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● 2017.4.22〜29 照明器具の話




 サンパックのストロボ・120J。
 このタイプのストロボは、上手く使いこなせば、恐ろしいくらいにきれいに写る。ただし、じゃじゃ馬でもあって、扱いが難しい面もある。
 具体的には、大きくて、直進性が強い光を発するのだが、その直進性の強さをいかにうまく扱うかが使いこなしのポイントになる。
 日本の写真家はこのタイプのストロボをあまり好まないのか、120Jは随分前に製造中止になって久しい。だがアメリカの写真店をWEBで検索してみれば、同タイプの製品がいくつか表示され、中には、サンパックと表示されるものもあって、何度も取り寄せようかと検討したけど、修理の問題があるので踏みとどまっていた。
 壊れたら嫌だなという価格だったのだ。



 その後、中国製のゴドックスからAD180やAD360という同タイプのストロボが発売され、日本でも販売されるようになったので、すぐに飛びついた。
 サンパックとの違いは、サンパックがバッテリーが単三電池4本をストロボ本体に収納するのに対して、ゴドックスは外付けのバッテリーであること。
 一般に外付けのバッテリーは高価な割に持ち悪くがっかりさせられることが多かったけど、ゴドックスは、手ごろな価格で持ちも良く、初めてAD360やAD180を使用した際には感激が込み上げてきた。
 アクセサリー類も、非常に非常に、よく考えられている。


この構造は、秀逸。


この手のアクセサリーは、カタログで見ると良さそうなのに、使ってみるとそれほど効果がないとか、扱いにくいものが多いが、この製品などは、間違いなく実用レベル。

 他に、カメラ側からストロボの光量を調整するシステムも、安くて良くできていて、安定して動く。
 僕は日本の製品に対して、確かに心配りがスゴイけど、案外現場を知らない人が作ってる?と感じることが多々あるのだが、それとは真逆に、とにかく現場を知っているとしかいいようがない中国人の凄さを思い知らされる。
 ただし、ゴドックスが採用した外付けのバッテリーは、ストロボ本体が軽くなる良さがあるものの、野外では扱いにくい。

 そんな時に見かけたのが、やはり中国製のNEEWERで、こちらは単三電池四本で動かすことができる。
 並行輸入品なので故障時の修理の問題があるけど、とにかく安いので買ってみたら、今のところは問題なく動き、唯一、ストロボのヘッドが左右に動くように作られているのだがそのロックがないこと以外は、全く不満はない。
 こいつも、凄い!





 構造は、サンパックの120Jとほぼ同じで、120Jを愛しぬいてきた僕にとっては、感無量。
 僕が購入したのはニコン用で、ニコンのカメラでTTLも使用可能。



 ゴドックスのアクセサリーを取り付けることも一応可能で、GODOX AD-S3 との組み合わせは、非常によく写る。



 同様の組み合わせで撮影した作例を一枚。
 大きくて直進性が強い光をうまく使いこなせば、強くてエッジが立っているのに、えぐ味のない絵が得られる。
 ただし、GODOX AD-S3は、発光部にはめ込んでネジで締めるだけなので、野外で長時間使用すると時々スポンと落ちてくるのと、カメラの上部に取り付けて使うには、ちょっと大き過ぎで重すぎ。
 かと言って、NEEWERに標準装備されているものは、やや小さい。
 そこで、標準装備のものより大きく、AD-S3より小型の手持ちの同様のアクセサリーを、NEEWERに取り付けられるように加工してみた。


 

 ディフューザーをかぶせれば完成。
 


 ディフューザーを取り付けると、光の色が変わってしまうので、フィルターで補正しておく。
 光の色を測るカラーメーターを持たない人は、一般的にディフューザーを取り付けると光が赤くなる場合が多く、LB(ライトバランシング)フィルターの青系の一番薄いものを1枚、あるいは2枚重ね程度でを使用すればいいことを知っておけばいい。
(ただし、稀に光を青くする素材もある)

