撮影日記 2023年2月分 バックナンバーへTopPageへ
 
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● 23/2/17〜2/18 約束

 自信ないなぁと思いつつも引き受けた動画の仕事。
 何度も何度もチャレンジすればいつかは撮れる内容ですが、何日費やそうがギャラは同じなので、時間がかかり過ぎると僕は赤字になってしまいます。
 自信がない=映像を撮ることはできるだろうけど、黒字にできる自信はない、です。
 ところがやってみたら、なんと!実質10分で撮影ができました。
 そんなこともあります。
 逆に、同じくらいの難易度だと判断した撮影が2〜3日を要して長くなることもあります。
 10分と2〜3日はかなりのばらつきですが、その原因の大部分は撮影の技術の問題ではなく、モデルさん、つまり生き物の都合です。
 そんな時に、人の社会では自然が遠ざけられるはずやなぁ、としみじみ思います。

 人の社会は、予定が立てにくい、やってみなければわからない、約束ができにくいものを敬遠します。
 人の社会でどんな人が嫌われるかと言えば、約束を守らない人はその代表格でしょう。
 ところが日々の暮らしの中に自然が入ってくると、自然はどうなるかが分からない存在なので、約束を守れない可能性が高まります。
 おのずと、人がちゃんと約束を守ろうとすればするほど、自分の身の回りから自然を遠ざけておく必要が生じます。
 SNS上の、自然を愛する人の意見を読んでいると、自然愛好家には真面目な人が多くて、「自然を守るために人はちゃんとしないといけない」という意見が多いように感じられます。
 が、僕は、ちゃんとした社会になればなるほど自然は遠ざけられるのではないかという気がしてなりません。
 ちゃんとするのは必要だけど、程々という言葉が頭に浮かびます。



● 23/2/10〜2/16 更新のお知らせ

今月の水辺を更新しました。
今回は境界の話です。


● 23/2/7〜2/9 分類

 区画整備に伴い引っ越しをしなければならないことは、以前にも書きました。
 うちの場合は撮影機材や生き物やそれにともなう自作の物など引っ越し業者さんにお任せしたくないものが多々あり、物はなるべく自分で運ぼうと毎日少しずつ整理中。
 やっかいなのは紙の資料です。
 そもそも僕は、今や紙の資料を見ることはほとんどありません。理由は、探そうと思ってもどこに置いてあるか分からないことが多いからです。
 同じ資料でもデジタル化されたものは整理が容易いので、紙の資料の中で残しておきたいものはデジタル化をすることにしました。
 スキャナーを使うと時間がかかるので、デジタルカメラで複写です。
 複写台があると便利なので、倉庫に眠っていたものを現役復帰させました。実は、うちの複写台はもう20年以上使ったことがなく、引っ越しの際に処分しようかと検討していました。



 紙の資料に限らず、整理の際に最後に残るのは、分類しにくいものです。
 逆に言うと、人が物事を把握する際には、分類がとても大切だということ。
 そして、何かの分類群に一目できちっと分けられるものは、扱いやすいものです。

 さて、自然写真の仕事というのは、実はほとんどありません。
 あるのは、自然関係の仕事か、写真関係の仕事です。
 自然の仕事でもあり写真の仕事でもあったのは、僕が知る範囲では雑誌アニマくらいじゃないかな。
 自然と写真に限らず2つの分野にまたがる物事はとても面白いと僕は思うのですが、分類しにくいものは、人の社会の中では通用しにくい傾向があります。
 分野と分野の境界って面白いのに!と思うわけですが、自分で何かを整理してみると、分類しにくいものが通用しにくい理由がとてもよくわかります。
 例えば図書館に行って本棚を見ながら本を探す際に、探そうとしている本がどのカテゴリーに属するかパッととわかる場合は探しやすいでしょう。
 僕にとっての自然写真みたいに、興味があることならまだしも、あまり興味がないことだとなおさら。


● 23/2/2〜2/6 水量、水流、怖さ



 この場所は魚のたまり場。カワウ以外にも魚を食べる鳥がたくさんやってきます。
 時々潮の具合でその魚の姿が見える時には、
「なんじゃ、こりゃ」
 と思わず叫んでしまうくらいの大魚の大群がいます。
 ただし、見えるのはボラなど浅い位置にいる魚ばかり。
 目にできない魚もいるんだろうなぁと思うと、カワウのように潜って水の中を見てみたくなるのですが、仮に潜ったとしても、透明度が悪いので水中はほとんど見えないでしょう。
 また濁りに加えて大きな川の河口付近の水量は迫力満点で流れもあるし、潜ってみるなんて怖くてとんでもない!という気持ちにもなります。
 そんな時に、カワウは凄いなと思います。
 僕は水辺で写真を撮る際には水の表情を重視しているので、水に表情がある日にはよく写真を撮ります。

 大荒れの日の海辺などは、安全圏から写真を撮っていても怖くなり自分の立ち位置を何度も確認します。
 そんな日でも、カモメたちはいつものように波間を舞い、大荒れの海面に着水したりもして、カモメ凄い!と驚かされます。
 本職は凄い。



● 23/1/24〜2/1 D500





 恐らく、野生生物を撮影する多くのニコンユーザーの悩みは、ニコンのミラーレスカメラのオートフォーカス(AF)があまり優れていないことでしょう。
 Z9は別にして、ニコンのミラーレス機のAFは、ソニーなどと比べるともはや周回遅れの感があります。
 ニコンはAFを重視していないのか、昔から、AFが出遅れる傾向にありました。
 フィルム時代には、キヤノンのEOSになかなか勝てませんでした。
 F5でやっと追いついたかと思ったら、やがてカメラはデジタルの時代になり、またもニコンのデジタル一眼レフのAFは、キヤノンEOSの後塵を拝しました。
 ニコンとキヤノンとを両方使ってみると、明らかにキヤノンの方が簡単にピントが合いました。
 そしてようやくD5やD500で一矢報いたかと思ったら、今度はミラーレスカメラの時代へと移ろい、より古くからミラーレスカメラを開発していたソニーのカメラには全く歯が立たない状況に。
 仕方がないのでAFが重要ではない撮影ではミラーレスカメラを使用し、AFが物を言う撮影では古いデジタル一眼レフを使い続けているニコンユーザーは、僕だけではないでしょう。
 その結果、カメラをミラーレスへと置き換えつつも一眼レフも同時に持ち続けなければならず、いろいろと考えた結果、僕はD500とその予備にD7200を残すことにしました。
 本当は、すべてミラーレスカメラに置き換えてしまいたいのですが・・・

 さて、今回の画像はいずれもそのD500で撮影したものです。今では生産が終了した旧製品になってしまったD500ですが、AFの性能はなかなかのもの。
 被写体認識機能を搭載し、AFの際に鳥の形を認識できる最近のミラーレスカメラと比較しても、D500の方が好結果になることが多いように感じます。
 D500のような凄い製品を開発したかと思ったら、デジタル一眼レフの時代が終焉を迎えミレーレスカメラの時代になり全く別の構造のカメラを作ることになったのですから、ニコンは気の毒と言えば気の毒。
 ですが、D500とそん色がないAFを搭載したミラーレスカメラを一刻も早く発表してもらいたいものです。


   
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自然写真家・武田晋一のHP 「水の贈り物」 毎日の撮影を紹介する撮影日記 2023年2月分


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