撮影日記 2024年7月分 バックナンバーへTopPageへ
 
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● 24/7/31 趣味性が高い仕事



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 ドングリの本が届きました。
 著者は飯田猛さん。飯田さんは長年世界文化社の編集者として活躍され、定年後は、今度は著者として企画を発案し、本を書いておられます。
 僕が若い時なら、フリーになっても本に関わり続ける飯田さんを見た時に、この業界はそんなものなんだと鵜呑みにしたかもしれません。
 でも長い間出版の仕事に関わってみると、飯田さんに限らず会社員としてだけ本を作っているわけではないことが、どれだけ尊いことなのかをひしひしと感じるようになりました。
 本が好きで本を作りたくて、職業以外の面でも本に携わっている人には、なかなか出会えないからです。

 中でも、自然関連の発信は、趣味性が高い分野です。
 仕事でもなんでもないのに、自腹を切って生き物のことを調べたり発信している人が、世の中にはたくさんいます。
 使えるお金の大部分を、生き物を見るための旅費として費やす方がおられます。
 ちょっとでもいい画質で写真を撮りたいと高額なカメラを買う人もいます。ちょっとでもスムーズに作業がしたいとハイスペックなパソコンやソフトを揃える人もいます。
 買わなければならないではなくて、ちょっとでもいい物が作りたくて、それが欲しい人です。
 おのずとこの分野では、「がんばる」の次元が違ってきます。
 多くの仕事では認められる「がんばる」が、僕らの世界では、「物足りない」と認識されてしまうことが多々あります。
 技術や肩書ではなく、その思いの強さが測られる分野なのです。
 僕は時々ふっと、飯田さんと話をしたくなることがあります。
 その時に僕が求めているのは、思いの強さなのです。



● 24/7/26 画像が読み込めない・・・
 


 僕が水中撮影で使用しているカメラは、キヤノンのデジタル一眼レフ・EOS5DU(2型)です。
 EOS5Dシリーズは最終的には4型まであり、その後はさらに新しいミラーレスのシステムが登場した上で、ミラーレスの2型へと世代を重ねています。
 つまりEOS5DUは4世代前のカメラということになり、もはやクラッシックカメラの一員なのかもしれません。

 さて、EOS5DUでカブトガニを撮影後にPCで記録メディアを読もうとしたら、「フォーマットせよ」とのメッセージが出て、読めませんでした。
 試しにメディアをカメラに戻してみたら、さっきまで表示できていた撮影画像が表示されず、カメラもフォーマットせよと求めてきました。
 何かが壊れたのでしょう。
 そこでレスキューソフトを試してみたら、復旧できることがわかりました。レスキューソフトを使ったのは、おそらく10年数年ぶりです。
 ただ、レスキューソフトで復旧させたデータをパソコンに保存しようとしたら、これはお試し版なので保存したければソフトを買えと求められました。
 昔どうしてたんだっけ?とPC内を調べてみたら、僕は過去にすでにソフトを購入していることが分かりました。当時のメールに記されていた暗号を入力すると、復旧した画像を無事保存することができました。
 復旧した画像を見てみるとRAWで撮影したデータがTIFFになっていたので、ソフトを調べてみたら、使用しているカメラのメーカーを入力する項目があり、Canonを選択して復旧をやり直したら、CanonのRAWで保存できました。
 今回の撮影は仕事ではないし、あまり手ごたえもなかったし、めんどくさいし、実は、データを失ってもいいかとも思ったのですが、復旧してみると面白い写真も撮れていました。

 記録メディアが読めなかった原因を探ってみました。
 その結果、ある特定のカードリーダーを使用すると、同様の現象が起きることがわかりました。
 そのトラブルになぜ今まで気付かなかったかと言えば、EOS5DUが採用しているCFカードは、最近のカメラでは使用されておらず、当然そのカードリーダーも普段は使用する機会がないからです。
 さすがにいろいろと古くなってきたので、近々、新しい水中撮影のシステムを導入する予定です。
 


● 24/7/24 科学とSNS

6月分の今月の水辺を更新しました。


● 24/7/23 科学とSNS



 ちょっと前にカブトガニとモデルさんの組み合わせという珍しい撮影があり、その準備で、カブトガニを研究しておられた方にいろいろ教わりました。
 すると、教わったことがなかなか興味深かったので、梅雨明け最初の撮影は、せっかくなのでカブトガニを選んでみました。
 
