撮影日記 2024年12月分 バックナンバーへTopPageへ
 
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● 24/12/31 直方市

 今年は春に、約30年住んだ北九州市の折尾という町から直方市へと、引っ越しをしました。引っ越し先の直方市は、僕が幼稚園〜高校までを過ごした土地です。
 直方市と言えば、子供の頃、身の回りの大人たちが
「直方市には何もない。」
 と嘆くのを耳にしたものでした。
一方で、
「直方市は暮らしやすいよ。」
 という話も、わりと良く聞いていました。
 それから随分時間が経ってはいますが、はたして久しぶりに住んでみると、両方共に、なるほどなと思いました。
 子供の頃は両者が結びつかなかったのですが、今になってみると、直方市には何もないから暮らしやすい、でした。
 言うまでもなく都会ではないけど、不自由を強いられるような田舎でもなく、これといって困ることはありません。
 引っ越しで近所からなくなったものと言えば、飲食チェーンの『資さんうどん』と『ロイヤルホスト』があります。
 特に資さんうどんは、つい先日東京の両国に出店するニュースを見たばかりで、
「その前に直方市に店を・・・」
 と一瞬思ったりもしました。
 資さんうどんやロイヤルホストは、直方市の主要な道路よりももうちょっと交通量が多く、時間帯によっては車が渋滞して「あ〜時間がもったいない」と人が集まる場所特有の嫌な思いをするくらいの場所にあります。
 ともあれ、都会の嫌なことも、いなかの困るところもなく、直方市は、実に絶妙なのです。



● 24/12/29 新型コロナ

 家族の一人が新型コロナに感染しました。
 家の中に蔓延しないように、すぐに部屋に閉じ籠ってもらったのですが、翌日僕もやや喉が痛くなり、翌々日になると体温が38℃を超えました。
 僕は、一過性の病気は基本受け入れることにしているので、治療を受けないことが多いのですが、新型コロナやインフルエンザみたいな感染症だった場合は、それなりの振る舞いをしなければ人に迷惑をかけてしまうので検査を受けると、新型コロナに感染していることがわかりました。
 頭痛で通常の娯楽がまったく頭に入ってこないので、まめに体温を測り、その推移をチェックして暇つぶしをしました。
 すると、割と短い期間の間に、体温が上がったり下がったり、かなり変動することがわかりました。
 その乱高下が、体温を反映しているのか、それともうちの体温計の精度が低いのか、あるいは測り方のばらつきなのかが気になりました。
  脇にはさむタイプの体温計は、はさみ方でばらつきが生じるような気がするので、非接触型のものを購入しようとアマゾンで検索してみたら、まあまあ高価だったので買うのをやめました。
 やがて体温が39℃台に突入すると、さすがにきつくて、それでころではなくなりました。
 が、検査を受け薬を処方してもらった翌日には、37℃台まで体温が下がり、安静にしている限り、きつくてどうにもならない状況は抜け出しました。
 今日は、じっとしていると回復したような気がするのですが、生き物の世話をしたり植物に水をやったり作業をすると、突然頭痛がして、まだ正常ではないことがわかりました。
 熱のピークの時がきつかったので、その対比で治ったような気がするのでしょう。
 
 

● 24/12/26 水中用の機材


 ついに、水中撮影用の機材を更新しました。
 ついにと書いたのは、僕がこれまで使用していたのは、キヤノンのEOS5DUだったからです。
 EOS5DUは2008年末に売り出されたカメラであり、数え方にもよりますが、なんと4世代前のカメラでした。
 今回は、同じキヤノンのEOSR7を選択しました。

 カメラを防水する水中ケースは特注品で、Proof 製です。
 使用できるレンズは、今のところ、マクロ、魚眼、ワイドズームの3本。
 ワイドズームに関しては、ドームポートでもフラットポートでも使用できるよう作られていて、広い場所や大きな被写体の撮影ではドームポート、狭い場所や小さな被写体の撮影ではフラットポートと使い分けることができます。
 またファインダーは、アングルファインダーとINON製の45度ファインダーの2種類を使用できます。
 アングルファインダーを使えば、浅い場所なら、顔を水につけることなく、カメラだけを水に沈めて撮影できます。それによって、水中マスク、シュノーケル、替えの衣類などの荷物が不要になります。
 水中マスクを身に着けて水にある程度潜る場合は、マスク越しにものを見ることになり、陸上用のファインダーを防水しただけのアングルファインダーではとても見にくいので、INON製の水中専用45度ファインダーを使います。
 
