撮影日記 2024年5月分 バックナンバーへTopPageへ
 
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● 24/5/31 風呂



 引っ越し前に住んでいた建物の解体が完了しました。
 鉄筋と木造の二棟あった建物のうち、こちらは鉄筋の方。
 幾分、元の建物の跡が残っているのですが、そこが何だったのかは、30年ここで暮らし、しかもその土地をフルに生かすためによく見ていたはずの僕でも、多少考えなければ分かりません。
 


 そしてこちらは、木造の方。
 コンクリートの上に少しだけ見えている青っぽい箇所が、風呂だった場所です。
 ボロボロの建物だったので、僕は風呂のタイルにいずれ穴が開いて床が抜けるのではないか?と心配していたのですが、杞憂でした。
 風呂場の床は、地面の上に直に乗っかている構造になっていて、抜ける余地がありませんでした。
 なぜそう思ったかというと、建物の床下よりも、風呂の床の方が高かったからです。
 風呂の床が高い分、その下には空間が存在すると思っていたのです。

 更地になってみると、木造の建物が建っていた箇所の床下は、周囲よりも低く、まるで掘ったかのような状態になっていました。
 つまり周辺から水が流れ込む構造になっていて、年中湿度が高かったはずです。
 でも掘ったとは考えにくいので、恐らく周辺の方がかさ上げされたのでしょう。
 また、建物と風呂は作られた年代が異なり、風呂は後から作られたのかな?





● 24/5/30 ミジンコ

 ミジンコの卵の孵化を撮影したいのですが、なかなか孵化してくれません。
 レンズを卵に向けいつでも撮影できる状態で待機すると、何も結果がでないままあっという間に2週間が過ぎ去ってしまいました。
 この手の待機を求められる撮影は、いろいろなこと、特に人付き合いが犠牲になるので、上手く撮影できなければ大きなダメージとガッカリ感が残ります。
 しかたがないのでいったんカメラを撤去し、孵化しやすい条件を探るための実験を始めたことは、先日も書いた通りです。
 実験をしてみると、全く孵化をしないわけではありません。
 耐久卵と呼ばれる乾燥状態の卵を水につけて数日たつと、確かに小さなミジンコが生まれてきます。
 問題はその確率がとても低いことで、今のところ、千単位の卵を水に浸け、生まれたミジンコはわずか3匹。
 これでは、孵化の瞬間の撮影ができるはずもありません。
 誰かに教わるしかないのかな・・・いや、耐久卵の孵化の確率なんて、そもそも、そんなものなのかなぁ。
 実は、ミジンコは、従来考えられていた生き物とはかなり違う生き物だったことが比較的最近明らかになっています。
 https://www.tohoku.ac.jp/japanese/2015/04/press20150407-01.html
 この発表を読むと、従来言われていたことはいったい何だったのか?ただただ混乱の一言です。
 もしかしたら、僕が知りたい耐久卵の孵化に関しては、誰も詳しくは知らない可能性さえあるような気がしてきます。
 ともあれ、誰かに教わるにしてもできることは一通りやってみる必要があるので、昨日は、孵化しなかった卵を解剖してみることにしました。
 卵を実体顕微鏡で見ながら、ピンセットやその他の器具で耐久卵と呼ばれる鞘に入った卵を分解してみました。
 まあ、前進と言えるようなことは、何もわからなかったのですが。

 引っ越し後に本格的に顕微鏡を使うのは、昨日が初めてでした。
 顕微鏡を使う位置は決めてあったしある程度の準備はできていました。
 でもいざ作業をしてみると、改善しなければならない点が幾つかあり、作業を中断して買い物に行ったり、加工をしたり・・・と予定よりもずっと時間がかかってしまいました。
 引っ越し後、すべてがまっさらになっているので、何かといわゆる初期設定みたいなものが必要で、リズムに乗るまでにはもうしばらく時間がかかるのでしょう。



● 24/5/25 写真の撮り方を忘れる?

