撮影日記 2003年11月分 バックナンバーへ今週のスケジュールへTopPageへ
 

 2003.11.30〜31(土〜日) カエル跳び

 パソコン用のハードディスクを注文した。今回買ったのは120Gの製品だ。
 僕はパソコンに興味がないので、周辺機器の値段やどんな製品があるかなど全く知らなかったのだが、ハードディスクは、80G、120G,160G,250Gあたりの容量の物が一般的に売られているようだ。
 当然、容量が大きいと高い。だが一番安い80Gと今回買った120Gとでは、実売価格で1000円程度しか違わない。これが160Gになると、120Gのものよりも何千円か高くなるので、120Gがいいだろうと考えた。
 ハードディスクで何をするかというと、デジタル画像をもっと積極的に使おうと考えている。例えば自分でフォトCDを作って、売り込みに使用する。またフィルムの紛失などに備えて、スキャナーを使ってフィルムをデジタル化し、デジタルデータを保険として持っておく。
 もちろんデジタル画像は順次CDやDVDに保存していくのだが、よく使いそうな画像はハードディスクの中にも同じ画像があれば、断然に作業の効率がよくなる。
 そうしたデジタルデータをどのような手順で扱い、どんな形で保存をするのか、いろいろと検討して試してみたのだが、その際に、試しにフィルムからデジタル化した数枚のアマガエルの写真を使って、「淡水記」に新しいページを加えた。今回は「カエル跳び」だ。

 
いずれデジカメの時代が来ることを考えて、この春に事務所のパソコンを買い換えた際にはDVDに書き込める機種を買った。そして今回ハードディスクを買い足し、あとは取材用にDVDに書き込めるタイプのノートパソコンか、或いはノートパソコン用に持ち運び可能なMOあたりがあれば完璧なのだが・・・
 なかなか物が揃わなくて、600万画素クラスのデジカメ導入がどんどん遅れている。もっとも今は新しい機材が開発されている過渡期なのであわてる必要はないのだが、最新のデジカメが欲しい。どこかにお金が落ちてないだろうか?
 

 
  
 

 2003.11.28(金) 故障

 武田家は理科系が得意な家系で、僕の身の回りには科学を勉強した者が多い。父も科学が好きで、科学的に理にかなっている機械などには目がない。
 例えば、僕がまだ小さな子供の頃から、家には超音波洗浄器があった。超音波の細かい振動で水をぶつけて汚れを落とすという発想が父の好みにあった。
 最近では歯ブラシに超音波が使われていて、ブラシを緩やかに歯に当てているだけで不思議なくらいきれいに汚れが落ちるのだが、父もそれを買った。
 超音波の歯ブラシを使ってみたら、これはイイと僕も感じ、ナショナル製の安い製品をずっと以前に1つ買った。歯は大切にした方がいい。特に野外で撮影をして暮らすには、入れ歯はかなり大きなハンディーになるような気がする。
 ところが、今日はその歯ブラシの電源が切れなくなった。
 分解してみてみようとしたが、どこから開けられるのかが分からないので、ナショナルの修理依頼窓口に問い合わせをしたら、驚くほど対応が丁寧で、分解するためのマニュアルをファックスしてくださり、しばらくしたら
「分解できましたでしょうか?」
 と電話がかかってきた。中を調べてみたら水が漏れ錆びていたので、そのことを伝えたら、
「着払いで送って欲しい」
 とおっしゃった。そういうトラブルがたくさんあったのかもしれないが、たかが一万円にも満たないものなのに対応の良さに驚いた。
 ここの所は、パソコンもおかしい。
 時々デスクトップの画面が時々ブルブルと震える。最初に症状が発生したのは初夏で、どうにも原因が分からなかったが、暑い日にそのトラブルが多いことに気付き、エアコンを入れたら症状が治まった。それ以降、部屋を27〜28度に保っておけば、デスクトップ画面のブルブルは起きないようになっていたのだが、また最近それが起きだした。
 今の季節は十分に涼しいので、温度が関係する何かの部品がとうとう壊れかけているのではないかと思う。こちらも修理依頼窓口に問い合わせをしてみたが、現在、これまでに似た症例がなかったか調べてもらっているところだ。
 事務所のパソコンを修理に出すと、後は古いノートパソコンしかないので、大きな画像をあつかったり、仕事でバリバリ使うにはちょっと厳しい。困ったものだ。 
 トラブルは画面が時々ブルブル震えるだけで、パソコンが使えない訳ではないし、どうしようもなく症状がひどくなるまで使い、そのうちノートパソコンを買い替え、事務所のパソコンを修理中はそのノートパソコンでしのぐ手もあるが・・・。

今月の水辺を更新しました。今月は、紅葉です。
 
 
  
 

