撮影日記 2015年6月分 バックナンバーへ今週のスケジュールへTopPageへ
 
 
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● 2015.6.30 オカミミガイ


NikonD610 SIGMA15mm F2.8 EX DG DIAGONALFISHEYE +1.4X


 陸(おか)に住んでいる耳のような貝だから、オカミミガイ。
 陸上で暮らす巻貝のことを俗にカタツムリと呼ぶのだが、オカミミガイは幼生時代を海の中で過ごすため、カタツムリには含まないのが普通なのだそうだ。
 近年、特に減っているとされている生き物の1つ。
 減っているとされる生き物の中には、なぜ減っているのか理由がピンと来ない生き物もいるが、オカミミガイの場合は現物を見てみると一目瞭然。海と接するアシなどの植物が生えた場所がなくなっているのがその原因で、そんな環境さえあれば、たくさん見つかる。
 写真は一昨日の晴れの日。

 北九州市は政令指定都市だ。
 政令指定都市に指定されるためには人口などの条件があるようだが、同じような感覚で、「市」くらいの単位には、こんな環境をある一定面積保持するべし、と自然に関しても何か条件を付けてはどうかと思う。



● 2015.6.29 照明器具


NikonD610 AF-S VR Micro-Nikkor ED 105mm F2.8G(IF) NX-D

 スタジオ写真の教科書を開くと、被写体のタイプごとに適した照明の方法が記されている。
 ナイフのように周囲のものを写し込む被写体、布のように光を吸収する被写体、ペットボトルのような半透明の被写体・・・
 カタツムリという生き物の場合は暗い場所に生息している場合が多く、しばしば照明器具を使うが、その場合にヌメヌメした軟体の部分に適した照明と光を吸収する殻の部分に適した照明の方法とが異なり、それらを両方満たそうとすれば、なかなかに大がかりになってしまう。
 幸い、一部の例外的な種類を除いて飛んで逃げることはない生き物なので、照明器具を設置する時間は取れる。そこで僕は、トキスターというメーカーの、小型でバッテリー駆動できるスタジオ用のライト・e-Z Flash BP2.0を使用してきた。
 大型の照明器具を使用する利点は、しくみの説明は省くが、被写体が動いても写真がぶれないこと。したがって、カメラを三脚に固定することなしに、被写体を追いかけながらバンバンシャッターを押すことができる。
 ただ、いくら小型のe-Z Flash BP2.0と言っても、それを支えるスタンドまでを含めるとやはりそこそこの大きさであり、それなりの覚悟が必要になる。そこで、もうちょっと軽く手ごろにならないものかと、昨日新たな照明器具を1セット注文してみた。
 僕がe-Z Flash BP2.0を購入した以降に登場したネット上ではチョイチョイ見かける製品だが、もしも使ってみて良かったなら紹介したい。

 写真はフリイデルマイマイ。 この仲間は、図鑑を開けば絶望したくなるほどよく似た物が各地に分布する。



● 2015.6.26〜28 バックモニター

 車のギアーをバックに入れると、連動してカーナビに映像が写るカメラを取り付けてみたら、これが非常にいいので感激。
 随分前に一度同様のカメラを取り付けた経験があったのだが、その時は、使えなくはないけどまだまだやな、という印象だった。
 車がバックをする際に音を出して警告するようなパーツもあるが、本来自分が注意をすべきところを、私がバックするからあなたが注意してくださいと警告したり、音がしているのだからどいてくれるだろうという発想は好きになれない。
 ともあれ、今のバックモニターは暗い場所でもよく見えるし、距離や位置が非常につかみやすく、もはや不可欠という気がする。
 技術の進歩ってスゴイな。
 数年前からずっと気になっていた出来事がある。
 ある晩、最寄りのコンビニまで数十分という山の中の駐車場で車を止めて寝ていたら、車の周囲から聞こえてくる音で目が覚めた。
 音の正体は、おばあさんだった。
 僕の車の周りを歩いてグルグルとまわっていた。
 多分徘徊しておられたのだと思うが、車の死角でしゃがんで休んでしまうかもしれないし、万が一を考えたら怖いなと思った。