 水に沈めるカメラに僕が求めるのは、まず第一に、AFの性能がいいこととです。
 水中では物のコントラストが低くなるので、そもそもAFが合いにくいからです。
 第二は、大きすぎないことです。
 水中の場合、市販されているカメラを防水ケースに入れるので、道具が巨大になります。
 その結果、機材が大きすぎると、カメラバッグに入らなくなります。
 アクセスがいい場所ならそれでも構わないのですが、長い距離を歩く場合などは、リックに入るサイズであることが、とても重要なポイントになります。
 第三は、高価すぎないことです。
 防水ケースが万が一漏れ、カメラがおしゃかになってしまった時に、あきらめがつく値段であることが重要です。
 また、水没して壊れたカメラの代わりに、同じものをあと1つ買わなければならないので、それができる額に抑えておく必要があります。
 それらを満たすカメラ、つまりほどほどなのに十分な性能があるカメラということになると、キヤノンになります。
 キヤノンは、そういう目で見ると、本当にモノづくりがうまいメーカーです。



● 24/12/19 ネットワークカメラ



 自然写真の仕事の中で何度やってもつらいのが、孵化、脱皮、羽化等の生き物のライフサイクルの撮影です。
 中でも、水辺の生き物は、より撮影が難しい傾向があります。水辺の生き物の場合、雨の降り方など気象の影響を受けやすく、そのイベントが一日の中の何時頃におきるのかが読みにくいからです。
 例えば基本的には夜に起きる現象が、雨や湿度、あるいはもしかしたら気圧などの影響で真昼間に始まってしまうケースがそれなりにあるのです。
 したがって、確実に撮影したい場合は、付きっ切りの番が必要になります。
 そこで登場するのが、スタジオでの撮影の場合は、監視カメラです。
 監視カメラで生き物の状態をスマートフォンに転送することで、短時間なら、ほかの作業を平行して進めたり、仮眠をとったり、買い物に行ったりすることが可能になります。

 その監視カメラですが、長い間僕が使用してきた製品は、やや不安定でした。
 電源を入れてセットしようとすると時々つながらいことがあり、嫌な感じがありました。
 そこで、同じメーカーからより設計が新しい新製品が出ていないかと調べてみたら、新製品が出るどころか、ラインアップが縮小されていました。
 製品のレビューを読んでみると、僕が感じているのと同様に、つながりにくい点に不満を持っている人が多いようでした。
 しかたがないので別のメーカーの製品(Tapo C222/6800円)を買ってみました。
 ネットワークカメラに僕が求めるスペックは、接続が確実であることの他は、LANケーブルによる有線接続ができることと、カメラを三脚に固定するネジ穴が設けてあることの2点でした。
 困ったことに、最近の製品には、この2つを同時に満たすものが見当たりませんでした。
 調べても調べても見当たらないので、LANケーブルによる有線接続ができる製品の方を選びました。
 三脚用のネジ穴に関しては、自分でパーツを作ることにしました。
 さてどうしたものかと思っていたら、カメラを天井や壁にネジで固定するためのパーツが付属していたので、そのパーツをアルミの板に固定し、アルミの板に三脚用のネジ穴を切りました。
 三脚に取り付けるためのネジくらい、備えてくれたらいいのに・・・と思うわけですが、需要がないのでしょうね。
 