 2003.11.26〜27(水〜木) インターネット

 ここ数日、ストロボ(カメラに取り付ける照明)の改造に取り組む日が多いが、ストロボの光はシャッターを押した瞬間の一瞬にしか光らないので、被写体にどのように光が当たるのかを確認できない点が難しい。
 ところが最近はデジカメがあるので、その確認がすぐにできるようになった。僕が今回ストロボに改良を加えようと思ったのは、デジカメであらゆるテストをした結果、より良い方法が見つかったからだ。
 そう言えば、最近は野外でもスタジオでも、フィルムで撮る前に大抵デジカメで試し撮りをするようになったが、もしも僕と同程度の力の写真家と撮り比べをしたとして、僕がデジカメを持っていて、相手がデジカメを持っていなければ、僕はかなりの確率で勝てる自信がある。特に人工の照明で撮影するスタジオでは、照明を変えながらデジカメで細やかにテスト撮影をするのは極めて有効だと感じている。
 デジカメの画質に関してはシャープさではフィルムに負けないレベルに達していると思うが、質感に関してはまだまだフィルムに及ばない。恐らく、シャープさが問題になる写真を日頃多く撮っていた人はデジカメの方がイイと感じ、質感の表現が問題になる写真を多く撮っている人は、フィルムの方がいいと感じることだろう。
 僕の場合は、フィルムの方が扱いやすいと感じるのだが、
「俺はフィルムがイイ」
「いや、これからはデジカメだ」
 とどちらかに決めるのではなく、いい写真を撮るのに有効な道具は、うまくそれを使えばいいと思う。

 デジタルカメラだけでなく、インターネットが普及したのでパソコンも便利になった。僕はホームページから買い物をする機会が増え、最近では特注の水槽を作ってもらい、特殊な照明器具をインターネットで買った。
 Yカメラなどは、店頭でもホームページからも買い物が出来るが、インターネットでの買い物が便利な時はインターネットを使うし、店頭で現物を見たい時はお店に行ってみる。
 インターネットが普及を始めた頃、よくインターネットではビジネスが成り立たないと言われた。確かにYカメラがお店をすべてたたみインタネットショッピング専門のお店に様変わりしたら、成り立たないだろうなと思う。
 でも、これからは店頭だけでなくネットでも売らなければ、競争に勝ち残れなくなる可能性はあるだろう。以前は機材を買うときにいろいろなお店のホームページを見てみたら、単なる広告的な役割のものが多かったが、最近はそこから買い物が出来る店が増えてきた。
 俺はデジカメだ。俺はフィルムカメラだ。うちは店頭だ。うちはインターネットだとそれをどちらかに決めようとすること自体がナンセンスな、そんな風になっていくのではないかと思う。
 何か新しいテクノロジーが出てきたら、必ず新しい物か古い物かに決めようとする議論がある。写真の世界でも、手でピントを合わせるのか、オートフォーカスかの議論があったが、今ではそんな境界がなくなり、オートフォーカスのレンズが手でもピント合わせし易いようになってきた。
 オートフォーカスというテクノロジーを多くの人が体験してみた結果、絶対オートフォーカスとこだわるのも、絶対に手でのピントあわせとこだわるのも馬鹿げていることに多くの人が気付いたのだが、オートフォーカスを使ったことがない人には、未だに手でのピント合わせにこだわる人も多い。
 本当は、オートフォーカスを十分に試さないと、手でのピンと合わせが本当にいいのか、どちらがいいのは分からないのだから、新しい物は試し、いいところを柔軟に取り入れることが大切な時代になっているように感じる。

今月の水辺を更新しました。今月は、紅葉です。
 
 
  
 

 2003.11.25(火) ようやく

 今日は予定していた取材が天気の都合でできなくなった。代わりに営業用のホームページを作成する作業に取り組んだが、ようやくアウトラインが完成した。あとは写真をページにはめ込んでいくだけだ。
 ホームページは今のところ4人で開設するつもりだが、僕が作るベースになる部分の設計がまずいと、あとでみんなが苦労することになる。後先のこともまでよく考えて、理にかなった設計になるように頭を使わなければならない。
 またホームページの中で写真を見せることで、閲覧者からネタをパクられる可能性がある。写真には一枚で出版物に使えるものと、たくさんまとまって初めて使えるような写真とがあるが、まとめて使う写真の場合、そのネタを盗まれて先に誰かに着手されるとかなりのダメージを受ける。
 僕一人のホームページであれば多少はそんなことがあっても構わないが、他の人と一緒にやっていくためには、そうならないような工夫が必要だ。そこで今日は、一般に閲覧できるページの他に、出版関係者だけに見てもらうパスワードが必要なページを設けた。
 他にもいろいろな仕掛けがあるページを作ったが、初めてのことだしなかなか苦心させられる。朝から夜まで、ずっとパソコンに向かう一日になった。

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 2003.11.23〜24(日〜月) 改造ストロボ-2

 手作りで何かを作ろうとすると、必ず一悶着あってすんなりとは事が進まないものだが、昨日画像を掲載した改造ストロボにさっそくトラブルが発生した。今日は工作中にストロボが爆発した。
 爆発したといっても粉々になったわけではないが、触れてはならない線(赤の線と黒の線)どうしが触れ、「ボン」と音がした。
 僕がうっかりして線どうしが触れたのではない。内部に工作を施した際に、その線どうしがギリギリ触れないように作っていたし、目で見てちゃんと触れないような隙間があったのだが、その隙間の距離が短過ぎた。僕が思い描いた設計図に無理があったようだ。
 そこで設計からやり直して、また作り始めているのだが、「チクショ〜」と熱くなりすぎていたようで、せっかく一つ一つきれいに作っていた工作が雑になったし、触れてはならないところに何度も手が触れて軽い感電を何度も味わった。
 ちょっと頭を冷した方が良さそうだ。

