも随分少なくなった。
 今回の取材では、書き留めたことと言えば、ノート1ページ分程度の分量だった。


NikonD700 SIGMA15mm F2.8 EX DG DIAGONAL FISHEYE

 まず1つ目は、車内積み込んだ敷蒲団のカビ対策だ。
 今回の取材では途中で高熱を出し、数日寝たきりになり、その間に敷布団にカビが生えてしまったことはすでに書いた。
 寝たきりにさえならなければ、過去の取材でそうしてカビが生えるトラブルは皆無だったのだから、今回は、滅多におきない特殊な出来事がおきた、と考えることもできる。
 だが、僕は今後もいろいろな場所に、いろいろな季節に取材に出かけるのだし、僕が経験を積めば積むほど、また同じようなことがおきないとも限らないので、とにかく何か手を打っておくことにした。
 今回は、敷布団専用の給水シートを敷くことにした。
 

NikonD700 Ai AF Micro-Nikkor 60mm F2.8D

 それから2つ目は、撮影中の雪対策。
 雪が降っている最中に撮影をすると、やがて機材が雪で濡れ、それがひどくなってくると、機材を守るために撮影を終えなければならなくなる。
 だが、機材を完全にビニルなどで覆ってしまうと、写真を撮ることができない。
 そこで、レンズとカメラののぞき窓だけは露出しておかなければならないが、するとレンズやのぞき窓が濡れてしまう。
 そんなの拭きとればいいじゃないか!と多くの人は考えるに違いない。
 だが、湿度が高い日には、拭いても拭いてもなかなか水気が取れない。
 これは毎回、『雪対策』とノートに書き留め、何らかの手を打ってはいるのだが、なかなか決定的な方法がなく、いまだに試行錯誤を繰り返している。
 そして今回は、レンズペンという商品を買ってみた。
 レンズペンは、カメラののぞき窓を拭くために買ってみたのだが、ちょっとばかり試しに拭いてみると実にイイ。カメラの接眼部は濡れていると像が見難くなるし、それを拭き取ろうにも、狭くて、雪が降っているような日の屋外では非常に拭きにくい。
 ところが説明書を読むと、
「レンズペンは粉を使って汚れをふき取る仕組みになっており、カメラの接眼部には使用しないように」
 と書かれている。粉が眼に入らないための配慮であろうし、やはり眼に有害なのだろうか?
 レンズペンを使うとあまりにいい感じに拭きとれるので、こんないい商品をすぐに諦めてしまうのもなんだし、さて、どうしたものだろうか。

 

2009.2.25(水) ここぞ!という時に


NikonD700 Ai AF Nikkor 85mm F1.4D(IF)

 昨年の夏、母校の直方北小学校で写真撮影や本作りの授業をした際に、担当の先生から、
「武田さんが言うことは、私たちが日ごろ教えていることと時に全く正反対なので、ドキッとさせられます。」
 と言われたことがある。
 僕は確かに、学校は必ずしも本当のことを教えていないな、と感じている。いや正確に言うと、学校で先生方が教えているのは、正しいサラリーマンになるための方法であり、そこから外れた道を志す場合はあまり役に立たないか、むしろ逆さまであることも珍しくはないと。
 たとえば、
「ちゃんと計画を立てて、規則正しく暮らしなさい。」
 と僕は子供の頃に学校で何度も教わったことがあるが、事務的な仕事をするのならともかく、創作活動に携わる場合は、そんな発想は真っ先に捨てた方がいいだろう。
 一枚の自然写真を撮るのだって、いい写真を撮ろうと思うのであれば、自然の条件に合わせて、ここぞ!というタイミングで我武者羅に無理をしたり、時には昼夜逆転の生活をすることだって必要になる。
 極端な話をすれば、その他の時間はゴロゴロしていてもいいのである。ある世界的な、超一流の自然写真家がライオンを例にあげ、
「ライオンは用事がない時にはいつも寝ていますよ。ここぞ!という時に頑張ればいいんです!」
 とテレビの番組で答えるのを見たことがあるが、規則正しく暮らそうとすると、ここぞという時に力がでなくなりがちだ。
 それは写真を撮るときだけでなく写真を見てもらう時にも同じであり、写真展を開催しようと思うのなら、もっといい写真が撮れないか!と展示の前日までカメラを持って走り回るくらいの気持ちが必要で、学校で教わるように、計画を立て、その計画に則り十分な余裕を持って展示の準備ができてしまうくらいなら、それは感動がないつまらない展示になる可能性が極めて高い。
 漫画家の手塚治虫さんがアニメを作る時には、期限の直前まで作り直しをしたり、さらに常識的に考えればもう訂正ができない時期にさえ、作品の作り直しをすることが頻繁だったことは有名な話だが、それがなければ本当にいい作品なんてできっこない。追いつめられた最後の最後のところで生まれる火事場の馬鹿力的なエネルギーこそが、人の心を打つのは紛れもない事実なのだ。
 それはスポーツで言うなら、限界に挑むかのようなハードなトレーニングをするのと同じこと。だが、そうして追いつめられることは誰でも辛いし、だから余裕を持って、という発想が出てくる。
 が、果たしてスポーツの選手が自分に負担がかからないような練習をしていて本当の意味で強くなるのだろうか?
 それはむしろ、余裕をもって、というよりは楽をするための口実に過ぎないような気がする。
 写真を撮ったり、その際の感動を人に届けたり、また写真に限らずあらゆる創作活動は、定刻に出発する列車に乗るのとはわけが違う。

 長期取材の次は、本作りのための作業が始まる。
 それらの作業は、長期取材の行きがけに落ち合って打ち合わせをし、さらに知床で再度合流して一緒に炭火焼を食べた凹山さんとの共同作業になるのだが、当然のことながら、これまた、ちゃんと計画を立てた上で規則正しく、とは正反対の世界になる。
 恐らく最後までドキドキ、ヤキモキすることだろうし、僕もそのつもりで覚悟を決めなければならない。
 僕は、
「もう十分に本ができるだけの写真は撮ったからいいや。」
 ではなくて、最後の最後の瞬間まで、もっといい写真は撮れないか、と走りまわることになる。

 さて、車検に出していた車が返ってきたので、これでいろいろと出かけられる。今回は、
「車の整備には3日ほどかかる。」 
 と言われていたのだが、その3日目の今日、夜になってからようやく車が返ってきた。

 

2009.2.23〜24(月〜火) やりたいことがある


NikonD700 Ai AF Nikkor 85mm F1.4D(IF)

 新しい車を手に入れた。箱形のワンボックスは空気抵抗が大きく、やはり走りが悪い、ということで今回はセダンに。
「写真家はかっこよくなければならない。」
 と昆虫写真家の海野先生が言っておられたので色は赤。
 というのは冗談で、取材用の車は今、車検の真っ最中だ。
 車検がなければ、北日本取材をもうちょっと延長して写真を撮る選択肢だってあるのだろうし、実際には少々車検が切れたところで捕まる確率は極めて低いだろうとは思うが、僕のような無法者でさえ、やはり規則は守らなければならないと思うのである。