● 24/12/18 ご破算

 作りかけだった本のサンプルを、先日いったんすべてご破算にして、新たに作り直しました。
 破棄したサンプルは、2022年秋のナメクジの繁殖の時期に大元になるページを作り、その後、少しずつ手を加えてきたものでした。
 それなりの期間の積み重ねがあったので、破棄するには躊躇いがありましたが、今になってみるとやり直して良かったです。
 本づくりや写真撮影で僕が一番避けたいのは、ちゃんとまとまっていてどこにも破綻はないけど、面白くないものです。
 人から文句は言われないけど、感動もないと言い換えてもいいでしょう。自己保身に走ると陥りがちな状況であり、先日破棄したサンプルは、まさにそれでした。
 『どこにも破綻はないけど、面白くない』に陥ってしまうと、しばしば手の施しようがなくなってしまいます。
 役所の仕事みたいなユニバーサルサービスに携わる場合は、むしろそれが正解なのでしょうが、生き物の写真みたいな人の心を動かしてなんぼの活動の場合は、面白さが命です。

 さて、おもしろくない人に、「おもしろいことを言って」と求めるのは、もはやいじめに近い要求でしょう。
 おもしろいの難しいところは、努力では到達できない場合が多いところです。
 むしろ人がまじめになればなるほど、おもしろいからは遠ざかっていきます。
 努力は努力で必要だけど、努力が必ずしも報われないのが、おもしろいを追求する世界のおもしろいところです。
 それが一番分かりやすいのはスポーツや音楽ですが、生き物の写真や本づくりも、同じカテゴリーに属します。
 
 

● 24/12/8 本を作る


NikonZ8 NIKKOR Z MC 105mm f/2.8 VR S ストロボ

 僕は、考えたり工夫をしている限り、大抵のことは楽しくできるタイプです。
 別に生き物の写真撮影ではなくても、例えば領収書を整理して帳簿を付けるような作業や、掃除をするような時間でも、楽しいと感じます。
 では好き嫌いはどこに出るか?と言えば、その量が多くなった時です。量が多くなってくると、あまり関心がないことから順に、苦痛にもなってきます。

 その好き嫌いで言うと、文章を書くなどいわゆるデスクワークは、ものすごく好きというわけではありません。
 一日に1時間以内くらいであれば楽しいのですが、それを超えてくると、疲れ以外に心に暗雲が心に立ち込めてきます。
 同じことをするのに楽しくないのは大損なので、その手の作業は、楽しく取り組める時間内に収まるようにします。
 生き物の本を作る場合、多いのは、大まかに構成を決めた上でまず写真だけを撮り、一通りの写真が揃ってから文章を付けたりレイアウトをするやり方でしょう。
 小さな生き物の本作りなら、だいたい写真を撮るのが春〜秋、文章を書いたりレイアウトするのが冬になることでしょう。
 この時間配分は、とても理にかなっています。
 ところが僕は、冬の間にまとめて文章を書こうとすると、その時間がひどく苦痛に感じられてしまいます。
 そこで日常的に、一枚写真を撮るごとにパソコンの画面上で写真をレイアウトして、文章をつけます。
 1ページが完成するとおのずと次のページがある程度決まるので、次の撮影にのぞみます。
 したがって、自分が作ろうとしている本の全体像は、持ってないことが多いです。
 本の全体像は、持っていた方が有利です。
 なぜなら、それさえあれば写真が揃ってなくても売り込みができるし、出版社の人と話ができるから。
 それは重々分かってはいるのですが、やっぱり長い時間文章を書くのがどうしてもつらいので、1ページずつ本を完成させていくことになります。
 
 ところが、春に家を建てて引っ越しをしたことを機に、いや正確に書くと、その準備に入った2023年の夏ごろから、写真を撮ることまではできても、レイアウトしたり文章を付ける気になれなくなっていました。
 心の中のその領域を、引っ越しに取られてしまったのでしょう。
 問題は、引っ越し後も、本作りの作業を回復できないことでした。その結果、今年は、写真が撮りっぱなしになりました。宿題を提出していないみたいな、後ろめたい気持ちになっていまいた。
 それが今日ようやく、つい先日撮影したナメクジの繁殖行動の写真を、本の体裁にレイアウトすることができました。
 ああ、おもしろいなと感じている間に、その前後も合わせて、数ページ作ってみました。 



