撮影日記 2023年9月分 バックナンバーへTopPageへ
 
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● 23/9/28 高価な機材よりもわずかなテープが



 どんな高価なカメラやレンズよりも、テープとかごみ袋とか紙とか細い棒とか・・・そんな何かの方が必要な場合が、野外の撮影現場では時々あります。
 撮影中にアングルファインダーが壊れてしまい、覗きこむ筒の部分がクルクル回転するようになりました。
 何か固定できるものはないか?とカメラバッグの中を漁ってみたら、けがをした時に使おうと思っていた医療用のテープがありました。
 ありがたや、ありがたや。まさか、こんな用途に役立つとは!

 ただ困ったのは、縦位置の撮影です。
 テープをはがして、アングルファインダーを縦位置の角度に変更して、またテープを貼らなければならないのです。
 そんなにたくさんテープを持っていたわけではなく、しかたがないのでこの日は横位置メインで撮影しました。
 縦位置の写真は、アングルファインダーを使わずに撮影することにしました。
 すると、アングルファインダーなしでも撮影はできるけど、アングルファインダーがあった方がいい被写体の撮影結果が、若干被写界深度が足りなかったりとか、構図が甘かったりとか、ややよろしくない。
 詰めが甘いわ!と帰宅後にガッカリです。
 やっぱり被写体が見やすいとかよく見えるというのは、写真撮影の際にとても重要なのです。
 それにしても、現在、ミラーレスカメラを作っているメーカーでアングルファインダーをラインアップしている会社が一社もないのが、実に不思議。
 そんなに特殊な一部の人しか使わない道具かなぁ。
 可動式の背面液晶を代用にせよということなのでしょうが、代用にはならないです。





● 23/9/22 技術屋の世界

 ハイエースのバッテリーを交換するために車屋さんに行ったら、整備士さんの体調が悪くて、代わりの人に変えてもらうことになりました。
 いつもの整備士さんは社長さんでもあり、「自分が売った車はかわいい」と、基本的にいつも自分の手で、本当に心を込めて整備をしてくれます。
 その結果、うちのハイエースの走行距離は30万キロを超え20年も乗り続けている車なのに、過去に一度も故障したことがありません。
 ご家族の方に聞いてみたところ、社長さんは子供の頃から車が大好き。先生や農業関係者が多い家系らしいのですが、専務である弟さんと一緒に一念発起をして車屋さんを始めたのだそうです。
 残念ながら後継者はなく、社長さんはもう普通の工場なら引退しているであろう年齢なので、体の調子も良くないとなると、この先その整備を受け続けることは難しいでしょう。
 同じタイプの車屋さん、つまり車が大好きな整備士さんが経営している車屋さんはないかな?と保険の仕事をしている車に詳しい人に聞いてみたのですが、思い当たらないとのこと。
 今の時代は、個人経営の車屋さんがやっていくのは、難しいのだそうです。
 社長さんは絵に描いたような技術屋さんで、いつ行っても手を真っ黒にして車の整備をしていて、愛想のいい挨拶などはないのですが、僕は、挨拶みたいな社会の手続きよりも、技術、つまり実にこだわる人が好きです。

 写真に関しても同じで、僕は技術にこだわる人が好きです。
 印刷物が出来上がるまでにはカメラマン以外に、編集をする人、デザインをする人、いろいろな写真を集める人などいろいろな人がかかわりますが、写真を取り扱うからには写真を勉強する意思を持ち、写真ってこう写っているべきだ!という考えを持っている人と仕事がしたいです。
 写真を勉強している人は、時に、
「もっとこういう風に撮って」
 などと言うのでとてもメンドクサイのですが、メンドクサイのが嫌なら写真の仕事なんてやめてしまった方がいいと思っているのです。



● 23/9/12 更新のお知らせ

 8月分の今月の水辺を更新しました。



● 23/9/11 凄腕のカメラマン

 先日、大分県の保育園で、園の様子や子供たちの姿を撮影しました。
 生き物の本を作っている出版社の中には、保育園や幼稚園向けの雑誌を作っている会社もあり、そんな縁で引き受けた仕事でした。
 慣れない被写体なので、さすがに緊張しました。
 僕は、普段は直前の準備にはあまり時間をかけないのですが、今回は自分の想定外の状況でも対応できるように、あらゆる機材をテストして車に積み込みました。

