撮影日記 2026年10月分 バックナンバーへ|TopPageへ
 
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● 26/10/20 迷った挙句


NikonZ8 NIKKOR Z 100-400mm f/4.5-5.6 VR S

 仕事からの帰り道に、最近、SNSでよく紹介されている滝に立ち寄る計画を立てていたものの、仕事が長引き時間的に少々厳しくなり、どうしようか?と迷いました。
 結局、見たことがない滝なので、一応見ておくことにしました。
 ナビで駐車場を探し当てたら駐車場が民家風で有料だったので入りにくくて、やめておこうかなと一度通り過ぎました。
 でも近くまで来たんだから、とUターンして、車を入れてお金を払いました。
 恐らく広い場所ではないので望遠レンズは不要だろうし、荷物を軽くするために車において行こうかと思ったけど、何となく持っていきました。
 そしたら、滝の壁面でモクズガニが何かを食べていて、望遠レンズでほとんどその様子だけを撮影して帰りました。
 モクズガニが陸上をウロウロしている様子は見たことがなかったので、大満足です。
 それにしても、こうして書いてみると、散々迷っていますね。
 僕は普段、迷うことまでは良しとしているのですが、たとえ迷っても、予定通りに、まるで機械のように振舞うことにしています。
 最後をそう決めておけば、好きなだけ迷えるからです。



● 26/10/19 仕事はついで?


NikonZ7�U NIKKOR Z 24-120mm f/4 S

 釣りのポイントは、僕にとって絶景スポットですが、一般的には撮るに足らない場所でしょう。
 ちょうど付近を散歩していた人が、
「なんかおるんやろうか?」
 と小声でつぶやきながら近づいてきて、
「何を撮っているんですか?」
 と聞かれたので、
「景色です」
 と答えたものの、相手はあまり納得していない感じでした。

 インターネットが普及する以前は、この手の写真には、発表の場がありませんでした。
 それを思うと、プライベートな感情を写した写真=趣味の写真は、インターネット時代ならばでの写真、と言えるのかもしれません。
 ただ、撮るに足らないシーンをきちんと撮影するのは、絵になるシーンを撮影するよりも難しいことです。
 もしかしたら僕の場合、日頃写真の勉強をしたり経験を積むのは、この手の被写体を自分のイメージ通りに撮影するため?と思えてくることがあります。
 案外、仕事の方が『ついで』なのかもしれません。
 僕が日頃やっていることの中で、本当に仕事になっているのは、趣味の流用で成り立っている部分です。
 純粋に仕事で身に付けた技術は、しばらく使わなければ忘れてしまいます。したがって常に一抹の自信の無さが付きまといます。
 その点趣味で覚えたことを仕事に流用している部分は、忘れないし、そうした不安を感じません。
 
 さて、水面が細かく軽くギラギラしている場所を、渓流釣り師は『鏡』と呼びます。
 鏡が生じるような場所は、渓流魚がちょうど好む流速になっているらしく、釣りのポイントの1つです。
 さらに岸から被るような物体があり、その下が影になっているような場所も好ポイントであり、この場所は、2つの好条件が重なった一級のポイントと言ってもいいでしょう。



● 26/10/18 釣りキチ三平


NikonZ8 NIKKOR Z 100-400mm f/4.5-5.6 VR S

 真夏の高水温でアユが全く釣れない日に、何となく小さな細流に竿を出してみたら次々とアユが釣れた話が、漫画『釣りキチ三平の中にありました。
 そこでアユが釣れた理由はよく覚えていません。
 でも多分、その小さな流れには湧水が多く含まれていて他所よりも水温が低かったからではなかったかな。
 植物の中から流れ出る細流に何かを感じるので、よくよく考えてみたら、釣りキチ三平のそのお話が思い当たりました。
 三平君が釣りをした細流は、こんな感じ?

 写真を撮るみたいな行為は、目の前の物体や現象だけを見ているわけではありません。
 しばしば、その人の過去の経験と結びついています。
 だからたとえば釣りキチ三平を読め、と勧めているわけではありません。
 カメラマンの中には、写真上達のためにいい絵画を見よとか小説を読めなどと勧める方がおられますが、肝心なのは、本人がそれを見たい、読みたい!と心の底から感じているかどうか。
 したがって、何かの効果を狙って下心から絵を見たり小説を読んだりするのなら、何も得られないでしょう。
 そもそも、絵画を見て心の底から感動するような人は、すでに絵画を夢中になっているはずです。
 何かの効果を狙ってその通りになるような予定調和を全否定するつもりはないけど、心の底から感動するような出会いは、たいていその人の想定の外側にあるような気がします。
 ともあれ、釣りキチ三平は、僕が大変に強く影響された本です。