 引っ越し〜引っ越し後の慌ただしい時期が過ぎ去りました。
 ところが、さあ、写真を撮ろう!と意気込んだものの、やることなすこと、とにかくひどく上手く行きません。
 最初に取り組んだある生き物の卵の孵化の撮影は、卵が孵化をしてくれませんでした。
 2週間ほどカメラの前で待機をしたものの孵化をしないので、いったん撮影を中止ににして、卵の孵化の条件を探る実験をすることにしました。
 2週間結果が出ないのはなかなかのダメージです。それを思うと、カメラをセットする前に実験をすべきだったのですが、早く引っ越しを終え早く撮影をリズムに乗せたいという焦りがありました。

 実験の結果が出るまでに、と次は干潟に行ってみたら、今度は工事中で写真が撮れませんでした。
 ああ、交通費がもったいない・・・
 よく考えてみると、普段はどこで工事をしているなど他の取材の行き帰りに何となく見て無意識のうちに情報収集をしているわけですが、昨年夏ごろからの引っ越しの準備等でその時間が取れず、状況が全く分からなくなってしまったのです。
 しかたがないので、干潟の予定を変更してその足で滝を見に行ったら、今度は滝の撮影に適したレンズがないことに気付きました。
 干潟のことしか考えていませんでした。
 う〜ん、予定が外れた時のために第二候補をリストアップして準備しておくんだった。
 翌日は磯に行って、「よし!今日の写真は決まったぞ!」と思ったものの、帰宅後に画像を見てみるとイマイチでした。
 細かいところの気配りが足りませんでした。
 昨年の夏ごろから本格的に引っ越しの準備を始めて以降、撮影から離れがちだった間に、まるで写真の撮り方を忘れてしまったかのようです。
 失敗が続きで、しだいに元気が出なくなってきました。ふと気が付くと、体が重くてやる気が出なくて、書物などに書かれている鬱っぽい感じ。
 これはやばいぞ!というので、昨日は里山ビオトープに行ってみました。今の時期、状態のいいビオトープなら、これでもか!というくらいに生き物がいるので、勝手に夢中になれるのではなかろうか?と。
 すると狙いは的中して、被写体には事欠かないし、とにかく写真を撮ることができました。
 しばらくすると、
「あれ?これ、カメラの設定はどうするんだっけ?」
 とか、
「ここマダニが心配だけど、虫よけ忘れたな」
 などと、写真の撮り方や野山の歩き方に関するもろもろを思い出してきました。
 そうそう、それらをメモしておいて帰宅後にすぐに対応して次の撮影に備えることを延々と繰り返すのが、僕の日常なのです。


OM SYSTEM OM-1U
M.ZUIKO DIGITAL ED 40-150mm F2.8 PRO MC-14

OM SYSTEM OM-1U
M.ZUIKO DIGITAL ED 40-150mm F2.8 PRO MC-14


● 24/5/23 少数派


OM SYSTEM OM-1U
M.ZUIKO DIGITAL ED 90mm F3.5 Macro IS PRO

 網戸にとまったカメムシが朝の光できれいやな、と何となくカメラを向けました。
 その後、画像処理をしようと思ったら、ソフトから
『このカメラには対応していません』
 と拒否されました。僕が使用している画像処理ソフトのシルキーピクスは、新製品のOM-1Uにはまだ対応していないようです。
 しかたがないので他のソフトを試すと、ライトルームはOKでした。
 OM-1やOM-1Uに関しては、今回のシルキーピクスのように非純正のソフトの対応が遅かったり、安価なL型ブラケットが売られてなかったり、知りたいことがあってネットを検索しても、ユーザーが多いカメラほどは情報が集まらなかったり、時々、少数派の悲哀みたいなものを味わいます。
 ソフトについてはOM純正を使用すればいいのですが、操作やその他がやや独特なので、僕は覚えなければならないことを減らすために、いろいろなメーカーの画像を扱える非純正ソフトを使用しています。
 OMは、オリンパスの時代から全体に操作その他が独特です。
 僕の場合、いろいろなメーカーのカメラを使うこともあって、もう少し他社の製品に寄せたらいいのにな、と感じることが多々あります。
 
 ともあれ、オリンパスやOMは、自社の製品だけを使わせようとする傾向が強いように僕には感じられます。
 でもむしろ、一芸に秀でているOMの製品は、他社の製品と組み合わさった時に威力を発揮する道具ではないか、という気がします。
  
  

