撮影日記 2006年10月分 バックナンバーへ今週のスケジュールへTopPageへ
 

2006.10.29〜30(日〜月) DK−17M

 先日、
「撮影機材に関して、本当のところを書いてもらえることは大変にありがたい。」
 とメールをもらった。
 そう言えば、昔はこのホームページにも撮影機材に関するコーナーがあって、そこではやはり本音を書いたが、特に淡水での水中撮影の機材に関しては、それが大変に役に立ったというようなメールが何度か送られてきたこともあった。
 ただ、最近の機材の新陳代謝の速度には僕もついていく事ができなくなり、ある時、機材のページを削除したことが思い出された。

 WEB上の掲示板などにも機材に関して色々な記事がある。だが、個々の記事に関しては信頼できないものの方が多く、それは評価というよりは印象と言った方がいいだろう。
 機材を評価するためには撮影者の技術にブレがないことが最低条件であり、ブレのなさと写真が上手い、下手はまた違ったことなのだが、それはアマチュアとは桁違いの量、桁違いのシーンを撮影するプロだけの領域ではないかと思う。
 今日はニコンのDK−17Mというアクセサリーを試すために水辺に出かけてみたのだが、たまたま通りかかったカワウの編隊にカメラを向けてみた。

(撮影機材の話)
 大半のデジタルカメラはAPSサイズのセンサーを搭載しているので、当然ファインダー内に映し出される像は35ミリ判フィルムカメラよりも小さくなり、したがって目視によるピント合わせはフィルム時代よりも難しくなっている。
 その問題を解決するために、ニコンやオリンパスからは、カメラの接眼部に取り付けて像を拡大するアクセサリーが発売されているが、ニコンのDK−17Mはその中の1つだ。僕はニコンD2Xを購入して間もなくDK−17Mを手に入れたが、ちょっと使用してみて、何となく像が見にくいような気がして、それ以降ほとんど使っていない。
 今回は、それをちゃんと確認してみようと思い立った。
 まずは、DK−17M付きのD2Xと、それを取り付けていない状態のD2Xを比べ、さらにDK−17M付きのD2XとEOS5Dも比較してみた。
 結論から書けば、厳密な意味でのピントが最もよく見えるのはEOS5Dだった。
 どうせならピントが合わせにくい被写体の方がいいだろうということでトンボを選んだ。トンボの目は大きな球だが、球はどこにピントがあっているのかが分かりにくく、ピント合わせが難しいのだ。
 すると、やはり以前に感じた印象は間違いではないようだ。DK−17Mを使用すると、像は大きくなるから大雑把なピントは合わせやすくなるが、余分な光学系が入るからだろう。像の切れは悪くなり、厳密な意味でのピントは見難くなる。
 僕の場合はDK−17Mがない方が見やすいという結論に達した。
 ただ、すべの人が厳密な意味でのピントを見ている訳でなく、むしろ、そこまで見ない、或いは見えていない人の方が恐らく多いだろうから、接眼部に取り付けるアクセサリーは、むちゃくちゃに高価なものでもないし、試してみる価値はあるように思う。
(CanonEOS5D 300mm)
(CanonEOS5D 300mm ストロボ)

 

2006.10.28(土) 通販

 孵化が間近なアメリカザリガニの卵を死なせてしまったことを昨日書いた。
 そこで、まだ孵化の気配がない別のメスが抱いている卵の行く末を撮影することになる。
 その結果、下手をすると、11月に予定していたイワナの産卵行動の撮影と重なり、イワナの撮影の方を取り止めなければならない可能性が出てきたのだが、準備だけは整えておこうと、先日、ナイフを通販で注文し、昨日それが届いた。
 今回の岩魚の撮影は、熊の出没が多い場所で長時間待機することになるが、熊との遭遇の危険をどうやって回避しようか?と考えた挙句、まず、定期的に大きな声をあげるなどしてこちらの存在を知らせ、それでも運悪く出会い頭などに襲われた場合は、武器を持って応戦する他ないという結論に達した。
 中には熊を殴り飛ばして撃退する人がいるのだから、少なくとも刃物は役立つだろう。
 いろいろと頭の中で想定し、鎌のような形状のものがいいように思うが、水辺の場合、激しく転ぶ可能性があるから、身に付けておいても、その際に刃で怪我をしないようにケースがしっかりしているものを求めた結果、刃渡りが20センチを越えるナイフになった。
 ある釣具店のWEBカタログを見ていると、他のものも欲しくなり、蒸れにくいタイプの釣り用の長靴と、この冬の北海道用の高所帽を取り寄せた。
 釣り用の長靴は消耗品だから、かつては3000〜4000円の安物を次々と買い換えていてのだが、ある時、型落ちの高級品を激安価格で手にいれ、使用してみて驚いた。
 安物がひどく蒸れるのに対して、高級品は不思議なくらいに蒸れなかったのだ。今回購入したものは高級品とまではいかないが、エントラントという素材で作られた中級品だ。
 
 ところで、ここ最近のツキノワグマは、なぜあんなに高い頻度頻繁に人を襲わなければならないのだろうか?
 熊が里に出没するところまではまだ理解できる。
 また 出会い頭で襲われるのもわかる。ところが報道を見ていると、比較的開けた町中や畑などで、人がツキノワグマに襲われている例も少なくないように感じる。
 だから本当のところの理由が知りたいなぁと思っていたのだが、宮崎学さんのホームページの中に、ツキノワグマ事件簿というブログが新しく設置され、そこに書かれていることは鳥肌が立つほど興味深い。

 

2006.10.27(金) 失敗

 先日、もう間違いなく孵化するはずと書いたアメリカザリガニの卵は、なんと!親に食べられてしまった。原因は、僕が撮影のために移動をさせてり、操作をしたからだろう。つまりストレスである。
 アメリカザリガニは外来種だから、繁殖させたもので飼いきれないものは、飼育中のカメの餌にするなど野外に放さないようにしているのだが、自然に帰す必要がないとなると、やはり扱いが大胆に、無理をする傾向にある。
 その結果の失敗だった。
 前回の日記に
「アメリカザリガニの脱皮について発見をしたのでは?」
 などと偉そうなことを書いた一方で、あっけない失敗もある。
 そこで、できれば、なるべく無駄な失敗は避けたいと、アメリカザリガニについてあらかじめ調べようとすると、その生態に関しては意外なほど資料が少なくて、日本の自然愛好家は、帰化生物について本気で知ろうとしない傾向があるように思う。

 アメリカザリガニと接してみると、一般に言われていることの中には間違いも少なくないことに気付かされる。
 例えば、とても凶暴な生き物のように紹介されることが多いが、僕が飼育した範囲では、たくさんの魚と同居させているにも関わらず、過去にアメリカザリガニに生きた野生の魚が襲われて、食べられた経験はゼロだ。
 また、ヨシノボリのように地面を這い、アメリカザリガニの目線に近い位置で暮らす魚でも、1年でも2年でも、狭い水槽の中でも、僕が留守をして一週間くらい餌を抜いてしまいザリガニが空腹になっても、何でもなく共存する。
 ただオタマジャクシだけは食べられるのだが、恐らくほぼ間違いなく、アメリカザリガニは主に、死肉と植物質のものを食べて生きている生物ではないだろうか?
 ところが、
「ザリガニが魚を襲い、押さえ込んでいる写真を!」
 と依頼がくるのである。
 アメリカザリガニの、日本の自然に対する影響がないと言いたいのではない。死肉にせよ、植物にせよ、何かを必ず食べるのだから、アメリカザリガニはどこかに放すべきではないと僕は考える。
 だが、何でも帰化生物のせいにしてしまうことには抵抗がある。すでに居ついてしまった帰化生物については、よく調べ、知る努力をすべきではないか?