● 26/10/12 普通のこと

 学生時代に先生から教わったことの中で、今、自然写真の仕事をする上でもとても役に立っていることがいくつかあります。
 その1つが、僕が教員免許を取得するための教育実習の際に、指導を担当してくださった村山先生の一言でした。
 村山先生は、工夫をして自分ならばでの授業を試みる僕に対して、
「普通にやったらいいと思いますよ。」
 とアドバイスをしてくれました。
 僕が大学4年生の時のことです。
 村山先生は、大学進学後の教育実習のみならず、僕が現役の高校生の時にも、生物を教わった先生でした。
 高校時代は、授業に関して、これといった印象は残らず、
「ですね。」
 という言葉の語尾の口癖だけが記憶に残りました。
 ところが教育実習の際の先生のアドバイスは、やがて僕が自然写真の仕事をするようになって以降、年々重みをもつようになりました。
 自然写真のような、組織よりも個が重んじられる業界でさえ、自分独自の何かができる以前に、普通のことが普通にできなければ、ほとんど何も始まらないのです。
 自分独自の何かは、あくまでも、普通のことが普通にできた上での話。
 最近それを、ああそうか!と痛感する機会が増えました。
 そして、まずは普通に、と自分を修正するわけですが、ふと考えてみると、駆け出しの時に昆虫写真家の海野さんからも教わったことでした。
 海野さんの、
「出版社の人に見せることができる普通の写真が2000枚くらいあって、その中に200枚くらい自分独自の写真が含まれていればなおいいよ。」
 という話しは、全く同じことを言わんとした話でした。
 この手のことは、自分のことばかり見ていたら、なかなかわかりません。
 『岡目八目』という囲碁に由来する言葉がありますが、他人を見ると、一目瞭然。
 例えば、若手の自然写真家の中には、わりとすんなりと第一線に出ていくことができる人が時々いて、
「なんでそんなことができるの?」
 と感心させられるのですが、それができる人の共通点は、普通のことが普通にできていて、ああそうか!と気付かせてもらえるのです。



● 26/10/10 更新のお知らせ

今月の水辺を更新しました。



● 26/10/7 外来種のその後


NikonZ8 NIKKOR Z 100-400mm f/4.5-5.6 VR S

 ある虫の撮影依頼に、
「秋の植物、例えばセイタカアワダチソウに止まっているところ」
 と記されていて、時代の変化を感じました。
 セイタカアワダチソウと言えば、僕が子供の時は、ひどく忌み嫌われた存在でした。
 嫌われた理由は、ある時急激に増えた外来種であり、その花粉が喘息などを引き起こすと誤解されていたことが原因ですが、僕が住んでいた福岡県の筑豊地区では石炭産業の終わりに伴う不景気が重なり、さらにイメージが悪くなったという説もあります。
 確かに、当時の筑豊地区に、石炭産業衰退の影が落ちていたのは、なんとなく覚えています。
 石炭の採掘をやめる代わりにしばらく補償をすることを約束した法律である『石炭六法』をさらに長く継続せよというポスターが、商店街に貼ってあるのを見た記憶があります。
 その『石炭六法』をねじ込んだとされるのは、筑豊地区出身の政治家であり、元内閣官房長官の田中六助さん。
 どこだったか正確には覚えてないけど、友人の家に遊びに行く途中のどこかに、
「田中六助生誕の地」と記された大きな縦長の看板が立っていたのを見た記憶があり、僕の中では、河川敷を埋め尽くすかのようなセイタカアワダチソウの風景とリンクしています。
 
 セイタカアワダチソウと言えば、高校時代、転職で沖縄から筑豊地区の僕の母校にやってきた国語のU先生のことを思い出します。
 U先生は、花がたくさん咲いているぞ!と遠賀川の河川敷のセイタカアワダチソウで花見をし、そのことを職員室で報告したら、「あの花はね・・・」と笑われた話を授業中に話してくれました。
 また、
「なかなかきれいだし、いいと思うんだけど・・・」
 と自分の思いも語ってくれました。
 U先生は、今の言葉で言うと本物のリベラルであり、U先生の授業には心の自由があって、癒される感じがありました。
 ふと、セイタカアワダチソウは沖縄には侵入しなかったのかなと調べてみたら、分布してないわけではないけど、少ないのだとか。
 ともあれ、セイタカアワダチソウが今でも気になるのは、今駆除すべきと言われている外来の魚や虫などが、将来、どんな存在になるのかが気になるからです。
 50年後、100年後に、それらの生き物たちは、どんな扱いを受けているのでしょう?
 
 
   
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