● 2015.6.22〜25 ターンテーブル



 スタジオに置かれた丸い道具は、本来は上に載せたテレビなどの向きを自由に変えるターンテーブル。
 この上に白い紙を敷いてカタツムリをおき、ターンテーブルをクルンと回し、カタツムリが回っている間に見事にピントを合わせて写真を撮る。
 撮影の難易度はむちゃくちゃに高くなるが、その難易度の高さを敢えて楽しむのだ。
 などという悪い冗談はやめにしておこう。

 カタツムリの中には、非常に臆病な種類がいて、撮影の際に角度を変えようと紙を回すと、その際の振動などで殻に引っ込みしばらく出てこなくなる場合がある。
 そこで、少しでもスムーズに、カタツムリに気付かれないように向きを変えるために、ターンテーブルの上に紙を敷くことを考えた。
 カタツムリの撮影の何が面倒かと言えば、種類によっては、スタジオの白い紙の上ではなかなか動かないこと。仮に殻から頭を出しても、雨の日の屋外で見せるように体をピーンと伸ばした凛々しい姿にはなりにくく、とにかく機嫌よく歩いてもらうのに時間がかかる。
 制作中のカタツムリ図鑑はいよいよ印刷されるが、カタツムリに関してはもう少し詳しくなりたい気持ちがありさらに撮影を進めたいと思うのだが、非常に時間がかかることを何とか解決しなければ、やりたくてもそれができなくなってしまう。
 カタツムリは日本に約800種類もいるとされているのだが、400〜500種類くらいを目標にして、それを実現可能なペースをつかみたいのだ。



● 2015.6.19〜21 テラマチベッコウ

 カタツムリは珪藻を食べる。したがって、珪藻が多い場所にはカタツムリも多い。
 珪藻は植物なので、適度な日当たりがある場所に生える。僕が普段よく行く山で言うと、カタツムリは、森に光が差し込みやすい、南側の斜面に多い傾向がある。
 一方で、北向きの斜面の直観的には暗すぎると感じられるような場所には、カタツムリの数や種類は少ないものの、珍種が分布する場合がある。
 南向きの斜面よりも乾きにくく湿りがちなので、より乾燥に弱いデリケートな種類が生き残れるのか、或いはもしかしたら、山は北向きの斜面の方が人にとって利用しずらく、手付かずのまま残りやすいからという可能性も考えられる。


NikonD7100 AF-S VR Micro-Nikkor ED 105mm F2.8G(IF) ストロボ

 さて、福岡県に大型のベッコウマイマイ類が分布するとは思ってもいなかったので、こいつを見つけた時には、おったまげた!
 興奮のあまり、クラッと倒れそうになった。
 今回見つけた大型のベッコウはいったいなんだろう?と知れべてみたら、おそらく、テラマチベッコウだと思われる。
 この仲間の何が面白いか?と言えば、胴体に対して殻が小さく、もはや殻に入ってこもることはできず、その小さめの殻を隠すかのように軟体の部分が覆いかぶさってくること。
 ナメクジの中に、殻を完全に体の中にしまいこんでしまったコウラナメクジと呼ばれるグループが存在するが、大型のベッコウウマイマイ類の場合は、一般的な殻を背負ったカタツムリと、殻を体内に取り込んでしまったコウラナメクジの間をつなぐかのような形態だ。
「ナメクジって、カタツムリが殻から出てきたもの?」
 とたまに聞かれるが、そこには、カタツムリは愛らしく、ナメクジは気持ちが悪いという意識が潜在的にあるのだと思われる。そんな時に、ベッコウマイマイ類やコウラナメクジの話をすると大いなる興味をしめす方が多い。
 見た目の気持ち悪さが、現象の面白さに転じる。



 村上春樹、河合隼雄に会いにいく (新潮文庫) の中で、人の心の問題の第一人者であった河合隼雄さんが、人は誰でも暴力性を持っていることと、その暴力性を自覚していることの重要性を説いておられる。
 例えば、子供が虫を殺す。あるいはチャンバラごっこをする。
 すると、それらの体験が、自分の暴力性について気付く機会になる。
 大人が、
「虫を殺してはいけません。」「そんな残酷な遊びはいけません。」
 と禁止をすれば、逆にとんでもないことになると懸念しておられる。
 また、暴力性を何か違った形で発散することの必要性についても触れておられる。
 具体的には、青島都知事が、「都市博やめた」と言い出したことを、「あれは一種のすごい暴力ですよ。」とし、そういう暴力は現代には必要なのだと思うと評価し、みんなが行儀よく、平和を連呼していたら、逆にむちゃくちゃになってしまうといった旨の発言をしておられる。
 ふと、僕がナメクジを見せたいなどと思うのも、一種の暴力なのではなかろうか?などと思えてくる。



