撮影日記 2025年2月分 バックナンバーへTopPageへ
 
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● 25/2/27 輪郭が弱い被写体


EOS R7 RF-S10-18mm F4.5-6.3 IS STM

 両生類の卵みたいな輪郭が弱い被写体を撮影する場合は、被写体の明暗をなるべく忠実に再現することを考えます。
 そして明暗の再現には、レンズの性能よりもカメラのセンサーの性能が重要で、具体的には、より大きなセンサーのカメラが有利になります。
 ところが、両生類の卵は浅い水辺に多く、大きなセンサーを搭載した図体が大きいカメラシステムは、しばしば水に沈みません。水中の写真を撮りたいのにカメラが水に沈まないのでは、話になりません。
 そこで威力を発揮するのが、俗にAPS-Cと呼ばれる中間的なサイズのセンサーを搭載したカメラです。
 カメラ自体のサイズは、一回り大きなセンサーを搭載した35mm判フルサイズ機と大きくは違わないのですが、APS-Cではレンズのサイズがかなり小さくなります。
 APS-Cサイズのセンサーを搭載したカメラは、大変にバランスが良く、優れた規格です。
 にもかかわらず、近年はより大きなセンサーのカメラが主流になり、APS-Cのシステムは品揃えがイマイチなのが残念です。

 一方で輪郭がはっきりした被写体の撮影では、レンズの性能がとても重要になります。
 したがって僕は、輪郭が強い被写体を撮影する場合は、カメラのセンサーサイズよりも、レンズの性能を優先に機材を選択します。
 中でも小さなものを拡大する撮影では、とにかくレンズの性能が物を言います。



● 25/2/26 日産自動車



 内輪の論理が優先され過ぎる典型的な日本のダメ組織、とあちこちで貶されている日産自動車のセレナC28を買ったのは、去年のことでした。
 驚いたのは、選んだ理由はほぼほぼ取材に適したシートアレンジの一点だったのに、乗りやすくて、車の基本的な部分がとても良くできていることです。
 それを思うと、日産のゴタゴタは、もったいないなぁと思います。

 今までは、車が新しくなったら、まず車内泊用の寝床を自作していました。
 ところが近年は車検がより厳しくなっている印象があり、将来検査の際に自作したものをいったん下ろせと言われたら面倒なので、今回は、最初から車内をベッドにできる車種を選択しました。
 ただ、オリジナルのままでは、運転する状態とベッドの状態が両立できない構造になっていたので、多少手を加えました。
 具体的には、車内泊用のマットを設置する場合は運転席と助手席を同時に多少前に出す必要があり、運転席や助手席が座りにくいレベルに狭くなってしまいます。
 メーカーは、常にベッドの状態を作っておくのではなく、目的地に着いてからベッドメイキングをするような使い方を想定したのでしょう。
 僕は取材の途中でベッドメイキングをする手間を省きたいので、付属のマットよりも短いマットを作ることで、助手席や運転席を運転時の位置のまま、後部を寝床にできるようしてみました。
 
 製造業の会社が上手くやっていくためには、技術が優れていること以外に、営業力が大切だとよく耳にします。
 営業力は言い換えると、話題になることや人気を出すことだと言えます。
 SNSなら「いいね」の数、ブログなら「ヒット数」みたいなものです。
 写真活動にも似たところがあり、写真の技術が優れていることの他に、人気は大切な要素です。
 僕は技術を重視するタイプなので、営業力などと言われると内心反発したくなります。
 でも、人気を理解できない人に自分の写真を預けたいか?と言えば、僕だってNOだし、人気が理解できない人が組織の上に立てば残念な結果になるのは、僕にだって理解ができます。
  
  

● 25/2/23 感激

 撮影中のある生き物に関してわからないことを、専門家の先生に質問しました。
 先生からの返信を読んでいると、子供の時に、生き物や釣りについて詳しい人に教わった時のワクワクを、ふと思い出しました。
 自分が知りたいことがたくさん載っている本を見つけた時にはとてもうれしかったけど、詳しい人から教わる時には、それとはまた違う感激がありました。
 本で学ぶことが、レディーメイドの既製品を手にすることだとするなら、人から教えてもらうのは、カスタムメイドの特注品を手にするみたいなもの。
 自分が質問したことに対して相手がいったん受け止め、その質問に応じた答えを返してもらえるところに、人から教わる喜びがありました。
 平たい言葉で言うと、コミュニケーションの有無の違いになるのでしょうが、僕は、あの感激を、そんな俗っぽい言葉にしたくない気持ちがあります。
 近年は、インターネットで調べごとをすると、Aiが導き出した答えが表示されるようになりました。
 それは一見、質問に答えてもらうことに似ていますが似て非なるもので、Aiは確率が高い回答を見つけてくるのであり、質問者の気持ちを考えているわけではありません。
 