● 24/5/19 孵化

 ここ2週間は、ある生き物の卵の孵化を待機中です。困ったことに卵の孵化率が低くて、とても撮影できる気がしません。
 せめてもの救いは、多分、孵化は秒を争うような瞬間ではないこと。したがってある程度他の仕事をしながら待てるのですが・・・
 徐々にしんどくなってきました。
 最初は引っ越し直後だったこともあり、やらなければならないことが多くて、孵化を待ちながら用事を片付けていました。
 ところがそれらの用事がおおまかに片付いても、まだ孵化を確認できません。
 今くらいの気温が一番適しているのではと予測し、4〜6月の間に何とかしたいと思うのですが。
 撮影できないならまだしも、撮影なしでただ孵化をさせることも、ほぼほぼできていません。
 有名な生き物なのに、僕が検索した範囲では、ネット上にその生き物の孵化を紹介した記事はありません。
 代わりに、同じ仲間の別の種類を材料にした孵化の実験がヒットするのは、僕が撮影している種の孵化が難しいから?
 ともあれ、今回は専門家に教えを乞う必要があるかもしれません。
 
 年々しみじみ思うは、自然写真の中でも仕事になる部分は泥臭いです。
 単に苦労が伴うだけでなく、地味でロマンとは対極の、人がやりたがらない撮影が圧倒的に多いです。
 おそらく自然写真に限ったことではないのでしょうが。



● 24/5/16 更新のお知らせ

 4月分の今月の水辺を更新しました。



● 24/5/15 自作の器具





 引っ越しの中でも労力を要したのは、大きな水槽でした。
 最初は、水槽から取り外した諸々の器具をきれいに掃除して水槽ごとに保管していたのが、引っ越しを終えなければならない期限が近付くにつれて、それどころではなくなりました。
 やがて、部屋の一角には、泥や苔で汚れた清掃待ちの器具が積み重なりました。
 もはやそれらをきれいに洗う気にはなれず、最後は、金目のものをのぞいて、まとめて捨ててしまいました。
 特に自作の器具は、たくさん捨てるはめになりました。
 
 捨ててしまったものの中には、新しい仕事場で早くも必要になったものもあり、さっそく幾つか作り直しました。
 今日の画像は水槽の水をきれいにする自作の器具で、容器の中に活性炭を入れます。
 活性炭には水の色付きを取る働きがあり、水槽を使用して写真を撮った時に写真が妙に黄色っぽくなったりするのを軽減します。
 活性炭は、水をろ過するろ過装置の中に入れるのがセオリーです。そうすることで、水がろ過装置の中を通過する際に活性炭の層も通ることになりきれいになります。
 一方で、活性炭には効果が長続きしないという弱点もあり、いったん閉じると開けるのが面倒なろ過装置の中に入れてしまうと、取り換えが手間になります。
 そこでうちでは、活性炭を簡単に取り換えられるように、活性炭専用のポケット的なものを水槽の縁にぶら下げています。
 それはともあれ、随分物を捨てたので、当分は、何か撮影をするたびに必要な器具を作らなければならない日々が続くことでしょう。



● 24/5/14 仲間からのメッセージ

「モリアオガエルの卵が40ありましたよ」
 と生き物仲間からの画像付きのメッセージが届きました。
 そうしたメッセージは、とても嬉しいと同時につらく感じられることがあります。
 なぜなら、見に行きたいと思っても目の前の仕事を終わらせなければ出かけることはできないし、抱えている仕事はだいたい簡単には終わらないから。
 僕のように写真の使用料だけで生活しているタイプのカメラマンの場合、今の自然写真業界では、よほどに能力が高いか要領が良くない限り、仕事の撮影に加えて自分が好きなものを撮りに行く時間は、ほぼないでしょう。
 自然写真を仕事にすることで、僕にとって一番しんどいのはそこかな、と感じます。趣味を仕事にするのではなく、学生の頃趣味として撮っていた写真をやめて、別の写真を始めるのに近いと感じます。
 そして仕事としての撮影は、地味で、面白みが少なくて、泥臭くて、おまけに難しいことが多いです。
 別に好き好んでやっているわけなので、いわゆる不満ではないのですが。
 
