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● 25/11/3 下手の考え休むに似たり


NikonZ7 NIKKOR Z 17-28mm f/2.8

 魚の撮影で水中に放置したままのカメラの前に、思いがけずカエルがやってきました。やらせでカエルを置こうと思ってもなかなか置けないようないい位置に、いいポーズで。
 僕がいろいろ考えたり妄想する悪だくみよりも成り行きの方がむしろ好結果になるのは、よくあることです。
 それもあり、囲碁や将棋の 「下手の考え休むに似たり」 という格言は、とても好きな言葉です。
 写真に写ったカエルは、渓流に生息するナガレタゴガエル。九州には分布せず、うちの近所では見ることができません。
 夏の間は陸で暮らし、秋に水に入り、水中で越冬します。皮膚が少したるんでいるのは、表面積を増やして水中での皮膚呼吸を盛んにするため、と言われています。
 
 僕は撮影の際に生き物の性質を知ろうとします。そしてそこで得た知識を駆使して、先回りを試みます。
 それでもやっぱり、生き物の撮影は、最後は、偶然が大切と感じることが年々多くなってきました。
 撮影者の意志通りに計算通りに写っている写真よりも、撮影者も予測しなかった何かが写った写真に、より惹かれるようになってきました。
 生き物の撮影に限らず、人の社会でも、議論をして何かを決めなければならないケースは別にして、徹底して自分の意に沿うようにすることが、「僕が僕が、私が私が」という主張が、あるいはそうして成し遂げられたものごとが、嫌いになってきました。
 人の強い意志が働くと、どこかに必ずしわ寄せが行くから。
 またそのしわ寄せは、最後は自分に向かってくるからです。
 
 
   
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