 Aiと言えば、最近は将棋の対局の際に、テレビやインターネットの放送では、Aiが判断した次の一手が表示されるようになりました。
 今日は日曜日なのでNHKで将棋の対局が放送され、NHKの場合は、確か上位3つの候補手が表示されるはずです。
 残念ながら、僕は今から撮影で出かけるので、今日の対局を見ることができないのですが、それはともあれ、テレビやインターネットで対局を見ていると、強い棋士ほど、Aiと同じ手を選ぶ傾向があります。
 でも、大多数の将棋ファンは、Aiが導きだす最善手だけを見たいわけではないでしょう。
 人がやることだからワクワクするのは、佐々木朗希投手が剛速球を投げたらワクワクするけど、ピッチングマシーンがもっと早い球を投げても感激しないのに似ています。



● 25/2/22 続・輪郭がない光




 前回の続きで、被写体の目に写り込む照明器具の話です。

 夜、カエルなどを撮影すると、カエルの目玉にストロボの光の形が露骨に写り、嫌な感じになりがちです。
 一般的な小型ストロボを直に当てた時には、ストロボの四角い形が、ディフューザーを使っている場合は、ディフューザーの形が白く写り、それを知らない人が見た時に、
「目のこの白い物は何?」
 と感じてしまうことがあります。
 それを避けるための工夫は、毎年いろいろ試してきました。が、残念ながら、これだ!と言えるものはまだ発明できていません。
 今回はどうかなぁ。

 重視したことを重視した順に書くと、第一は、モデリングライトを内蔵しているストロボをベースにすることです。モデリングライトとは、ストロボに内蔵された懐中電灯で、夜の撮影では絶大な威力を発揮します。
 真っ暗な中でピント合わせをするのに役立つし、一瞬しか光らないストロボの光の当たり方を大まかに予測できます。
 モデリングライト内蔵の小型ストロボは多くないので、おのずと機種が絞られます。

 次に重視したのは、カエルの目に写るストロボの光の形が、丸になることです。
 すると選択肢は、発光部が丸いストロボを使用するか、四角いストロボの場合はドーム型のディフューザーを使用するかになります。
 発光部が丸いストロボには小型のものがないので、今回は、Godox のMF12に、ドーム型のディフューザーを組み合わせてみました。

 その次に重視したのは、丸い光の輪郭を、ぼやけた状態にすることです。
 丸い光は太陽の形と同じなので、四角い光に比べると、カエルの目に写った時の違和感は少なくなります。
 ただ、その輪郭がはっきりしていると、やっぱり嫌な感じが残ります。
 さて、カエルの目玉の描写にこだわったストロボを、スタジオで光らせてみました。



 ドームの先端が明るく、その光が途中で減衰して最終的には暗くなっているので、これがカエルの目に写ると、丸い光の周辺が徐々に暗くなり、輪郭がはっきりしない丸になるはず・・・
 スタジオ内のテストでは、それが実現できているのですが、野外の現場ではどうかな?



 乳白ドームを裏側から撮影してみました。
 中にあと1つ、より小さなドームが接着されています。
 中に納まっている小さなドームは、MF12に使用できるGODOXの純正アクセサリーです。MF12とは、アダプターをはさんでマグネットで接続する構造です。
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 外側の大きな乳白ドームは、やはりGODOXの製品から取り出しました。
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乳白ドームの先端には小さな突起があり、接着の邪魔になるので、小さなドームの方に穴をあけて位置を合わせ、塩化ビニル用の接着剤で接着しました。
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● 25/2/20 輪郭がない光