 カブトガニとモデルさんは、以前なら、僕には全くイメージできない世界だったでしょう。
 でも今は、SNS上で日常的にいろいろなポートレートの写真を見ることができ、その中には渋谷にいそうな女性が捕虫網を持って虫捕りをしているようなものもあり、今回は、多少イメージがでました。
 SNSってスゴイですね。
 僕は過去に、
「自然科学系の写真を志す際に、大学で生物学を勉強した方がいいのでしょうか?」
 と何度か聞かれたことがありました。
 その時にいつも思っていたのが、大学の研究室内で何となく交わされる会話が、科学とは何か?を理解するうえでとても大きいということでした。
 その経験なしに、科学性に基づいて仕事をすることは不可能だとさえ思っていました。科学出身者以外で、本当にきちんと科学性を担保して仕事をしている人に出会ったことがなかったからです。
 ところが近年では、SNSが、それに近い効果を発揮するようになりました。SNSで科学者のみなさんの投稿を見ていることが、大学の研究室に属し、そこで交わされるもろもろの会話を日常的に耳にするのに近い効果をもたらすのです。
 インターネットの黎明期に、インターネットを駆使できる人とそうでない人の間の情報格差がとても大きくなると言われたように、今は、SNSを見ている人とそうでない人の差が、とても大きくなりました。
 SNSのむずかしいところは、自らのアカウントを作っただけでは何もできていないことでしょう。
 誰をフォローするか、つまり誰の話を聞くかがとても大切になってきます。
 
 さて、SNSに関して僕がとても不思議に感じるのは、多くの人が、自分がフォローされることをとても重視していることです。
 自分が誰をフォローするかの方がずっと大切な気がするのです。



● 24/7/18 人を利用する

「自然写真の世界で何かをやりたい時には、2つのやり方があるよ。1つは、付き合いを良くして人間関係でやっていくやり方。あとの1つは力勝負するやり方。」
 これは、僕がまだ大学生だった時に、昆虫写真家の海野さんが話してくださったことです。今でも時々、ふっと思い出します。

 先日、SNSを眺めていたら、写真業界で散々滅私奉公をしたのに、用がなくなったとたんにポイと捨てられた、と愚痴っている方がおられました。
 自然写真業界の方ではなかったのですが、僕が海野さんから教わったことに当てはめると、滅私奉公をする、すなわち人間関係やコネでやっていこうとしたのだけど、利用されただけに終わったという話になるのでしょうか。
 そんな時に利用されたと感じる人は、写真みたいな業界には向いてないんじゃないかなぁ。
 力の世界では、コネで土俵に上げてもらうところまではできても、そこから先は、その人の写真の評価で物事が決まるからです。
 どんなに雑用をこなしても、写真に力がなかったら尊敬されないからです。
 用がなくなったから捨てられたのではなく、実は自分の写真や活動が評価されなかったことに目を向ける必要があります。
 力の世界ってきびしいな、残酷だなと感じることが時々あります。



● 24/7/13 生き物はめんどくさい

 3月に引っ越しの荷物を運びはじめてから、約4ヶ月が経過しました。
 引っ越しの作業のうち、日常生活の部分は、僕の場合、大した手間ではありませんでした。
 仕事に使うパソコンやその他も、最初だけは配線やその他に気を使いましたが、一度設置してしまうとその後の作業はほとんどありませんでした。
 インターネットへの接続などはコードを挿し込むだけで、即座に元の環境と同じように使用することができるのだから、デジタルってすごい!と感じました。
 問題は、撮影スタジオと生き物です。
 中でも生き物はいまだに落ち着かせることができずに、見方によってはいまだ引っ越しの最中なのかもしれません。
 とにかくほぼ毎日、何か問題が生じるのです。それに対処する時間が、一日平均で1〜2時間くらいでしょうか。
 ここ数日は、大量に繁殖していたミジンコが激減しました。
 ミジンコは元々そういう生き物ではありますが、新しい環境では何が起きるか先が読めないので、異なる条件の場所に幾つかの容器を置いて分散させ、一気に全滅するようなことがないように対処しました。
 具体的には、毎日1つずつ新たな場所に新たな容器をおいて、その中にミジンコを数匹入れ、繁殖するのを待ちます。
 最初は小難しいけどあとは手間いらずのデジタルとは反対で、生き物はとにかくめんどくさいです。
 人の社会が自然を遠ざけようとするはずです。

 撮影スタジオの方は広い場所から狭い場所になり、広い場所を前提に所有していた機材を、随分買い替えるはめになりました。
 連日の買い物で、いい加減、買い物が嫌になりました。
 でも、ようやくほぼ一通りの物が揃いました。
 昨日は、生き物の裏側を撮影するための道具を、新しいスタジオに適したサイズで考え、設置しました。
 試しに撮影してみた画像はこんな感じ。
 設置に手いっぱいで、まだ照明があまり良くないのですが・・・

 


● 24/7/11 責任

 山口県の干潟に遠方から複数人がお越しになり、僕がカメラマンを務めました。
 日程が決まってからの約ひと月は、なぜか妙に心が落ち着かず、いろいろなことが手に付きにくくなりました。
 それがフッと楽になったのが、撮影の前々日くらい。天気予報を見て、その日が少なくとも雨ではなさそうだと分かった時でした。
 そうか!落ち着かなかったのは、天気が心配だったのか・・・・
 梅雨の真っただ中でもあるし、遠くから飛行機代を使ってくるのに、雨で手も足も出なかったなどという事態にでもなろうものなら、気の毒すぎます。
 天気はどうしようもないのですが。
 
