撮影日記 2022年7月分 バックナンバーへTopPageへ
 
 
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● 2022/7/16〜23 干潟



 何かの機会に人に道具を見せると、それが僕のお勧めなんだと受け止められることがありますが、そうではありません。
 というのは、僕は日常的にこんな感じの状況で撮影しているので、道具は泥だらけだったり水しぶきを浴びたりで、すぐれた道具でも高価なものは使いづらいから。高級品には確かに品質がいいものが多く、触ってみると、ああいいな!と思うのですが、無茶がつきまとう撮影が多く僕の場合は、結局、純粋に性能がいい道具よりも、傷んでも気にならない道具が残ります。
 干潟の場合は、沖に出て数時間撮影すると、まずは自分が泥だらけになります。
 その状態でバッグを背負うと、今度はバッグに泥がつきといった感じで泥がどんどん移り、最終的には表に出ているすべての持ち物が泥だらけになります。

 今月の上旬から、夜間の撮影と並行して、干潟での撮影が始まりました。
 それにしても、干潟の暑いこと。
 正直、干潟へ出かける際には気分が重く、ええ〜行くの?って感じだったのですが、先日夜の撮影が終了してからは、ああ、やっぱり生き物の撮影っておもしろいなと感じるようになりました。
 ただ撮影中は楽しくても、帰宅後に押し寄せてくる疲れがひどくて、人はこんなに疲れられるのか!といった感じ。
 注意しなければならないのは、現場での熱中症でしょう。
 僕が撮影している干潟にはほとんど人が来ないので、ふっと気を失って倒れたが最後、やがて潮が満ちてきて溺れてしまう可能性が大です。
 いや、その場合は、意識を失った本人はほぼほぼ寝ているようなもので、ずっと眠り続けているのと同じことであり、悲惨なことではないのかな?
 僕は、どうせ一度死ぬのなら、寝ている間に気付いたら死んでいて欲しいなと思うのですが、それはあくまでも今の僕が想像したことであり、本当のところはどうなのか?は、一度も死んだことがないのでわかりません。



● 2022/7/16〜22 深夜の撮影

 ユーチューブで期間限定配信の「孤独のグルメ 」Season4 第1話の舞台は、東京都の清瀬駅の周辺。
https://www.youtube.com/watch?v=w8zMhxSGcfg
 清瀬駅と言えば、写真家の新開孝さんがまだ東京に住んでおられる頃に降りたことがあるけど、こんなにお店がいっぱいあったかいな?
 もしかしたら、僕らが待ち合わせをしたのは、清瀬駅からさらに鉄道に乗ったもっと田舎の別の駅だった可能性もある。
 が、さすがにこんなくだらないことを、
「あれどこでしたっけ?」
 などと目上の人に聞くことは、無法者の僕でも気が引ける。

 たしかその時に、昆虫の羽化などの深夜に及ぶ撮影にコツについて、僕は、新開さんに聞いてみた。
 新開さんに聞いたのは、理由があった。僕はとても早寝なのだけど、新開さんも本来早寝だと知っていたから。
 すると新開さんは、過去のデータから、何時〜何時までの間などと的を絞ってその間だけ待つのだと教えてくださった。
 ところがそれを真似ようとしても、僕の場合、自分のデータが、どうもイマイチ信じられない。どうしても、自分の読み通りに事が進むとは思えないのだ。
 そこで最近は、夜の撮影がある日には昼間に仮眠を取るようになった。
 いろいろな寝方を試してみた結果、僕の場合、午後3時以降に2〜3時間の睡眠を取れば、翌朝までは頑張れることが分かった。
 午後3時頃に何かの一線があるのか、3時よりも早い時間帯に眠っても夜はいつも通りに眠たくなるのに、3時を過ぎると何かが違うのだ。
 ともあれ、6月の下旬から、いくつかの撮影があり、そうして午後から夕刻にかけて眠って、深夜に撮影をする日が約3週間続いた。
 そして先日、ようやく、今シーズンの深夜の撮影が終わった。

