撮影日記 2022年10月分 バックナンバーへTopPageへ
 
 
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● 22/11/17〜11/20 暇つぶし

 僕は普段、仕事で写真を撮る際に、これでOKという写真が撮れたとしても、まだ時間があり、撮影が生き物やモデルさんにストレスを与えるみたいな理由がない場合は、だいたい延々と写真と撮り続けます。
 それを、執念とかこだわりとか情熱と言われると、違うなという気がします。僕の場合、別に頑張っているわけではないからです。
 また、よりよい写真を撮って誰かに評価されたいとも思わないし、逆に評価されずに無下に扱われても、こんなに一生懸命やっているのに・・・的な心情にもなりません。
 僕は写真を撮りたくて撮っているだけというタイプなので、自分のスタイルについて誰かに話をする機会があった時には、「ただ好きだから」と答えてきました。
 でも実は、ただ好きだからにも、少しだけ違和感があります。
 それは、自分がもしも不治の病におかされ余命宣告などをされたら・・・と考えてみると、その時には、もう写真を撮ることはないような気がするし、ああ、もっと撮りたいのに・・・といった気持ちにはならないような気がするからです。
 実際のところは、そうなってみなければ分からないのですが、僕が生き物の写真を撮るのは、明日も多分生きていてなるべく楽しく暮らしたいからであり、一番ピッタリくる言葉は、「暇つぶし」かもしれないなと最近思うようになりました。
 ちなみに僕が仮に何か努力をしているとするならば、それは、自分が暇になるようにする努力です。
 他に何もすることがない時に、一番よく写真が撮れるからです。
 また誰かと組む際には、他にすることがあって早く終わらせたい人や評価されたくてたまらない人とは組まないことにしています。暇つぶしなんだから、早く終わらせられると困るし、「暇人」というのは後ろ指をさされる存在であり、評価とは相性が悪いからです。
 
 

● 22/11/13〜11/16 恩師

 生物学の学生時代の恩師が亡くなられたらしい、との連絡を受けました。
 先生に最後に会ったのは、2018年の7月。何の連絡もなしに、ブラリと遊びに行った時でした。
 僕はセレモニー嫌いなので退官記念パーティーやその他の集まりには出たことがない薄情な教え子ですが、山口で写真を撮る際には時々遊びに行ったのです。
 いつもは、退官後に打ち込んでおられた絵画の話が多かったのに、その時には、奥さんの体調が悪く介護が大変だということ、先生自身も記憶があいまいなことを話してくださいました。
 僕が遊びに行った数日前に、たまたま山口で何かの学会があり研究室の卒業生が3人ほどそろって遊びに来たらしいのですが、先生は誰だか思い出せないままで、
「君はわかるか?」
 と聞かれたので名刺を見ると、その中の一人が僕の4つ上の、先生がとても高く評価していた先輩でした。
 今では、普段から接している人以外は思い出せないことが多くなったと話しながら、病院で脳の検査を受けた際の画像を見せてくださいました。
 それから一ヶ月もたたないうちに、先生のお宅は空き家になり、売りに出されました。
 いつもの僕ならそこで手掛かりがなくなるはずが、最後に先生のところに遊びに行った際には研究室の後輩が一人一緒で、筆まめなその後輩が先生にお礼状を書いたのがきっかけで、先生のご家族から引っ越しの経緯が記された手紙が届いたらしく、娘さんがいる大阪の施設に入居されたことがわかりました。
 それから数年が経過し、後輩のもとに、今度は喪中のはがきが届きました。

 さて、どんな写真のノーハウよりも、何でもない誰かの一言が支えになることがあります。
 先生は、研究室の学生に、就職の世話をしない方針でした。進路みたいな重要なことは、自分でやるべきだと。
 ただ気にはしておられたみたいで、武田はどうするんだ?と聞かれたので、生き物のカメラマンを目指しますと答えました。
 すると、
「じゃあ、俺がしてやれることはないな。自分の腕一本で切り開いていく世界だな。」
 と話をしてくださいました。
 そんなことは僕にだって分かりきっているはずなのに、先生の一言で、より強固に決意が固まりました。
 そしていまだに時々、迷いが生じた時に、先生の言葉を思い出すのです。



● 22/11/10〜11/12 支払い

 レンズを一本通販で注文しようと思いパソコンを起動させたところ、ちょうどカード会社からのお知らせのメールが届いたので、先にチェックをすることにしました。
 すると、予想の3倍の額の請求でビックリ。
 ここのところ高価なものは買っていないので、もしかして不正使用か?と慌てて内容をチェックするとほぼすべて車の燃料代でした。
 そう言えば10月は、まるで飛行機のタッチ&ゴーみたいに、取材から帰宅をして自宅での用事を大急ぎで片付けてはすぐに次の取材に向かう感じで、ずいぶん車を走らせたのでした。
 しかたなく、レンズを買うはずのお金を、クレジットカードの支払いに充てることに。
 ああ、レンズが・・・・。
 うちのハイエースが、ある日突然ハイブリッドになっていたらなぁ。

 ハイブリッドって、どれくらい燃料費が安くなるんだろう?と調べてみると、ガソリン車との比較でさすがに半分とまではいかないみたい。
 するとうちの車はディーゼルなので、ディーゼルとの比較になると、案外そこまで安くならない?
 どっちみちハイエースにはハイブリッドの設定がないのですが。
 実は、もしもハイエースを買い替えることになった時は、今度はガソリン車にしようかなと思っていました。が、燃料費を考慮すると悩ましいです。
 次回はガソリン車にしようと思った理由は、近年は撮影機材のバッテリーを車の中で充電する機会が増えたから。
 充電は、可能な限り走行中か、睡眠中にポータブルバッテリーを使いますが、追っつかないことがあり、充電のためにエンジンをかけることがあり、音がうるさいディーゼル車だと、近くに駐車している他の人に嫌な思いをさせるかもしれないからです。 



● 22/10/29〜11/9 更新のお知らせ

 今月の水辺を更新しました。


   
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自然写真家・武田晋一のHP 「水の贈り物」 毎日の撮影を紹介する撮影日記 2022年10月分


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