撮影日記 2026年9月分 バックナンバーへ|TopPageへ
 
・今現在の最新の情報は、目次に表示されるツイッターをご覧ください。
 


● 26/9/28 たんぼ


NikonZ7 NIKKOR Z 24-120mm f/4 S

 田んぼは、昔から気になる場所です。
 過去には、季節ごとに撮影してみたこともあります。
 でも続かなかったのは、その写真で何を伝えるのか、整理ができなかったから。自分の中に何らかの思いはあるけど、言語化できません。

 そうツイッターに投稿したら、肥料関係の仕事をしておられる方が、
「田んぼは太古の人たちからの創意工夫が今の時代にも受け継がれていて、今もなお創意工夫が続けられているという美学があるので素敵です。」
 と反応してくださいました。

 中には、言葉にならないから写真を撮るんだ、という意見もあるのですが、仕事としての自然写真は、言葉がなければ始まりません。
 出版社は、言葉による企画会議で誰の企画を採用するか決めるので、言葉にならないものは、その土俵にのせることができないのです。
 出版社に企画を持ち込んで「こんな本を作りたい」と編集者と話をする際に、編集者は、その会話の中で、企画会議の場でみんなが納得する言葉を探している印象があります。

 また、撮った写真に言葉をつけてみると、写真とその言葉とが一致せずにしっくりこないことがよくあります。
 そんな時に、言葉に合わせて写真を撮り直せば解決できるのに、写真に合わせて言葉を直すと、 何が言いたいのかが、よく伝わらない結果になりがちです。
 大学時代に指導教官から、
「人は言葉で物を考えるんだよ。」
 と聞いたことがあるのですが、なるほど!
 そう言えば本を作る際には、本のタイトルが決まると、写真が撮りやすくなります。



● 26/9/23 実用性


OM-1�U 
M.ZUIKO DIGITAL ED90mmF3.5Macro+MC-20+接写リング(26mm) 
深度合成10枚

 M.ZUIKO DIGITAL ED90mmF3.5Macro+MC-20(2倍テレコン)+接写リング(26mm)の組み合わせで、ヤマトシジミの卵を撮影してみました。
 小さな被写体を拡大して撮影する方法はいろいろありますが、そのほとんどが、巨大なシステムになってしまったり、パーツが多くて煩わしかったりして、運用のむずかしさがつきまといます。
 その点、普通に市販されている一般的な機材の組み合わせと使い方で、小さな被写体がここまで写るのは、とても実用性が高いと言ってもいいでしょう。



 カメラやレンズと同様に、三脚や雲台も、拡大倍率が高い撮影の場合、気持ちよく撮影しようと思えば、やはり大掛かりになります。
 例えば、ギアでカメラを微妙に前後させたり左右できる微動装置などは、あればとても便利ですが、日常的に持ち歩くには、邪魔くさく感じられます。
 そこで、完璧じゃないけど、ないよりはましみたいな方法を考えることになります。
 例えば、三脚座があるレンズの場合は、アルカスイス規格のロングプレートを取り付けておけば、プレートの長さ分、カメラを前に出したり後ろに下げることが可能になります。
 ギアを使用した微動装置ほどは心地よくはないけど、ないよりはずっとましです。

 さて、M.ZUIKO DIGITAL ED90mmF3.5Macroで使用していた三脚座が見当たらず、なくしたか・・・と自分にガッカリしました。
 どこでなくしたのかな・・・どこかの草むらに転る三脚座の様子が妄想されました。
 ところその後、三脚座は別のレンズのものの流用で、そのレンズと共に手放したことが判明し、ああ、なんだ!そうだった、そうだったと納得し、すっきりしました。
 少なくとも、うちの中のどこかから思いがけず出てくる可能性はゼロになったので、新たに1つ買うことにしました。
 なくしたのであろうと、手放したのであろうと、新しいものを買えばどっち道同じ額のお金がかかるけど、気分が全く違います。
 無くすの場合、大抵の場合無くすようなやり方をしているのであり、そんな自分を俯瞰的に見ることができていないのは、気味が悪いのです。
 因みに、M.ZUIKO DIGITAL ED 40-150mm F2.8 PRO用の三脚座は、 ED90mmF3.5Macroに流用できます。
 OMのサイトで価格を調べようと思ったら、わからなかったので、手っ取り早く中国の通販のアリエクスプレスで中国製を買いました。



● 26/9/16 気になること



 冷房運転していたエアコンが、勝手に暖房に切り替わって運転を続け、室温が50℃に達していたというSNSでの報告を見ました。
 同じメーカーの製品を使用しているので、犬がいる部屋だけ、昨日、冷房専用機を追加で取り付けてもらいました。
 そのうちカメラを買う予定のお金の結構な部分が、すっ飛んでいきました。
 件のメーカーに、
「そんなことがエアコンの構造上あり得るのか?」
 と問い合わせたところ、
「幾重にも安全対策が施されています。」
 とまるで政治家の答弁のような返事が返ってきて、あり得るのかどうか答えてもらえず。おまけに、聞いてもないのに、
「リコールは予定していません。」
 と返ってきて、ユーザーを思いやらない姿勢がとても残念でした。
 そこで、メーカーを問わず構造が異なる製品が世の中にあるなら、もったいないけど取り替えるかと別の2社に聞いてみたら、ダイキン、三菱電機共に、
「あり得るし、完全には防げない」
 と明確に答えてくれました。
 ならばと、コロナの冷房専用機を取り付けることにしました。