● 24/12/8 レリーズの話



 カメラブレを防ぐためにカメラに触れずにシャッターを押すためのレリーズは、他にも、シャッターチャンスを待って延々と待機したあげく、瞬間を逃さないように素早くシャッターを押すケースでも有効です。
 カメラのシャッターに指を乗せておくと、手をカメラの高さまで上げなければならず腕が疲れるので、待機が長い場合は楽に待ちたいからです。
 その点、ニコンのMC-30はとても良く握りやすく、長い時間握り続けるケースでは非常に優れた製品です。
 絶対に逃したくない瞬間を待つ時に、他の多くのレリーズは持ちにくくて、すべって落としそうな、あるいはボタンが上手く押せないような不安に駆られます。
 今カメラ市場で大きなシェアーをしめるキヤノンやソニーには持ちやすさまでが考慮された製品はなく、MC-30は、昔カメラと言えば第一にニコンだった時代の蓄積を感じさせる製品です。
 MC-30に限らず、ニコンが他社にシェアーで遅れを取った今でも、ニコンのレリーズは他社よりも充実しています。
 ところがそれらのいい製品には、チグハグがたくさんあります。
 レリーズに人生をかける!くらいの気合いで管理している担当者が存在しないのかな?いずれニコンの優れたレリーズ群も消滅するのかなという懸念を感じます。
 僕はカメラメーカーの広告塔的な仕事には興味がなく、特定のカメラメーカーとお付き合いするつもりはないのですが、ニコンのレリーズに関しては、
「僕に関わらせて。僕に一言いわせて!」
 とつい言いたくなります。
 こういう地味にいい製品をなくさないで欲しいのです。

 僕の主な仕事である出版は、作家や技術屋さんの仕事です。誰がどうしたと他人を気にしている暇があるなら、自分の腕前を磨く仕事です。
 一方でカメラメーカーの広告塔的な仕事は、一言で言うと、サラリーマン社会の仕事です。あるいは、人間関係の仕事と言い換えてもいいでしょう。
 カメラメーカーの方々やメーカーに関わっておられる写真家のみなさんの話はとてもおもしろいのですが、その面白さは、人間関係のよもやま話の面白さです。
 そう言えば昔、あるカメラメーカーの方から呼ばれて、それをこの日記に書いたら、メーカーの方から
「書かないで欲しい。」
 と咎められたことがありました。
 誰かが書くと、何で俺に声をかけないんだ!と嫉妬をして文句を言ってくる人がそれなりの数いるらしいのです。
 人間関係にうとい僕には、思いもつかない指摘でした。
 僕はその指摘を聞いて、もったいないなぁと思いました。
 写真活動は、人の社会のゴタゴタを忘れさせてくれるくらい面白いのに、その写真活動の中に嫉妬やその他、いわゆる人の社会特有のストレスを持ち込むなどというのは損だと思うから。
 例えるなら、休暇に行ったのに、休暇に行くことに疲れてしまうようなバカらしさを感じたからでした。
 僕には、その手の、人間関係がドロドロした仕事は向かないなと感じました。
 ともあれ、両者は正反対の性質なので、それぞれに向き不向きがあり、自分がどちらに向いているかを考える必要があります。
 僕は、サラリーマン社会は好きではないので出版を選んでいるのですが、ただそれでも時々、カメラに関してどうしても言いたいことが生じるのです。ニコンのレリーズのように。



● 24/12/7 更新のお知らせ

今月の水辺を更新しました。


● 24/12/2 暇

 生き物の写真撮影の場合、いい写真を撮るために大切なのが、暇であることです。慌ただしい暮らしをしていると、しばしばその悪影響が、写真に出てしまいます。
 特に動物のライフサイクルの撮影では、暇がとても大切です。

 暇があると、あいついつもブラブラしているな的に見られることもあります。
 あるいは、人から誘いを受けたのに断ると、暇なくせして付き合いが悪いと批判されることもあります。
 でも、人からごくつぶしとか付き合いが悪いと思われるくらいが、生き物のカメラマンには多分ちょうどいいでしょう。
 変な言い方ですが、暇な暮らしを送るために、時にはたゆまぬ努力や、まるでおしんのような辛抱が必要になります。
 暇な暮らしをするために、忙しいのです。

