撮影日記 2021年1月分 バックナンバーへTopPageへ
 
 
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● 21.1.24〜30 小物


 
 夜の撮影の際に、真っ暗な中どうやって被写体にピントを合わせるのですか?
と聞かれることがありますが、今僕は、こうです。
 ホルダーでLEDライトを手に固定しています。
 レンズのピントリングを回すために左手をレンズに添えると、自然と被写体が照らされます。
 上の画像のライトホルダーは https://amzn.to/2KDVbxF
 生き物の撮影の際には、高価なカメラやレンズよりも、1つの懐中電灯とか、懐中電灯のホルダーとか、胴長とか・・・、撮影機材ではないものの方が結果を大きく左右する場合が多々あります
 カメラやレンズなどの撮影機材の場合は、そんなに選択肢があるわけではないし、どうしてもみんな同じになっていきますが、こうした小物は人によってさまざま。その人の思想や考えたことが現れやすく、ある意味カメラやレンズよりも、見て面白いジャンルです。
 
 僕は、自分が使用しているカメラをけなされても、なんともありません。逆にカメラを褒められても、別に嬉しくありません。
 冷めているのかもしれませんが、もしも褒められたとしても、凄いのは自分ではなくて、カメラを作った人じゃねぇ?なんて思ってしまうのです。
 時々撮影現場で、
「ああ、○○社の製品を使っておられるのですね。」
 などと言われることがありますが、そんなのどうでもよくねぇと思うことが多いのです。
 ただ、カメラやカメラでも、一般的に使用される製品からはずれた特殊な製品は、また話が別。その標準から外れた道具で何を表わしたいのか?に、興味が湧いてきます。
 そういう意味では、高価なカメラやレンズにはあまり興味が湧きません。一部の人しかその道具を使ってなかっっとしても、それは高くて大部分の人が買えないだけだったりするから。 
 
 

● 21.1.17〜23 軟体動物とは
 


 誰か、元気に泳げる状態のアオイガイを持っていて、撮影させてくれる人はいないかな?
 福岡県は、決してアオイガイが採れない地域ではないのですが、もともと、何かの具合で大量に沿岸に流れ着くような年でもない限り、元気に生きている状態でみつけるのは難しい生き物。
 しかも、飼育が難しく、長く飼うことができないという、被写体としては非常にやっかいな生き物なのです。

 軟体動物という言葉は小学生の時から知っていましたが、先生と呼ばれる人に正式に教わったのは、中学の理科の授業。
「そうね、貝とか、イカとか、タコとか、体が柔らかい生き物です。」
 と。
 僕は、体が柔らかい生き物ならミミズだってそうじゃないかと感じ、先生の説明に満足ができませんでした。ミミズは、軟体動物ではなくて、環形動物なのです。 
 その日、先生に『貝』と言われて頭に思い浮かんだのは、アサリやシジミのような2枚貝でした。そしてアサリやシジミがイカやタコと同じ仲間というのも、どうもピンときませんでした。
 イカやタコとアサリやシジミは、あまりに似てないと思ったから。
 でももしもその時に、ウミウシやクリオネのような殻を退化させた貝について話してくれたなら。或いはイカの体の中にある退化した殻のことでも話してくれたなら。または、アンモナイトなんかについて話して欲しかったな。
 今にして思うのは、先生は、特に生き物が好きというわけではなかったんじゃないかということ。
 ともあれ、その日の授業で先生の説明に納得できなかったこともあり、大人になって貝殻に入ったタコであるアオイガイやタコブネについて知った時に、僕は大感激したのでした。
 よほどに軟体動物の説明に納得がいかなかったのか、キャラクターが前面に出てくるタイプの先生ではなく、本来なら卒業アルバムでも見ない限りまず思い出せないはずの先生のことを、その授業の時間帯だけ、非常に鮮明に覚えています。
 ふと考えてみると、僕の場合は、子供の時のそうした思い出を写真の仕事のテーマにすることが多いな。



● 21.1.14〜16 カメラが欲しい!

 シグマ社のカメラに搭載されているFoveonと呼ばれるセンサーは、他の大部分のカメラ用のセンサーとは構造が異なり、独特の深い色が出ることで知られています。
 僕はFoveonを搭載したカメラを使用したことがないので、実際には分からないのですが、使用している人の画像を見る限りではフィルムで撮影された写真のような色のコクがあり、特に渋い色の被写体の撮影に適する印象を受けます。
 冬になり植物が枯れてしまったり雪が降ったりして景色の色合いが渋くなってくると、Foveonを搭載したカメラを使用してみたい衝動が込み上げてきて、何度も何度もシグマのホームページを見つめます。
 Foveonを搭載したカメラはシグマの製品の中に数種類ありますが、描写にこだわりたい時に使用するカメラなので、欲しいのは一番大きなセンサーを搭載したsd Quattro H。
 ただ、それがなければ仕事ができないわけではないので、僕の興味とか趣味に近いカメラであり、後回しにせざるを得ず、sd Quattro Hは永遠に憧れのカメラである可能性が大なのです。
 仕事の場合は、どうしても合理性を重視せざるを得ないのですが、趣味で風景を撮影しているような人は、一度、sd Quattro Hを使ってみてはどうでしょう。
 Foveonを搭載したシグマのカメラは凄い絵が出てくるものの、使いやすいカメラではないと言われています。買ってみて、後悔して、
「この糞カメラ!捨ててやる」
 と思った人は、匿名で僕に送ってください。
 