 このタイプの照明を使う場合、どんな状況でこれを使えばいいのかがわかるかどうかがカギになる、と再度書いておこうと思う。



● 2017.4.22〜23 雑然とした世界

 仕事柄、写真を撮る時には、そこに何が写っているのかが、パッと見た時にすぐにわかるような写真を撮ろうとする。
 まずは、画面の中のパッと見た時に目が行く位置に主要な被写体を配置しようとするし、さらに主要な被写体と背景との分離には、シャッターを押す直前、いやカメラをしまう最後の最後の瞬間まで、非常に気を遣う。
 だが内心、それが写真のすべてではないと思っている。
 雑然とした世界だってあり得る。
 昔、アニマ賞に応募された昆虫の写真に対して、審査員の一人が否定的なコメントをしたところ、別の審査員が、
「虫の写真の場合は、クリアーカットではない雑然とした部分もあるんだ。」
 と反論したのを読んだことがある。今となってはそれ以上の内容を思い出すことができないのだが、記憶に残っている文脈から判断すると、否定的なコメントをした審査員は、「写真が雑然としていて分かりにくい」とコメントしたのではなかろうか。


NikonD610 AF-S NIKKOR 200-500mm f/5.6E ED VR

NikonD610 AF-S NIKKOR 200-500mm f/5.6E ED VR

 先日、山口で徳永浩之さんが、
「あっ、シカが・・・」
 と教えてくださった。
 スキっとした分かりやすい画面にするのができにくい状況だったので、逆の発想で、動物が背景に溶け込みつつも、人の目には、「ん?何かいるよね?」と微妙な存在感を漂わせている状況を撮影してみた。
 こうした写真の場合、レンズのボケ味が非常に重要。
 そしてズームレンズはボケが汚いとよく耳にするが、僕の経験では、必ずしもそう言えない場合も多々あり、AF-S NIKKOR 200-500mm f/5.6E ED VRなどは悪くないように感じる。
 一言でボケと言っても様々状況があるし、ボケの評価のしかたにもいろいろある。
 今回のようなシーンでは、単焦点レンズだとコントラストが高過ぎて、ボケが汚くなってしまうケースが多々ある。



● 2017.4.22〜23 続けること


NikonD610 AF-S NIKKOR 16-35mm f/4G ED VR

NikonD610 AF-S NIKKOR 16-35mm f/4G ED VR

Panasonic DMC-LX100

 山口県は下関市、徳永浩之さんの庭へ。徳永さん宅の敷地では、今の時期なら、ニホンアカガエルやトノサマガエル、カスミサンショウウオの繁殖が見られる。
 いろいろな人にいろいろな風に教わることがあるが、徳永さんからは、1つのことをちゃんと当たり前のように続けること。
 生き物に関わる活動に興味を持ち一時的にワァと盛り上がる人には数多く出会ってきたけど、それを丁寧に丁寧に安定して継続していく人には、なかなか出会うことができない。
 続かないのは性格だ、という方もおられ確かにその要素も少しはあるけど、大部分は取り組み方で決まるように思う。
 性格のせいにするのは、やめた方がいい。取り組み方を勉強するべきだと思う。



● 2017.4.17〜4.21 更新のお知らせ

 沖縄への取材期間は、なるべく短くなるように予定を立てた。
 取材費が嵩まないようにというのもあるけど、一番大きな理由は、飼育中の生き物のこと。
 産卵の様子を撮影するために飼育している生き物が、僕が不在の間に卵を産み終えてしまったなどとなれば、それまでの飼育の労力が無駄になってしまう。
 沖縄の場合は、夜行性の生き物が少なくないので、取材機関を短くしようと思えば、昼間も夜間もびっしり予定が埋まる。
 そうしてスケジュールにゆとりがない場合、何か1つでも見つからない生き物が出てくると、大変なことになる。今回もまさにそのパターンに当てはまり、取材は連日、早朝から深夜の2時、3時まで。
 ところがその割には、帰宅後の疲労が少ない。
 なるほどねぇ。今回は飛行機を使い宿に泊まったため、移動の疲労が少ないのだ。
 車内泊での取材から帰宅した際にいつも感じる、
「ああ、家は楽だなぁ。」
 という驚きにも近い感激が、今回に限ってはなかった。
 よく、「車での寝泊りはキツイでしょう!」と言われ、そんな大したことないけどなと思っていたのだが、どうもそれは僕が知らなかっただけという事実に今更ながら気が付いた。
 いや、知らぬが仏なのかな?
 
