撮影日記 2022年10月分 バックナンバーへTopPageへ
 
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● 22/10/28 猫の糞
 
 SNSと呼ばれているものはいろいろあるけど、知識や情報に関して言うと、最新のものが集まっているのがツイッターだと思う。ツイッターを見ていると、多分日本の社会はこちらの方向に向かうんだろうなといった何かを感じられることがある。
 したがって出版の仕事をする際にツイッターを見ていないのは、見ている者からすると、致命的とまでは言わないけど、勉強不足になりかねない。というよりは、よほどに他で勉強する場を持っている人でもない限り、勉強不足だと言い切ってもいいのかもしれない。
 そのツイッターで、今や当たり前になった感があるのが、野良猫の存在を許してはならないということ。
 理由は、大きく分けると3つあるように思う。
 1つ目は、猫の存在が人の暮らしの迷惑になるという視点。
 この視点はツイッターうんぬん以前に昔からあり、僕の印象に深い例では、将棋の加藤一二三さんが過剰な猫の餌やりで訴えられ敗訴した裁判がある。
 2つ目は、猫が可哀そうだという視点。
 交通事故で死んでしまう猫の数は、殺処分される数よりもはるかに多いのだそうだ。猫の幸せのためにも、そんなに猫が好きなら、猫を家の中で飼えという主張だ。
 3つ目は、他の生き物を襲って食べる猫は、野生生物に対して大きなダメージを与えているという視点。
 2つ目と3つ目の視点は、ツイッターでは今や当たり前になった感があるけど、実社会の中では、恐らくまだほとんど認知されておらず通用しないだろう。したがって、それらの視点を実社会の中で強硬に主張をすると、現段階では、その人は困った人になりかねない。
 が、出版に関わるような者は、そうした観点があることを知っておいた方がいい。

 さて、うちの駐車場にのら猫の糞があり、昨日それを始末した。
 上に書いた3つの視点で言うと、1つ目の、猫が人の暮らしの迷惑になるに該当する事例だ。
 糞に限らず、屋外に置いてあるものに対して猫がいたずらをすることがあり、確かに迷惑だなと思う。
 だがこの視点は、僕にとって諸刃の剣でもある。
 なぜなら、大多数の人は猫と他の野生の動物たちを区別していないのだから、猫が迷惑になるのなら、他のいろいろな野生の鳥獣虫魚もしばしば同様に迷惑であり、退場してもらわなければならない存在になるから。
 社会が潔癖になればなるほど、人は自然を遠ざけることになる。
 猫の写真で有名な岩合光昭さんは、昔からこの点に触れておられて、「猫が街角にいるくらいが人が一番暮らしやすい」と主張しておられる。
 猫が街角にいるというのは、=猫がいたずらや糞をしたりしても、社会がそれを容認する大らかさを持っているということなので、なかなか考えさせられる。
 僕の観点で言うと、それくらい大らかであれば、虫を徹底して駆除するような発想にはならないだろう。
 人が大らかではないことが原因で損なわれている自然が、確かにたくさんある。 



● 22/10/23〜10/27 遠隔地操作



 まだ暑い時期に撮影したヤマトオサガニ。撮影の手法は、カニの巣穴の前にカメラを置いておき、離れた場所からそのカメラを操作する遠隔地操作でした。
 遠隔地操作と言っても距離は5Mくらいですけど、わずか5M人間が離れるだけでいとも簡単に撮影できるシーンがたくさんあります。
 遠隔地操作は、野生生物の撮影には極めて有効です。