 生き物の目玉とかガラスみたいな素材には、照明器具の形が反射して写ってしまうことがあります。この画像の場合は、レンズに、照明器具の四角い光が写っています。
 それを避けるには、輪郭がはっきりしない光源を作ります。具体的には、丸い光の中心が明るくて、外に向かうにつれて徐々に暗くなるような光で被写体を照らします。



 すると、照明器具がレンズに写ることには違いないけど、何か形あるものが写っている感じがなくなるので、自然な見え方になります。
  写真の技術に詳しくない人でもわかるように書くなら、住宅の天井によく設置される丸いシーリングライトをイメージすると、わかりやすいでしょう。
 シーリングライトはたいてい、LEDの球を覆うように乳白色の丸いカバーが取り付けられています。
 そのカバー全体が光るとカバーの輪郭がガラスやその他に写り、その輪郭が違和感を感じさせるので、中心だけが明るく、周辺に向かうにつれて徐々に暗くなるような輪郭が弱い光を作るわけです。
 こうした作業は、スタジオであればそんなにむずかしくありません。
 一方で屋外でポータブルな照明器具を使用して、これを再現しようとすると、なかなか骨が折れます。
 僕は時々チャレンジするのですが、毎回大がかりになり、野外での撮影には向かないな、と結局やめてしまいます。
 生き物の写真の場合は、科学物のニーズが多いので、生き物の姿以外の何かが、今日の記事の場合は、生き物の目玉にライトの形がゴリゴリに写っているような写真は避けたいのですが・・・
 一転して人物の撮影などでは、星形とかハート形の照明器具を女性のモデルさんの目に意図的に写し込んでいるような写真を見たことがあります。



● 25/2/19 2本のワイドズーム



 NIKKOR Z 14-30mm f/4 S(左)を初めて使った時には、描写の良さに大感激しました。
 このレンズは、後継の製品が登場して引退をする日まで、常に持ち歩くレンズになるだろうと思いました。
 でも今、レギュラーをはっているのは NIKKOR Z 17-28mm f/2.8(右)の方で、Z 14-30mm f/4 Sは補欠に甘んじています。
 Z 17-28mm f/2.8の方を普段選ぶ理由は、最短撮影距離の短さです。
 Z 17-28mm f/2.8は、小さなものを撮影する頻度が高いニコンZユーザーで、ワイドズームの購入を検討している人にはお勧めできます。
 最短撮影距離以外の違いは、Z 14-30mm f/4 Sが、使用しない時にズームリングを回すとレンズを小さく収納できる収納式になっていること。一方で Z 17-28mm f/2.8は、レンズの全長が変化しません。
 僕にとってはあまり重要ではない違いであり、強いて言えば、小さく収納できる方が都合がいいかなぁと思っていたところ、使ってみたら、予想に反して、全長が変化しないレンズの方が好みにあいました。触った時に可動部がなくカクカクしない安心感がありました。
 NIKKOR Z 17-28mm f/2.8はタムロンのOEMだと言われていて、それを気にする人もいます。
 でも外観がニコンのレンズのデザインになるだけで、触った時に違う傾向のものが混ざっている違和感はなく、僕は気になりませんでした。
 レンズのデザインなんてあまり重要ではないと思っていたのに、統一されているのは結構大切かもと考えを改めました。
 ニコンとタムロンの描写の違いはどうだろう?と両者を比較テストしたら、発色が違うことがわかりました。残念ながらテストをしたのは随分前で、どう違うのかは忘れてしまったのですが。
 ただ、比較テストのような撮り方をしない限り、僕は両者の色の違いを感じたことはありません。
 NIKKOR Z 14-30mm f/4 SがSラインと呼ばれる描写にこだわったシリーズであるのに対して、NIKKOR Z 17-28mm f/2.8はSラインではないレンズであり、そもそも格が異なります。
 でもその差も、僕は今のところ、感じたことがありません。
  
 

● 25/2/18 研究者

 今撮影を進めている本に関して、「専門家の先生に監修をしてもらいたい」と編集者にお願いをしたら、同意してもらい、希望を聞き入れてもらうことができました。
 まずは、撮影に使用した生き物を瓶に入れて、先生が所属する大学に送ることになりました。
 手紙を添えようとしたら、書くべきことは分かりきっているのに、なかなかうまく書けません。
 生き物の研究者は僕にとって憧れの存在であり、この日記を更新するように適当に作文するわけにはいかないのです。
 そういえば過去に何度か、「プロのカメラマンは人の憧れであることを頭に入れておきなさい。」と先輩から言われたことがありました。
 僕はそんな柄ではないし、むしろ適当に暮らしたいがゆえにカメラマンになったくらいなので、ちょっと大げさじゃない?と内心思ったのですが、何か憧れがあるのはとても幸せなことで、いいことかもしれませんね。