 さて、3月分の今月の水辺を更新しました。



● 2017.4.11〜4.16 沖縄へ

 コンジンテナガエビの採集は、沖縄から帰宅する日の2日前、と決めてあった。
 そしてその翌日、つまり帰宅の前日に航空便で自宅に送れば、帰宅の翌日に北九州に到着する。
 到着したら、とにかく生きている間に大急ぎで白バック写真を撮影する。
 夜行性のエビの類は夜探せば簡単だと高を括っていたのだが、確かにたくさん見つけたものの、光に大変に敏感で、あっという間に岩の下に隠れ込み、そして1時間や2時間では出てこない。
 結局、大きなものは一匹しか採集できず、しかも左のハサミがやや小さい。悔しい!
 罠を仕掛ければ多分たくさん採れると思うが、短期間の取材では仕切り直す時間的なゆとりはない。

NikonD7100 AF-S DX Micro NIKKOR 85mm f/3.5G ED VR

 採集したエビを早く送り過ぎると、仮に家族が取ってくれたところで、僕が帰宅をする前に死んでしまう可能性があるので、必然的にいつ採集すべきかが決まる。
 沖縄から送る前に、念のために、宿で簡易スタジオでも撮影しておく。ただし、水槽を準備するのは大掛かりになり過ぎるため、陸上で撮影する。エビの仲間は、陸上でも一応撮影ができる。
 因みにコンジンテナガエビは、淡水のエビとしてはとても大きくて、クルマエビくらいの大きさなので、そこそこ整備が整ったスタジオであっても、撮影は容易ではない。
 白バック写真の撮影が済んだから、家の水槽で飼育をしてみる。物の本には、青くなると書かれているのだが・・・・。


NikonD7100 AF-S NIKKOR 16-35mm f/4G ED VR

 帰宅の前日は、オカヤドカリの取材。
 最後に回したのは、今回の沖縄取材で一番簡単な被写体だと思われたから。
 ところが、観光客でも見かけるような簡単な生き物が、散々探してももどうしても見つからない。ワラワラと姿を現すのは暑くなり始める季節だろうから、今が本番ではないのは確かだと思うのだが、それにしてもなぜ・・・。
 夕刻から探し始めて、ある程度の数が活動している場所を見つけたのは、深夜の12時過ぎ。
 たかがオカヤドカリのはずなのに、もしかしたらダメか?と弱気になっていたので大感激。
 大喜びで一匹パッと掴んだら、殻にこもったまま、なかなか出てこなくなった。
 活性が低いな。探しても見つからなかったはずだ。
 そこから2時間ほど撮影して、宿に帰る。
 
 3時間ほど寝て、シャワーを浴び、服をすべて着替える。そして宿を後にして、湊和雄さんの事務所へ。僕にとって自然写真の仕事は今でも憧れの仕事であり、自然写真業界の先輩は、今でも憧れの人。さすがに、汚れたままの服で会うわけにはいかないのだ。
 2時間ほどお邪魔をして、空港へ。



● 2017.4.6〜4.10 沖縄へ

 カタツムリは、詳しく調べようと思っても資料が少なく同定が難しいため、取っつきにくい生き物だろうと思う。幅広くいろいろな生き物をよく見ている人でも、カタツムリに関しては、ちゃんと名前を調べようという意思が感じられない場合が多い。
 それゆえに、小原祐二さんのホームページ・おきなわカエル商会を初めて見た時には、カタツムリがたくさん紹介されていることに驚かされた。
 この人よく見てるなと。恐ろしく歩いているな、と。
 因みに、おきなわカエル商会の「商会」は、カエルを売っているわけではなく、「紹介」にかけてある。
 小原さんは当時、ニコンD3という高感度特性に優れ暗い場所での撮影には有利であるものの、大きくて、あちこち歩き回って機動力を生かして撮影するには不利カメラを使用しておられたが、そんな大きな道具を持っているという感じもなく、気付くといつの間にかカメラをザックから取り出してサッと撮影してしまう姿が、僕の目に焼き付いた。道具に対しては、もっと軽くとか、もっと小さくとかいつもいろいろ不満があるけど、やっぱり使いこなしやなぁ。
 その後、さすがにD3が古くなり、小原さんがよりコンパクトなニコンのD750を購入された時には、まるで僕がカメラを買ったかのように嬉しくなった。D3からD750の間の進化を楽しんでおられるのではないかな、と思ったから。
 道具に対する不満を使いこなすことで乗り越え、いよいよ古くなってから買い換えなければ、新しいものを手にする喜びを、テクノロジーの進歩を、深いところで味わうことはできないのではないか。自分が、何かに追われるかのように道具と変えすぎているのではないか、と考えるきつかけになった。
 メーカーがどんどん新しい製品を出すことで経済が回っていくのではなく、1つのものが長く使われ、メーカーはメインテナンスなどでお金が取れるような社会になったらなぁと思うことがある。