 ところがちょっとメンドクサイのも事実で、一通り道具は揃えていたものの、僕はそれほど頻繁に駆使することはありませんでした。
 それが一転してよく使うようになったのは、意外にもスタジオでの撮影がきっかけでした。
 近年スタジオでは、テザー撮影といって、カメラをパソコンに接続してパソコンからコントロールして撮影することが普及してきました。それに伴い撮影の際にパソコンを使うこと、つまりアプリを使用することに抵抗がなくなってきたのです。
 アプリの類は、日頃から使い慣れてないと、なんとなくイヤな感じがします。例えばアプリがカメラを認識してくれなかったり、操作が分からなくなったり・・・・
 それがスタジオで頻繁にアプリを使うようになった結果、どんな時にトラブルが起きるかやその対処方法が一通り頭に入り、最近は、アプリを使用して撮影することにほとんど抵抗を感じなくなりました。
 また、カメラがミラーレス化したことも、大きいでしょう。詳しいことは省略しますが、パソコンやスマートフォンなどのアプリを駆使して遠隔地操作をする場合、カメラは一眼レフよりもミラーレスの方が構造上適するのです。 
 今僕が力を入れているのは、遠隔地操作の際に使用する道具をいかに軽く小さくするかです。
 今は常に持ち歩くのはイヤな感じがする嵩と重さの道具を、当たり前に持ち歩けるようにしたいのです。
「今日は遠隔地操作で撮影しよう」、と構えて家を出るのではなく、日常的にそれが可能な道具を持ち歩き、狙っていたわけではないのにたまたま遠隔地操作が有効な場面に出くわしたら即座に試してみるような撮影スタイルの確立です。



● 22/10/21〜10/22 パワーズーム



 カメラがまだフィルムを使用していた頃の話です。レンズのズーム操作を、手でリングを回すのではなく電動式にした製品を初めて初めて目にした時には、そんなの手で回せばいいやん。なんでも電動にしやがって・・・と思ったものでした。
 ところがその後、カメラがデジタル化し動画も撮れるようになると、手での操作では滑らかなズームが難しくて、電動式のレンズが欲しくなりました。
 電動式のズームは、パワーズームと呼ばれています。
 確か、フィルム時代に目にして、くだらねぇと感じたパワーズームはペンタックスだったか、いや、そんなものを作りたがるのはミノルタだったか・・・
 カメラで動画も撮れるようになったのはデジタル化の恩恵であり、フィルムを使用していた時代にパワーズームを採用したメーカーは、まさか、当時から今のようなカメラシステムを想定していたわけじゃないですよね?
 
 さて、マスの産卵のシーンを撮影するために設置したカメラ。僕は少し離れた場所から、そのカメラをリモートで操作します。
 大小いろいろなマスがカメラの前を通過し、それを眺めていると、メインイベントの産卵のシーン以外に連中のポートレートも撮影できればなぁと思いました。
 がしかし、産卵のシーンを想定しているので画面は少々広め。
 なので、その状態で通過する魚たちを撮影しても、ポートレートとしては小さく写り過ぎ。
 こんな時に、遠隔地からリモートコントロールでズームが操作できたらなぁ。
 そのためには、レンズは、パワーズームである必要があるわけです。



● 22/10/7〜10/20 更新のお知らせ

 今月の水辺を更新しました。

 更新の作業は自宅からですが、記事自体は、ここのところ車内泊での取材が多かったので、取材先の車の中で準備しました。
 以前は、「落ち着けない」という理由で車の中で原稿を書いたりするのは好きではありませんでした。
 ところが、大きめの電源、バッテリーの持ちがいいPC、車の中に常設されているテーブルと揃えてみたところ、悪くないと思うようになりました。
 車の中では落ち着けなかった原因が、電源を無駄遣いできないことにあったわけです。
 車内泊用のハイエースには、今流行りの大容量ではないものの、3万円弱くらいで購入できる120000mAh/348Whのポータブルバッテリーを積んでいます。 
 これで無駄遣いしなければ3日分くらいのカメラ、ビデオ、ストロボ、パソコン、スマートフォン等の充電ができます。
 仮に一日に1時間車を走らせるとすると、走行中に充電をすれば、徐々に目減りしていくものの1週間くらいは持つし、その間に長い運転が一度でもあれば満タンに充電できるので、PCその他、電源を必要とする機器を使おうかという気になるようになりました。