 さて、長期取材から帰宅をすると、
「御苦労さま。ゆっくり休んでください。」
 といったメールがたくさん寄せられた。
 僕は、そのやさしい気持ちを嬉しいな、と思う。
 だがその反面、
「そうじゃないんだ!なんで分かってくれないんだ!」
 とも感じる。
 僕にはやりたいことがたくさんある。
 今回は、カーナビが途中で故障したので富山〜北九州まで一気に車を走らせたのだが、カーナビが故障したならしたで、早く帰って北九州でカメラを向けたい被写体や見たいものがたくさんある。
 やりたいことがあり、それが抑えられないからこそ急いで帰ってきたのだし、一日でも早くのんびりするために帰宅をするくらいなら、僕は写真なんてやめてしまうだろう。
 それをストイックだ、と言う方もおられる。
 だが、そもそも自然写真を撮るなどという行為は、どうしてもやりたいからやる行為であり、やる気があることの方が当たり前なのだ。
 そして、やりたいことがあって抑えられないような状態は、かわいそうなくらいに頑張っているのではなくて、極めて幸せな状態なのである。

 そうした僕の思いは、もしかしたら日本人には理解出来にくいことなのかもしれない。
 大学時代に、先生から、
「日本の大学生は授業が休講になると喜び、ドイツの学生は腹を立てる。」
 と聞かされたことがある。本来大学は自分が行きたいから行くのであり、にも関わらず日本の学生が授業が休講になって喜ぶのは妙だ、といった内容の話だったように記憶している。
 現実的なことを言えば、大学に仕方なく通っている学生さんは決して少なくはないだろう。
 何といっても日本は学歴社会であり、その社会の中で生きていくために、勉強をしたいというよりは、大卒の資格を取得するために進学をする人たちだ。そして、僕も決して模範的な大学生ではなかったし、それも分からなくはない。 
 だが、自然写真は明らかに遊びであり、そこに義務のような感覚や、写真を撮ることをセーブするような感覚を持ち込むのは妙な話ではないだろうか?
 僕は、カメラを手にする際に何よりも大切にするのは、写真は、やりたいからやっているのであり、写真を絶対に義務にしない、ということだ。

 ただ、プロを目指している人のために書いておくと、仕事は時に辛いことがある。何といっても、仕事は自分が撮りたいものが撮れるとは限らないのだから。
 そこで僕は、時々アマチュアの人たちに連れられて写真を撮りに行く。
 すると彼らは、早朝〜夕刻日が暮れるまでひたすらに写真を撮るし、天候が悪くても、それはそれで何か撮影できる被写体を知っていて、やはり写真を撮る。そして、行きたい場所が山ほどあり、夜明け前はここ、次はあそこ、最後はあの場所で・・・ととにかく忙しい。時には、取材で長距離を運転することが多い僕でさえ、え?と驚くほど遠いところまで写真を撮りに出かけ、さらにそこで夕刻まで撮影した上で、翌日の仕事のために日帰りで帰る。
 そこはひたすらに写真を撮りたい、という気持ちで満ち溢れていて僕はハッとさせられるし、思わずニヤリとしてしまう。
 
 

2009.2.21〜22(土〜日) 客観的な第三者の目

 訳あって、北海道在住の方から電話をもらった。
 ホーム―ページがある、というので早速見てみてたらいい写真がたくさんあり、ブログにも、ハッとさせれるような写真が点々とあった。
 佐藤晶人さんのプロフィールを見ると僕よりも6つ年下なのだが、一昨日も書いたように、年下の人の中にも写真が上手な人はたくさんいて、僕はむしろ年下の人の写真に唸らされることが多い。
 
 とは言え、そんな時いつもは、
「上手い人だなぁ」
 とか
「怪しからん人だなぁ。」
 と感じるだけなのだが、今回はありがたいことに電話で生の声を聞くことができ、相手はただの通りすがりの人ではないのだから、いったいそれらの写真のどこが上手いのかを、とにかく画像を何度も見ることで、よく考えてみることにした。
 すると、そのうまさを一言で言えば、自分がよく見えているということだろう、という僕なりの結論に達した。
 佐藤さんに限らず、僕よりも年下の人で写真が上手いなぁと感じさせる人に割と共通する特徴ではないだろうか?

 写真に限らず、文章を書くにしても人前で話をするにしても、一方で自分を表現しつつ、他方でそんな自分を客観的な第三者の目で冷静に見なければならない。
 たとえば僕がこうして日記に文章を書くときだって、僕は一方で読者になりきり、
「これって、分かりにくい書き方だなぁ。」
 とか、
「これは誤解を招く書き方だよね。」
 などと読者の立場からチャックするし、それが疎かになると、結果は独りよがりな文章になってしまう。
 ところが僕はそれが子供の頃から大の苦手で、そうならないようにするために今だって大変なエネルギーを要する。
 自分が一枚の写真を人に見せる時に、それが人の目にどう映るかを正しく判断することは、未だに僕にとって非常に難しいのである。
 にも関わらず、僕よりも若い多くの写真家は、それをいとも簡単にやってのけているような感じがして、それは僕にとって脅威だし、僕はとにかく関心させられる。

 

2009.2.20(金) 僕は何をすべきか?


NikonD700 SIGMA15o 

・ 只今ベッドを乾燥中!
 今回の取材では、高熱を出すなど、過去に体験したことがない出来事が起きた。
 そしてその間の約3日間は食事がほとんど食べられなり、仕方がないからみかんを食べてしのぎ、ほぼ寝たきりの状態で過ごした。
 その結果、車の中の湿度が異常に高くなったのだろう。車に積み込んだベッドとその上に敷いた布団の間にカビが生えた。
 僕は同じ車に乗ってもう数年間取材をしているのに、これは初めての出来事だった。
 
・ 僕は何をすべきか?
 帰宅をしたら、写真の貸出しの依頼があった。あるタイプの生き物の写真を12種類分そろえて欲しい、というものだったが、最近撮影した写真だけでは対応できなかったので、古いフィルムを引っ張り出してみたら、これで行きましょう!という返事がもらえた。
 一番古いものは10年前に沖縄で撮影したある生き物の写真だった。
 ひどい写真ではないが、紛れもないプロの仕事か?と問われれば下を向きたくなるような写真だった。
 僕は時々、年下の、プロを目指して修行をしている段階の人たちのブログなどを見て、
「みんな上手いなぁ。」
 と関心させられる。
 それに比べると、当時の僕の写真のなんとひどいことか。
 残念ながら、どうも僕には特別な才能は備わっていないようなのだが、才能がない人間にはない人間のやり方があるものだ。

