撮影日記 2021年4月分 バックナンバーへTopPageへ
 
 
・今現在の最新の情報は、トップページに表示されるツイッターをご覧ください。
 


● 21/4/25〜28 大潮



 磯や干潟での撮影は、潮が命。
 どんなに写真がうまくても、どんなに高価な機材を持っていても、潮が悪ければ撮影ができません。
 そして、満潮の時に撮りたいシーンもあるけど、基本的には干潮が撮影のタイミングです。
 干潮は干潮でも、より大きく潮が引く大潮の日は、できれば海に行きたい。というよりは、ほとんど海に行かなければならない日になります。
 ここ数日は、その大潮のタイミング。
 うちの近所では、午後から夕刻にかけて干潮になるので、午後になると海に向かいます。
 昨日は、特に大きく潮が引く日とあってかなり沖の方まで陸地になりました。海の中にいるはずのアメフラシが、陸上で、何か不思議な物体として、干潮の時間を過ごしていました。

 スタジオで写真を撮るために何か生き物を海で採集した場合は、翌日の午前中がスタジオの時間。
 午後には、また海に行かなければならないので、スタジオでの撮影に時間がかかってしまうと、焦りを感じ、なんだかとてもあわただしい感じになります。
 そうなると、とにかく疲れるわけですが、それでも海に向かいます。
 海の生き物には、陸の生き物よりも気まぐれで読みにくいところがあり、海の生き物の撮影の場合は、とにかく数多く現場に出かけて、数多くの偶然を起こす必要があるのです。



● 21/4/19〜24 釣り



 弟と一緒に渓流釣りに行ったら、なんと「ぼうず」でした。ぼうずというのは、一匹も魚が釣れないことです。
 釣れなかった理由は、多分、釣り人が多いから。
 釣り用語ではスレるというのですが、魚が釣り針を覚えてしまい、釣り針を見切ってしまうのです。
 渓流の魚はスレやすいので、渓流釣りの際には、普段なら人が行きにくい山奥を選ぶのですが、今回は、気楽な釣りもいいだろうとアクセスがいい場所を選んだら、魚が釣れませんでした。
 ルアーでの釣りの場合は、仮に釣れなくても、ルアーに噛みつこうとしてあとを追いかけてくる魚の姿をそこそこ見ることができるのが常ですが、今回は、それもわずか一匹でした。
 ただ、その一匹が大きかった。
 流れにのせてルアーを泳がせていると、巨大な魚が追いかけてくるのが見えました。
「おい、きたぞ!」
 と弟に伝えた直後、渓流でこんな大きな魚は見たことがない、というレベルの魚が、針にかかったのです。
 しかし残念なことに、一瞬で糸を切られ、約1500円もする高価なルアーを持ち去られました。
 魚はすぐに逃げ去らずに、あたりをグルグル、ウロウロしたので、ますます悔しい!

 ルアーが1つなくなってしまったので、帰宅後に新しいものを購入。
 1個なくしたのに、5個買ってしまったのは、釣り師という人種の性なのです。



● 21/4/18 本職

 以前は、誰か新しい人が次々と出てきて、置いてけぼりになるんじゃないかと心配したこともあるのですが、最近は、そんなものでもないなと感じるようになりました。
 理由は、これでもか!というくらいにたくさんの仕事を経験しなければ身につかないことがある、とわかってきたから。
 それが身につくことと、いい写真が撮れるのとは、また別のことなのですが、写真で生活していくことに関しては、ただいい写真を撮ることよりも、写真撮影をきちんと理解していることの方がより大切なのです。
 今はSNSがあるので、たくさんの人の写真を見ることができ、その中にはすごい写真もたくさんあります。
 でも写真の上手い下手とは別に、その人がどの程度写真をわかって撮影しているかがあり、その部分を見れば、実際に写真撮影だけで生活している人とそうではない人の間には、テーマの選び方から撮影にいたるまで、やはり歴然とした差があることが見えてくるのです。
 そして、その差の部分こそが、プロの財産ではないかと思うようになりました。
 自分がどの程度写真撮影を理解しているか?は、普段撮影したことがないものを撮ってみるとよくわかります。
 よく理解できていない人は、撮りなれないものを撮影すると、途端にうまく撮れなくなります。どんな世界でも基礎が大切と言われますが、それが基礎の違いなのでしょう。
 基礎を身に付けるには、書物などを勉強することに加えて、量をこなすことが大切です。そして、それだけの量をこなせるのは本職の人だけであり、それゆえに本職の人が求められるのでしょう。
 
 

● 21/4/5〜4/10 更新のお知らせ

 2月分の今月の水辺を更新しました。
 更新が遅くなりましたが、このひと月は、忙しかった!
 自分がそれに耐えれないんじゃないか?と思ったりもしたのですが、いざ何かをやり始めると、勝手に熱くなり、夢中になる感じでした。



● 21/3/17〜4/4 白バック写真と影の話

 以前は、白バック写真を撮る際には、被写体に柔らかい影がつくように撮っていたのですが、一昨年あたりから、なるべく影なしの写真を撮るようになりました。
 今日の画像は、被写体の影を画像処理で消したのではなく、いずれも、最初から影ができないように撮影したもので、影に関して言うと、何も画像処理をしていない状態です。
 影付きの写真と影なしの写真の違いですが、影付きの場合、ライトの位置を決める際に、影がきれいにでるように配慮をする必要があります。
 その点影なしでは、影の出方に配慮する必要がないため、被写体がよりリアルに描写できる位置にライトを設置することが可能になります。
 影付きの場合は、下手に複数の照明器具を使用すれば、影が複数個でるような副作用がありますが、影なしでは、必要ならいくつでも照明を加えることが可能です。
 つまり、影なしの方が、より被写体の本質に迫ることができるわけですが、撮影が大掛かりになる欠点があります。
 影付きの白バック写真に関して言うと、機材の進歩とノーハウの普及で、今や誰でも撮れるに近い状況であり、それが面白くないとういのも、撮らなくなった理由の1つとしてあります。


 さて、今夢中になっているのは、岩の中にすむ穿孔貝と呼ばれる貝たち。
 岩を割ってみなければ、中に何がいるかさえもよく分からないのですが、見えない分、おもしろいのです。
 画像の貝はニオガイ。
 殻で岩を削るので、殻の表面にはやすり状のギザギザがあります。
 また、二枚貝の殻を閉じた時でも、殻の間に隙間があります。これは、殻で岩を削る際に、殻と殻とが干渉せずにより大きく動くようにではないかと思います。


   
先月の日記へ≫

自然写真家・武田晋一のHP 「水の贈り物」 毎日の撮影を紹介する撮影日記 2021年4月分


このサイトに掲載されている文章・画像の無断転用を禁じます
Copyright Shinichi Takeda All rights reserved.
- since 2001/5/26 -

TopPageへ