 沖縄県北部の森を、その小原さんと一緒に歩いた。
 別れ際に、「今回撮影予定の生き物の中では、ミナミコメツキガニは案外難しいかもしれませんよ」と一言。
 そしてその一言が、翌日、僕を救う。
 ミナミコメツキガニと言えば集団で干潟にワラワラといて、引き潮でさえあれば、すぐに見つかるしいくらでも撮影できると思い込んでいたのだが、沖縄本島の集団は小さいようで、当初のイメージで探すと、おそらくほぼ100%見落とし、おかしいなぁ、どこにいるんだろう?と疑心暗鬼になってしまったことだろう。


NikonD7100 AF-S NIKKOR 200-500mm f/5.6E ED VR

 ミナミコメツキガニをどこで探そうか?
 まずは、野鳥で有名な泡瀬干潟に行ってみたのだが、目の前を鳥が歩き回るものだから野鳥の写真を撮りたくなって集中ができない。それから、遠浅の海に広がった干潟の場合、広過ぎて今の僕の視力で小さなカニの小さな群れを見つけ出すには向かないので場所を変える。
 グーグルアースで大きな川の河口部で、しかも自然度が高い場所に目星をつけ、河口から少し上流に上ったまだ細長い川の部分でカニを探すことにした。



 もっと野鳥の写真を撮りてぇよぉと思いながら探したミナミコメツキガニだが、個体によっては青色がなんとも美しくて大感激!
 こいつはイイ!

 沖縄の場合は、日中の撮影あり、夜の撮影あり、白バック撮影ありで、とにかく慌ただしい。
 
 


● 2017.4.6〜4.10 沖縄へ

 飛行機+レンタカーで沖縄本島を取材するのは、実は、初めてのこと。
 いつもは福岡から鹿児島まで車を走らせ、鹿児島の港からフェリーに乗り込んで船に約24時間揺られる。

 さて、自家用車で車内泊をするスタイルのいいところは、僕の場合は、機材をたくさん持っていけることにある。
 水辺の生き物の撮影の場合、胴長やカメラを防水するハウジングなど、物が嵩む。また、白バック撮影用の簡易スタジオも場所を取る。
 一方で、飛行機+レンタカーのいいところは早いこと、と、半の人が考えるだろうけど、実は、今回のように沖縄本島5泊6日程度の取材なら格段に料金が安く、フェリー利用の半額以下。
 参考までに、福岡からなら、飛行機が往復で21000円。レンタカーがその間15000円程度。宿が素泊まりで、一泊3600円
 それから、沖縄本島の場合、いいフィールドが多い北部には温泉がないので、そういう意味でも、車内泊をするより、レンタカーを借りて宿に泊まった方がいい。前回沖縄本島で取材をしたのはカタツムリハンドブックの制作の際で、フェリーで車を渡したのだが、雨のフィールドを歩いてずぶ濡れになった後で風呂に入ることができないのは非常に堪え、次回からは飛行機と決めてあった。
 ただし、今回は、大量の機材をいかに絞り込むか、荷物の準備には大変に苦労した。
 結局、プロテックスの超大型のトランクケースに嵩張る水中撮影の機材等をつめ、それをあらかじめ宅配で送っておくことで解決。プロテックスの大型のケースなら、大半のカメラバッグが入るサイズなので、カメラバッグごと入れることも可能。
 リチウムイオン電池など、航空便の宅配で送ることができない可能性があるものに関しては、宅配で送る荷物の中には含めず、飛行機に乗る際に機内に持ち込む荷物の中に入れておいた方が無難。下手をすると、送ったはずの宅配が、翌日戻ってきてしまう。或いは、時間がかかるが陸送に切り替えてもらうか。
 宅配はヤマト運輸を利用して、クロネコメンバーズという無料のサービスに入会しておけば、荷物が宿についたことをメールで知らせてくれるので安心。
 あとは、背中にザック型のカメラバッグが1つと、着替えなどが入った小型のトランクケースは、手荷物として飛行機に預け入れる。うっかり、アーミーナイフを機内に持ち込むカメラバッグに入れたままにしておいて後で苦労した。
 検査場で刃物が付いているので機内に持ち込めないと指摘をされ、いったん航空会社のカウンターまで引き返し、ナイフ1つを追加で手荷物として預け入れる。
 飛行機はそれなりに面倒でもあるのだが・・・