 僕は北海道に行くといつも、大学時代にお世話になったある先生がおっしゃった、
「ショウジョウバエを研究したがる人は多いけど、ショウジョウバエなんていう生き物は頭がいい人間が研究をするべき材料であり、我々凡人はもっと違う生き物を調べなければ太刀打ちできないよ。」
 という言葉を思い出す。
 少々解説をすると、ショウジョウバエは遺伝の研究では大変によく使われる材料であり、世界中のすぐれた研究者が大量のお金を費やして調べている生き物だから、同じ材料を並の人間が小さな大学で取り扱ったところでそれに敵うはずもないし、それよりも人があまり調べていない材料を調べた方がいい、というような意味の言葉だ。
 それと同様に北海道の自然にはたくさんの人がカメラを向けるし、その中には才能に満ち溢れた方もおられるし、それと同じものを撮影しているようでは、僕のように特別なセンスを持たない者は太刀打ちできるはずもない。
 そこで僕は時々北海道に行き、写真を撮り、それを帰宅後に改めて眺め、北海道は確かに絵になるけど、これはうまい人間が撮影すべき被写体だよな!と確認し、同時に自分は何をすべきかを再認識するのだ。
 僕は、自分の足で歩き、自分で探した場所で写真を撮るのがいい。

 

2009.2.18〜19(水〜木) またもアクシデント

 カーナビに任せて車を走らせていると、こんな細い道を選ばなくてもいいんじゃない?と感じることがある。
 距離で道を選んでいるのだろうか?できれば、大きな国道を中心にナビゲーションをしてくれればなぁと。
 そして、こんな変な道の途中でナビが壊れたら嫌なぁと考えていたら、本当にナビが故障してしまった。
 さて、いったい僕は今どこにいるのだろう?僕は完全にナビに任せきって車を運転していたので、自分がどこにいるのやらさっぱりわからず、まずは大通りを見つけ出さなければならなかった。
 
 そのカーナビは、ちょうど一年くらい前にも壊れた。購入時に3年間保証に入っていたのでお金はかからなかったのだが、 その時は内蔵のハードディスクを交換することになった。
 そして今回はナビ以外にも音楽を聴くこともできないし、テレビも音が出なくなったから恐らく基盤を交換することになるのだろう。
 僕は随分以前からカーナビを使っており、現在のナビは3代目か4代目くらいになるのだが、値段の割に壊れやすい道具だと思う。
そもそも、今使用しているナビは3年前の北日本取材の途中で古いナビが故障し、仕方なく新潟県で購入したものなのだし、カーナビを買う人は、だまされたと思って長期保証に入っておくことをお勧めしたい。
 
 車に取り付けてあるナビ以外にも、うちには小さなポータブルタイプのナビがあるのだが、車に取り付けてあるナビは一年前に修理をして部品を交換したばかりだから大丈夫だろう、と今回はそれを持ってきていなかったのが間違えだった。
 がしかし、今回の取材はほぼ終わっているのだからよく持ってくれたとも言えるし、運が良かったのかもしれない。
 参考までに、3万円台くらいで売られている持ち運び可能な小さなナビは使える有効な道具だと思う。車で取材をする人で本格的なナビは高価過ぎると感じている人は、一度使ってみたら恐らく手放せないアイテムになるだろう。
 それにしても、ひどい風邪をひいたり、ここ数日はどうにもならないくらいひどく天候が荒れたり、最後はナビが故障したり、とやたらにアクシデントが多い取材だった。
 
 さて、ナビが壊れたことだし、1〜2日予定を短縮して帰るか!と高速道路に乗り、富山〜一気に北九州まで車を走らせた。
 富山〜北九州くらいの距離なら、少々疲れるが、十分に一日で移動することができる。
 本当は帰りに、お土産を渡すために寄りたかったところがあったのだが、宅配で送ることにしよう。ナビに慣れきった頭は、ナビなしでは不安で不安で車を運転したくないほど軟弱になってしまったようだ。

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1月分の今月の水辺は、長期取材のため、更新しません。

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1月19日〜2月20日まで、長期取材のため、写真の貸出し等の仕事ができなくなります。

 

2009.2.17(火) 波


NikonD3X 70〜300mm

 僕の主な仕事は春〜秋にかけて取り組んでいる小動物の撮影であり、冬の北日本取材の場合はお金を稼ごうという意識はあまりないのだが、それでも遠出をして写真を撮るのなら、最低限取材費くらいは稼ぎたいなぁと思う。
 楽しければいい、という思いもあるが、やっぱり赤字になるのは怪しからんと思うのである。
 特に今年の北日本取材の場合、それ用にカメラ1台とレンズを1本買ったのだから、なおさら写真が売れて欲しい。
 だが、漠然と売れてほしいと望んでいても写真はなかなか売れるものではないし、やはり売れる要素がある写真を意識して撮らなければならない。
 そこで今日は、海辺で何か売れそうな写真を撮るべく努力をしてみることにした。今日のテーマは波だ。 

 波にカメラを向けてみると、想像していたよりもずっと難しく、なかなか思ったような写真が撮れなかった。
 そう言えば、僕は真剣に波の写真を撮るのは、今日が初めてではないだろうか?



NikonD3X 600mm
 こんな感じかな?
 これは僕が見ている波の姿に近いし、僕は基本的に自分の目に見えている通りの写真を撮りたい気持ちが強い。
 だが今日に限っては、自分の目に映る波の姿を写真に収めようとしているのではなく、売れそうな写真を撮ろうとしているのだから、これでは困る。


NikonD3X 70〜300mm
 これはどうかな?
 試行錯誤しながら撮影しているうちに、少しずつ、売れそうな雰囲気の写真になったきた。
 写真は、明るい感じのものが良く売れるのだが、それはただ明るく撮影すればいいのではなく、明るい表現に向く被写体や部分や画面構成を選ばなければならない。それはちょうど、こだわりのラーメン屋がスープに合わせて麺を変え、同じ店でも塩ラーメンと味噌ラーメンとでは麺の太さが違っているのに似ていると思う。


NikonD3X 70〜300mm

NikonD3X 70〜300mm

NikonD3X 70〜300mm

 僕にとって、明るく軽い雰囲気の写真を撮るというのは非常に軟弱な行為であり、内心そんな写真を毛嫌いしていたのだが、実際にそんな撮り方を試みているとそれはそれで難しく、決して軟弱というような性質のものではないことを痛感させられる。
 やっぱり、毛嫌いする前にやってみることが大切なんだろうなぁ。
 そんな風に撮ろうと思えば撮れるだけの力がある人が、
「こんな軟弱な表現はしたくない。」
 と言えばまだ説得力があるのかもしれないが、やってみたこともなければ、そう撮れるだけの技術もない人間が同じことを言うと、それはポリシーでもなんでもなく、もしかしたら負け犬の遠吠えのようなものなのかもしれない。