● 25/2/14 リール



 実家の僕の部屋だった場所を空にするために整理していたら、古いダイワのリールが出てきました。ダイワのファントム・マグサーボです。
 確か僕が持っていたダイワは、これより前のモデルだったはずなので、弟のものかなぁ。

 当時(1980年ころ)の僕は、世界最高峰のベイトリールはスウェーデンのABUだと思っていました。
 そして次がダイワで、次がシマノだと思い込んでいました。
 でも内心一番使いやすかったのはシマノでした。
 次がダイワで、ABUは正直使いにくかったです。
 シマノが一番使いやすいと感じていたことは、誰にも言いませんでした。自分が格下だと認識しているものが一番いいなんて、あってはならないと思ったからです。
 残念なことに、当時使いやすいと思っていたシマノのバンタムは、格下だと認識していたがゆえにあまり大切にしておらず、今ではどこに行ったか分かりません。
 一方でABUは、今でも問題なく使える状態で保存されています。

 大人になって、格下扱いしていたシマノのバンタムについて調べてみると、とても評価が高く、名作扱いされていることがわかりました。
 ああ、やっぱり!
 日本製のリールは、舶来品のコピーから始まっているのですが、1980年頃は、日本製がちょうどお手本を超えたタイミングだったようです。
 ともあれ、当時、ABUが最高峰だと思ったのは、ブランド物だったから。
 次がダイワだと思ったのは、コマーシャルが上手だったからかな。それからシマノよりもほんの少し高価だったので、よりいいものに違いないと思い込んでいました。
 ダイワは、今も昔も、コマーシャルがとても上手です。
 あと1つ、僕が、自分の感じ方よりも世間の声や値段を信じていたのもあるでしょう。
 ちなみに、今ではABUは完全に落ちぶれ、シマノとダイワが世界のリールのツートップです。
 日本製が世界の圧倒的な最高峰なのは、カメラと似ています。



● 25/2/13 更新のお知らせ

 今月の水辺を更新しました。
 
 

● 25/2/12 汎用性



 赤線は「ケージ」と呼ばれる金具です。
 カメラに、外部モニターやマイクやその他をネジ止めしたい時などに使い、ネジ穴が何となく多数あけられている足場みたいなものです。
 ケージに興味がある方は、上のケージの文字をクリックしてみてください。
 青線は、そのケージのネジ穴をレンズ側に増設するための金具です。この金具によって、緑のストロボ用のアームと黄色の照明用具とがぶつからないようにしています。
 厳密にはこの青線の金具がなくてもギリギリぶつからないのですが、物同士が近過ぎると操作性が悪くなるので離すためのパーツです。
 僕はこのケージみたいな、何に使うかをあまり限定していない道具が好きです。
 カメラに限らず、何かに特化して不要なものをそぎ落とした道具や独自の規格を採用した道具よりも、汎用性が高いものが好きです。
 写真や本も、不要なものを徹底してそぎ落とした作品は、あまり好きではありません。これ要らないんじゃない?と感じるくらいの何かがある程度混ざっているものが好きだし、人の社会も同様です。
 僕が生き物を好きなのも、究極のところは同じ理由かもしれません。
 写真撮影の際には不要なものをそぎ落とすべしという意味の「写真は引き算である」と言う文言がありますが、僕は足し算をしながら撮影することが多いです。
 
 

● 25/2/11 運転支援


NikonZ7U NIKKOR Z 14-30mm f/4 S

 今日の天気予報は晴れ。
 放射冷却で池が凍るに違いない、とビオトープに行ってみました。
 朝出かけに車の窓が凍っていたので運転席の前だけ溶かして走り出したら、運転支援用のセンサーが使えないのでそこも拭けという警告がでました。
 引き返す気にはなれず、どうせしばらくしたら氷が解けて自然と解決するだろうと放置しつつも、警告は目障りなので、いつ消えるんやろうと気にしながら、大通りをノロノロ運転しました。
 すると、ちょうど速度違反の取り締まりの真っ最中で、何人もが、サイン会場へと呼ばれていきました。
 件の箇所は道がとてもよくて、普段、法定速度を守っている人はほとんどいない場所なので、今日はついてました。
 警告のおかげです。