 僕は、ブラックバスに対して嫌悪感を持っているし、それどころか、バス釣りをする釣り人までもが悪人に思えてしまうことがある。正直に言うと、友達になりたくないのだ。
 だから以前は、ブラックバスを、ガンガン駆除すべきだと考えてきた。
 だがここのところは、駆除すればいいのか?と多少疑問を感じるようになってきたのだが、それは、ブラックバスに依存する日本の生き物が存在することに気付いたからだ。
 例えば、最近、内陸の池で比較的よくミサゴを目にするようになった。
 ミサゴは海辺に住む、魚を食べる鷹で、一時は絶滅が心配されていたのだが、それがなぜ内陸の池に?と池を覗いてみると、ブラックバスなのである。
 なぜブラックバスがミサゴにとっていい餌なのか?は、ブラックバスの性質に関わるのだが、いずれ写真でお見せしたい。
 また、都会の、他の水草がなかなか育たないような水路でも、外来種のオオカナダモは繁茂しているし、それが小魚たちを育て、その小魚の中には、フナやメダカも含まれている。
 それを、本当に刈ってしまっていいのか?と感じる。
 駆除が現実的に可能なら話は別だが、そうでない場合、その生き物が与える悪影響の大きさと、皮肉にも役に立っている部分をしっかりと天秤にかけた上で結論を出すべきではないか?と、僕は最近考えるようになった。
 それと同時に、これ以上、新しい生き物を帰化させないような厳格なシステムを作ることに、もっと力を入れるべきだと感じる。

 

2006.10.26(木) 更新

今月の水辺を更新しました。

 

2006.10.25(水) 模様

 昨年は、ちょうど一ヶ月くらい前から今くらいの時期にかけて、次々とアメリカザリガニが脱皮し、おかげで脱皮のシーンを何パターンか撮影することができた。
 アメリカザリガニの脱皮は、急に撮影を依頼されても撮れるシーンではないから、その時に撮影した写真は、うちの貴重な商品になった。
 ところが、今年は、まだ一個体しか脱皮をしていない。
 いったいなぜだろう?と、考えてみたら、昨年との違いは飼い方である。
 昨年はちょっと思うところあって、撮影の事情でやや特殊な飼い方をしてみたら、この時期に脱皮が集中してみられた。つまり、全くの偶然から、僕は、脱皮をある程度誘発する方法が分ったのではないか?と思う。
 正確には、脱皮を誘発する方法ではなくて、脱皮を抑制する方法が分ったのでは?と書いた方がいいのだが、昨年のアメリカザリガニの飼育方法は、特殊な飼い方をした結果、その脱皮を抑制する因子を僕が取り除いてしまったのではないか?と推測している。
 その方法とは、僕が目を通した範囲では、本やネット上の記事にもどこにも書かれていないことなので、あえて伏せておこうと思うが、写真を撮ろうとすると、いろいろと作戦を立てるので、それが結局特殊な実験を施したのと同じ効果をあげ、思わぬことが分ることがある。
 
 さて、昨日のアメリカザリガニとは別のメスが抱いている卵は、すでに孵化が近く、卵には模様が出来始めている。
 この模様は、卵の中の小エビが透けて見えているもので、恐らく、明日には孵化をするのではないか?と思う。
 この段階に達すると、多少、水質の変化があっても卵が死んでしまうことは滅多にないから、この卵から間違いなく小さな子供のアメリカザリガニが生まれてくるだろう。したがって、このメス以外に確保しているメスには、あまり用がなくなる。今後は、今日の画像のメスを主人公にして、アメリカザリガニの繁殖の撮影を進めていく。
 それを見越して、昨日は、あまり用がなくなってしまったメスの中の一匹を取り出して、標本撮影用の水槽に移し、撮影を試みたのだ。
(CanonEOS5D 65mm ストロボ)

 

2006.10.24(火) 切抜きができる写真を

 アメリカザリガニは意外に飼育が難しいということは、以前にも何度か書いたことがある。
 本当にいいコンディションで飼おうと思えば、一つがいの飼育に、俗に90センチ水槽と呼ばれている水槽くらいの広さが必要になるし、90センチ水槽とは、幅90センチ、奥行き45センチ、高さ45センチの水槽だから、一般的な人の感覚では大変に大きな水槽に感じられることだろう。
 もちろん、小さな虫かごくらいの容器でも飼うことはできるが、野外で採集したばかりのあの荒々しい動きは影を潜め、何となく動きが鈍く、体のつやが悪くなる。
 
 飼育に場所が必要であることは、それを撮影する僕には大変に都合が悪い。撮影用のモデルは、ある程度の数準備しておかなければ、撮影や他の仕事や野外での撮影との重なり具合によって、一年に一度しか見られないような肝心なシーンを撮り逃がす可能性があり、アメリカザリガニなら5つがい、合計10匹くらいは確保しておきたいところだ。
 だが、90センチ水槽を5つも設置できるようなスペースは、うちにはない。
 そこで、なるべく省スペースで飼育する方法を色々と考えるのだが、昨年一年で大体要領が掴めたように思う。
 その経験が生き、今年はちょうど今、アメリカザリガニが次々と卵を産んでいる。

 卵には、意外にデリケートなところがあり、条件によっては、うまく成長せずにことごとく死んでしまう。
 だから卵を産んだから、なるべくいいコンディションでそっとしておきたい。が、それでは写真を撮ることが出来ない。
 卵だけ撮影すればいいのなら、卵が死ぬことを覚悟の上で無理をして写真を撮る手もあるが、孵化や、子供や、親子など、その他のシーンも撮影しなければ仕事にはならないので目の前にある卵をただ見守るのか、それとも写真を撮るのか、悩ましい面がある。
 今シーズンのようにうまく飼育ができ、何つがいも卵を抱いているメスがいて、しかもそのどれもコンディションがいいような状況を作ることが出来ると、例えば今日の写真のように、隠れ家の中からメスを取り出して、標本的な写真を撮ることも出来る。

 水辺の生き物の場合は、容器を変えたときに、必ず水質の変化が伴うので、その点が陸上のものよりも難しい。もしも撮影がほんの数分で終わってくれるのなら、水質変化をそこまで気にする必要はないが、今日のような写真でも、卵の見え具合やその他、それなりに納得が出来る写真を撮るには、相当な時間がかかる。
 
 子供向けの本の仕事の場合、
切抜きができる写真を・・・」
 という注文が結構な数寄せられる。
 切抜きとは、生き物の写真の中の生き物の部分だけを、まるでハサミで切り取るかのように取り出す作業であり、例えば、今日の画像のように白の背景で撮影しておけば、ザリガニの部分だけを切抜きできる。
 アメリカザリガニの場合、普通に水槽の中で撮影した写真で切抜きができる写真を探そうとすると、例えば、足の先端が小さな小石の隠れていたりして、なかなか適当な写真を見つけ出すことできない。
(CanonEOS5D 100mm ストロボ)