 深夜の撮影がある期間中につらいのは、逆に昼間の撮影だ。
 夜に備えて体力を温存しなければならないため、何を撮影しても、心からは打ち込めない。15時には眠るとなると、意外にできることや行ける場所も限られる。
 午後〜夕刻の仮眠作戦は、深夜の撮影にはとても有効だけど、昼間の撮影が楽しめなくなるのが欠点なのだ。



● 2022/7/15 更新のお知らせ

 今月の水辺を更新しました。


● 2022/7/3〜7/14 大潮

 海には潮があるので、海辺の生き物は、いつでも写真が撮れるわけではありません。
 では、いつがいいのか?と言えば、基本的には、大潮が撮影に適したタイミングになります。
 そこで、大潮ではない期間中に昆虫の羽化の撮影の仕事を片付けてしまおうと頑張ってみました。
 ところが、これでもか!というくらいに失敗や不運が重なり、虫の羽化の撮影が一通り終わらない状態でついに大潮に突入です。
 こうなってくると、海の撮影と虫の撮影とがあり、なかなかしんどいことになります。
 潮はとにかく絶対でそれを外すと手も足もでないし、まぐれもないので、こうしたケースでは、基本的に海の生き物の撮影を優先させます。
 でも、雨が降ったりとか、ぽっかり隙間時間ができる場合に備えて、虫の羽化の撮影に対応できるように準備だけは整えます。



 さて、たまにそうして複数の撮影が重なることがあり、先日、それに備えてスタジオを大改造しました。
 もともと画像の場所には水槽が置いてあったのですが、水槽は別の部屋に。
 撮影用の大きな水槽を幾つも動かすのは、まさに一大事。頑張って空けた場所には、LEDライトを置きました。
 LEDライトのいい所は、虫の羽化などの撮影に使用すると、高品質な写真とタイムラプス動画とを同時に撮影可能な点です。
 最近、
「この写真シーンの動画も撮影してください。」
 と求められることが多くなりましたが、そんな時に、写真から動画を作ることができるのです。
 また、LEDライトは、ストロボとは違う質感の写真が撮れ、写真で生活している者にとっては、今や無視できない光源になりました。
 スタジオの場所をより効率よく使えるように改善することは、以前から気になっていたところですが、LEDライトが無視できなくなった今がその時だと判断しました。
 
 

● 2022/6/25〜7/2 やっぱりつらい、羽化、孵化、脱皮

 羽化や孵化や脱皮などの連続写真の撮影は、何度やっても、どんなに文明の利器を駆使しても、最終的にはつらいなぁと思います。
 ここ数日は、ある虫の羽化の撮影があり、今日で3日目。
 1日目は予行。
 2日目は、虫が羽化できずに失敗。
 そして今日が3日目。
 時間帯は深夜で、3日続くと、さすがに疲れが出てきました。
 写真を2セット。動画を1本撮りたいので、今日仮にうまく行っても、さらにあと2回か〜。
 
 その手の撮影に、20〜30代くらいの若者が取り組んでいるのを、僕はほとんど聞いたことがありません。全くいないわけではないけれど。
 そういう意味では、時代遅れの撮影だと言えます。
 でも、写真自体は必要とされているし、今後も必要とされるので、誰かがやることになります。いわゆる仕事です。
 今の20〜30代くらいの若者は、そうした仕事的な撮影を好まない傾向があります。
 理由は多分、僕がその年代の頃は、仕事をする以外に写真の発表の場がなかったけど、今は、別に仕事をしなくてもSNSに発表の場があるからかな。
 逆に若者たちには、SNSでの自分の人気を気にかけている人が多いように感じます。
 つまり、何が何でも、何を撮ってでも本職のフリーの自然写真家になりたいわけではないところが、昔のカメラマンとは違う感じがします。
 そうした傾向は写真に限ったことではないでしょう。お勤めの人でも転職がより容易になるように国が社会の構造を変えようとしたり、「本職」みたいな概念がなくなるわけではないけど、少なくなる方向へと向かっていることを感じます。


   
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