 さらに言えば、地味で、面白みが少なくて、泥臭くて、おまけに難しい撮影に打ち込んでも、評価されたりうまくやっていけるとは限りません。
 そんな時に、人はしばしば不満がこみ上げてきます。
 俺がこんなにやっているのに!とか、人が都合よく自分を使おうとしているとか、いいように利用されてポイと捨てられるとか・・・
 つまり、自分が好きで、自分の意志でやっていることを忘れてしまい、やらされている状態です。
 やらされるとは、自分がやってあげているという意識でもあります。
 やってあげてるは、=感謝されたいです。
 でも自然写真みたいな活動は、やらされるものでも、やってあげるものでもない、と改めて思い直します。
 
 

● 24/5/13 おいらは宿なし

 夏の車内でも保管できるという大型バッテリーを買ってみました。高かったです。
 代わりに一本、レンズを売ることになりました。
https://online-store.jvckenwood.com/c/portable-power-supply/ipb01g
 夏の車内でも大丈夫なのは、電気自動車である日産リーフの廃バッテリーをリサイクルして使用しているかららしいです。
 日産は、日本のメーカーの中では電気自動車に熱心です。
 その姿勢は、一眼レフが圧倒的に優勢だった時代に先を見越してミラーレスカメラに着手したソニーと被るものがあります。

 3万円をこえるポータブルバッテリーを購入したのは、今回が初めてです。
 今まで高価なバッテリーを買わなかった理由は、撮影の場合、車から長時間離れるので、夏場の車内の高温が気になったから。
 これまで使用していたのは約30000円。120000mAh/384Whの製品でした。
 リチウムイオン電池の中でも、いわゆるリン酸鉄バッテリーで、従来のものよりも危険性が低いとされているものですが、一抹の不安はありました。
 したがって、高温対策されたバッテリーが発売されたら買おう、と思っていたのです。
 僕の場合、車は宿なので、人気のないところで撮影でクタクタになって夕刻車に戻ってみたら車が燃えていたなどというのは、もっとも想像したくないできごとです。
 車が動かなくなっただけなら、当面その日の夜は眠ることができますが、燃えてしまったらどうにもなりません。
 もしもそんなことが起きてしまったら、子供の頃にヒットしたツイストの「宿なし」のサビが脳内に流れることでしょう。
 おいらは宿なし。



● 24/5/11 日本の住宅事情

 カメラが一眼からミレーレスに変わって、レンズをすべてミラーレス用に買い替えるなんて不可能だ、と思っていました。
 ところがより狭い場所へと引っ越すことになり、機材の置き場に困り不要なものを全部売ってしまい換金したら、なんと!そのお金で、一眼レフ用だったレンズをほぼほぼミラーレス用に買い換えることができました。
 厳密に言うと、新たに買ったレンズは種類を絞ったし、f1.4だったレンズがf1.8になるなど新しく買ったレンズの方がグレードが低いものもありますが、最近のカメラやレンズはどれもよく写るので、もうそれで十分でしょう。
 僕は、使わなくなった道具は何となく残しておきたいのですが、日本の住宅事情などを考えると、ドライだけど売った方がいいんだろうなと感じました。
 機材と同様に、本もそう。紙とデジタルとでは、現状では紙の方が好きだけど、紙の本は置き場に困ります。
 引っ越しをきっかけに、本も基本デジタルでいいと思うようになりました。
 僕は、世間が、本のデジタル化に熱心ではないと感じます。今販売されているデジタル書籍は、紙の本をただデータにしただけだから。
 音声で本の中身を検索できるとか、音声ではなくてもせめてキーワードで該当箇所をリストアップできるとか、デジタルならばでの書籍を出してもらいたいものです。



 さて、OM SYSTEM OM-1の予備として持っていたOM-D E-M1 Mark IIIを手放し、代わりにOM-1Uを購入しました。
 僕のE-M1 Mark IIIは状態が良くまだまだ使えるカメラだったのですが、OM-1とはバッテリーが違う点が面倒だったので、同じバッテリーのカメラに揃えました。
 どうせなら、E-M1 Mark IIIがいよいよ古くなる前に手放した方が高値がつくので、まだまだ使えるカメラをエイッと買い換えました。



