撮影日記 2020年6月分 バックナンバーへTopPageへ
 
 
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● 2020.627〜30 寿命

 自分がこうして日記を更新しておきながら変な話ですが、最近、人様の日記やブログの類をほとんど見なくなりました。
 以前は、まず第一に自分のハートに火をつける刺激として、第二に情報源として、ブログの類を見ないというのはあり得ないことだったのですが。
 決してそこに記されている中身に興味を失ったわけではなく見たらそれなりに面白いけど・・・なぜか見ないのです。
 大好きな作り手のものさえも。
 多分、僕だけじゃないと思います。それが、時代の流れや物事の寿命なんでしょうかね?人がそれを見たくなるかどうか、ちょっとした感覚的なことなのでしょうが、理屈じゃないんです。

 今、一昔前のブログの代わりに幅を利かせているのはSNSやツイッターなどですが、共通しているのは、フォローというシステムですね。
 フォローって、何に近いかな?
 ある種の緩やかな囲い込みみたいなものなので、買い物の時のポイント制度?
 それから、ブログのように長々と見るものではなく、チラッと見る感じかな。
 こちらは、とてもよく理解できます。ウェッブ上には山のようにコンテンツがあるので、1つのものに執着するのではなく、チラッと見たらあとは先へ進むくらいでなければ追っつかないから。



● 2020.622〜26 なぜ自然写真家になったのか?

 なぜ自然写真家になったのか?は、どうでもいいことでもあり、とても重要なことでもあります。
 仕事をしなければ生きていけないという観点から言えば、「会社に勤めたくない」は、僕が自然写真家を志したとても大きな動機の1つです。
 会社に勤めたくないは分類すればヘタレに属するのでしょうが、上手く利用すれば、フリーの世界で頑張るとてもいい動機にもなり、僕はそうして利用してきたわけです。
 会社が嫌なら他にも仕事はあるでしょう?と言われれば、僕が追い求めているのは自由であり、僕にとって自然は、その自由の象徴。そして自由の象徴である自然を職業にするための手段が写真だったということになります。
 ともあれ、僕はそんなことを考えながら、普段自然写真の仕事をしています。
 自分とはいったい何者なのだ?という疑問です。

 さて、先日も紹介したのですが、この養老さんの記事が頭から離れません。
 https://www.news-postseven.com/archives/20200523_1565198.html?DETAIL
 自然とは何か?自由とは何か??人とは何か?
 自分が何とかして整理しようとしている心の中にある思いが、実に見事に言語化されていて、ああそうか!僕がやっていることはそんなことなのか!と納得。
 僕に向かって話しかけているわけでもないのに、まるで、
「君にとっての自然写真って、こういうものですね。」
 と完璧に解説されたかのよう。



● 2020.617〜21 続・動画

 深夜の撮影は主に虫の羽化など。羽化は、虫の種類にもよりますが、夜の間に起きることが多いから。
 したがっていろいろな虫の成虫が出てくる4月〜6月中旬は仕事が多くて、早朝から撮影が始まり、午後、深夜と3本立てになる日も珍しくありません。
 深夜の撮影に備えて途中で一時間くらいでいいので仮眠ができればいいのですが、午前の撮影や午後の撮影に時間がかかってしまうとその時間が取れなくなり、夜の撮影がツライツライ状況に陥ってしまいます。
 そしてそうならないように午前や午後の撮影を短時間で終わらせようとすると、今度は失敗ができなプレッシャーがかかります。
 そのハードな時期も、ようやく昨日で一段落。本来の予定では6月10日前後に終わるはずだったので、約10日間後ろにずれてしまいました。
 余計に要してしまった10日間には、まずは予備日として開けておいた時間を当て、次に仕事ではなく自分のテーマとして写真を撮るための時間を回します。
 ともあれその間は、「ああ、こうした方がいいな。」とアイディアが湧いても、目下の撮影に追われ、なかなかそれを試すことができないので、一段落した今日からは、そうした気付いたことを試していきます。

 動画は、同じシーンを2台のカメラで同時に撮影します。理由はいろいろあるのですが、長くなってしまうので今回は省略。
 1つだけ書くと、写真用のカメラを動画撮影に使用する場合、多くのカメラでは30分までしか撮影することができません。したがって、それ以上の時間撮り続けるためにはどこかで一度カメラをオフにして、また新たに撮影を始めなければなりません。
 その場合に、2台のカメラで撮影しておけば、常にどちらかが動いているので、絵の画角や角度は違っても現象自体は映し続けることができるから。
 ただその2台のカメラの絵作りが違うと、それらの映像を組み合わせて1つの動画を作る際に気持ちよく繋がらないことに今回気付きました。
 少し時間にゆとりができたので、まずは動画撮影に使用する2台のカメラの絵作りの部分を扱ってみようかと思います。



● 2020.61.2〜16 動画

 僕は動画を撮影することにはほぼほぼ興味がなく、それで済むのなら動画はやらないつもりだったのですが、そんな僕でさえ動画撮影の依頼が急激に増え、出来ないこともないので引き受けることが多くなりました。
 動画を選択肢から外していたのは、新たにカメラや照明器具に投資しなければならないから。
 ところが、プリ連写という特殊な機能を使用するために購入したパナソニックのデジタルカメラ・G9を使えば新たにカメラを買わなくても動画は取れるし、深度合成と呼ばれる撮影用に揃えた多数のLEDライトはそのまんま動画撮影に使用でき、あとは編集ソフトを買えば動画ができるような状況がいつの間にか出来上がっていたのです。
 新たに投資せずとも動画の仕事ができる機材が揃っていたのは、全くの偶然ではなく、そもそも写真と動画との境界がなくなりつつあり、写真が動画に近づいていたからでしょうね。