 

2006.10.23(月) 一長一短あり

 先日、標本撮影のために、アキアカネを採集して持ち帰った。
 トンボは死ぬと色が変わるから、標本を撮影する場合は、死んだ直後のトンボで標本を作り、その色が変わる前に撮影する。
 アキアカネの場合は、冷凍庫の中に入れておくと1〜2日は生きるので、持ち帰った当日は冷凍庫に入れておき、翌日、冷凍庫から出して標本を作った。
 トンボを常温下においておくと、2日はなかなか生きないから、冷凍庫に入れておいた方が長生きすることになる。

 朝起きて、冷凍庫から出してしばらくすると、なんと!メスが卵を産み始めた。ちょうど野外で産卵をする時間帯だった。
 実は前日の夕刻に強制的に採卵する方法で卵を産ませようとしたら、全く卵を産まなかったのだが、やはり体内時計があり、時間帯があるのだろう。
 上の画像は、メスのアキアカネだが、背中が少しオレンジ色になっている。このオレンジ色は、冷凍庫から出した直後には消えてなくなっていて、やがて体温が上がってくると、鮮やかに発色するようになる。

 アキアカネを採集するつもりで網を振ったら、アキアカネではなくて、ナツアカネのつがいが網の中に入った。そこで、ナツアカネもついでに標本写真を撮ることにして、持ち帰った。
 アキアカネと同じように冷凍庫に入れておいたら、こちらは、オスもメスも翌日には死んでしまっていた。
 アキアカネは暑さに弱い分、寒さに強いトンボだと言われているが、なるほど!と納得。
 標本撮影を試みた結果、思いがけず、実験をすることになった。

(撮影機材の話)
 今回のアキアカネの産卵の撮影には、ニコンのD2XとキヤノンのEOS5Dを使用した。
 ニコンの方はズームレンズの200ミリ、キヤノンの方は300ミリレンズを取り付けたが、僕の場合は、EOS5Dに300ミリを組み合わせた方が、像が大きく見え、ピントが合わせやすいと感じる。
 ところが、先日、トンボの撮影ポイントに案内してくれた野田君にも試してみてもらったら、野田君はD2Xの方がピント合わせがしやすいように感じたそうだ。
 僕は元々野鳥を撮影していたので、ピントが浅い300ミリ以上の望遠レンズが苦にならないから、EOS5Dの方がピントが合わせ易いと感じるのかもしれない。
 また、画質は、今回のアキアカネに関してはニコンの方が僕の好みに合った。EOSで撮影すると、どんなに画像処理をしても、土がスカスカした軽い感じになる。
 黒っぽい色の発色に関しては、ずっしり重たい感じに写るニコンが僕の好みにあう。

 こちらは、カトリヤンマの画像を切り出したものだ。
 この撮影には、ニコンD2Xの感度ISO400相当を使ったら、無地の部分に結構なノイズが発生した。
 当たり前のことかもしれないが、どの機材も一長一短あり。
 機材に関しては、気難しくなり過ぎず、目的にあわせて、楽しく使い分けるのがいい!
(CanonEOS5D 100mm ストロボ)
(アキアカネ NikonD2X  70〜200mm ストロボ)
(カトリヤンマ NikonD2X  70〜200mm ストロボ)

 

2006.10.22(日) 棲み分け

 島根県でのアキアカネの産卵の撮影は、今回は順調に終わった。
 今日は山口県へと移動し、アオイトトンボの仲間にカメラを向けてみた。一昨日カトリヤンマの撮影ポイントを案内してくれた野田司君が、その際に色々とガイドをしておいてくれたので撮影は快調。
 その池で見られるアオイトトンボの仲間は、アオイトトンボ、コバネアオイトトンボ、オオアオイトトンボの3種類だが、今日は、アオイトトンボだけがどうしてもいい場所に止まってくれず、残りの2種だけを撮影することができた。
 もちろん、アオイトトンボも強引に撮影すれば写真は撮れるが、僕は最近プロの市場で通用するレベルの写真が撮れる時にも写真を撮らないことがある。

 上の画像はコバネアオイトトンボだと思う。
 このコバネアオイトトンボには、ちょっとした思い出がある。ある時、
「コバネアオイトトンボの写真はありませんか?」
 と問い合わせがあり、僕は写真を持たなかったので、アマチュアトンボ愛好家の西本晋也さんを紹介したら、西本さんの写真が見事に採用され、その後も、何度かそんな機会があった。
 昆虫は種類が多く、行動も多種多様だから、写真の需要が多くない種類の昆虫に関しては、そうしてアマチュアの方の力を借りるのがいいと感じた。
 そして仮に自分で撮影するなら、色々な種類の生き物を撮らなければならない!という気持ちで撮影するのではなくて、じっくり写真のクオリティーにこだわろう!
 優れたアマチュアの存在を恐れるプロの写真家がおられ、確かに同じようなテーマ設定や発想で写真を撮ると、仕事を取られてしまう可能性はある。
 だが、プロにはプロの世界があるのだから、アマチュアの世界をよく知り、うまく棲み分ければいいのだとその時思った。
 西本さんや今回トンボ撮影ポイントを案内してくれた野田君は、アマチュアの世界を余すところなく見せてくれ、それは僕にとって大変にいい勉強になっている。

 虫の世界にも棲み分けのような現象がある。
 アオイトトンボやコバネアオイトトンボが草に卵を産みつけるのに対して、良く似たオオアオイトトンボは、水上に張り出した木に産卵をするというちょっと変わった性質を持っているのだそうだ。
 したがって、他の二種が水辺の草によく止まるのに対して、オオアオイトトンボは、周囲の木に止まることが多いのだと教わった。
 アオイトトンボの仲間の生息地が微妙に異なる現象は、恐らく厳密に言うと、生物学の世界で言われている棲み分けという現象ではないだろうと思うが、生き物達がうまく重なり合わずに暮らしていることには、いつも関心させられる。

 ふと、一昨日も、カトリヤンマの撮影中に木に止まったイトトンボを撮影したことを思い出し、今日改めての際の画像を確認してみると、やはりオオアオイトトンボだ。
(CanonEOS5D 90mm ストロボ)
(CanonEOS5D 300mm ストロボ)

 

2006.10.21(土) 調子が上がる

「無気力症候群がひどい。」
 と日記に書いたのが10月3日のことだが、ようやく調子が上がってきた。
 調子が上がると、まず朝早く目が覚めるようになる。
 今日は赤トンボの産卵シーンの撮影が主な目的だが、今の時期、この辺りの場所では、午前10時から11時30分くらいまでがアキアカネの産卵の時間帯だから、夜明けからその時間帯までは、風景にカメラを向けたり、比較的気楽に撮影することができる。
 トンボの撮影と風景の撮影とはかなり質的には異なるが、それでもその程度のゆとりがなければ、トンボもなかなか良い写真が撮れないことが多い。
 
 先週も付近で赤トンボの産卵シーンにカメラを向けた。
 それから、ほんの4〜5日しか経っていないが、その間に田んぼの湿り具合が変わり、前回撮影した場所は、一目見えて、今日は撮影に適さないことがわかった。
 そこで、時々目に留まる被写体にカメラを向けつつ、付近の田んぼを見て回る。