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2009.2.16(月) 同世代


NikonD3X 70〜300mm
 昨日は全くと言ってもいいくらい雪がなかった山形県の鶴岡や酒田のあたり。ところがわずか一晩であたりは真っ白になり、車は寒そうに鼻水を垂らしていた。


NikonD3X 70〜300mm
 今朝は、カモがたくさんやってくることで知られている池を見に行った。


NikonD3X 600mm
 昼過ぎには山形を発ち、新潟に向かう。
 途中所々で、悪天候で荒れ狂う海にカメラを向けるが、カモメを大きく撮影できる距離にカメラを構えると、海から飛んでくる砕け散った波のしずくで、あっという間にレンズが曇ってしまう。

 さて、同世代の人というのは、やはり気になるものだ。今日は、山形県在住の写真家・高嶋清明君に会いに行った。
 高嶋君は長く昆虫写真家の海野先生のパートナーとして仕事をしていたこともあり、僕にとっては、同世代の人の中でも特に気になる存在なのだ。
 そして今日はしみじみ思った。やっぱり同世代の仲間って大切だなぁと。
 それは何も写真家に限ったことではなくて、出版に携わっている編集者でも同じであり、同世代の人に対しては、何だか特別な思いが込み上げてくる。
 
 随分前のことになるが、写真家になりたいという人と話をする機会があり、
「僕は、どうしても写真で飯を食いたいので、まずは売れるシーンにカメラを向け一枚でもたくさん写真を売る努力をしています。」
 と話をしたら、
「それが王道であることは知っているけど、自分は年をとっているので、私にはその王道を歩むだけの時間的なゆとりがないんです。」
 という話が返ってきたことがある。
 おそらくその方は、それよりももっと短時間で飯が食えるようになる方法がある、と考えておられたのだろう。
 だが現実にはなかなかそんな方法はないし、今の自然写真の世界でそんなに短期間でお金を稼げるようになることはなく、結局王道を歩んだ方が、大抵は早く勝負が決まるような気がする。
 さらに、その方が年をとっていると言っても僕よりもわずか2つ上なだけだったし、実際にそうして話をした日からもう何年もの月日が流れ去り、それは、王道を歩もうと思えば歩めたくらいの時間になった。
 とにかく、自然写真には時間がかかる。
 それはともあれ、僕は近頃急に同世代の仲間が増えてきたのだが、それは恐らく、今の僕くらいの年齢の者が、ようやく仕事の場を与えられるくらいの立場になってきているのだろうと思う。会社で言えば、バリバリに仕事をしていてもおかしくないような年で、やっと駆け出しくらいの感じになるのかもしれない。
 
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2009.2.15(日) 冬の裏日本


NikonD3X 600mm 1.4テレコン
灰色でどんよりと重たい冬の裏日本の空。



NikonD3X 600mm 1.4テレコン
庄内の田んぼに、次々とコハクチョウが舞い降りてくる



NikonD3X 600mm
北海道とは全く違った趣のハクチョウの姿があった。

 北海道の自然はとにかく絵になるし、北海道に出かけると、
「やっぱり冬の北海道はいいなぁ。」
 という感激がこみ上げてくるのだが、帰宅をして改めて写真を眺めてみると、いつも一抹の空しさを感じる。
 北海道にはたくさんの写真家が出かけるし、北海道の写真は撮り尽くされている感があり、僕は、みんなと同じような写真をいまさら撮影しても仕方がないじゃないか!とやはり感じるのである。
 撮り尽くされている、というのはもしかしたらいい過ぎかもしれない。例えば、北海道の自然の専門誌であるファウラなどを見てみると、まだ見たことがない写真だって出てくる。
 だがそれらの写真は、今度はとてもマニアックな世界だという感じがして、少々強引に、無理やりにそこに引っ張り出されてしまった写真であり、新しいものの見方とは質が異なるように思う。
 いや、写真とは所詮そんなものなのかもしれない。プロといえども、誰かが撮影した写真をみて、自分もこんな写真を撮ってみたい、と憧れ、それを追い求めている部分が多分にあるのかもしれない。
 だが僕はそうではないものにチャレンジしたい、という気持ちがあり、ここ数年は、そんな本を作ろうとして試行錯誤していることは、この日記の中でも何度か紹介した通りだ。
 どこかで見たことがあるシーンを改めて撮影することがダメだと言いたいのではない。これは、僕の好みを書いているに過ぎない。

 ハクチョウと言えば青い空がよく似合うし、確かに、そんな写真がよく売れる。曇り空を飛んでいるハクチョウの写真など、僕の場合は、過去に一度も売れたことがないように記憶しているし、それは僕以外の写真家でも似たり寄ったりだろう。
 明るいイメージ以外の自然写真が売れることは、滅多にないのである。
 だが、北海道から本州に渡り裏日本を旅してみると、どんより重たい灰色の空を飛び交うハクチョウやにも趣があると感じる。ハクチョウ以外でも、荒れ狂った冬の重たい日本海などもいい。
 明るいイメージの写真を撮り、写真を売ろうとするのか、それとも自分が好きなシーンを追い求めるのか、今回の旅ではそこに迷いがあることはつい先日も書いたばかりだが、秋田〜山形を旅するうちに、僕は明るいものも撮るがそうではないものも撮ろう、という気持ちに落ち着いてきた。
 売れない写真は会社で言うなら不採算部門になるが、不採算部門を切り捨てることは止そうと。

 さて、今日は山形在住のミツワさんと合流し、山形県の庄内の周辺で野鳥を探索した。ミツワさんとは、昨年も一緒に写真を撮り、昨年は山形の天童で合流し、宮城県の伊豆沼に出かけたのだが、とても楽しい撮影だった。
 そこで今回の旅では、ミツワさんの休日である日曜日に山形で写真を撮れるように、僕は日程を合わせながら青森から南下してきた。
 人と会うのだから、寝ぐせでグチャグチャの髪の毛では困るし、下手をしたら、武田さんボンバーヘッドに髪形を変えたんだ!などと誤解されてしまう可能性だってある。 
 ところが僕は車の中に寝ているのだから、朝シャンをして髪を整えることができない。
 そこで、昨晩は温泉に入った後できちんと髪の毛を整え、あとは寝ぐせをつけないように枕の上に姿勢を正しくして寝て、とにかく寝返りを打たないように気合いを入れて目を閉じた。
 
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2009.2.14(土) 秋田県立博物館


NikonD3X 70〜300mm
 今日の秋田県は荒れ気味の天候。海は波で真っ白。


RICOH CAPLIO GX100
 天気が悪かったので、博物館に行ってみた。
 秋田県立博物館は入場無料。はじめは入場無料という看板を見て、どうせ大した展示をしていないのだろう、と引き返そうかと思った。
 だが中に入ってみてビックリ。展示は大変に充実しており、僕は取材の途中で博物館などに入ってみることがあるが、秋田県立博物館は、その中でも特におもしろかった博物館の1つだ。
 中でも、縄文時代あたりの歴史に関する展示が、大変に興味深かった。