 昔、岩合光昭さんが、「動画から入ったカメラマンは怖くない。理由は、物を追いかけてしまい、光を読もうとしないから。」
 と書いておられるのを読んだことがあるのですが、自分で動画をやってみて、確かにそうかもしれないなと感じました。
 光の扱いは写真の方が誤魔化しがきかないので、きちんと写真で仕事ができる人なら、恐らく、いきなりでもある程度動画の仕事もできるのではないでしょうか?
 動画の方が難しいのは、始まり〜最後まで全体の計画が見えてなければならないこと。計画性がより重要で、動画に取り組むことで、写真撮影の際にも生かせる何かがあるような気がしています。

 動画だけの問題は、撮影したデータが膨大なサイズになってしまうこと。
 トンボの羽化を最初から最後までちゃんと撮影すると、4KではなくてHDでさえ、4個体撮影しただけで1Tのハードディスクが満タンになってしまうので、データを保存しておくコストを考えると、動画は事前に撮影して持っておくのは難しく、依頼されなければ撮れないかな。



● 2020.6.2〜11 スマカメ


 
 スマートフォンに映像を転送できるWEBカメラ「スマカメ」を購入したのは、数年前。記憶に間違えがなければ、イシガメの卵の孵化の様子をチェックするために購入しました。
 同じ爬虫類でもトカゲみたいな細長いやつは、卵からスルッと思い他短時間で出てくる場合があるので、ある程度殻が割れたら現場にいた方がいいのですが、カメの場合はなかなか出て来ないのでカメラで監視しておけば、直前まで別のことができると考えたのです。
 ただ残念なことに、接続が不安定だったので、その後使わずに放置。

 その放置してあったスマカメを、再度トンボの羽化を監視するためにまた使用してみたら、同じものなのに今回は接続できないトラブルはなし。変わったものと言えば無線ランの機器なので、そこに何か相性みたいなものがあったのかな?
 スマカメで暇さえあれば羽化直前のヤゴの様子を観察すれば、非常に多くの情報が得られます。
 ヤゴは羽化直前になるとあまり動かなくなるとよく書かれていますが、羽化直前って何日くらい前なのか?とか動かないってどれくらい動かないのか?など、カメラマンにとっては欲しい情報がたくさん。
 ビデオで撮影しておいてもいいのですが、それを見るための時間が作るのが、案外できないのです。

 スマカメから転送される映像は、スマートフォン以外にアプリを使ってパソコンで見ることも可能。
 パソコンの場合は、大きな画面で見られるのですが、インターネット環境によって「ビジネスモード」と「ダイレクトモード」の2つのモードがあり、「ビジネスモード」の場合は90秒で一旦映像が途絶え、連続して監視することができません。
 うちの場合は、原因は不明なのですが、不思議なことに、「ビジネスモード」で接続される場合と、ずっと映像が表示され続ける「ダイレクトモード」で接続されることがあります。
 特筆すべきは夜で、映像はモノクロになりますが、照明をつけなくても、これから羽化をするために杭に登るタイミングをはかっているヤゴの様子がとてもよく分かります。実は昼間の明るい時間帯の方が、保護色になっていてヤゴが見にくかったりします。
 ともあれ、ヤゴをちょくちょく見ておけば、羽化をする日はより正確に予測できるし、どうだろう?と迷った場合でも、夜中にベッドから抜け出して様子を見に行かなくてもいいのは、体力を温存する上で非常に有利。
 最初はちょっとメンドクサイ感じがしますが、機能すればもう手放せない。
 今や、スマカメが故障でもしたら、絶望的な気持ちになってしまいそうなので、予備をあと1つ買おうかな・・・。 
 
 

● 2020.5.27〜6.2 分離不安



 分離不安というらしいのですが、飼い主が留守にするのが嫌で犬や猫が問題行動を起こすことがあり、うちの犬もそうなることがあります。
 今回のきっかけは、多分、近所の大工事。
 基礎でも打ち込んでいるのか、夜中に数日続けてドン・ドンという音がし、音に怯えてパニックになり、以降、工事がない時間帯でも、僕らが出かけようとすると全力で阻止しようとしたり、留守中に家の中を破壊してしまうのです。
 今回は特にひどくて、屋内を破壊する際に骨折や歯が折れるくらいは十分に起こりうるし、家に穴が開いてそこから逃げ出すことさえありそうな感じがするので、本格的に対策をすることに。
 牛乳から取り出した成分でほぼ無害と言われていて、少しぼんやりさせる薬があるというので処方してもらい、さらに、人でいう抗うつ剤みたいなものがあるらしいので、一応入手。
 人が出かけても寂しくならないように、日頃から家族はあまり構わないようにするなどの対策を始めました。
 ただ、いきなりは良くないはずなので、僕がスタジオで撮影をする日は、しばらく留守番をさせたあと、スタジオに連れていくなど、徐々に。
 子供の頃、人以外の動物には、人間でいう心はないと大人から聞いたことがあります。
 心のように感じられても、動物の場合は本能で機械のように動いているのであり、何も分かってないのだと。
 それは人がその動物になれない限り確かめようがないことですが、今の僕は、動物にも心はあるように感じます。


   
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