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 2003.11.21〜22(金〜土) 改造ストロボ

 今日は熊本県へ水中撮影に出かける予定だったが、予定を変更して機材を改造することにした。
 今回予定していた水中撮影は仕事としての撮影ではなくて、僕が趣味として、ただ好きだから撮っている写真なので、こうして予定を変更したり、自分が好きなように一日を過ごすことができる。
 日頃僕は機材を改造するよりも撮影をしている方が楽しく感じられるタイプなのだが、珍しく工作をしたい気分になったので、その機会を逃さないようにした方が、長い目でみたら得だと考えた。
 何事もやる気があるうちに、やっておくのがいい。
 今日の画像は、ストロボという光を照射する道具だが、そのストロボに何やらコードが取り付けてあるのが分かるだろう。このコードが今日の工作の結果で、コードの反対側にはさらに自作の別の部品を取り付けることにしている。

自分で何かを作る場合、こうしたい!というアイディアがあっても限界があり、思い通りに作れる訳ではない。
 例えば今日の工作だが、取り付けたコードはストロボから取り外し可能なように作った。そのためにはストロボにコードを差し込むための受け口を設け、その受け口にあう部品をコードにも取り付けなければならない。そして画像の一本のコードの中にはさらに細い線が3本埋め込まれているので、その3本の内臓された線に対応できる受け口と差込口の部品が必要になるのだが、パーツ屋さんに行ってみても極端に大きなものや、形などが気に入らないものしか見当たらず、ちょうどいい部品が手に入らない。
 そこで、市販の故障した電気製品などから、ちょうどいいコードや受け口や差込口を取り出し、それを流用する。そういう機会に備えて故障したいろいろな道具を溜め込んでいるが、都合がいいものがいつでも見当たるわけではなく、部品の調達はなかなか厄介だ。
 取り外し可能でなければ、受け口や差込口の部品など必要なく、コードを直接ストロボの中に突っ込めばいいので簡単なのだが、たかが取り外し可能にするだけで、そのために部品を供給する何か他の既製品が必要になるのだ。
 たったそれだけのことが、難しいのだ。

今月の水辺を更新しました。今月は、紅葉です。
 
 
  
 

 2003.11.20(木) コンテスト

 11月分の
今月の水辺は紅葉の風景写真を選んだが、自分で風景を選んでおきながら、
「やっぱり風景よりも生き物の写真が面白い」
 と書いたら、ある方から、
「私も同じです」
 とメールをいただいた。
 そう言えば、先月はオオサンショウウオの写真を選んだら、今までで一番反響が大きかった。生き物の写真が好きな人がたくさんいるんだと僕は感じた。
 今回メールを送ってくださったのは、たくさんの写真コンテストに入賞しておられ、長年野鳥を撮り続けてこられた方だが、僕が見たコンテストでの受賞作品には菊池渓谷の風景が多く、とてもすばらしい作品ばかりだったので、風景写真を第一に撮っておられる方だと、ずっと思い込んでいた。
「野鳥の写真は撮影にとても時間がかかるのに、コンテストではその写真が思ったほど評価されない現実があります」
 とメールには書かれていた。確かに生き物の写真は、コンテスト向きではないと思う。
 
 僕は写真のコンテストがあまり好きではない。
(アマチュアの場合は、コンテスト以外に発表の場があまりないので、コンテストに応募するしか仕方がない)
 変な例えだが、多くの男性が、自分の恋人をミスコンに出したいとは思わないのと同じように、僕は、自分の生き物の写真をコンテストに応募して、そういう評価の対象にはしたくない。
 もしも恋人をミスコンに応募したとしても、その女性の良さをミスコンで分かってもらうことはできないだろう。きっとミスコンでは、ミスコン受けしそうなイカニモ・・・という女性が選ばれる。ミスコンは、ミスコンという場で輝く女性を選ぶ企画であって、本当に素敵な女性を選ぶ場ではない。
 写真のコンテストも同じで、コンテストというお祭りの場に似合う写真を選ぶのであって、必ずしも本当にいい写真が選ばれる訳ではない。
 生き物写真の魅力は、ミスコンでクイーンに選ばれる女性のような魅力ではなく、恋人として身近にいて欲しい女性の魅力に似た、素朴な素敵さだと僕は思う。だからコンテスト向きではない。

 写真家のアラーキーこと荒木経惟さんは、後の奥さんになる女性を撮り、太陽賞を受賞された。太陽賞は1枚〜数枚の写真で応募する一般的なコンテストとは違い、数十枚の写真で評価される賞なので、一般的なコンテストと同列に考えることはできないかもしれないが、それでも、身近な女性=自分にしか理解できにくい被写体を撮り、それを人に分からせたのだからスゴイナ〜と思う。
 僕は、コンテストは嫌いだが100%否定するわけではない。もしもコンテストに応募するのであれば、荒木さんのように撮ってみたい。