NikonZ7U AF-S Micro NIKKOR 60mm f/2.8G ED

 今日は朝からつきがある。きっといい写真が撮れるに違いない、とワクワクした気持ちで水中カメラを氷の下に沈めてカエルの卵を撮影しようとしたら、なんと!道具が足りなくて撮影できませんでした。
 いい気分になっていた分、忘れ物がこたえました。
 仕方がないので、陸上から、氷の存在がわかるように撮影してみました。
 氷がよく見えるように写せば、その代償として氷の下の卵が見えなくなり、卵が見えるように撮影すれば氷が写らなくなり、なかなか難しい撮影になりました。

 さて、長年乗っていたトヨタのハイエースを、昨年、乗用ミニバンへと買い換えました。
 ハイエースは約40万キロを走り痛んでいたのもありますが、安全のことを考えると、運転支援付きの車に乗り換えておきたいという判断でした。
 その運転支援ですが、未舗装の道や雪道ではセンサーが汚れてしまい、しばしば警告が出ます。


● 25/2/10 ズームレンズの話


NikonZ7U NIKKOR Z 17-28mm f/2.8

 撮影の際に、普段、僕が最も優先するのは、カメラの位置です。
 例えば、近づいた方がよく見える被写体には近づくし、離れた方がよく見える被写体からは離れます。
 カメラ位置が決まったら、ファインダーをのぞきながらズームリングを回して、レンズの画角を決めます。
 時々、
「ズームレンズで撮影する際には先に使用する焦点距離を決め、その焦点距離に合わせて自分が前後せよ。」
 という意見を耳にしますが、それとは真逆の方法で撮影しています。
 したがって僕の場合、ある写真を自分が何ミリで撮影したか、わかっていません。そもそも何ミリで撮るなどと先に決めようとするのは、ナンセンスだと思っています。
 
 さて、今はズームレンズ全盛の時代ですが、それでも、もっと色々なズームレンズがあったらなぁと思うこともあります。
 例えば、35ミリ判フルサイズセンサーのカメラに使用できる50-200mmくらいのズームマクロレンズがあれば、是非、使ってみたいものです。
 その場合僕が求めているのは実用性なので、明るいレンズである必要はありません。
 開放f値は4で十分。、あるいは4.5にすることで小さく軽くできるのなら、4.5がいいとと思っています。
 言うまでもなく自然写真の撮影に使いたいわけですが、スタジオで物撮りをする人などにも重宝されるような気がします。
 また、35ミリ判フルサイズセンサーのカメラに使用できるシフト可能なワイドズームがあれば、すぐにでも買いたいくらいです。
 今日の画像のようなシーンの場合、ワイドレンズで撮影すると、本来まっすぐ立っているものが斜めに立っているように写ってしまいます。
 具体的には四角のものは台形(等脚台形)に写るので、それを補正できるシフトレンズが欲しいのです。
 僕は今そのシフトを、帰宅後にパソコンのソフトでやっていますが、現場でできたらなぁと思います。
 現実的には、ワイドズームにシフト機能を搭載するくらいなら、カメラのファインダー内でソフト的にシフトができるようにすることでしょう。
 OMのカメラにはすでにその機能が搭載されていますが、他社も追随して欲しいものです。
 
 

● 25/2/9 寒波


NikonZ8 NIKKOR Z MC 105mm f/2.8 VR S

 2/5の日記の通り、昨年春に引っ越しする以前は、寒波が来ると、ボロボロだった水道管の破裂が気になりました。
 どれくらいボロボロだったかと言えば、一度自分でコックを開け閉めしようと管に力を入れたところ、金属の管がボキッと折れてしまうくらいに傷んでいました。
 当然水が噴き出してきて、高額な修理費を払いました。その上で、業者さんからは、
「これ、今は一応止まってますけど、錆だらけの管を塞いでいるので、いつまで止水できるかはわかりません。」
と宣告されていました。
「寒波が来た時に、何も気にすることなく雪や氷の撮影に行きたい!」
 は、ここ数年の願望でした。