 アキアカネは刈り取り済みの田んぼの、ちょっと水が溜まったような場所に産卵に訪れることが多い。だから、その様子を撮影するためには、まずそのような場所を探さなければならない。
 ところが、東日本のことはよく分からないのだが少なくとも西日本では、今の時期に多少なりとも水が溜まっているような田んぼはほとんどない。
 しかも、ここひと月くらいは降雨もない。
 今日はたまたま、田起こしを終えたばかりで所々に水溜りがある田んぼを一枚見つけた。日が昇り、少し温度が上がるとアキアカネの群れがやってきて、盛んに産卵をする。そして12時を少し過ぎると、突然にその姿が見られなくなる。
 昆虫の撮影は、時に時間帯がほとんどすべてを決めてしまうことがある。
「ごめんください。」
 と田んぼの向かいの家をたずね、
「前の田んぼに入って虫の写真を撮らせてもらっても良いですか?」
 とお願いすると、
「いいよ。ああでも、田んぼを起したばかりだからはまるかもしれんよ。」
 とおじさんが心配をしてくださった。
 僕は胸まである釣り用の長靴を履いて田んぼに入り、写真を撮った。
 長靴がお尻の辺りまで泥だらけになっても、この場所は付近にイワナの仲間が生息するような水が豊かな山間部であり、あたりの用水路を流れる水できれいに洗うことができる。
 水質がよく、水が豊かであることは大変に気持ちがいい!ありがたいなぁと思う。
(CanonEOS5D 17〜40mm)
(CanonEOS5D 70〜200mm)
(CanonEOS5D 300mm ストロボ)

 

2006.10.20(金) カトリヤンマ

 山口県在住のトンボ写真家・野田司君に誘われて、カトリヤンマの撮影に出かけた。
 今日はその足でさらに車を走らせ、明日は島根県内で赤トンボの撮影を予定している。
 先週もアキアカネという赤トンボにカメラを向けたが、、実は結果があまり思わしくなくて撮り直しを試みることにした。
 先週は無気力症候群の症状がひどかったこともあり、集中を欠き、それが見事に撮影結果に現れてしまった。とにかく現象を写しとめることだけに終始して、自然の光を生かして、雰囲気のある写真を撮ろうとする努力を欠いた。

 昆虫の撮影にはストロボと呼ばれる照明器具を使用することが多いが、たとえストロボを使用しても、自然光の読み方、使い方の方が撮影結果を大きく左右する。
 だからストロボ光に頼りすぎる人は、ある程度以上撮影が上達しない傾向にあるし、逆にストロボ光の使いこなしが本当に上手い人は、自然光の使い方が上手い。

 さて、先週の撮影の際に持ち帰ったアキアカネの卵を撮影したり、標本を作ったりするうちに、すっかり気分の不調を忘れ去ることができた。
 (CanonEOS5D 300mm ストロボ)

 

2006.10.19(木) 卵

 昆虫の場合、例外があるのかどうかは知らないのだが、死ぬまでに繰り返される脱皮の回数は、あらかじめ決まっている。
 それに対してアメリカザリガニは、生きている限り、大人になっても殻を脱ぎ続ける。
 そして、アメリカザリガニには2つの状態があり、ある状態では交尾可能だが、別のある状態では交尾をすることができないのだそうだ。その2つの状態は、脱皮のたびに交互に訪れる。
 つまり、水槽の中にオスメスのアメリカザリガニを入れておいても、オスメスの状態が揃わなければ繁殖をさせることができない。また、外形からそれを見分けるのは難しいと聞いたことがある。

  日本の自然条件下では、秋に卵を産むものが多いが、それは脱皮のタイミング等で、秋に交尾可能になるアメリカザリガニが多いのだろう。
 今の時期、ザリガニが体勢を低くしてしゃがみこんでいたなら、を抱えている可能性が高いだろう。
 (CanonEOS5D 100mm ストロボ)

 

2006.10.16〜18(月〜水) 20ミリレンズ

 この手の標本写真はトンボマニアの世界だと思い込んでいたのだが、うまく使い道を考えれば、それなりに仕事になるのではないか?と、ふとしたことがきっかけで教えられた。
 ちょっと思うところあって、トンボの標本を作り、その標本にカメラを向けた。
 また仕事ウンヌンを抜きにしても、何事も一度は経験しておいた方がいいに決まっている。写真は何か表現したいものがあるからカメラを持ち出すのが基本だが、逆に、先に技術を身に付けておくと、その結果、これが撮りたい!とアイディアに繋がることもある。
 多くの成功している写真家は、そこが長けている人が多いように感じるし、僕は、見習わなければならないと思う。
 僕は昔蝶の標本を作りに夢中になった時期があり、今日はその頃使用していた道具を引っ張り出してみた。
 それから、自然写真の場合は、被写体の色を忠実に再現する必要はない。例えば、森の緑色を実物よりも鮮やかに発色させても大抵の場合は問題はない。
 だが標本の場合は、そうではないこともあるから、色の見本を標本と一緒に写しておくことにした。

(撮影機材の話)
 初めての道具を試すのは楽しい。
 今日は、オリンパス製の拡大用20ミリレンズと専用のリングを使用してみた。撮影に使用したカメラはキヤノンイオス5Dで、その組み合わせで最大の大きさになるようにトンボの卵を撮影してみた。
 因みに、下の画像はキヤノンの65ミリ拡大マクロレンズで最大の大きさになるように撮影したものだ。
 キヤノンの65ミリ拡大マクロレンズは、一般の人の感覚からすれば、ウソ?というくらいに被写体を拡大する能力が高いが、その65ミリの画像が小さく見えるくらい、オリンパスの20ミリには威力がある。
 実は顕微鏡を買おうか?と考えたのだが、あまりに高価なのでためらっていた。だが、このレンズにAPSサイズのセンサーのカメラを組み合わせれば、僕の場合は顕微鏡は不要だろう。
 さて、オリンパスの20ミリは借り物だが譲ってもらうことになった。
 持ち主は、トンボの写真家・西本晋也さんで、西本さんがこのレンズを注文したのは、すでに生産を終了した後だったようだ。
 だが、メーカーにかろうじてレンズを1つ組み立てることができる部品が残っていて、その部品で新たにレンズを組み立ててもらったのだそうだ。
 非常にいいレンズだと思う。
 感激した。

 (CanonEOS5D 100mm ストロボ)
 (CanonEOS5D 20mm ストロボ)
 (CanonEOS5D 65mm ストロボ)

 

2006.10.15(日) 空飛ぶ宝石

 トンボにカメラを向けるといつも、難しいなぁと感じる。
 何が難しいか?と言えば、トンボがたとえ僕にとって大変に素敵な被写体だったとしても、大半の大人にとっては恐らくはつまらない被写体だろうと思われるからだ。
 トンボに限らず昆虫写真全般に言えることだろう。虫の写真が、風景や植物や野鳥写真などとは異なる点がそこにあるように思う。
 だが虫は子供たちには人気があるから、児童書の世界では逆に主役になれる可能性が高い。
 そして幸いにも、動物写真の市場全体に占める児童書の割合は相当に高く、子供に人気がある昆虫写真は、仕事として成立する確率も高くなってくる。
 仕事として自然写真を撮ろうとすると、誰に見せるのか、子供なのか大人なのか、或いは一般の人なのかマニアなのか、そこをはっきりさせておく必要がある。