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 2003.11.19(水) 訳が分からず

 営業用のホームページ製作中だと昨日書いたが、今日は、そのHP用にドメインを取得する作業をした。ドメインを取得すると、ホームページのアドレスが長くてややこしいものではなく、takeda.comのように簡単なURLにできる。
 僕が希望していたドメインは、他の人がまだ登録していないものだったので無事取得をすることができたのだが、それをどうやって設定するのかがさっぱり分からず、今日は一日中苦しんだ。とにかく知らない言葉ばかりが出てきて意味がわからないのだ。
 ただ、そうして苦しんでいても仕方がないので、きっとこうに違いない?と強引に、そして適当にやってみることにした。ちゃんと設定が出来ているかどうか1日くらいたたないとわからないらしい。多分、何か手違いがあるだろうな・・・

 それにしても、今日ほど、説明を読んでも読んでも訳が分からなかったのは久しぶりのことだ。きっと学生時代以来ではないかと思う。
 学生の頃は、そんなことがよくあった。まずは、学校の勉強が分からなかった。学校の勉強は積み重ねなので、一度分からなくなるとどうしようもなかった。
 大学に入ってからも、教養部の授業などは物理や倫理や・・・訳が分からないものだらけだった。今でも時々学生の頃に戻り、試験が近いのに手の施しようがない状態に陥っている夢を見て、夢から醒め「あ〜良かった」とホッとすることがある。

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 2003.11.17〜18(月〜火) 

 僕は九州に住んでいるので、関東・甲信越あたりに住んでいる人に比べると、首都圏が遠いというハンディーを背負っている。撮影その物は、自然が多く残っている場所であればあるほど有利になるので地方で構わないのだが、その写真を印刷物にするのは東京が中心になるので、そのハンディーをカバーするための何らかの工夫が必要になる。
 最近は、インターネットを使って画像を送信したりすることができるので、そういった新しいテクノロジーを駆使すれば、地方であることのハンディーはかなり克服できるようになってきた。
「こんな感じの写真がありませんか?」
 とたずねられれば、心当たりの写真をスキャナーで取り込みすぐに相手に見せることができる。準備の時間も含めて15分もあれば、九州から東京に画像が送れるのだ。
 ただ、やはり人と顔をつき合わせて話や打ち合わせをすることには敵わないので、ホームページを使い、その中で僕の目指す方向性やその他を理解してもらえるように努力をしている。
 そんな僕自身のことを理解してもらうためのホームページとは別に、現在営業用の新しいホームページを作成するための準備を整えている。昨日〜今日の2日間で、ほぼベースになるものが出来上がった。
 丸2日間パソコンに向かっていたので、神経が疲れて、頭〜肩のあたりがカチカチになっているように感じられる。死にそう・・・
 
  
 

 2003.11.15〜16(土〜日) 本当にかわいそう?

 うちの事務所の建物は、一般的な家屋の規格に当てはまらない作りになっている。部屋が長方形ではなく妙な形になっていたり、廊下に普通の家にはないような空きスペースがある。
 その空きスペースの1つは部屋に出来るくらい大きくて、僕はそこを撮影やダイビング用の機材や工作道具を置く倉庫代わりに使ってきた。
 また、ここ数年はスタジオ撮影に力を入れているのでいろいろな道具を並べている棚の隣に小さなテーブルを設置して、そのテーブルをスタジオとしても使っているのだが、特に最近は、スタジオ用に広い場所が欲しくなってきた。
 そこで、今日は、荷物を整理したり処分して、廊下の空きスペースを倉庫件スタジオではなくて、完全なスタジオ撮影用のスペースに改造した。
 まだ、その途中の段階だが、荷物を収納していた棚をすべて取り払ったら、幅2M弱の空間ができた。幅2M弱は、本格的にスタジオ撮影をするスペースとしては物足りないが、僕の身分を考えればとても贅沢な空間だと思う。
 大まかにスタジオが完成したので記念撮影をした。

 事務所の建物はボロボロなので、中には、
「え〜こんな所で・・・かわいそう
 という人もいるのだが、僕はとても満足している。建物が立派である必要はないし、かわいそうと思わず漏らしたその人は、何かに夢中になって取り組んだことがない人だと思う。たとえボロボロの場所でも、そこで取り組みたい何かがあれば楽しく過ごせるし、僕の身の回りにはそんなライバルたちが数人いる。

 僕が学生時代のことだが鳥好きの知人で、僕が写した珍しい鳥の写真をプリントしてくれとねだる友人がいた。彼のかばんの中には、そうしてかき集められたいろいろな人の写真が常時入っていて、その珍しい鳥の写真をあちこちで知り合った野鳥ファンに見せつけて、こんな珍鳥を見ましたよとよく自慢をしていた。
 それを見せ付けられる人たちは、みんな迷惑そうな顔をしていた。
 友人は珍しい鳥を自慢すること以外にはあまり興味がないようで、そうした態度を、ごく素朴に身近な鳥が好きな人たちが心地よく感じるはずがなかったし、僕はそんないやな自慢に自分の写真が使われるのはうれしくなかった。
 ある時、僕は、
「自分で写真を撮ったみたら?安い道具で十分使えるものもたくさん売っているよ」
 と彼に切り出した。彼の応えは、
「いや〜、僕はニコンかキャノンの一流品以外は使いたくないんだ」
 というものだった。そんな理由で、半ば強引に人に写真のプリントをねだり回っているのだと思うと、なんだか腹立たしく、ちょっと悲しくなった。
 もちろん一流品はすばらしいし僕も好きだが、一流品でなければ写真を撮らないというのは・・・
 ボロはボロで、道具を持つ喜びとは別に、写真を撮る喜びがある。
 