● 24/5/10 作業台



 引っ越しの際に、やたらに広かった以前の場所と違って大きなテーブルが置けなくなるのは、なんとなく気になっていました。
 スタジオでは、頻繁ではないものの、大きなものを切る機会があるのです。
 引っ越し当初は作業台を諦め床で作業をするつもりでしたが、やってみると年を取って硬くなった体では動くにくいのと、床はゴミが気になるので、やっぱり台が欲しくなりました。
 どうしたものか?と考えた挙句、俗に「馬」と呼ばれる脚に板を乗っけることで、収納式の作業スペースを作ってみました。
 通常馬は2つ使用するのですが、うちでは1つにして、あとの一方はテーブルで代用しました。テーブルと馬の高さが合わなかったので、端材のような木の板を入手して、高さを揃えました。
 昨日触れたように、しばらくはスタジオに張りつかなければならないので、その膨大な撮影の待ち時間を有効利用して、作業台に限らず、引っ越し後にどうしたものか?と保留している工夫が必要な諸々の案件を考えてみましょうか。

 その進行中のスタジオでの撮影は、ある小さな生き物の孵化のシーンです。
 問題は、卵が孵化をする率が非常に低いこと。それから、卵を撮影可能な状態でレンズの前に置くのが非常に難しいこと、の2点。
 この2点のうちのどちらかがなければ、何とかなりそうな気がするのですが、2つの悪条件が重なっている状況では、いったいどれだけ待ち時間が必要になるのでしょう?
 果たして結果は出るのでしょうか?
 正直、結果を出せる気がしません。
 でもこの手の撮影で大切なことは、結果が出そうかどうかにかかわらず、同じようにやることではないかという気がします。
 結果が出そうとか出そうもないなどと検討することを排除し、まるで機械のように振舞うことです。
 自然物を相手に結果を出そうとする場合、感情の波は、だいたい悪い結果に結びつきます。



● 24/5/8 ややこしい撮影



 今日から、引っ越し先では初の、ややこしい撮影です。
 画像は、まだ被写体を置く前の段階。被写体より先に機材をセットします。
 カメラとレンズは、OM-1に90mmマクロ。ストロボを使用するので、GODOXのトランスミッターをカメラに乗っけます。

 カメラには、外付けの液晶モニターを接続します。
 OM-1の場合、外部モニターを接続すると、ファインダーの見え方が「標準」のみになり、ストロボ撮影の際に使用する「S-OVF」を選べなくなるのががっかり。
 代わりにナイトビューモードを選択すれば、それなりに使えますが、見え方はやや不自然なので、外部モニターでS-OVFを使えないのは是非とも改善してもらいたい箇所です。
 大きめの外部モニターを使用すれば、被写体が大きく表示されるので、観察をしながら撮影するのに適します。
 その外部モニターを、今度は、いわゆるWEBカメラで映します。
 WEBカメラとは、映像をインターネットを使用してパソコンやスマートフォンに転送するシステムです。
 すると、被写体が今どうなっているかをパソコンやスマートフォンの位置で確認できるようになります。
 僕はスマカメという製品を使用しています。
 こうしたややこしい撮影の際には、機材がちゃんと組めるかどうか、毎回自信がありません。
 ありがちなのはコード類が不足するとか、そもそも何をどう組むのか、自分が考えたやり方を忘れてしまうことです。
 特に今回は、引っ越しで物を動かしているのでなおさらですが、作動させてみたところ、ちゃんと動きました。
 
 あとは被写体を置くだけですが、今後一週間くらいの期間、なるべく用事が入っていないタイミングを選んでセットします。
 スマカメを活用するとはいえ、ある程度張りつかなければならないので、大きな用事は論外として、時間が決まっている約束なども禁物です。
 
 