 今は情報が氾濫している時代だが、それでもその土地に行かなければ分からないことがまだまだたくさんある、と今日は改めて感じた。
 自然の展示の中では秋田県の成り立ちに関する部分が面白く、展示の内容をまとめた図録を買ってかえろう、という気持ちになった。
 博物館でよく見かける外国の昆虫などの標本は、ここには一切ない。
 そうした標本は、もちろんそれはそれで面白いし、子供たちがそれを見て虫に興味を持つきっかけにもなり意義があると思う。
 だが僕は、秋田の博物館にはそうしたものが展示されていないことがいい、と強く感じた。
 取材のついでに、全国の博物館を制覇してみたいなぁ。
 
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2009.2.13(金) 海辺へ


NikonD3X TAMRON28-75mm
 秋田県八郎潟の周辺の広大な農地。こんないい場所があったんだ!と感激。
 ガンの数が半端ではないし、車が楽々2台離合できる大きな農道があり、車を止めて撮影をしても、人様の邪魔になることはなさそう。
 とても撮影がしやすそう。


NikonD3X 600mm
 ところがここのガンは、大変に警戒心が強い。ガンは元々警戒心が強い鳥ではあるが、その中でも飛びっきりだと思う。


NikonD3X 600mm
 僕がよく撮影する島根県や宮城県のガンは、ガンが近くにいても、車を止めることなくスッと走り抜ければ、鳥は少し頭を上げるくらいで飛び立つことはあまりない。つまり、走行中の車には警戒心を示さない。
 ところがここのガンは、車をちょっと近づいただけで、随分遠くから飛び立ってしまう。
 ここにハクガンという白いガンが20羽以上の群れで来ているはずなのだが、今日は3羽しかみつけることができず、ハクガンは撮影ができなかった。


NikonD3X 600mm
 午後からは風が強くなってきたので、ガンの撮影を止めて海辺へ向かう。
 僕は、生き物よりも気象条件を見ながら撮影を組み立てることが多いが、風が強い時は荒れた海辺が面白い。

 北海道に行くと、九州ではまず見られない系統の顔があり、もしかしたらそれがアイヌの顔なのかなぁと思う。
 また青森ではきれいな女性の中に、タレントの新山千春さんに近い系統の顔が多いなぁ、といつも感じる。新山さん以外では、美人過ぎる市議として話題になった藤川ゆり議員のような顔。たしか新山さんは東北の出身だったように思うが、やはり、あまり九州では見ない系統の顔だと思う。
 
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2009.2.11〜12(水〜木) 本州へ


RICOH CAPLIO GX100
 函館から青森へ向かうフェリーの客室。人は少なくて、乗客一人あたりに対して30〜40畳くらいのスペースがある。
 行きがけに乗ったフェリーは客室がとても狭く、すべての乗客を合わせて20畳くらいの部屋が1つだったのだが、フェリーの会社を変えたらこちらは広くて快適だった。
 ほぼ同じ料金で、こんなに違っていいのだろうか。

 僕はひどく船酔いをするわけではないが、船の中で本を読んだりパソコンで原稿を書こうとすると気分が悪くなってくる。 だから、フェリーの中では、とにかく何もしないことが肝心。
 ところが僕は常に何がをしていなければ気がすまない性質だから、これがつらくてつらくてたまらない。
 普段車を運転している時でも、渋滞でじっとしているくらいなら、結果的に到着時間が遅くなっても、遠回りをして渋滞を回避して車を走らせることを選ぶほど、僕はせっかちなのだ。
 唯一、テレビはあまり船酔いをさせないのだが、船が沖にでるにつれて写りが悪くなる。
 ならば、パソコンと映画のDVDでもあれば快適そうなのだが、一般の客室には電源がないから、長時間それを見ることができない。
 もしかしたら特等などと呼ばれている個室には電源くらいあるかもしれないから、特等の船室を予約しておき、北海道まで行く場合は新潟〜小樽などのフェリーに乗り、その間に存分に映画鑑賞でも楽しめばいいかもしれない。特等を予約しても、ガソリン代やその他を加味すると、恐らくそちらの方が安くて早くなることだろう。
 僕は船が大嫌いなのだが、船が苦痛ではなくなれば、ぐっと取材が楽になるはずだし、退屈さえしのげればなぁ・・・。

(撮影機材の話)
 この取材の行きがけにニコンの70〜300ミリズームレンズを購入したのだが、このレンズに関しては興味を持っている人が多かったようで、
「性能はどう?」
 と随分たずねられた。
 結論から書けば、とてもいいレンズだと思う。
 大口径レンズのような空気感を感じさせるような描写ではないが、えげつなく感じられるほどしっかりと写ってくれるし、手ぶれ防止機構の効き方もすごい。
 弱点はピントリングの操作性。だからAFで撮影できる被写体にはとてもいいが、MFを多様するシーンでは多少使いにくく感じられるだろう。
 それから、逆光の時の描写はあまり良くないと思う。
 が、価格が安くて重量が大変に軽いことを考えれば、その程度のことは欠点とは言えないのかもしれない。とにかく、大変に便利なレンズだ。
 
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2009.2.10(火) 迷い


NikonD700 70〜200mm
 占冠の森の夜明け。


NikonD700 70〜200mm
 夜の間活動していたモモンガたちが巣穴に戻ってくる。


NikonD3X 600mm
 夜が明けてからは、フクロウを見に行った。

 実は今回の取材は、撮影の調子があまり良くない。ひどい風邪をひいて体調がまだ完璧ではないこともあるが、それとは別に迷いが生じており、無心になりきれない。
 それでもいったんカメラを持てば、そんなこともすっかり忘れてしまうのだが、撮影と撮影の合間に次の計画を立てることなどがうまく出来にくい。

 元々冬の北日本取材は、写真が売れるとか売れないなどということをなるべく気にせずに、自分が撮りたいものにただひたすらにカメラを向けることにしていたのだが、今年に限っては、やっぱり売れるシーンに一通りカメラを向けておいた方がいいのかな?といった気持ちに支配されそうになる。
 結局、好きなものを撮ることも売れるシーンにカメラを向けることも、これまでのところはどちらも中途半端。日程だけがどんどん消化されていくので、これはまずいなぁと思うのが、修正ができない。
 そこで今日は、撮りたいものを撮るのでも、売れるものにカメラを向けるのでもなく、普段あまりやらない撮影をやってみよう、と水辺の生き物ではない生物にカメラを向けてみた。まるで迷っている僕の心を見透かしたかのように、先日合流した門間敬行君が、
「モモンガでも撮影してみる?」
 と誘ってくれたのだ。
 僕は普段は薄明薄暮の条件下で撮影することは滅多にないので、まだ薄暗い時間帯のモモンガの撮影は不慣れな条件になるが、そうした状況では、明るい部分と暗い部分の重なり合いが重要なのかな?
 そんなことを試行錯誤しているうちに、ほとんど何も撮影できずに夜が明けてしまった。