 さて、ここ数日は、引っ越し後、初の寒波です。
 そこで、まずはうちの近所でと思ったのですが、結局、大分県との県境である英彦山まで行きました。
 雪が積もっている間に撮影しておきたい思っていた場所でしばらく景色を撮影した後は、氷を撮影して遊んでみました。
 朝、目的地に到着した時の気温が−10℃。昼頃山を下りる時が−7℃。
 お昼の時点でまだまだ撮影できる条件だったのですが、まずは偵察だから、と弁当を持って行かなかったのは油断してました。
 自然写真の撮影はだいたい時間がかかるので、いらないと思っても食べ物は持っていた方がいいです。
 機材に関しては出かける前によく吟味するのに、結局いつもと同じものしか使わず、実は大切だったのは食料だったケースは、僕の場合、まあままあります。
 山に向かう途中、近所の道が何か所も通行止めで、う回にう回を重ねました。
 寒波が来た時の福岡県の街に近い場所は、通行止めか、動けなくなって道路を塞いでいるノーマルタイヤの車で、とても取材が難しいです。



● 25/2/5 水道の水

 昨年、区画整理で立ち退いた建物は、水道管が壁の外側を這っていたので、冷え込んだ日には時々凍っていました。
 対策をしようにも、管の上から外壁の塗装がしてあり管は壁と一体化していたので、凍結防止のウレタンなどを巻くことができませんでした。
 加えて管がボロボロだったこともあり、何度か、凍った管が破裂をしました。
 水道屋さんに修理を依頼すると、管が壁と一体化しているという構造上、きちんとした修理をすることができず、毎回応急処置でしのいでいました。
 応急処置は、型にはまったやり方ではない特殊な作業になり、高価でした。
 それから、管が破裂するような気象条件の時にはあちことで同様のことが起きるので、業者さんを呼ぼうとしても、3〜4日かかるのが普通で、その間、水道を使う時のみ、屋外の元栓をあけるという不便を強いられました。
 それでも、応急処置であっても可能なのは、僕にとってまだ幸運でした。もしも修理が不可能な箇所に水漏れが生じた場合は、すべての水道管を敷きなおすしかなく、費用は50万円を超えるだろうとの見積もりでした。
 区画整理に伴う立ち退きが予定されていなければ、すぐにでも水道管の敷き直しをしたいところでしたが、近々立ち退きになりますよと言われている建物に50万円を超える工事をする気にはなれず、寒波のたびに、祈るような気持ちになりました。
 それに追い打ちをかけたのが、区画整理が予定通りに始まらないことでした。
 市から、「間もなくですよ」と言われてからの長いこと。
 また、どの程度工事が遅れるのかなどの情報をあまり出してもらえなかったのも、困りました。
 水道がいよいよやばいな、と苦になりだしてから、2年、3年と経過し、その間に何度か水漏れを経験しました。
 昨年まで住んだ家で一番しんどかったのは、水のトラブルでした。
 今にして思うと、立ち退いた家の水道は、早い段階で工事をしておけばよかったです。
 市側の個別の担当者が決まったのは、いよいよ移転する直前に近い時期でした。
 担当者が決まると、まだ未確定なことでも、おおよその状況を教えてもらえるようになりました。
 市がまだわからないとしていることでも、現場の、特にベテランの人はかなりのことがわかっていて、おそらくはそれを、担当者の自己責任で教えてくださったのでしょう。
 場数を踏んだ職員の方の能力には、何度か、関心させられました。一方で、もっと早く情報を出す仕組みづくりを・・・と感じたものでした。
 
 引っ越し先の新しい家は、水道管が家の壁の内側を通っているので、凍る心配はほぼほぼないでしょう。
 立ち退いた家では、寒い日に水で物を洗おうとすると、「うっ」と声が出そうになるくらいに冷たくて、そのあとに「ガ〜ン」と痛みが襲ってきたものですが、新しい家では、真冬でも、別に温める必要がないくらいの水温の水が出ます。


   
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自然写真家・武田晋一のHP 「水の贈り物」 毎日の撮影を紹介する撮影日記 2025年2月分


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