● 24/5/7 モデリングライト



 僕がスタジオで使用している機材は、必ずしもお勧めできません。僕の場合、購入した物の中で気に入った道具を野外で使い、気に入らなかったものをスタジオで使うことが良くあるから。
 例えば三脚などは、買って使ってみて、これイマイチだったなと思ったら、スタジオで使います。
 野外では、道具が使いにくいとどうにもならない場合がよくあるのに対して、スタジオでは少々道具が使いにくくても何とかなるからです。
 スポーツに例えるなら、スタジオで使っている道具は2軍みたいな感じでしょうか。
 また、スタジオ用の機材を買う際には、なるべくお金がかからないようにします。これいいな、と思っても、高価なものにはあまり手を出しません。それから買い替えもなるべく控え、持っている道具を使いつぶすことを考えます。
 スタジオで撮る写真は、完全な仕事。限られたお金は、なるべく野外での撮影に費やしたいのです。
 ですが、GODOXのストロボ MS300-Vに関してはなかなか良くて、人に勧められると感じました。
 すでに持っていたMS300との違いは、モデリングライトがLEDに変更された点です。
 LEDと言っても、恐らく撮影用ではないと思うのですが(どこにも記載がないので)、今まで僕が使用してきたストロボのモデリングライトと比べると各段に光の質が良く、カメラのシャッターを押してストロボを光らせて実写した結果と、撮影前にモデリングライトに照らしだされた被写体の像との差が小さく、撮影結果を予測しやすいです。
 僕がスタジオ撮影を覚えた頃は、モデリングライトは赤っぽい光でした。赤っぽい光で照らし出された被写体は、実際に撮れる写真とは印象が違いました。
 実は、MS300-Vを使ってみて今更ながら、モデリングライトの品質ってすごく大切なんじゃない?と感じました。
 そのモデリングライトの性能を生かすためには、撮影時に、モデリングライト以外の光が混ざらないように、部屋に外光が入らないようにして、その他の照明を消す必要があります。
 
 MS300-Vは、先日MS300の調子が悪い日があり壊れる前にと購入したものですが、あと1つ欲しくなりました。



● 24/5/6 Dダイレクト


 
 先日渓流で、釣果がイマイチだし引き上げようかというタイミングで、試しにスミス社のルアーDダイレクトを使用してみたら、絶大な効果がありました。
 Dダイレクトは、ルアーの先端のリップと呼ばれるパーツが長く、水に深く潜りやすい構造のルアーです。
 ところが、これスゲー、あと何匹釣れるんやろうと気合いを入れたら、何でもないところで糸が切れ、ルアーはポトリと足元へ。
 流れが速い場所だったので、あっという間に流されてなくなってしました。
 リップが長いルアーは、1つくらい持っておこうかとお守りみたいに買ってみたものの、用途が限定されるルアーであり、万能な製品が好きな僕は、ちゃんと使ったのは初めてでした。
 Dダイレクトがハマる場所があるのでしょうね。
 これまでは1つだけ持っていたのを3つ購入し、よく使うルアーを収納するケースにDダイレクトの場所を設けました。

 メーカーのサイトを見てみたら、開発者は、僕が子供の頃にハンドメイドルアーで有名だった平本仁さん。
 急に平本さんのハンドメイドルアーを見てみたくなり、ハンドメイドルアーの本を手に取ろうと思ったら、引っ越しで捨ててしまったことに気付きました。
 しまったなぁ。
 実は、引っ越し先に持っていきたいと思っていたものの、一番最後まで手を付けられなかった一角に置いてあった本であり、時間と気持ちの両面で切れてしまい、もう全部捨てる!と廃棄してしまったのです。
 さて、ちょうど思いがけず高額で使用された写真があったので、そのギャラで平本さん開発の竿も買ってみました。



● 24/5/5 大地震がきたら?

 引っ越し前の場所で僕が所有していた建物は2棟。
 1棟は築40〜50年の鉄筋。あとの1棟は、少なくとも築70年の木造です。
 撮影スタジオや生き物の飼育場所として使用していた鉄筋の方は、雨漏りがひどくてどうにもならない状態でした。
 また、コンクリートに直に壁紙が貼ってあり断熱材が何も入っていないので、夏は暑いし冬は寒いしで、大変に使いにくい建物でした。
 特に夏の暑さはこたえました。前日の熱が翌日まで残っていて、夜明けの段階で室温が30度を超えているのが当たり前。しばしば屋外よりも高温になりました。
 元々は大きな業務用の空調が取り付けられていたものの、僕が前の持ち主の方から建物を買った時には、取り外されていました。
 夏場にその建物の中で撮影するために、僕は、俗にいう空調服を買いました。
 ただ、腐っても鉄筋。
 前の道路を車が走っても建物が揺れないし、ごくわずかな揺れの影響を受ける微細な生き物の撮影には適していました。
 また、大きな地震が来ても倒れることはない安心感がありました。
 実際、区画整備で立ち退く時の補償額を決める家屋調査の際に、建物の地下にはしっかりした基礎が打ってあることがわかりました。
 一方で生活に使用していた木造の方は、冬は日によっては屋外よりも寒いけど、夏は涼しくて、助かりました。
 最初は雨漏りがあったけど、一度の修理で完治しました。
 ただ、立方体の建物を構成する4本の柱のうち、1本が土台から落ちている状態で、強度に不安がありました。
 その落ちている柱の傍に位置する部屋の一階部分は、万が一建物が倒壊した場合に備え、僕以外の人が入る可能性を低くするために、機材を置く部屋にしていました。
 また、来客の時には、もしも今大地震が来たら・・・と内心気になり、なるべく客人を木造の建物の方には留めないようにしていました。
 ただ鉄筋の方は前述したように暑かったり寒かったりするので、それそれでまた気になっていましたが。
 