 また、水は低い位置に集まる。だから、水辺の生き物は低い位置にいることが多く、僕は普段、低い位置にいる生き物をいかに上手に撮影するかに苦心している。
 だからそれとは逆の、木の高い場所にいるフクロウの撮影も、どちらかということ僕にとっては不慣れな条件になるだろう。
 高い位置にいる生き物の場合、仮にその生き物に近付くことができても、時にはわざと離れて撮影することが重要なのかな?
 いずれにしても、普段は撮り慣れないパターンの被写体にカメラを向けると、なかなか自分の撮影ポジションが決まらず、一発ですんなり撮影することができない。
 がしかし、一度経験しておけば、それはいずれどこかで役に立つだろう。
 
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1月分の今月の水辺は、長期取材のため、更新しません。

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1月19日〜2月20日まで、長期取材のため、写真の貸出し等の仕事ができなくなります。

 

2009.2.9(月) 飛翔


NikonD3X 70〜300mm
 天気はいいが、風があり、湖はやや波が高い。
 北海道の湖の魅力は湖面に写る周辺の山々の美しさだと思うが、その水面が波によって乱され、今日は水辺の撮影には不向きな条件だった。
 そこで水面があまり写らないように、ハクチョウの飛翔シーンの撮影に的を絞る。



NikonD3X 600mm
 昔は野鳥の飛翔というと、撮影は大変に難しかった。
 ところがカメラの進歩で、大きな鳥の飛翔に関しては、最新のカメラさえ持っておけば、ほとんど誰にでも撮影できるようになった。今や、鳥がただ飛んでいるだけの写真は、ただ写っているだけの写真に成り下がってしまったように思う。
 そこで僕は、鳥の表情や姿勢にこだわりながらシャッターを押した。

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2009.2.7〜8(土〜日) 宴


NikonD700 TAMRON28-75mm
仲間と合流する。



NikonD700 TAMRON28-75mm
 この日はいつものように車の中で眠るのではなく、夜の宴会に備えて一泊が6000円弱のホテルに宿泊。
 すると、大きなベッドが2つもある部屋で快適そのもの。
 もしも東京でこの価格でこの程度の部屋に宿泊できるのなら、人と会うために上京するのもずっと楽になるだろうし、ホテルで原稿を書いたり、資料を広げたり、仕事をする気にもなれるだろうなぁ。


NikonD700 TAMRON28-75mm
 夜は炭火焼を食べる。
 この夜は今回の旅のメインイベントであるにも関わらず、僕は残念ながら、先日のひどい風邪の影響で食べ物の味があまり良くは分からなかった。
 悔しい〜。
 メンバーは、北海道在住の写真家・伊藤健次さん。アマチュアながら福音館からエゾリスの本を出している金田正実さん。編集者の凹山さん。北海道在住の写真家・門間君と僕の5人。
 伊藤さんとは、産経新聞社の産経エクスプレスで一緒に連載をした関係だが、伊藤さんとは、この日が初対面。僕は初対面の人と会うときと一般の人と会う時はちゃんと新しい服を着ることにしているので、この日は数日間着続けている服を脱ぎ棄て、洗濯済みの新しい服に着替えて伊藤さんとの対面を果たした。
 金田さんは、動物の写真を撮るだけでなく、大変なインテリで、とにかくよく本を知っておられる。その知識と見識には、ただただ脱帽するほかない。
 凹山さんとは、この取材の行きがけにも、本作りに関して打ち合わせをしたばかり。やはり大変なインテリで、金田さんの話にちゃんとついていけるレベル。一方で僕は、あまり本を読まないこともあり、本の話にはほとんどついていくことができなかった。やっぱり僕は自然馬鹿であり、そこで勝負しなければ勝ち目はないなぁと痛感。
 門間君は、写真家は写真家でも僕とはタイプが異なり、アーティストと言っていいだろうと思う。


撮影・門間敬行
 ホテルに宿泊した翌日は、知床や北方民族に関する博物館に行ってみた。

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2009.2.6(金) 無人島


NikonD3X SIGMA20mm

 目の前に浮かぶ無人島が何だかとても気になった。そこで、島の名前が書いてあるかもしれない、とカーナビの地図を見てみたら『嶮暮帰島』とある。
 嶮暮帰島・・・ああそうだそうだ。ムツゴロウの無人島記!この島がそうなんだ。
 ムツゴロウさんこと作家の畑正憲さんの著作の中に、北海道で無人島に住み着いた際のことを書いたものがあるが、その無人島が目の前にあった。

 島には、左側に向かって伸びるように浅瀬があり、潮が大きく引いた時には、胸まである長靴をはいてそこを歩いて渡った、と無人島記の中に書かれていたが、その場所が分かる。
 島は横から見ると台形で、絶壁の上に広い平らな部分があり、恐らくそこに住んだのだと思うが、木も生えていないし、吹きっさらしになっていて、よくぞこの場所に住んだものだと思う。
 帰宅をしたら、無人島記をもう一度読んでみたい。

 ムツゴロウさんは、今ではテレビでおなじみの顔だが、元々は作家である。そしてフリーの作家になる前は、学研で映画を作っておられた。
 その時代の学研には素晴らしい人材が多数おられたと聞いたことがある。
 だが労使の争いがあり、その結果多くの人が学研を去り、散らばり、その人たちが各社でたくさんの素晴らしい生き物の本を作ってきた。だが、そうした方々がここのところ次々と定年を迎え、今や生き物の本を作れる編集者は大変に少なくなってしまったと聞いたことがある。
 僕が聞いたその労使の紛争を同じものなのかどうかは不明だが、ムツゴロウさんのエッセイの中にも、そうした話がでてくる箇所がある。
 それは聞いた話ではあるが、確かに、ちょうど今自然写真業界で定年を迎えるくらいの年齢の方には、学研出身で大変にすぐれた能力の持ち主が多い。僕が知っているだけでも、数人の名前が思い浮かぶ。

 無人島記の中には、島が位置する霧多布の周辺の地名がたくさん出てくるのだが、それを夢中になって読んだ僕にとって、それらの地名には特別な思い入れがあり、僕は北海道に来た際には、必ず霧多布に行ってみることにしている。


NikonD700 TAMRON28-75mm
霧多布の港で、海カモを探してみた。



NikonD3X 600mm
お洒落な模様のコオリガモ。僕がこの鳥だ大好き。


NikonD3X 600mm
水に潜っては、しばらくすると、また浮かび上がってくる。


NikonD3X 600mm
コオリガモを撮影していると、いろいろな鳥がやってくる。


NikonD3X 600mm
 ホオジロガモも潜水。

 この場所は、珍しい鳥が見られるわけではないし、撮影だって、港に車を止め、車の窓からレンズを出し、ただ鳥が近づいてくるのを待つだけ、という退屈な内容。
 だがムツゴロウの無人島記の影響は大きく、僕はこの場所にくると胸がときめく。
 僕も、いつかはそんな本を作ってみたいものだなぁと思う。僕にとって霧多布は、そんな風に胸が熱くなる場所なのだ。