  
 

 2003.11.13〜14(木〜金) 古くて新しいレンズ

 生き物の撮影は、野外で自然状態で撮ることが基本だが、野外ではどうしても撮れないシーンをスタジオで撮ることも多い。
 ところが、大部分の自然写真家は、自然の専門家であっても写真の専門家ではないので、プロでも写真の基礎を知らない人が多いし、写真の基礎をよく知らなければ撮れないスタジオ撮影を苦手とする人が多い。
 そこで、人が不得意な分野を強くなろうと、
「小動物のスタジオ撮影を極めるぞ!」
 と日記に書いたら、昆虫写真の海野先生から、
「そうだ!スタジオを極めて小動物スタジオ撮影マニュアルという本を作れ」
 と応援のメールをもらったことがある。海野先生がお書きになった本に、昆虫撮影マニュアルという本があるが、そのスタジオ撮影版を作ってみたらどうだい?というアドバイスだった。単に自分が写真を練習して技術を身につけるだけでなく、その過程までもを本にして仕事にするという発想が海野流だ。
 そう言えば、海野和男とクラッシックカメラという本があるが、これもカメラが好きな海野先生がカメラを集めて、ただ集めるだけでなくそれで本を作って仕事にしたという同じような発想の本だとも言えなくはない。
 僕はだいたいカメラやレンズにはあまり興味がないのだが、海野和男とクラッシックカメラの中のカメラやレンズの話は面白いと思った。例えば日頃はとにかくシャープに写るレンズを好む海野先生が、ライカ社製のシャープというよりは柔らかくて立体感のある描写をする60ミリマクロレンズを絶賛しておられるような記事を読むと、レンズって面白いな〜と感じずにはいられない。

 今日は新しいレンズを一本購入した。
 先日、幼稚園で子供がダンゴムシ探しをするシーンを撮影したが、子供の撮影には僕が日頃使う645版のカメラよりも35ミリ版の方が向くのではないか?と感じた。
 そこで、35ミリ版用の子供の撮影専用のレンズを買おうと思い立った。
 真っ先に思い浮かんだのがニコン製の28ミリf1.4というレンズだが、これは中古でも10万円を越えるので却下するしかなかった(でも欲しいのでいつか買う)
 次にイメージしたのがニコン製の35ミリf1.4で、最後に思い浮かんだのがニコン製の28ミリf2というレンズだが、よくよく迷った末に28ミリf2の方を購入した。
 35ミリf1.4と28ミリf2は、いずれも過去に持っていたことがあるが手放した。35ミリf1.4はとにかくシャープな写りで、焦点距離は子供の撮影には理想だが、自然写真では使い道が乏しい。28ミリf2の方は、自然写真でもそれなりに使い道があるので、28ミリの方を選んだ。
 いずれも設計は古くて、発売開始から約20年がたっている。過去に手放した理由は、ズームレンズの出番が増え使わなくなったからだが、持っておけばよかった。
 最新のズームレンズは欠点が少なく性能がいいが、優等生で面白味や個性に欠けるところもある。また、高性能にするためだろうか?大き過ぎる。海野和男とクラッシックカメラを読んでいたら、なにか個性があるレンズを使ってみたくなったのだ。
 
  
 

 2003.11.12(水) 感電

 写真を撮るような人には凝り性な人が多い。みんなカメラやレンズや三脚やストロボ・・・撮影機材に凝り、市販の製品に物足りなくなったら、改造を始める。
 僕も必要な物は造る。ただ、僕は改造の結果、それが元の状態に戻らなくなるような改造はあまり好まない。市販の製品に取り外し可能な手製の何かを付け加えたり、別のメーカーの製品どうしを合体させたりすることが多い。市販の製品にも設計者の思いがあるだろうし、それを尊重したいからだ。
 だが、どうしても欲しいものは、そんな自分の基本方針を曲げてでも作ることになる。今日は、そうしてストロボの改造に取りかかった。
 市販のストロボを分解して、幾つかのストロボの部品を組み合わせて、自分のオリジナルなストロボを作る。今回は、一つ一つの部品選びから加工まで、じっくりと時間をかけて作る予定だ。
 ストロボは今までも何度も改造をしたことがあるが、いろいろと試した結果、どんなものが自分に合うのかがよく分かったきたので、今なら時間をかけるだけの価値があると思うのだ。
 今日は、うっかりして触ってはならない所に触れてしまい感電してしまった。かなりの衝撃があった。