 その緊張をより一層高めたのが、園のホームページでした。
 園を紹介する写真が、とにかくいいんです。
 これは、いわゆる写真館のカメラマンさんのレベル、つまり業務のレベルじゃないよな・・・。フリーの写真家として名前のある人が撮っている?
 とにかく被写体に肉薄していて、よくこの瞬間に立ち会えたよな!という写真ばかり。外部の人間がパッと行って、ここまで被写体に迫ることができるのは、とてつもない凄腕?
 どうにもならないくらいに子供たちのことを好きで、子供たちからも愛される人?
 内心、このカメラマンさんにお願いした方がいいのではとさえ思いました。
 果たして取材の日、園長先生の話を聞いたり先生が撮影した園の動画を見ていると、ホームページのあのすばらしい写真の数々は、園長先生が撮影したもの?と思えてきました。
 答えを聞くのは無粋な気がして、本当のことはわからないのですが・・・
 ふと、子供の写真は、どんなプロが撮影したものでも、保護者の方が撮影したものにはかなわないという説を思い出しました。



● 23/9/1 レリーズ







 今僕が使用しているニコンの純正レリーズは、この3種類です。

 左の製品は、送信機(WR-T10)と受信機(WR-R11b)がセットになっていて、カメラのレリーズターミナルに受信機を挿し込み、送信機でカメラのシャッターを作動させます。
 特徴は、非常に遠くまで電波が飛ぶことです。距離を実測したことはありませんが、赤外線を使用したレリーズとは比べ物にならない遠距離からカメラをレリーズできます。
 それから、受信機側には、カメラ本体から電源供給されます。
 この手の送信機と受信機に分かれているレリーズの嫌なところは、電池の管理です。
 一般に小型のレリーズの電池はそんなに頻繁になくなるわけではありません。
 ただ、生き物が現れそうな場所にカメラをセットしてせっかく待って、ようやく遠くからレリーズする段階で電池が切れるのは、実に間抜けな失敗です。
 したがって毎回電池を入れ替えざるを得ません。
 その点、受信機側の電池の管理から開放されるのは、非常にありがたいです。
 送信機側は自分の手元にあるわけなのでいつでも電池交換できるし、電池の管理にそこまで神経質になる必要はありません。
 また、この製品を取り付けた状態でカメラをスリープさせることが可能です。
 したがって、生き物が現れるまではカメラをスリープさせておき、必要な時にだけカメラを目覚めさせれば、長時間待機する撮影でもカメラの電池の消耗を抑えられます。

 中央は、ML-L7という製品で、Bluetooth接続でカメラと接続します。
 通信可能な距離は10Mとされています。
 この製品の特長は、こんなに小さなレリーズなのに、カメラのシャッターを作動させる以外に、カメラのメニューを操作できることです。
 つまり、ほとんどすべてのカメラの設定が、距離10Mの範囲とは言え、無線で可能です。
 また、フォーカスポイントの位置の変更もできます。
 カメラに5〜10MくらいのHDMIケーブルを使用して外部モニターを接続し、穴の中などに隠れている生き物が姿を現わしてくれるのをちょっと離れた場所でモニターを見ながら待つような撮影に最適です。
 ただし、このレリーズでスリープしたカメラを起こすことはできません。
 したがって長時間の撮影では、上に紹介したレリーズと併用してカメラをスリープから目覚めさせるか、カメラのスリープをオフにして、電池がなくならないようにカメラに外部給電する必要があります。
 カメラが目覚めてさえいれば、レリーズの電源を入れれば、カメラに触れることなくカメラとレリーズを接続することが可能です。

 右はMC-N10という製品で、カメラとはUSBケーブルで接続します。
 特徴は、カメラのグリップの形をしていて、通常カメラで行う右手の操作の大部分が可能なこと。
 また、グリップの形状をしているので、非常に操作性がいいことです。
 この製品も、カメラに5〜10MくらいのHDMIケーブルを使用してモニターを接続し、隠れている生き物が姿を見せるのをちょっと離れた場所でモニターを見ながら待つような撮影に使えます。
 今回紹介する3つの製品の中では一番高価ですが、設計が甘い面もあります。
  MC-N10を接続すると、カメラがスリープしなくなり、電池の消耗が早くなります。
 そこで外部電源を使用してUSB給電したいのですが、NikonZ8のようなUSBターミナルが2つ存在するカメラ以外では、USBターミナルが不足して一番手軽なUSB給電ができないことです。
 一方でMC-N10の電源を切れば、カメラはスリープできますが、再び電源を入れた際にカメラの側のOKボタンを押さなければ、MC-N10とカメラとを接続できません。離れた場所にあるカメラの位置まで行かなければなりません。
 レリーズとカメラを接続する際に、カメラのOKボタンを押す必要があるのでしょうか?せっかく画期的な製品なのに、クソ仕様と言ってもいいでしょう。もったいない。

 レリーズのラインアップは、ニコンが他社よりも充実している部分です。
 なのに残念なのは、WEBカタログを見ても、これらの製品で何ができて何ができないのが、現場の人間が一番欲しい情報が欠けていて、買ってみなければ分からない部分が散見されることです。
 そこで今回の記事は買ってみなければ分からなかった面に触れてみました。
 せっかくとても画期的な製品を開発しているのに、MC-10のクソ仕様なども含めて、実にもったいないのです。


   
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