 さて、先日家族そろって前の家を見に行って、みんなが感じたのは
「よくこの危うい建物に住んでたね。」
 でした。
 柴犬のナナだけは、一生の大部分を過ごした場所に戻って喜ぶんじゃないか?と思っていたら、拍子抜けするくらいに興味を示しませんでした。考えられるのは、前の家は駅のすぐ裏で音がうるさく、音が苦手なうちの犬には、改めて行ってみて音が怖かったのかもしれません。
 うちの犬は、音には最後まで慣れませんでした。
 その点、引っ越し先の直方市はとても静かです。



● 24/5/3 暇つぶし

 約40日間の引っ越しの間、自然や写真撮影のことは、ほとんど考える気になりませんでした。
 したがって僕の大きな心配事は、引っ越しを終わった後に、また張り切って仕事ができるかどうか。
 果たして、ここ数日で運び込んで積んであった荷物をある程度収納してみると、また写真でも撮ろうかな、という気持ちになってきました。
 僕の場合、どうもその日一日夢中になってできることがあれば、その中身は割と何でも良いのでしょう。
 つまり、僕にとって生き物の写真撮影は、ある種の暇つぶしということになります。
 『これを達成しなければならない』みたいな使命感や『名を残したい』みたいな何かも、あまりありません。目の前にあることに夢中になって取り組めれば、それで良しです。
 当分生きている可能性が高いので、それならなるべく楽しいことをしようかと考えた結果が生き物の写真撮影なのだ、と考えると理解しやすいのです。
 逆に言うと、もしも余命宣告をされたなら、僕が一番やりたいことは、生き物の写真撮影ではないことになります。
 それは何となく前々から思っていたことで、余命宣告をされたらお金を残しても意味がないから例えば憧れのカメラを買うのか?と言えば、僕は多分買わないでしょう。
 カメラは多分当分生きているから欲しいのです。



● 24/5/1 棚

 新しい家に設置した幅90p×高さ180pのスチールの棚4つは、恐らく僕が引退する時まで動かすことはないだろう、と思っていたら、今の配置では収納できないものがでてきて、さっそく移動させることになりました。
 人の心理として、どうしても運びやすい物や収まりやすい物から引っ越しをするので、あとには扱いにくいものが残り、それらを収納するには特殊な空間が必要でした。
 扱いにくい物とは、大きな板やガラスの類です。スタジオでの写真撮影には、その手のものが必要になるのです。
 板が残っていることは頭にありました。
 でも、何とかなるんじゃないと思っていたら、なんとかなりませんでした。
 当分動かすことはないと思っていたので、棚を設置する時には丁寧に水平を取りました。が、移動させる際にはもはやそんな気にはなれず、新たに置き直した棚はもう適当です。
 それなら最初から適当にやっておけば良かった。
 せめてもの救いは、スチールの棚を壁にねじ止めしていなかったことです。
 昨今は地震対策が必要なので、いずれ棚を壁に打ち付けるつもりですが、本当に棚が今の位置でいいのかどうか、いろいろ使ってみて作業に移った方が良さそうです。

 ともあれ、スタジオに置いてあった邪魔くさい大きな板や取り扱い注意のガラスが安全な場所に収まり、撮影ができる状態が整いました。
 やはりホッとします。


   
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自然写真家・武田晋一のHP 「水の贈り物」 毎日の撮影を紹介する撮影日記 2024年5月分


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