撮影日記 2021年5月分 バックナンバーへTopPageへ
 
 
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● 21/5/16 オリジナリティー

 僕は、写真で生活ができるようになるまで、学校で講師として理科を教えていたのですが、と昆虫写真家の海野さんは、
「先生をすることには反対。」
 とアドバイスをしてくれました。
 当時僕は、なぜ反対なのか、その理由がよく理解できなかったのですが、最近になって、SNSを眺めているうちに、なるほどなぁと思うようになりました。
 先生は、誰か他の人が調べたこと、つまり知識ををかみ砕いて、それをまだ知らない人に教える仕事。
 一方で写真家は、自分が見たものや感じたことを伝える仕事。
 先生の仕事をすると、他の誰かが調べた知識を、まるで自分が当人であるかのように語る癖がついてしまうのです。
 SNSを眺めていると、先生と呼ばれる立場の人の多くが、その区別がついていないのです。
 人の話が面白いと感じる時に、その面白いにはいくつか種類がありますが、世界中でその人からしか聞けない話は面白い話です。
 いわゆるオリジナリティというやつですが、先生の話はオリジナルではないのです。
 そして、先生は人の社会に絶対に必要な存在ではあるのですが、先生の話は受け売りであり、そういう意味では、面白くないのです。
 
 自然写真家の中でも岩合光昭さんや宮崎学さんは、自然写真家になるのに科学の知識は不要かむしろ邪魔、あるいは、科学者の言うことは机上の論理だらけと主張しておられます。
 科学出身の僕にはこれがなかなか理解ができなかったのですが、確かに、写真家は、誰かが調べた知識ではなくて自分が体験し感じたことを伝えるのが仕事なのです。
 そもそも、科学という学問は、他の誰かが調べた知識を用いて、まだ説明されていない現象を説明する学問なので、科学者の話は、最後の詰め部分を除いた残りの大部分は、他の誰かが調べたことだったりするのです。
 知識は知識で面白いものですが、写真家に求められている面白さはオリジナリティー。
 そして、人は全員違う境遇に置かれていたり、体験をしているのであり、オリジナリティーは自分の体験の中に存在するのです。
 
 

● 21/5/3〜5/15 カメラの進化





 カタツムリハンドブックを作る時に今使用しているカメラがあったら、どんなに良かっただろう。
 実は、カタツムリは、撮影がなかなかやっかいな生き物です。
 まずは、多くのカタツムリは、薄暗い場所を好みます。そして、薄暗い場所では、写真がぶれやすくなります。
 いやいや、ぶれるって言うけど、カタツムリってあまり動かないんじゃないの?と思う方もおられるでしょう。
 ところが這っている時は意外に速いし、さらに這う際には目玉がよく動き、特に目玉がぶれやすいのです。
 動物写真の基本は、目をちゃんと見せることなので、目玉がぶれているのは論外なのです。
 目玉がぶれてないこと以前に、目玉にしっかりピントが合っている必要があるのですが、目玉が動くと、ピントも合いにくくなります。 
 それからカタツムリが活発になるのは雨の日。カメラを防水しなければならず、防水すると、操作がやりにくくなります。
 最近のカメラは高感度の画質が良く、カメラを高感度に設定すれば、ぶれやすいカタツムリがずいぶんぶれにくくなりました。
 機材の進化を、すごいなぁとしみじみ感じながら撮影することがよくあります。
 ただそれでも、カタツムリの撮影に関して言うと、もっともっと高感度の画質が良くなって欲しいんあぁと感じることも多々あります。
 それくらい、カタツムリはやっかいな被写体だということなのです。
 今日の画像は、いずれもオリンパスのカメラ・OM-D E-M1 Mark IIIで撮影したものですが、オリンパスの機材を使用していていつも感じるのは、小さな生き物たちの写真が楽に撮れることです。
 生き物の撮影で時間がかかるのは、逃げられないように近づくことだったりしますが、オリンパスの場合、非常に優れた望遠レンズで遠くから撮影でき、また超強力な手振れ補正機構のおかげで三脚を構える必要がありません。
 構えたり、力まなくてもいいのです。
 釣り師は、たくさんの魚を流れるような動作でスピーディーに釣ることを、手返しよく釣るなどと言いますが、オリンパスは、手返しがいいカメラだと言えるでしょう。
 
 

● 21/4/29〜5/2 更新のお知らせ

 3月分の今月の水辺を更新しました。


   
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自然写真家・武田晋一のHP 「水の贈り物」 毎日の撮影を紹介する撮影日記 2021年5月分


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