 先日、今森光彦さんの「空飛ぶ宝石トンボ」という本を購入した。
 僕は物覚えが悪いので、本のタイトルは多少不正確である可能性があるが、僕のホームページをみて連絡を下さった、福岡県内の図書館にお勤めのお姉さんから教えてもらった本で、すでに絶版になっていたから、古本市場にあるものをインターネットで検索して購入した。
 元々は子供向けの月刊誌として出版された本が、傑作集という形で単行本化されたようだ。本来の値段はそれほどに高くはないが、なんと!プレミア付きだ。
 本のページをめくっていくと、なるほど!と、今森さんの写真がよく売れるのが分かった。
 子供向けの本でも、大人が見るに値するように撮られているのである。
「子供向けだからと言って、易しい内容にするのはおかしい!大人も見るに値する本を!」
 と主張する人がいて、僕はそれを間違いではないと思う。だが、そうした話の続きを聞いてみると、しばしば、
「おや?」
 と首をかしげることにある。
 それは大抵の場合、大人も見るに値する本の話ではなくて、マニア向けの本の話に終わるからだ。マニア向けの本と大人向けの本の区別がつかない人は多く、むしろ自分のマニアックな世界を、高尚な、大人の世界と称して押し付けようとする嫌いさえあるのだが、その点、今森さんの写真は大変に心地よく、教えられるものがあった。
 まず、トンボの本といっても大きなストーリーに則って撮られている点。
 それから、マニアが撮る写真は、種類の区別などに執着するあまり時に強引で、それが見る人を不愉快にさせることもあるのだが、今森さんの写真は、たとえ標本でも気持ちがいい。
 僕は、アマチュアの方が作った自作トンボ図鑑を種類の区別によく利用するが、それらは、市販の図鑑よりも断然に分かり易い。だが分かり易いからといって、それを出版すれば売れるか?と言えば間違いなく売れないだろうし、今森さんの写真を見ると、プロに何が求められているのかがよく分かる。
 逆に、それに一切こだわらないところに、マニアの方が撮影する写真の面白さがある。
  
 さて、アキアカネを撮影するために島根県内をうろうろしてみた。アキアカネは、刈り取り済みの田んぼの、ちょっと湿ったところに卵を産みにやってくるというから、そんな場所を探すことにした。
 今日は、25メートルプールの半分くらいの湿ったスペースに、50〜60匹のアキアカネが群れているところを見つけて写真を撮った。
 (CanonEOS5D 300mm ストロボ)
 (CanonEOS5D 17〜40mm)

 

2006.10.14(土) 鍾乳洞 

 ここのところ何度か紹介している鍾乳洞へとまたでかけた。
 今回も、前回に引き続き、地下を流れる川とそこを住処にするコウモリの撮影のための準備が目的だ。
 本格的なコウモリの撮影に取り掛かるまでには、あと4〜5回は試行錯誤の時間が必要だろうと思う。
 先日コウモリを試し撮りした際に、難しいなぁとは思ったが、その時の予想よりももっと難しいのではないか?と、今日は感じた。
 今日の画像は、その洞窟の中から入り口にカメラを向けたものだ。
 コウモリは、この広場のさらに奥の空間に棲みついていて、その場所には全く自然の光が入らない。そうした完全な暗闇の中で哺乳動物をきれいに撮影するためには、それ専用の照明のシステムを考えなければならないようだ。
 前回は、どんな場所に止まっているコウモリが、きれいに撮れるコウモリなのかを試した。
 そして今日は、コウモリにさまざまな角度から懐中電灯を当て、どんな角度から光を当てた時に、コウモリが最もコウモリらしくみえるのかを試した。
 次回は、懐中電灯ではなくて撮影用のストロボを、今回見出した角度から自在に当てることが出来るように機材に工夫を施してから洞窟に入る。
(CanonEOS5D 17〜40mm)

 

2006.10.13(金) D70 

(撮影機材の話)
 先日、ちょっと用があってニコンのD70を久しぶりに使おうと思ったら、電源が入らなくなっていた。俗にD70の突然死と呼ばれている現象で、メーカーに送るとすぐに対応してもらえた。
 無料の修理が完了して帰ってきたニコンに触れてみると、ニコンの良さを改めて感じ、今僕が主に使用しているキヤノンに比べると、大変に手触りがいい。
 逆にキヤノンは、これ以上品質を落としたら、もう使いたくなくなると感じるギリギリのところでカメラを作り、余計な部分には金をかけないというその塩梅が実に巧みだと思う。
 その極め付けが僕にとってイオス5Dで、このカメラはフルサイズセンサーを搭載して画質がよく、しかもそれがそれまでの常識を覆す安さだったこと以外には全く何のとりえもないカメラだと思う。
 だがそれが、なるべく安く、でも高画質を求める僕には大変に都合がいい。仕事で使用するデジタルカメラの場合は、高級機を長く使用するよりも、安いカメラを持ち、新しい製品が出たら次々と乗り換えていった方が、最新のテクノロジーを使うことができるので合理的だと僕は考える。
 だがニコンにはニコンの良さがあり、高級機を持つのならニコンを持ち、なるべく長く使いたいと思う。
 
 D70は、僕にとってもっとも思い入れがあるカメラの中の1台だ。
 フィルムだけを使用していた頃は、時には写真を撮ったものの、お金がなくて現像ができないこともあった。
 D70を当時僕は10万円以下で購入したのではないか?と思うが、はじめてD70を手にした時に僕が感じたのは、
「ああ!これで現像料がなくて仕事ができないという最悪のパターンだけは回避できる!」
 という心の底からの安堵感だった。
 それ以前にも、デジタル一眼レフカメラは存在したが、データの書き込みに時間がかかったり、しかもデータの書き込み中には画像の再生などのその他の操作ができなくなるなどストレスが多かったり、高価でもあったから、結局、僕にとっては割に合わない道具だった。
 それを一気に改善したのがD70だったのだから、D70は歴史に残る名機だと思う。

 

2006.10.12(木) DxO Optics Pro 

(デジタルカメラの話)
 僕は、ほぼ100%RAWで撮影する。撮影後の自由度が大きいRAWで撮影した方が撮影が易しいし、画質もいいのだから、僕にはJPG原理主義者の気持ちが全く理解できない。
 例えば、JPG原理主義者の中には、撮って出しのJPGでの撮影はフィルムにたとえるならポジ、撮影後に画像を扱うRAWでの撮影はネガでの撮影であり、JPGを使うのはポジで撮るのと同じことなのだと主張する方が少なからずおられる。
 だが、ポジは確かに撮影後に写真を調整できる幅が狭かったのだが、それが、多くのプロカメラマンがポジを使っていた理由の本質だったのだろうか?僕にはそうは思えないのである。
 もしも、撮影後のポジを調整する技術があれば、みんなその技術を利用したのではないか?と感じる。
 現実には、ポジの場合それがなかっただけで、そこに執着するのは、古い自分の常識にただ無意味にしがみ付いているだけのように思える。
 説得力があるのは、JPGで撮影しておいた方が撮影後にパソコンに向かわなくてもいいから面倒ではないという意見だ。
 これは確かにその通り。