 最近、何かを気にしている状態が、とても損だと気付きました。
 撮影の帰りに、ついでに何かを買ってかえる程度のことでも、撮影時の集中を欠く要因になり、結局損をしていると。
 何か気が利いたことをするよりも、とにかく、気になることを日頃から取っ払っておくことを重視するようになりました。
 今回の件に限らず、僕は守り重視なんだなと最近よく感じます。
 将棋を指す時には、攻め将棋ではなく受け将棋になるし、自然写真の仕事も、俺はこんな人間だとしかけていくのではなく、来た仕事をやっているうちに、その中に自分のやりたいことを見つけていくのが性にあいます。
 サッカーで言うなら、相手に攻めさせて、できた隙をつく戦術。
 野球なら、一点を守り抜く戦い方です。



● 26/9/15 石垣


NikonZ7 NIKKOR Z 14-30mm f/4 S

 石の隙間には、いろいろな生き物が隠れています。石垣は、生き物好きにとって楽しい場所です。
 でも今後、石垣は、間違いなくなくなっていくでしょう。
 仮に石垣が組まれることがあっても、石と石の隙間は、コンクリート状のもので埋められ、生き物の住処にはなりにくいでしょう。
 石垣の場合、たんぼなどと違って、「これを残そうよと」呼びかける大義名分がほぼ見当たりません。

 今日の写真の石垣は、大きなグランド沿いの小道の一方にあります。
 長さは、野球場のファースト側、またはサード側の一辺くらい。
 距離がまあまあ長いのと、若干曲がっていることもあり、木の影になる場所やよく日が当たる場所、落ち葉が積もりやすい場所や草が生えやすい場所などの変化があります。
 苔がよく生えるのは、木の影になる場所です。そして苔が生える場所では、ナメクジやカタツムリが見られます。
 そうした例はよく目にするものの、何度見ても、木一本でこんなに違うのか!と毎回改めて知ります。
 木を植えた人は、そんなことは考えずに植えたことでしょう。
 僕は、そういう何かを、「自然」と定義しています。
 人が計画したわけではない何かです。

 関東に行くと、昔の里山的な田んぼが、意図的に維持されている場所があります。
 それはそれで面白いと思うし、いろいろな生き物が見れるので意義があると思うけど、僕にとっては、自然よりも自然公園に近い存在です。
 自然がみられるというよりは、自然物を見ることができると理解した方が、僕はしっくりきます。
 
 

● 26/9/10 普通の写真

 自然写真で生活したい人は、仕事を依頼されたらインターネットでその内容を検索して、一番たくさん表示される最も普通の写真を、よりも高品質に撮影するのがコツです。
 よく言われる「個性がないと通用しない」は、仕事の現場では、多分間違えです。
 正確に書くと、最も普通の写真を撮った上で、自分独自の視点の写真もその中に含まれていれば、喜ばれます。
 その際に、自分独自の視点の写真は、全体の一割程度で十分でしょう。
 ともあれ、自分独自の写真だけを撮っても、何も始まらないことが多いです。

 僕もそうですが、写真が好きな人ほど、それが分からない傾向があり、自分独自の視点を出そうとしてしまいます。写真が好きな人は、写真関係の本や記事などをたくさん見ていて、「個性が大切」と長年すり込まれているから。
 でも写真関係の本は、趣味で写真を撮っている人を対象にしているので、仕事の写真とは目的が異なります。
 こんなことを書いているくせに、先日、依頼されたシーンを「自分ならこう撮る」と張り切って撮影して、これでいいやろうと思ったものの念のためにネットで検索してみたら、全く発想が違う写真がたくさん表示され、慌てました。
 「ああ、そうか!これが一般的なんだ・・・」と思い知らされ、昨日はそのシーンの撮影をやり直したばかりです。
 それでも少しは分かってきたかなと思ったものの、よく考えてみると、「まずは普通の写真を」は、まだ20代の時に昆虫写真家の海野さんに教わったことでした。
 自分独自の視点の写真を選りすぐって見せた僕に対して、海野さんは、
「これは、全然売れないでしょう。もっと普通の写真がないと通用しないよ。普通の写真が2000枚くらいあって、その中にこの手の自分独自の視点の写真が200枚くらいあれば、声がかかる可能性が高くなるよ。」
 と話してくれました。
 
 さて、人に何かをアドバイスする立場に立った時に、本当のことを伝えるか、相手が喜ぶことを言うのかは、よく考えるべきことでしょう。
 例えば、プロのカメラマンになりたいという人に対して、「この写真は通用しません。」と言うのか、それとも、その人の写真のいいところを取り上げるのか、です。
 本当のことを言えば、相手はガッカリするかもしれません。でも本当のことを言わなければ、相手の役に立ちません。
 そこで重要になるのは、相手が本当のことを知りたがっているのか、それとも今認めて欲しいと望んでいるかの判断です。
 海野さんが僕に、「これは、全然売れないでしょう。」と本当のことを話してくださったのは、恐らく、当時の僕が何が何でも自然写真で生活をしたいと思っていて、それがはっきりと表に現れていたからでしょう。
 
 

● 26/9/4 更新のお知らせ

 今月の水辺を更新しました。


   
先月の日記へ≫

自然写真家・武田晋一のHP 「水の贈り物」 毎日の撮影を紹介する撮影日記 2026年92026年9月分


このサイトに掲載されている文章・画像の無断転用を禁じます
Copyright Shinichi Takeda All rights reserved.
- since 2001/5/26 -

TopPageへ