● 22/10/3〜10/6 オワコンのカメラ



 今日の画像は、カニを撮影中のカメラです。
 カメラには、広角ズームレンズが取り付けられています。
 カメラからはコードが伸びていて、コードの先には外部モニターがあり、広角レンズが捉えたカニの姿を離れた場所で見ながら撮影することができます。
 カメラの機種名はキヤノンのEOSM6U。
 EOSM6Uを使う理由は3つあり、1つ目は、接写能力に優れたワイドレンズがあること。
 2つ目は、GODOXの外部モニターGM55とその専用のUSBコードを使用すれば、離れた場所からカメラのピントを操作できること。
 3つ目はカメラが小さいことです。生き物の隠れ家の至近距離にカメラを設置する場合、カメラが大きいと生き物の種類によっては警戒してなかなか出てこないケースが多々あります。また、順光の光で撮影したい場合、やっかいなのはカメラの影が画面の中に落ちてしまうことで、、カメラやレンズが大きければ当然影も大きいのでその対処に困るのです。
 強いて4つ目の理由を挙げるなら、ティルト式の外付けのファインダーがとても便利というのもあります。
 EOSMシリーズは、いずれなくなるのではないかと噂されているシリーズで、今風の言葉で言うといわゆるオワコン。そのオワコンのカメラが僕の撮影にピッタリなのだから、困ったものです。



● 22/9/26〜10/2 アントニオ猪木

 アントニオ猪木さんを初めて見たのは、小学生の時。場所は親戚の家で、テレビの画面の中でした。
 いとこのヤスシ君が
「アントニオ猪木がカッコイイからテレビをみようよ。」
 とプロレス観戦を誘ってくれたのがきっかけ。
 渋っていたら、叔母も
「おもしろいよ。」
 というので、見てみることに。
 武田家では、図鑑が欲しいと言えばすぐに買ってもらえたけど、娯楽番組はあまり見せてもらえなかったので、プロレスを見たのは初めてでした。
 そしてヤスシ君の言う通り、猪木がカッコよかった。
 相手は、確か、アンドレ・ザ・ジャイアントじゃなかったかなぁ。
 猪木さんは大きな人だけど、相手はさらに大きくて、僕には、小柄な人が巨人に立ち向かい渡り合っているように見えました。
 レフリーは、ミスター高橋。
 ヤスシ君のところは、娯楽番組に限らず、親がおもちゃを進んで買ってあげたりして、武田家に比べると規制が少ない家庭でした。
 一方で、武田家では塾に通う必要はなかったのですが、ヤスシ君は東京標準テストという予備校に小学生の時から通い、時には行きたくないと泣いていました。
 その後ヤスシ君は、両親の期待通りに医師に、弟のタケシ君は歯科医になりました。もうずいぶん長いこと、会ってないのですが・・・。

 ヤスシ君が通っていた東京標準テストには、小学校の同級生のY君も通っていました。
 東京標準テストは北九州市の小倉(こくら)という場所にあったので、Y君のあだ名は「こくら」になりました。
 通っている予備校の名前ごときがあだ名になったのは、多分、「東京」「標準」が、嫌な感じがする一方、自分たちが取り残されるのではないか?という不安を同級生たちに与えたからかな?
 東京とかアメリカが、当時は憧れの存在でした。
 やがて中学に上がった時に、よその小学校からきた同級生に
「Y君のあだなの小倉っちなん?」
 と聞かれ、由来を説明した記憶があります。
 アントニオ猪木さんから、いとこのこと。いとこの予備校から、小学校の同級生のあだ名が思い出され、それらは普段はまず思い出せないことなのだから、人の記憶って不思議ですね。
 僕は、学校の勉強の暗記はさっぱりだったのに、くだらないことは実によく覚えています。
 ちなみに、自分が通ったわけでもない東京標準テストの、
「東京標準テースートー」
 という塾歌の一部なども、今でも覚えています。


   
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