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2009.2.5(木) タンチョウ


NikonD700 TAMRON28-75mm
 カメラマンに大人気のタンチョウ。タンチョウの観察場所には朝早くからレンズの砲列が並ぶ。


NikonD3X 600mm
 だが実は僕はタンチョウが、いやタンチョウの撮影があまり好きではない。
 これは理屈ではないのだが、とにかくあまり楽しくないのだ。


NikonD3X 600mm
 ところが、タンチョウの写真には人気があって、今回の取材に出る前に、
「タンチョウの写真を・・・」
 と言われたばかり。
 が、好きではない、という気持ちがどこかに滲み出るのか、今日の写真には、詰めが甘いものが多かった。
 僕は写真を撮る際には、見せたい被写体が目障りな背景と重ならないように、物と物の重なりあいにとても気を使う。動き回るタンチョウの場合、その重なりあいは一瞬なのだから集中力を要するが、どうもそれが出来にくくなる。


NikonD3X 600mm
 流れの中で撮影した写真の中に、面白いシーンもあった。もうちょっとタンチョウを撮影してみてもいいかな?という気持ちも少しだけ湧いてきた。
 そんな風に感じた時は、それを大切にしなければならない。そこで撮影を止めてしまってはすべてが台無しになるし、面白いなぁと感じたその何かに、時間が許す限り何度も何度もチャレンジしなければならない。
 僕の写真の歴史は、そうして写真を撮りながらその被写体を好きになったり、その撮影を好きになることの繰り返し。


NikonD3X 600mm
 さて、もう少しタンチョウを撮影してみたくなったのだが、本当なら400ミリレンズがこの場所では適当だと思うのだが、あいにく僕は400ミリを持たない。ああ、400ミリがあればなぁ・・・
 
(撮影機材の話)
 今、ニコンのカメラが無茶苦茶に面白い!
 細密なD3Xに高感度の画質に優れたD700。D3XとD700の組み合わせは、現状では紛れもなく最強のコンビだろう。
 両者は発色も若干異なっており、D3Xの方が墨っぽく、より落ち着いた色合いになる。
 墨っぽいと言うと一般的には欠点なのかもしれないが、D3Xの墨っぽさには不思議と雰囲気があり、それだけで写真が絵になってしまうような部分がある。初めてD3Xで撮影した風景写真をパソコンの画面上で見た際には、それが醸し出す雰囲気に、思わず、
「うっ。」
 と唸らされるような気がした。
 ただD3Xの欠点としては、墨っぽい分暗部がつぶれ易く、強烈な逆光のシーンなどでは、時々、もろさを見せることもある。
 が、そんな場合はD700がいい描写をするのだから、このコンビは楽しい。キヤノンのカメラは優等生的によく写るが、面白みということに関しては、やっぱりカメラはニコンだと思う。
 もしも2台のカメラを同時に持てるのなら、D3XとD700やD3の組み合わせは最高。ただし、一台でオールラウンドなキヤノンに比べると、お金が随分余分にかかるのだが・・・

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2009.2.4(水) 霧の日


NikonD3X 70〜300mm
 霧に包まれて、一面真っ白な今朝の屈斜路湖畔。



NikonD3X 70〜300mm
 やがて霧がはれ、山並が顔をのぞかせる。


NikonD3X 600mm
 屈斜路湖はほぼ全面が凍結し、凍結すると氷上のハクチョウの撮影が楽しいが、今年はまだ凍結していない。
 だが凍結していなかったらいなかったで、水面にカモが姿を見せるなど、別の面白さがある。


NikonD3X 70〜300mm
 今年は一匹、ヒシクイが紛れ込んでいた。


NikonD3X 70〜300mm
 湖畔に腹ばいになり、ハクチョウの写真を撮った。


NikonD700 SIGMA20mm
 相棒のボリボリはカメラを水面近くに下げ、低い目線でハクチョウを撮影。

 北海道のような観光地で撮影をすると、団体でお越しの写真愛好家のみなさんは、もう少し静かにできないものだろうか?とよく思う。昨日はお隣で写真を撮っていたおばさまの騒がしさが半端ではないことに、ほとほと参ってしまった。
 僕は、元々音がうるさいのが大嫌い、ということもある。
 だから普段でも、遠くから
「お〜い。」
 などと大きな声で呼ばれても、
「近くまで来いよ!」
 とあえて返事をしないことさえある。自宅にいても、隣の部屋から大声で呼ばれるなどというのは論外。また女性の好みだって、声があまり大きくない人や声が通りにくい人や、はっきり自分の意見を言い切れないような人が好きだ。
 だがそれを差し引いても、昨日は限度を超えているとしか言いようがなかったのである。
 その団体の方々は撮影ツアーの御一考のようで、傍らには有名な写真家が一人おられたのだが、大人とは言え、団体を引き連れてくるのなら、そうした点についても撮影マナーの1つとして、あらかじめ注意をしてもらえないものだろうか。

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2009.2.3(火) ボリボリがやってきた


RICOH CAPLIO GX100
 北海道在住の写真仲間・ボリボリがやってきた。ボリボリは、昔僕がある高校で理科を教えた教え子だ。高校3年間の間に確か2度授業を受け持ったと思うのだが、物理と生物を教えた記憶がある。
 教え子と言っても、もう30を超えたおっさんで、今は飛行機関係の仕事をしている。
 月日が経つのは早い。


NikonD3X 600mm
今日は有名な鶴の観察場所に行ってみた。


NikonD3X 600mm
 鶴の観察場所には、カラスにスズメに鳩など、鶴の餌のおこぼれを狙っていろいろな生き物がやってくる。今日は遠くにキタキツネのカップルを見た。


NikonD3X 600mm
 がしかし、この場所のメインイベントは、鶴に生きた魚を与える時間をちゃんと知っていて、それを横取りにくるオジロワシ。



NikonD3X 600mm
 大勢のカメラマンが見守る中、オジロワシは鶴の群れの中に急降下して、魚を掴み取っていく。
 そして、魚が無くなると、まず最初にオジロワシが姿を消し、次に観客もいなくなる。