 仮に35ミリ判フルサイズのセンサーを搭載したデジタルカメラでも、そんな小さなセンサーのカメラをRAWで使用して画質にこだわってもあまり意味がないという意見もある。
 だが僕は、それを逆だと感じる。
 画質にゆとりがないからこそ、少しでもこだわる。昔、35ミリ判で風景を撮る写真家の多くは、意外にも画質に神経質な人が多かった。それは、35ミリ判の場合画質によとりがないから、ちょっとでも撮影が雑だと写真が使えなくなってしまうからだった。
 それはともあれ、先日RAWデータの現像にシルキーピクスを試してみたら、とてもいいので驚いた。
 シルキーピクスに興味があった訳ではなかったのだが、キャノンのカメラで撮影されたデジタルデータの周辺光量をコントロールできるソフトを持たなかったので、無料で使用できるお試し版をダウンロードして、ちょっと使ってみたらまさに目から鱗。
 肝心な周辺光量の調節よりも、発色に惚れ込んだ。
 こいつはいい!

 そこで今日は、DxO Optics Proのお試し版を使用してみたら、これまた効果あり。
 DxO Optics Proは、撮影に使用したカメラとレンズの組み合わせを選ぶと、その組み合わせで生じるさまざまな不具合を自動的に修正して、理論的に理想の画像に近づけてくれるソフトだ。
 今日の2枚の画像のうち、左はDxO Optics Proを使用したもので、右は使用しなかったもの。
 まず、超広角レンズを使用して撮影された画像の周辺に写った男の子の頭の形が、実に見事に補正された。
 それから、この画像は実はあまり素性がいい画像ではなくて、撮影時の感度がISO400相当だったからか、やや影になった男の子の顔に結構なノイズが浮いた。
 そして、顔の部分をRAW現像の際に明るくすると、益々そのノイズが目立つのだが、DxO Optics Proに任せると、少なくとも他のソフトで画像を扱いまわすよりもノイズが目立たない。
 こいつも凄い!
 ただ、3万円台は高い。
 非常に多くのカメラとレンズの組み合わせをソフトを作る際に試しているのだから、その労力に比べれば相対的に3万円も高くないのだろうが、僕にとっては3万円が高い。
 今回僕がDxO Optics Proに期待したのは、上の画像の場合は、男の子の顔の形の補正だった。ただその点に関しては、シルキーピクスのディストーションの補正でもそうとう程度対応できることが分かったし、それだけならシルキーピクスで十分という結論に落ち着く。
 がしかし、思いがけず、色や明るさやノイズに関して素性が悪い画像の場合、DxO Optics Proに完全に任せてしまうといい結果が得られることもあると知ってしまったのだから迷うし、非常に悩ましい。
(CanonEOS5D 17〜40mm)

 

2006.10.11(水) きのうのキャベツ 

 きのうのキャベツが、今日、こんな形になってカタツムリのおしりから出てきた。
 この糞は、昨日キャベツを食べた後、2番目に出てきた糞で、一番目の糞は、先っちょにキャベツ以前の食べ物が多少残っていたから、あまりきれいな糞ではなかった。
 幼児向けの本の世界では糞の写真はほとんど必須と言っても言い過ぎではない。だから、僕はどんな生き物にカメラを向ける時にでも、幼児向けの本で写真が使用される可能性がある生き物の場合は、いつも糞に気をつけている。
 先日は、注文を受けて、ある生き物が糞を出す様子を撮影したが、日頃から、どれくらいの頻度で糞をするのかなど気を付けていたので、注文を受けた時点で、撮影にどれくらいの時間がかかるのかを急いでいる依頼者に伝えることができたし、難なく撮影もできた。
 
 さて、無気力症候群からなかなか抜け出せないでいるが、僕は大抵の場合、これぞ!というようないい被写体にめぐり合い、何もかも忘れて夢中になって撮影した後で、その症状から抜け出す。
 これぞ!と熱くさせるような被写体ではなくても、同じようにカタツムリの糞を撮影するにしても、出したばかりの瑞々しい糞はやはりきれいだから、急いで写真を撮りたいな!と、多少は気力が湧いてくる。
(CanonEOS5D 100mm ストロボ)

 

2006.10.10(火) 検便 

 先月から、暇を見つけてはカタツムリの糞の写真を集めているが、さまざまな食べ物を食べさせては、糞が出てくるのを待つ。
 糞の撮影と言えば、以前は適当に飼育ケースの中から糞を取り出して撮影してきた。
 だが、それでは糞の乾き具合にバラツキがでてしまうから、今回は、糞を採取するために一匹のカタツムリを選び、そのカタツムリが出して間もない糞にカメラを向けることにした。
 それを何度か繰り返すうちに、食べ物を食べてから、だいたい何時間くらいで糞が出てくるのかが分かるようになった。
 まるで、カタツムリの検便みたいな感じだ。

 検便と言っても、最近の若者には、理解できない人も多いだろう。
 僕が小学生の低学年の頃は、朝うんこを取って学校で提出し、その便を検査することで、寄生虫に寄生されていないかどうかを調べる日があった。
 やがて、便を採取する代わりに、おしりにペタッとシールをはり、そのシールを提出するようになり、恐らく今は、そんな検査自体が行われていないのではないだろうか?
 中には便秘がちな同級生がいて、どうしてもうんこがでないから、犬の糞を提出したら、色々と出てくる、出てくる。
 すぐにばれて、先生に怒られた。
 
 それはともあれ、カタツムリの糞を撮影する過程で、カタツムリが食べ物を食べるのにもリズムがあることが分かった。
 ある日たくさんの野菜を食べ、その後さかんに糞をするが、やがて体内の糞をほとんど出し尽くすと、今度は食べ物を食べない時期がある。
 食べ物を食べない時期には活動量が落ちて、殻にこもりがちになる。水をかけて無理やりに起こしても、ちょっと体に触れただけですぐに殻の中に閉じこもるなど、いつもよりも敏感になる。
 カタツムリが活発で大量に糞をする日には、糞をすると糞をポイとそこに置いて立ち去るが、ほとんど糞を出し尽くしたあとで不活発になっている時には、糞をしても立ち去ることなく、出した糞を大事そうに抱え込み、じっとしていることが多くなる。
 まるで財布のお金が減ってくると、急にお金の使い方が慎重になる自分を見るようでもある。
 とにかく、カタツムリには動きたくないタイミングがあるようで、そんな日は、白い紙の上にカタツムリを置いて撮影するただの標本撮影でさえ、殻に閉じこもるばかりだから、大変に時間がかかる。
 まして、食べ物を食べるその口元を撮影することなどは、不可能になる。
 どんな些細な撮影にもコツがある。そのノーハウを知っているかどうかで、撮影が10分で終わることもあれば、数日を要することもある。

 今日はカタツムリの食欲が旺盛で、食べる食べる!いくらでも食べてくれるから、山ほど写真を撮ったが、今日の狙いは、食べているシーンで、しかも口が分かる写真である。
 できれば、あまりグロテスクな感じを与えない方がいい。
 だが、大きな触覚、小さな触覚、それから吸盤のような腹足・・・ カタツムリの体のパーツがなるべくたくさん写って欲しい。
(CanonEOS5D 100mm ストロボ)