 さて、普段僕は、カメラがダブルスロット、すなわち記録メディアを2枚挿すことができ、画像を2枚のメディアに記録ができる必要を感じていません。
 過去に記録メディアの故障を経験をしたことがないからです。
 ところが今回は、ダブルスロットがいい、と感じました。
 またカメラは、普段は大き過ぎという理由で、屋外では限定的な用途でしか使用していないニコンのZ8を選びました。
 とにかく確実に撮ると言うことに関して、普段使用しているZ7Uよりも、AFの確からしさ、連写のスピード、耐久性等、信頼性が高いからです。
 責任が伴う撮影の場合は、道具選びから違ってきます。

 撮影後は、食事の際にお店の駐車場に止めてある車の温度が上がって記録メディアが故障するのではないか?という気がしてきました。
 そんな話は聞いたことがないし、妄想に近い心配だと思うのですが。
 人の社会の責任って、なかなかのものですね。
 例えば結婚式のカメラマンなどというのは絶対に失敗が許されないし、僕は、考えただけで目まいがしてしまいます。やったことはないのですが。
 あるブライダルのカメラマンが、うっかりカメラと落としてしまい、試したところどこも壊れていなかったけど、結局買いかえた話を聞いたことがあります。
 気持ちがとてもよく分かります。



● 24/7/5 続・やることリスト



 近年は動画撮影の仕事が増えてきて、やることリストに「動画への対応」と記入したのは、2〜3年前のことでした。
 とは言え、ビデオカメラを買う気にはどうしてもなれなかったので、動画はミラーレスカメラで撮影できる範囲でと決めました。
 まずはすでに持っている道具でやってみよう、といろいろやってみたら、最初に気になったのが雲台の性能でした。カメラで被写体を追いかける際に、動き始めがスムーズではありませんでした。
 しかたがないので、当面僕が引き受けるのはカメラ固定で撮影できるシーンのみ、つまり「動く写真」のみと決めました。
 その後何度か、ああ、ここでいいビデオ雲台があったらな・・・と感じる機会がありました。わりと最近も、カブトエビが泳いでいるところという動画のリクエストがありました。
 
 さて、引っ越し後に部屋の一角に積んであった収納できない道具と使わない道具を、次々とヤフーオークションやメルカリで販売しました。
 そのお金で、ビデオ用の雲台を購入しました。
 仕事用のビデオ雲台と言えばドイツのザハトラが定番ですが、僕は筋金入りの国粋主義者なので、日本製を買いました。
 リーベックH15です。
 僕が国粋主義者というのは、もちろんウソで、強いて言うなら、アンチブランド主義者でしょうか。

 そうした主義ではなく現実的なことを書くと、外国製には故障した際の修理の問題があり、日本製の方が安心できます。
 ヨーロッパの製品は、あまりモデルチェンジしない傾向があります。
 1つのモデルが長い期間販売されたり、ちゃんと後継が発売される場合が多いです。。
 その点は僕の好みに合うのですが、残念ながら今はもうそんな時代ではなく、新しいテクノロジーをドンドン駆使せざるを得ない、というのは最近よく感じること。
 その点もまた、日本製のビデオ雲台を選んだ理由でもあります。 
 雲台はともかく、脚の方は、資金不足で新しいものを買うことができませんでした。
 そこで、ジッツオの古いアルミの三脚を使うことにしました。
 ちょうどいいものを持っていなかったので、2本のジッツオの部品を入れ替えて、僕の用途に合う三脚を作り出しました。



● 24/7/3 やることリスト



 予定表のリストの中に「熊対策」と記入したのは、一昨年だったか。
 早くやらなければ・・・と思いつつも、引っ越しの準備やゴタゴタでそれ以上何かを考える気になれずに放置していました。
 「熊対策」みたいな正解が存在しない物事はその分納得が大切になってくるので、集中してゆっくりものごとを考える時間がない状況では、考えたくなかったのでしょう。
 最近になりようやく手を付ける気になれたので、サスペンダー付きの作業ベルトを買ってみました。作業ベルトには、熊スプレーとナイフを取り付けました。
 
 あと1つ、やらなければならないと思いつつも手がつけられなかったのが、海水水槽の水質を維持するための機器の導入です。
 水槽の水はろ過装置を取り付けても、いずれ汚れてきます。
 いずれ水換えが必要になるわけですが、海水の場合は、汲みに行くか、高価な人工海水を使用することになります。
 引っ越し前は、幸い海が近かったので、時々汲みに行っていました。
 ところが引っ越し後は、往復で一時間ほど海が遠くなったので、気軽に水汲みに行けなくなりました。
 そこで、水換えの頻度が低くなる代わりに「スキマー」と呼ばれる機器を取り付けようと思ってはいたものの、どれを買ったらいいのかさっぱりで、これまた放置していました。
 すると、ここのところ、海水水槽の水の色が若干黄色っぽくなってきたり、苔が生えだしました。それを放置したままにすると、水槽の状態が悪くなってしまいます。
 やばい!
 でもインターネット上の商品の説明を読んでいるだけではどうしてもわかりません。
 これは誰かに教わった方がいい、とペットショップに行って詳しい店員さんに教わり、1つスキマーを買い、取り付けてみました。
 今回購入したのは、TUNZE DOC Skimmer 9001 DC という製品です。
 今のところ、順調に汚れを取り除いてくれています。


   
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