 先日、ツイッターで、
「それは暇というよりは、自由な時間では」
 という意見がありました。
 が、自由は、人の社会が認めた権利であり、人の社会の秩序の一種です。
 それに対して生き物と接するのに必要な時間は、人の秩序の支配をなるべく受けない時間です。
 そもそも、人以外の生き物には、人の秩序など通用しないからです。
 自由は、人の社会が認めた権利なので、自由時間には安心感があります。
 一方で暇な時間は、しばしば不安を伴います。人の社会の秩序から外れてしまう不安です。
 動物のライフサイクルの撮影を控えている時に、日々の暮らしを暇にして撮影に備えると、僕は、得も言われぬ不安感に取りつかれます。



● 24/12/1 高性能なカメラの話

 用事があって、博多の街に行きました。
 博多の街は、僕のイメージでは、福岡県よりも東京都に近い存在です。
 空気感、音、ビルの作り、人の性質・・・、ボッとしていると東京にいるような錯覚をおこします。
 僕は元々、都市が好きではないのですが、近年益々、その傾向に拍車がかかりました。
 以前は東京で大きなカメラ屋さんに行くという楽しみがありましたが、最近は、そのカメラ屋さんも、さほど楽しいとは感じなくなりました。
 カメラ屋さんを楽しいと感じなくなったのは複合的な理由であり、何か1つを理由としてあげることはできませんが、大きな要因の1つとして、カメラが進化し過ぎて、道具から優秀な記録装置になってしまったことがあるでしょう。
 確かに最近のカメラはすごいのですが、所有したいというよりは、自分の仕事が不利にならないように仕方なく買っている感じがあります。
 ジムこと、釣りタレントの村田基さんが、釣果に執着し過ぎた釣りは必ず衰退すると言っておられましたが、なるほどはぁと思います。
 釣りブームが盛り上がるためには、いかに効率よく釣るかではなく、釣りがかっこよくなければならないのだそうです。
 でも、釣り具メーカーが世間を、そのかっこいい釣りへと導くことはできないのだそうです。
 その役割を果たすのは釣りに関わるタレントさんであり、例えば釣番組に出ているような人がかっこいい姿を見せるのが大切なのだそうです。
 ところが現実には、村田さんが「せこ釣り」と呼んで嫌う、とにかく釣れればいいという釣りを、タレントのみなさんが見せてしまうのだそうです。
 結果、長い目でみると業界が衰退し、結局自分たちの首を絞めてしまうというのが村田さんの持論です。
 それはともあれ、効率ではなく感動が大切なのは、写真も同じかもしれません。

 僕は最近、あまり使わなくなった機能があります。
 プリ連写と呼ばれる機能です。カメラをプリ連写に設定すると、カメラマンがシャッターを押す直前から、カメラがひそかに記録を開始します。
 その結果、シャッターを押したものの決定的な瞬間に間に合わなかったというケースが激減し、動きが早いものを撮影する際などに、プリ連写は絶大な威力があります。
 ところが、僕はやがて、プリ連写での撮影が、何かおもしろくないと感じるようになりました。
 以前なら、虫が飛んでいる写真を見たら、
「うわ〜すげ〜」
 と脳内が痺れたものでした。ところがプリ連写が普及してくると、虫が飛んでいる写真を見ても、何とも思わなくなりました。
 なるほどなぁ。釣り業界で村田基さんが言っているようなことは、カメラ業界でも起きるのかもしれません。
 効率よく写真が撮れる機能が、結果写真業界を衰退させてしまうのは、確かにあり得ることかもしれません。
 明確な狙いがあり、どうしてもそれでなければ撮れない写真がある時には、もちろんプリ連写を使いますが、少なくとも乱用はしたくないし、プリ連写を使う時にはより一層高いハードルを設定したいと感じるようになりました。
 
 
   
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自然写真家・武田晋一のHP 「水の贈り物」 毎日の撮影を紹介する撮影日記 2024年12月分


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