● 2017.3.27〜4.5 南九州

 4月2日。
 鹿児島に向かう途中で宮崎へ立ち寄り、自然写真家の新開孝さんに会いに行った。
 新しい企画の相談をして、それから新開さんのお宅にお邪魔した時には毎回仕事場を見せてもらう。
 実は昨年、仕事の現場で編集者にちょっとした迷惑をかけてしまい、僕はそれをクヨクヨと気にしていたのだが、同じようなことが昨年新開さんにもあったと話してもらい、なぁ〜んだ!新開さんほどに緻密な人でも・・・と急に気持ちが楽になった。
 そう言えば、大学時代に買った写真集のあとがきに、ある写真家が、
「先輩方が馬鹿話として語ってくれる失敗談に随分救われた。」
 と書いておられたことを思い出した。
 誰かが語る「俺はこうして成功したよ」、という類の話は、意味がないとまでは言わないけれど、聞いても実際には案外役に立たない場合が多い。その手の話は、せいぜい着付け薬みたいなものだと思っておいた方がいい。
 というのは、何かにチャレンジすると、失敗の方が遥かに多いから。
 始めて昆虫写真家の海野さんの事務所を訪ねた時にも、似たようなことを言われたっけ。
 選りすぐりの写真を持って行った僕に対して、海野さんが、
「もっと写真もってきてないの?できれば、失敗した写真とかボロイところも見たいな。」
 と。
 人はしばしばうまくいかない部分の方に、重要な、あるいは面白い何かがある。
 夕刻、宮崎から、今度は鹿児島へ。

 4月3日。鹿児島では、一度、フィールドでの姿を見てみたいなと以前から思っていた自然写真家の関慎太郎さんとお会いする。
 関さんは京都を出て、徹夜で車を走らせ鹿児島までやってきたのだそうだ。
 仕事を見て、スタミナがある人なんだろうなとは思っていたのだが、やっぱり!これは、なかなか真似ができない。
 夕刻、
「あ〜眠たい。」
 とつぶやき、確かにとても眠そうだが、まだまだどこかに余力を残している感じがする。
 関さんの取材に志願をして同行していたげんき君については、ツイッターでの活動ですでに知っていたのだが、なかなかの好青年で嬉しくなる。
 関さんが今回狙っていたのは、あるサンショウウオだった。
 そして今回の探索で、たった一匹それを見つけたのは、北九州市水環境館の川原二郎さん。
 川原さんも前日に北九州を出て、ほぼ徹夜。
 本当は付近で車内泊をする予定だったらしいのだが、毛布一枚では寒くて寝られなかったのだそうだ。
 それはともあれ、以前川原さんにサンショウウオのどこが一番面白いですか?と聞いたら、
「サンショウウオは、探すものですね!」
 という答えが返ってきたことがあり、探すことが川原さんにとってこの上ない喜びであることは知っていたのだが、さすが!
 何の生き物であっても、楽しそうに探す人は、確かによく見つけ出すように思う。

 僕はその日、その場で見た自分の心象風景を、3〜4枚の写真で表現するというテーマを掲げて出かけた。
 できれば4枚で表現をしたかったのだが、最後の一枚がどうしても決まらず、3枚になった。


NikonD7100 AF-S DX NIKKOR 10-24mm f/3.5-4.5G ED

NikonD7100 AF-S DX NIKKOR 10-24mm f/3.5-4.5G ED

Panasonic DMC-LX100 水中ハウジング


   
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自然写真家・武田晋一のHP 「水の贈り物」 毎日の撮影を紹介する撮影日記 2017年4月分


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