 本当は今日は紅葉を撮影する予定になっていたが、あまりに紅葉の状態が良くないので、一昨日のうちに早めに帰宅をしたところ、昨日は仕事のメールが入り、見本の写真を電子メールで送信した。
 今日は、久しぶりの知人から急な電話があり、訪問を受け、知人が新しく始めようとしている仕事に関してアイディアを出し合った。
 野外での撮影は、今年の紅葉のようにどうしてもダメな年があるが、それはそれで自然が見せてくれる一面だし、最近はそんな時に早く気分を切り替え、他の充実した時間に置き換えられるようになってきた。
 自分の努力でどうにかなることは最大限もがき苦しみ、不可抗力なことについては諦めるのがいい。ただ、僕は元来怠け者なので、自分の努力でどうにかなることでも、苦しくなってきたら、不可抗力だと思いたくなる傾向があるので、そうならないように気をつける。
 
  
 

 2003.11.11(火) ギブアップ

 今年の九州の紅葉は、ここ数年で経験したことがないくらい悪い。あと数日取材をして帰宅をする予定だったが、今回はギブアップをして早めに切り上げることにした。
  先週、先々週とスケジュールが過密になり過ぎていて、なんとなく心にゆとりが持てなかったので、ちょうどいい休憩の機会だと思うことにした。
 
  
 

 2003.11.10(月) 朝から雨

 今朝は、熊本県の五家荘で目を覚ましたが、朝から雨だ。山にはガスがかかり、視界が悪くて撮影どころではない。ただただ、車の中で待つ。
 五家荘は、カーテレビが映らないし、携帯電話が通じずインターネットもできないので、昨日の選挙がどうなったのか、結果を知ることができない。
 付近には、川辺川の上流部が流れている。川辺川の支流の一本である樅の木谷は、僕が子供の頃、何度も何度もヤマメ釣りをした沢だ。今のままの自民党を中心とする連立政権が維持されれば、その川辺川に川辺川ダムができるかもしれない。
 九州は、他に諫早湾の干拓事業の問題も抱えている。どちらも、本当に必要な工事だとは思えない。もちろん100%無駄な工事などありえないので、誰かそれが必要な人がいるわけだが、工事を進めることのメリットとデメリットを比較してみると、とてもバランスを欠いた事業のように思える。

 ただ、雨が上がるのを待ってしても仕方がないので、車の中でパソコンに向かっているのだが、よく考えてみたら携帯電話の電波が届くところまで移動をしなければ、ホームページを更新することはできない。五家荘からだと、山道を45分くらい運転しなければならない。
 
  
 

 2003.11.9(日) 菊池渓谷・熊本県 

 例年、11月の上旬から今頃にかけては、九州の紅葉は見頃なので、紅葉の名所には人が多い。
 中でも、熊本県の菊池渓谷や五家荘、宮崎県の高千穂峡あたりの休日の人出は尋常ではない。
 いつもであれば、日曜日にはそういった場所を避けるのだが、今年はちょうど紅葉のピークの時期に気温が高く雨が降り、日に日に葉っぱが単に枯れていくので、一日も早く写真を撮っておきたかった。
 そこで、菊池渓谷と五家荘と高千穂峡を天秤にかけ、一番人出の影響が少なそうな菊池で今日は撮影をしたが、やはり手遅れだった。紅葉というよりは、枯れ葉といった方がいいような条件だ。
 
 車の運転の初心者は若葉マークをつけて走る。お年寄りはそれがもみじマークになるのだが、マークの形はもみじではなく普通の葉っぱなので、間違えて枯れ葉マークと言ってしまい、
「おいおい、枯れ葉は縁起が悪いだろう」
 と知人に指摘をされたことがある。紅葉したもみじも枯れ葉も紙一重なのだが、かなりイメージが違う。
 指摘をされ、慌てた僕は言い直しをしたのだが、もっと大きな過ちを犯してしまった。
「あ、間違えた。落ち葉マークだった・・・」
 落ち葉マークなら、枯れ葉マークの方がまだましだ。
 時々、言葉ってとても細かくてデリケートだなと感じることがあるが、写真もそれに負けず劣らず繊細な作業だ。ほんのわずかな葉っぱの色合いの具合い、沢の流れの水量のちょっとした違い、たった1つのゴミが、その写真のイメージを多く左右する。
 
  
 

 2003.11.7〜8(金〜土) 観音の滝・大分県 

 今日からは九州の水辺を撮影する。
 僕はいつも撮影の初日は調子が出ないので、一日目には好きな場所の撮影や重要な撮影を予定しないことにしている。
 明日は菊池渓谷で落ち葉が敷き詰められた沢を撮影をするが、今日は、菊池へと向かう途中にこれまで撮影をしたことがない場所で、面白そうな場所はないか?と探してみた。インターネットでいろいろと検索してみたら、大分県の天瀬町の滝が面白そうだったので寄ってみた。
 幾つか見た滝の中には、なかなか様になる滝もあったが、天瀬町は標高が高くないので紅葉がほとんど見られないし、また今の時期は初夏に比べて緑もきれいではないので、時期を考えてまた出直してみたい。
 