 

2006.10.9(月) コハクガイ 

 コハクガイという貝だと思う。
 今日の画像は、事務所の駐車場の片隅に置いてある丸太の裏側を写したもので、コハクガイが隠れているスペースは、ノコギリで木を切断した際のデコボコだ。
 つまりこの貝は小さくて、カタツムリに特に興味がある人でなければ、その存在には気付きにくいだろう。
 コハクガイは北米原産の移入種だと言われているが、最近は、帰化生物に対する関心が高まり、思いがけない生き物の写真に需要が生じることがあるから、あらかじめ撮影しておくことにした。

 仕事用の写真の中で、今僕が最も自信があるのは、カタツムリだ。カタツムリならこれまでに色々と撮り貯めした写真があるから、大抵の注文にはこたえられるし、仮に手持ちの写真がなくても、依頼されれば、ひどく季節外れでない限り極めて短時間で撮影して写真を納めることができる。
 もちろん、写真は使えば使い古される。
 だが、いったんそんな状態を作れば、あとは特に目の色を変えてカタツムリを撮影しなくても、今日のようにふと気が付いた時にまめに写真を撮れば、無理なく、無駄なく写真のストックが増え、うまく回りだす。
 とにかく、ただの一種類の生き物でいいからそんな態勢を確立しよう!と、これまで取り組んできたことが、やっと出来たと言ってもいいだろう。

 次に自信があるのがアマガエル。そして次がアメリカザリガニ。こちらは一応ほとんどの仕事に対応はできるが、もうちょっと頑張らなければまだ安泰ではない。
 アメリカザリガニは、昨年からかなりの量を撮影したが、それらは運良く次々と使用され、あっという間に未使用のものが無くなった。
 生き物の写真は通常は独占使用ではないから、過去に使用歴があっても構わないが、去年と今年の印刷物に全く同じ写真が使われるのは、やはり能がないと言わざるを得ない。そこで、あるシーンに関して4〜5パターンの写真を持っておけば、それらを上手く使いまわすことができる。
 アメリカザリガニの場合は、まだそこまでの準備は出来ていない。
 今年の秋は、昨年撮影できなかったアメリカザリガニのシーンを追加して撮影するが、先日一匹のメスが産卵した卵は、今のところは順調に育っている。あと1〜2週間で本格的な撮影に取り掛かることができるはずだ。
 今年のはかどり具合にもよるが、来年の秋も、恐らくまたアメリカザリガニを撮影することになる。ごくごく身近な生き物の撮影でも最低2年、安泰というようなレベルには4年の時間がかかると感じる。

 来年の春は、メダカにカメラを向ける。
 メダカは、デジタルカメラになってからはほとんど撮影していないので、デジタルである程度の写真をそろえるのが急務だ。
 これまでは、メダカの撮影と言えばフィルムで、水槽に砂利を敷き、水草の緑色の背景で爽やかな感じに撮影してきた。
 だが今回は、砂利ではなくて土を敷き、可能な限りメダカの生息環境を忠実に再現して撮影する。
 爽やかな写真の方が間違いなく売れるが、自然な撮影セットの方が撮影していて楽しい。
 今日は、そのために水槽に土を入れ、その他さまざまな準備を整えた。その過程で、丸太を動かそうとしたら、上の画像のコハクガイがくっついていたという次第だ。
(CanonEOS5D 65mm ストロボ)

 

2006.10.8(日) 白の中の白 

白の中の白は難しい。」
 とよく言われる。
 昨日のガムシのような光沢のある黒と並び、同じく撮影が難しいパターンの代表が、白の背景で白い被写体を撮影するケースだ。
 この場合は被写体が背景に溶け込み易く、また白い被写体は元々白飛びと言って白が質感を失い易い。
 今日は、サツマイモを食べた時のカタツムリの白っぽい糞にカメラを向けたが、やはり難しいと感じる。

(撮影機材の話)
 明るい色の再現性に関しては、明らかにデジタルカメラよりもフィルムの方が優れていると思う。
 ただし、フジのS3プロというデジタルカメラに限っては、センサーの構造が他社とは異なり、明るい部分の再現性がフィルムを超えているとさえ言われているから、その後継機は、値段にもよるがいずれ購入するつもりでいる。
 今まで使用したことがないメーカーのカメラを買う際に一番問題になるのは、レンズを揃えなければならない点にあるが、フジのカメラはニコンのレンズを使用する構造になっているから、元々ニコンユーザーの僕には都合がいい。
 僕が使用したことがあるデジタルカメラの中で最も白の再現性がいいのはキヤノンで、特にイオス5Dは優れていると思う。
 ニコンやペンタックスのカメラでも、コントラストを低く設定すれば白い部分も再現できる。だが、コントラストを落とすと、その分メリハリのない画像になる。
 白飛びしにくいカメラとは、必要なコントラストを与えた上で、それでも明るい部分の再現に優れているカメラのことであり、WEB上のさまざまな記述を読んでいると、そのことがよく理解できていない人が多いように思う。
 しばしば、コントラストが低い画像を見て、
「白飛びしにくい!」
 だとか、逆にコントラストが高過ぎる画像を見て、
「白飛びし易い。」
 などと評価しているような気がする。
(CanonEOS5D 90mm ストロボ)

 

2006.10.7(土) カメラマン 

 写真を撮る人のことを、カメラマンや写真家などと呼ぶが、写真家という呼び方に対してカメラマンは、例えるなら画家に対する絵描きのような関係にあり、カメラマンの方が社会的な地位がやや低い印象を与える。
 そこで、自分たちの地位の向上のためにカメラマンという呼び方をなるべく使わず、写真家やフォトグラファーと呼ぼとする動きもある。
 だが僕は、それでもカメラマンという言葉がわりと好きだ。
 写真は、それをどんなに生活に糧にしていたとしても所詮遊びの一種ではないか?と僕は考える。したがって高尚なイメージよりも、多少後ろ指をさされるくらいがふさわしいのだと、日ごろ感じているからである。
 ただ、そうした言葉の微妙な使い分けを時には気にするし、具体的には技術者としての自分を表現する際にはカメラマン、表現者としての自分を表す言葉としては写真家を使うことが多い。

 さて、今日はガムシの標本写真を撮った。標本といっても、まだ生きているから、泳いでいるようすにカメラを向けたが、ガムシは、スタジオで撮影する際の照明が非常に難しい生き物である。
 ガムシのような黒くてツヤツヤした生き物を撮影すると、黒い体の表面に照明が白っぽい反射として写り、さらに下手をすると、カメラを構えた自分の姿が写っていることが分かる写真さえある。
 上の画像の場合は、ガムシの後ろ足の少しお尻側に、白っぽい照明の反射が見える。
 そうした被写体に周囲の光景が写りこんでしまう現象は、カメラマン的には許しがたいことであり、さまざまな工夫を施す。だが、黒くてツヤがある被写体だけはどうにもならないことが多く、最終的には、写り込まないように照明するのではなく、その写り込みをいかにきれいに見せるかに尽きる。

 今日は色々と照明の具合を変えてみたが、照明を変えると、ガムシの背中に写る光の反射の具合も変わる。
 下の画像は、それがやや不自然に出てしまった悪い照明の例と言えるだろう。
(CanonEOS5D 100mm ストロボ)