NikonD3X 600mm
 僕らの喧騒をよそに、キタキツネたちは昼寝の真っただ中。

 今朝は、早起きをしてエゾリスの撮影に出かけたら、早朝だというのに、すでに人影がある。
 お洒落な年配の男性が一人に、若い女性が二人。
 遠目に見ても垢ぬけしているから、きっと東京の人だろう。年齢から考えると、お父さんに娘さん二人の親子なのだろうか?
 リスにとても興味を持っていることは確かだが、ガツガツしている感じがまったくなく、リスを追いかけまわすどころか、リスの方が彼らの近づいているようにさえ見える。
 タダものではなさそうだ、と思ったら、その女性から、
「武田さん?」
 と声をかけられた。
 子供の本の編集をしているHさんだった。男性は有名な動物写真家。
 どうも取材のついでだったようだ。
 世間は狭い。迂闊に立ち小便でもしようものなら、Hさんに見られてしまうところだった。

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2009.2.2(月) 大好きな鳥


RICOH CAPLIO GX100
 札幌の西岡公園に行ってみた。


NikonD3X 600mm
 僕がこの場所で一番好きな鳥はアカゲラ。


NikonD3X 600mm
 今日はエゾリスが何度も姿を現した。


NikonD3X 600mm
 昆虫の魅力をプラモデルっぽさとするならば、野鳥の魅力は置物っぽさ。僕は、野鳥(特に小鳥)の写真に関しては、無理に生態を捉えようとした写真よりも、まるで美しい花にカメラを向けるかのように撮影された写真が好きだ。


NikonD3X 600mm
 3日ほど服用を続けている抗生物質の影響だろう。腹具合が悪い。日に7〜8回はトイレに駆け込まなければならない。今日はようやく集中力を取り戻し、さあこれから!というところで、またトイレへ。撮影現場から車まで、歩いて数分。車に乗り、トイレを探すこと数分。ああやばかった。あと少しで漏らすところだった。やっぱり、すぐにトイレに駆け込める場所で撮影しよう。
 ああ、でもアカゲラはまだまだたくさん撮影したかった。
 おむつをつけておこうか?
 いや、おむつはさすがに何なので、車におまるを積んでおくことにした。どうかそれを使わずに済みますように。

(撮影機材の話)
 D3Xを使うまでは、
「クロップ機能なんて僕にとっては全く意味がない。あとからトリミングした方が絶対的に自由度が高くていいじゃないか!」
 と固く信じ込んでいたのだが、D3Xを使ってみると、2400万画素クラスのカメラなら、クロップが大変に有効であることを思い知らされた。
 何といっても、クロップをしても約1000万画素が残るのである。
 これを使ってみると、キヤノンのAPS-Hというセンサーの規格は、今やほとんどナンセンスだと感じるようになった。そんな規格のカメラを使うくらいならクロップでいいじゃないか?と。
 D3Xでは35ミリ判フルサイズのFXフォーマットとAPS−CのDXフォーマットとを選択できるが、それに加えてキヤノンのAPS-Hのセンサーサイズが選択できればなお良かったと思う。
 それにしても、D3Xのクロップ機能は、本当に便利だ!
 画素数が多いD3Xの守備範囲が広いのか?、それとも高感度特性に優れたD700の方が使い道が多いのか?僕は内心、今回の野鳥の取材では結局D700の方をたくさん使うような気がするな・・・と思っていたのだが、実際に使用してみると、断然にD3Xの方が使える!

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2009.2.1(日) さらなる極み

 昨日ホームページを更新し、病もそろそろ峠を越えただろう、と昼間からお風呂に入ろうとしたのだが、突然に体験したことがないような強烈な悪寒に取り付かれ、お風呂は取りやめにしてすぐに車に引き返した。
 病は峠を越えたどころか、さらなる極みがその先に待っていたのである。
 体温は恐ろしいほどの勢いで急上昇し、やがて39度を突破。そこからさらに1分、2分、3分とジワリジワリと上がっていく。
 僕は車内に横たわったまま、寝たきりになった。
 これはまずいなぁ。この状態が長く続くと、本当に全く動けなくなる。救急車を呼ぼうか・・・。携帯電話で救急車を呼ぶのって、市外局番は必要だったけ?
 いやいや、その前に冷静になろう!
 
 まずは水分を取らなければならない。
 そこで辺りを寝たまま手探りしたら、左手にみかんの箱が触れた。
 みかんは、今回の取材中にビタミン不足にならないように箱ごと購入したもので、まだ2/3ほどが残っているので、これを食べれば水分だけでなくお腹も多少は満たされるから、1〜2日は楽にしのげることになる。
 僕はみかんを2つほど引っ張り出し、むしゃむしゃと食べた。
 
 それにしても、なぜこんなに熱が出るのだろう?
 熱なんて出ないように体ができていた方が、苦しまなくてもいいし、合理的なのではないか?
 いや、恐らく体温を上げることで、
「熱攻めだぁ。侵入者をぶっ殺ろせ!」
 菌やウィルスなどの侵入者を殺そうとしているのに違いない。そうだ!きっとそうに違いない。
 僕の体内に侵入した微生物が熱によって弱り、死んでいく様子を想像してみた。
 すると、
「僕も我慢するから、その間にあいつらをぶっ殺してくれ。」
 とつらい高熱も多少は許せるような気がしてきた。今回僕の体に侵入した生き物は、実際にはいったいどんな形をしているのだろうか?
 僕はひたすらにそんな妄想に耽った。
 そしていったいどれくらい、動けないままうなされていたのだろう?
 ふと気付くと、多少体が楽になり動けるようになっていた。窓の外を見ると、もう日が傾きかけている。
 すぐに体温を測定してみると、39度まで下がっていた。39度から先は、わずか1分の変化が体にとっては大変に大きいことを思い知らされた。

 取材に出なかったら、どうなっていたのかな?
 僕は、何度か自宅で高熱を出したことがあるが、治療を受けたところで根本的に楽になるようなことはなかったし、むしろ、点滴をされ、縛り付けられて寝返りが打てないなどのストレスの方が僕には苦痛に感じられた。
 だから、病気である限り辛いのであり、取材先であろうが、自宅であろうが、同じようなもの。
 それよりも、そんなこともあるかもしれない、と備えた上で取材に出ることの方が僕にとってはやはり大切なこと。
 今回は、みかんを1箱積んでおいて、本当に良かった。
 
 その後は少しずつではあるが、体温は順調に下がっていった。
 体温の測定は、一般的には脇の下か口の中に体温計を入れる方法だろうが、口の中に電子体温計を入れると、温度を表示する窓がかろうじて見えることが分かった。
 そして、体温が高い場合は温度計の変化の割合が大きく、例えば、32度の次は35度だったりするが、体温が低い場合は、32度、33度、34度というように少しずつ上昇することも分かった。
 僕は体温計を使ったゲームを考えだした。
 それは、体温計を口にくわえ、その温度の変化の具合を見て、最終的に体温が何度に達するのかを予測するゲームだ。
 昨日はいったい何度体温を測ったのだろう?

 夜眠ることには随分楽になった。
 そして今日は、幾分食欲も出てきた。 

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自然写真家・武田晋一のHP 「水の贈り物」 毎日の撮影を紹介する撮影日記 2009年2月分


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