 風景の撮影は僕にとって主な撮影ではないので、何でもかんでも撮ればいいわけではないし、滝を撮影するにしても、小さなものや有名ではない場所や条件が良くない日の撮影はある程度切り捨てなければならない。
 だからといって、いい条件の時に定番の場所ばかりを撮ろうとすると、人真似ばかりしているカメラマンになってしまうので、新しい場所を探す努力だけはするつもりだ。
 僕は、あまり長く集中が続くタイプではないので、早朝に撮影をはじめると、大体午前中の間に気合を使い果たしてしまう。そこで、抜け殻のようになってしまいがちな午後からの時間や、やはり気分が乗らない撮影の初日を、新しい場所を開拓する下見の時間にあてることにしている。
 
  
 

 2003.11.6(木) 車の整備

 今度は九州の紅葉を撮影する。
 その前にやっておかなければならないことが1つある。車の整備だ。僕の車は走行距離が約20万キロだが、最近やたらに故障が多い。ちょうど多くの部品を変えなければならない時期なのだろう。今回の整備は足回りの部品を総換えで、丸2日時間がかかる。
 前に乗った車は、18万キロ前後で事故にあい、廃車になった。今乗っている車も、その車と同じ車種なので同じ車に40万キロ弱乗ったことになるが、どうも20万キロ前後のところに部品の交換のタイミングがあるようだ。今僕の車を運転すると、ニワトリがココココ、コケ〜、ココココと鳴いているような音がする。
 廃車になった車の方は、部品を交換するタイミングの一歩手前だったので、たて続けに大きな整備が必要なトラブルに見舞われることがなかったし、こう続けて部品交換が必要なのは初めての体験だ。色々な部品を交換すると結構なお金がかかることがよくよく分かった。
 その整備の費用を考えると、乗り換えるなら20万キロの少し手前の距離だろう。廃車になった事故は、僕が信号停止中になぜだか正面衝突された事故だったが、今考えると実に微妙な、あと少しで車のあちこちにガタが来て面倒になる直前のタイミングで車がオシャカになったことになる。
 
 車の足回りは、ガタがきているとやはり怖い。トラックに乗る仕事をしたことがある人がぼくの車に乗り、ちょっと走ってみて、
「この車は走りこんでるね・・・、かなり疲れているのがちょっと運転して分かる」
 とおっしゃったことがあるが、確かに山道のカーブが多い下り坂などは、車がふらついて最近は怖いな〜と思うことが時々ある。
 その分、安全運転になるが、やはり疲れる。今回の整備で幾分回復して欲しいものだ。
 
  
 

 2003.11.5(水) 匹見峡・島根県


 今日は島根県まで移動をして、匹見峡で紅葉の渓谷を撮影した。
 紅葉は、ここ5日間で撮影した場所の中で一番進んでいて、撮影をするにはもう一週間くらい遅過ぎた感じがする。来年は、もう少し早く来てみよう。
 
 渓谷へと向かう自然歩道の隅に何やら獣の糞を見つけた。
 僕は糞には詳しくないので何の糞だか断定は出来ないが、ミズキの果実を食べた時のツキノワグマの糞に似ているような気がする。
 すぐ隣には、紅葉を見に来た観光客が捨てていったと思われる旅行会社のシールが落ちていた。動物と観光客が時間差で同じ場所にいたことになる。
 岩場が多い沢沿いを自分の足で歩いてみるとよく分かるが、遊歩道以外の場所は危なくて、なかなか歩けるものではない。特に今日撮影した裏匹見は岩場が険しくてなおさらだ。人が作った道は、獣にとっても歩きやすい都合がいい道だろうと思う。
 匹見の周辺では何年かに一度は人がクマに襲われるし、僕も付近で何度もクマを見たことがあるので、匹見で撮影する時には最大限に注意を払う。
 
  
 

 2003.11.4(火) 三段峡・広島県

 広島県の三段峡を歩いてみた。三段峡は、樽床ダムの下流部になるが、上流にダムがあるとは思えないほど水量が多く、水もきれいだ。
 渓谷沿いにはダムの直下からずっと下流部まで遊歩道があり、約11キロの区間に道がある。沢沿いで10キロ以上の区間にちゃんとした道が設けられている渓谷はそれほど多くないのではないだろうか?
 今日は約10キロを歩いたが、途中には形の面白い岩や有名な滝が幾つもある。
 だが、僕が一番好きだったのは、今日の画像の場所だ。有名な場所でも何でもないただの流れだが、僕は大体特別な景観の場所よりも、大げさ過ぎない、何でもない風景が好きだ。
 僕は、風景専門のカメラマンが撮る風景写真が、大抵の場合あまり好きではない。専門のカメラマンだけあって写真の質は高いのだが、なんだか僕が見ている風景とは別のもののような感じがするのだ。
 風景のカメラマンが撮った写真を見て、「いいな〜」と思いその場所に行ってみると、「な〜んだ。こんなしらけた場所か」とがっかりすることがある。
 そんなしらけた場所でも、写真の撮り方によって、冴えて見える場所があるのだが、僕はその手の写真が大嫌いだ。つまらないものを写真のトリックで良く見せるのではなく、いい場所をありのままに良く伝えたい。
 