 

● 21.1.6〜13 更新のお知らせ

 今月の水辺を更新しました。
 
 今月の水辺を、自分が本来予定していた日に更新できたのは、多分数年ぶり。毎月、延期して延期して、何とか更新をする感じです。
 だから止めてしまおうかと検討したこともありますが、それでも続けているのは、「写真を撮る」と「文章を書く」をきちんとリンクさせる練習のため。
 本を作る際に写真に文章をつけてみると、ああ、こう撮っておくべきだったなどと、その段階ではじめて気付くことが多々あり、本を作り文章をつけるところまでを見越して写真を撮ることの必要性を感じるのですが、本はそんなにたくさん作れるわけではなく場数を踏むことが難しいので、今月の水辺で練習しようというのです。
 他にも、今月の水辺を更新する際に自分なりに定めていることがあり、密かに何かを練習しているのです。
 こうした練習の難しいところは、形骸化しやすいことかな。
 でも、練習って、とても大切。



● 21.1.4〜5 イデオロギー

 コロナに対する対応にしても、環境問題にしても、一見科学の知見に基づいて発信されているように聞こえる意見でも、それを発信している人の言動に注意深く耳を傾けてみると、データよりも、むしろその人の基本的な物の考え方が色濃く反映されているように思います。
 同じデータを見ても、真面目な人は真面目な発想になるし、慎重な人は慎重なことを言うし、先手を打つことが好きな人は先手を打ちたがるし・・・
 みんな俺の主張がが正しいと言いたがるけど、実際は正しいかどうかの問題ではなくて、広い意味でのイデオロギーの主張なんじゃないかな。
 イデオロギーって一体何なんやろう?と長年思っていたのですが、簡単に言うと好みのことかな?
 ともあれ、自分が主張していることが、正しいことではなくてある種のイデオロギーであることは、発信する人は誰しも理解しておくべきじゃないかな?
 人の好みは、恐らくは絶対に無くならないものでしょうから、相手を打ち負かしてやろうなどと考え始めると、ろくなことはないように思うのです。



● 21.1.1〜3 恒例のカメラテスト

 お正月の英彦山には、雪遊びの小さな子供がたくさん。山登りの大人は僕が子供の頃からたくさんいましたが、雪遊びの子供って、こんなにいたっけ?
 子供が増えているのかな?
 うちの犬はとても神経質で子供のはしゃぎ声が大嫌いなので、怯えて早々に車の中に引っ込みました。
 逆に好きなのは、お年寄りです。
 ともあれ、いつの間にか、毎年正月に、雪の中を走る犬にレンズを向けてカメラのオートフォーカスの性能をテストするようになりました。
 特に真剣にテストをするのは、当然その年新しく購入したカメラであり今ならミレーレスカメラになりますが、走ってグングン近づいてきて、しかも左右にも大きくぶれるような激しい動体の場合、ミラーレスカメラよりもいまだに古い一眼レフが優位です。
 どれくらい優位かと言うと、比較にならないくらいに。



 上の画像は昨日一眼レフで撮影したものですが、ここまで近づいてきてもオートフォーカスが被写体を追いかけ続けるのは、一眼レフだけです。
 ミラーレスカメラと言ってもいろいろあり、オートフォーカスの性能が一番優れているとされているソニーα9系のカメラを僕は使用したことがないのですが、その他の機種に関しては大きな差はないとされていることから判断すると、激しく動く動体に関してはいまでも一眼レフが適しているのは明らかでしょう。
 それでも、多くの人が購入するカメラが一眼レフからミラーレスカメラに移行しているということは、激しい動体を撮影している人が少ないのでしょうね。



 一方で、あまり動かない被写体を撮影する場合は、ミレーレスカメラの方が使いやすいと感じます。
 特に、ニコンのミラーレスカメラの液晶ファインダーの見やすさは、もはや光学ファインダーを超えており、細かなところに気付くことができます。
 上の画像は一眼レフで撮影したものですが、帰宅後に画像をチェックして、ああ、そうか!と気付いたことがありました。それは、犬のヒゲが車の黒いパーツと重なってよく見えていることです。ひげは、犬のチャームポイントなので、よく見せたいわけです。
 僕は撮影中にそれに気付きませんでしたが、多分、ニコンのミラーレスカメラZ7の細密なファインダーなら気付けたと思います。そして、どうしたらひげをもっとよく見せることができるか?と、もちろん犬次第とは言え、その瞬間のテーマが見つかり、追及ができたでしょう。
 ともあれ、現状では、一眼レフとミラーレスカメラの2種類を使い分けることがベスト。
 それを再確認できました。
 ミラーレスカメラのオートフォーカスの性能はグングンアップしてくるでしょうから、やがて一眼レフは抜かれてしまうのでしょうが、動態を動体を本格的に撮影する人は、まだ一眼レフを買っても全く時代遅れではないと思います。
 
 
   
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