 

2006.10.5〜6(木〜金) 自由 

 やる気が出ないから昼寝でもしようと思っていたら、写真の貸し出しの依頼があり、およそ50カットの写真を選び、急ぎ郵送してきた。
 依頼者は大変によく写真が分かる方なので、出来れば手持ちの写真を貸し出すのではなく、新しく写真を撮り直したいと思ったが、至急ということだったので、すでに撮影済みの写真の中から条件に合うものを選び出すことになった。
 気力が湧かないときは、そうして半ば強制的に労働をさせられるのがいい。
 僕は自由を求めるけれども、完全な自由の中で自然写真の仕事をやり続ける自信はない。自由って厳しいなぁと、痛感させられることが年に何度かある。
 凡人の場合は、自由も必要だが、何か強制力も必要なのである。

 

2006.10.3〜4(火〜水) 気分転換 

 無気力症候群に取り付かれてしまい、全くやる気が出ない。
 今年は、立てた計画をやり遂げることが出来ずに計画を組み立て直したケースは何度かあったが、いずれも全力を尽くした上で時間が足りなかったのであり、時間を無駄に過ごしたわけではなかった。
 ところが今回は、今年初めて、気力が出ないことが原因で大幅に計画を変更しなければならなくなった。
 以前はそんなことも珍しくなく、むしろ、そうしてもがいている時間の方が長かったように思う。最近は精神的なスタミナに多少自信が持てるようになってきた。とは言え、たまにはそんなこともあるのだろう。
 よく考えてみれば、毎日毎日元気な奴は気持ちが悪い。

 さて、どうやって気分転換しようか?と考え、昨日は、山口県へと出掛けてみた。何箇所か行ってみたい場所があったのだが、ついでにちょっと赤とんぼにカメラを向けた。
 ぶらりとどこかに出掛け、気楽にフィールドで撮影をすると、そうした無気力が嘘のように吹き飛ぶことがあるが、昨日に限って言えば、むしろ症状が悪化。
 そこで今日は、事務的な仕事に切り替え、先月分の領収書の束を整理してみると、いつもは苦痛で苦痛でたまらない作業が、今日に限っては大変にはかどる。
 好きも嫌いも、紙一重。

(撮影機材の話)
 ほぼ1年前も、全く同じ場所で、赤とんぼにカメラを向けた。
 昨年との違いは機材の違いで、前回はニコンのD2Xに70〜200ミリのズーム(200ミリ域)を使用したのに対して、今年はキヤノンのイオス5Dに300ミリを取り付けて使った。
 その結果、両者はほぼ同じ画角になるが、フルサイズセンサーのカメラにより長いレンズを取り付けた方が、撮影が易しいように僕には感じられた。
 実はこれは、イオス5Dを購入する以前の僕の予測とは全く逆で、僕はむしろピントが深い短いレンズで望遠効果が得られるAPSサイズのセンサーのカメラの方が有利だと思い込んでいた。
 ポイントはファインダーの大きさにある。像が大きく見えるイオス5Dの方が、動き回るトンボのピントが断然によく見えるのである。
 望遠系は、APSサイズのセンサーを搭載したカメラの方が、フルサイズセンサーのカメラよりも有利であるとよく言われるが、両方を実際に試してみると、一概には言えないと感じる。
 像の見やすさの他に考慮すべきは、レンズの明るさと重さだが、35ミリ判フルサイズセンサーのカメラに興味がある人は、そのあたりを頭に入れて、判断したらいいだろうと思う。
 デジタルカメラの場合、フィルム換算でISO200が常用できるので、僕の場合はレンズの開放F値は4で十分。

 それから、今回はストロボをハイスピードシンクロのモードで発光させてみたが、なかなかの効果がある。
 トンボの飛翔は、空中で停止をするように飛んでいる瞬間を狙うが、それでもトンボは上下左右に細かく動くため、特に目玉のあたりに微妙なブレが生じることが多い。が、そうした許容範囲だけれども気になっていたブレが、今回撮影した写真にはほとんど見られなかった。
(CanonEOS5D 300mm)
(CanonEOS5D 300mm ストロボ)
 
 

2006.10.1〜2(日〜月) 漢字 

 まだ漢字がよく読めないような幼い頃から、僕は、生き物の本に関しては小学校の高学年〜大人向けのものをよく手に取った。
 いわゆる幼児向けのものを読んだ記憶はない。
 読めない漢字はすべて飛ばし、当然意味が分かりにくくなるから何度も何度も同じ本を繰り返し読んだ。
 インコの飼い方の本などは色々と買い揃えてもらい、一般に市販されていた本は全種家にあったが、どれも軽く100回以上は手に取っただろう。
 それでも、どうしても理解できない部分がたくさんあった。

 最近の本は、漢字の有無だけでなく、イラストや図やデザインなどが分かり易いものが増え、小さな子供にもずっと読み易くなったように感じる。そして、同じ内容を伝えるのであれば、読み易い本を目指すことは、本を作る側としては当然のことだ。
 だが読みにくいものを一生懸命読もうとしたことが、今でもとても役に立っているような気がするから、そこが難しいと思う。むしろ、今の僕は、そうした経験に支えられている部分の方が、より大きいような気がする。
 学校の授業だって、同じではないだろうか?実に説明が下手糞な先生がいて、結局自分で本を読んで独学するしかなかった結果、より深く勉強できる部分だってあるだろう。
「あの先生が悪い!この先生が悪い!学校が悪い!社会が悪い!」
 と責め立てる傾向が最近は強いように感じられるが、それは間違いではないか?と思うのである。 

 さて、ガムシのお腹には牙のような長い突起ががあり、ガムシは牙虫と書く。今回は、その牙が見える写真を撮ってみようと試みた。
 子供の頃は漢字がよく読めないから、ガムシは蛾虫だと思い込んでいて、その蛾は不気味な生き物だから、ガムシも不気味な生物ではないか?と、そんな気がしていた記憶がある。
 そうした思い出がある分、今、ガムシを撮影すると余分に楽しいし、きっと誰か大人から分かり易く、
「牙があるんだよ。」
 と説明されていたら、結局は味気なかったのではないか?という気さえする。教え過ぎは、空想や想像や考えることを小さな子供から奪い、心の容量を小さくしてしまうような気がする。
 せっかく、その思い出のガムシが落ちていて、拾ったのだから、撮影終了後も持ち続け、産卵を待ち、ライフサイクルを撮影してみようか?と考えた。
 水辺の昆虫と言えばまずトンボだろうが、そのトンボは幼虫からいきなり成虫がでてくるからさなぎの期間がない。
 その点ガムシにはさなぎの段階があり、昆虫のさなぎという存在は実に神秘的な感じがするから、トンボの撮影では味わえないその思いを満たしたいという気持ちがこみ上げてきたが、残念ながら僕が捕まえたのはオスのようだ。
 ガムシについていろいろ調べていると、今度はいっそうのことゲンゴロウをどこかから手に入れ、飼育して、ライフサイクルを撮影してみたくなった。
(CanonEOS5D 100mm ストロボ)
 
   
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自然写真家・武田晋一のHP 「水の贈り物」 毎日の撮影を紹介する撮影日記 2006年10月分


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