  
 

 2003.11.3(月) 神庭の滝・岡山県

 今日は、岡山県から鳥取県にかけて紅葉の滝を取材した。岡山県では勝山町の神庭の滝を、鳥取県は国府町の雨滝を撮影したが、見ての通り、紅葉の撮影にはちょっと早すぎたかな?という感じだ。

 昨日撮影をした広島県からは、岡山県、鳥取県と車を走らせたのだが、ちょうど選挙期間中ということもあり、たくさんのポスターが貼られている。
 中にはテレビで頻繁に見かける顔もあり、広島県では亀井さん、岡山県では平沼さんのポスターをたくさん目にしたが、亀井さんのポスターは、
「こんな山の中にまで・・・」
 とびっくりするような山間部で見られた。亀井さんは、よく「地方地方」と口にされるが、なるほどな〜と思った。
 僕は今まで一度も選挙に行ったことがないが、今回は行ってみようかなと思う。だが、選挙の日は九州の紅葉を撮影する予定になっているので、不在者投票をしなければならない。不在者投票の方法を僕は知らないので、帰宅をしたら調べてみよう。
 僕の地元では、自民党の前政調会長の麻生さんが強いが、今回はもしも不在者投票がうまくできそうなら民主党に投票する予定だ。理由は、川辺川ダムの中止と諫早湾の干拓事業の中止を約束しているからで、諫早湾の方はどうなるか若干怪しい感じもするが、自民党政権よりは、中止に近づくだろう。 
 
  
 

 2003.11.2(日) サンインマイマイ

 ここのところ晴れの日が続くが、昨晩はパラパラと突然に雨が降り出したので驚いた。
 今朝は、初夏にも撮影した広島県の常清の滝を再度撮影したが、その雨の影響でカタツムリの活動が活発で目についた。
 途中の木の幹にサンインマイマイをみつけたので付近を捜してみると、至る所に姿があり、湧いているという言葉がピッタリだ。
 画像のカタツムリは下を向いているが、ちょうど雨があがってしばらく時間がたち、カタツムリたちが一斉に落ち葉の下に隠れようと木を降りているタイミングなのだと思う。
 紅葉の真っ盛りだが、まだカタツムリたちは活動をするようだ。
 
 今年は梅雨が長かったからだろうか、梅雨の時期に、飼育しているカタツムリたちが驚くほどたくさんの卵を生んだ。ところが、例年であれば秋にもカタツムリが活発になる時期があり、たくさん産卵をするのに、今度は一匹も産卵をしなかった。初夏に卵を産み尽してしまったのだろうか?
 秋の産卵の時期をあてにして、カタツムリの撮影の予定を組んでいたのだが、あてが外れてしまった。
 一般に動物は、異常な気象条件を体験しても、それに惑わされないように体ができている。例えば、真冬に渡り鳥を捕まえて、実験室内で春の条件を与えても、「春が来たぞ!」と鳥が騙されて北国へと渡る準備をすることはないらしい。もちろん、動物も気象条件を敏感に感じ取ってはいるのだが、それ以外に体内にちゃんと自分のカレンダーがあると考えられている。
 一方で、植物はそんな柔軟性に乏しく、異常な気象条件を体験した時に、それに騙されてしまうことがよくある。狂い咲きという言葉は多くの人が聞いたことがあるだろう。
 その点カタツムリは、なんとなく植物っぽくて、梅雨が長引くと、それに合わせて産卵期も長くなるなど、単純に環境に反応して暮らしているように感じられることが多い。
 
 いつもスタジオ撮影から野外での撮影に切り替わるときは、気持ちの切り換えがうまくできず、なかなか調子が上がらないことが多いが、今日はカタツムリを撮影しているうちに集中力が高まり、すんなりと紅葉の撮影に入り込むことができた。 
 
  
 

 2003.11.1(土) 紅葉の撮影

 紅葉を撮影するために山陰山陽取材に出かけたが、食堂や温泉に人が多くて閉口している。特に温泉は、駐車場から車があふれ、道路にまで達しているほどで、今日はお風呂に入るのを諦めた。
 明日の明るいうちにどこかの温泉に立ち寄ろう。
 僕はもしも撮影が仕事ではないのなら、連休やゴールデンウイークは山の中で人ごみに紛れるよりも家でゴロゴロしておきたいような気がする。
 確かに紅葉は美しいが、そんな絵になるシーンでなくていいから、静かに自然を堪能したい。
 こんなに人が多くて、みんな楽しいのかな・・・。
 でも、それだけ紅葉に人気があるから、写真が売れるのだろう。
 紅葉のような定番の被写体はたくさんの人が撮影するので、撮りつくされていると言ってもいい。インターネットで検索してみると、紅葉がきれいな場所がたくさん見つかるし、そこで撮影をすれば効率がいい。
 だが、それでは面白くないので、今年の初夏に来た時にいいな〜と思った場所を、すべて歩き直してみることにして、今日は広島県のある渓谷を歩いてみたら、イマイチだった。
 
  
  
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自然写真家・武田晋一のHP 「水の贈り物」 毎日の撮影を紹介する撮影日記 2003年11月分


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