● 2015.6.15〜18 ジャンボタニシ

 スクミリンゴガイを知ったのは、大学の4年の時。
 田んぼの一角にある鶏舎に蚊の卵の採集に出かけた先輩が、
「何の卵かのぉ?」
 とピンクの卵を持って帰ってきた。
「あたりに貝しか見当たらんから、貝の卵じゃと思う。」
 と。
 卵はやがて孵化をして、予想通り、小さな巻貝が出てきた。
「この間のあれ、テレビでやっとったけど、外国から来た貝で、ジャンボタニシいうんじゃって。」
 ジャンボタニシことスクミリンゴガイはその後バンバン増え、田んぼで良く見かける。
 田んぼではそれほど大きくなるわけではなく、ジャンボは言い過ぎだと思うけど、水深がある水路などに住み着いたものの中には、サザエか?と言いたくなるほど大きくなるものも見られる。 


NikonD610 AF-S VR Micro-Nikkor ED 105mm F2.8G(IF) ストロボ

 よく見ると、意外とカッコイイ。

 こちらは随分前に撮影したもの。
 潜望鏡のような管を伸ばすのには驚かされた。

 外来の生き物は、自然愛好家からは嫌われる傾向にある。
 それはそれでいいと思う。
 僕もいないに越したことはないと思うし、駆除の必要を感じることも多々ある。
 ただ残念だなと思うのは、アメリカザリガニなんかでも同様に感じるのだが、その生態を知らない人が多いこと。
 在来の生き物のようには見ない人が多い。
 それが好ましい生き物かどうかと、生き物として面白いかどうかは、別のことなんじゃないか?と思うし、好ましくないという理由で関心が持てないのは、生き物屋として何かが足りないような気がする。
 逆に、生き物として面白いからという理由で、駆除するなと主張されることにも違和感がある。
 それとこれとは、別の話なのだ。



● 2015.6.13〜14 人気がない!

 ヌマガエルは、とにかく人気がない。
 ヌマガエルに関して、深〜い深〜い愛情をもって、熱く熱く語られた記事を、僕はまだ見たり読んだことがない。
 地味な上にとにかく数が多くて、嫌われているのではなくて、まるでそこらの石ころのような存在であり、そもそも関心を持ってもらえない感じがする。
 嫌われている生き物はまだ本作りのテーマになり得るが、ヌマガエルのような関心をもってもらえない存在は絶望的だ。
 ヌマガエルの本なんか作ってしまったら、売れんやろうなぁ。


NikonD610 AF-S VR Micro-Nikkor ED 105mm F2.8G(IF) SILKYPIX

NikonD610 AF-S VR Micro-Nikkor ED 105mm F2.8G(IF) SILKYPIX

 少し緑が入る個体。
 もうちょっと緑が強ければ、結構渋くてカッコいいんじゃない?



● 2015.6.13〜14 関心

 カタツムリは、昆虫などに比べると、今のところ、見る目が少ない生き物だ。
 そんな場合に2つの考え方がある。
 1つは、それが分かる人が少ないのだから、この日記ではあまり取り上げないというもの。あとの1つは、見る目が少ないからこそ、紹介して知ってもらうというもの。
 どちらにするかは、頭で考えられることではない。
 やってみなければ分からないのであり、まずは紹介してみてその効果をみて決めることになる。


ヒダリマキマイマイ(新潟県粟島産)

 さて、新潟県粟島から送ってもらったヒダリマキマイマイが成貝になった。
 送ってくださったのは、最近野鳥で大活躍中の菅原貴徳さん。
 嬉しいなぁと思う。
 カタツムリが送られてきて、それを見ることができるのも嬉しいけど、菅原が関心をもってくださったことも嬉しい。
 そうして誰かに関心を持ってもらえる可能性があるのなら、カタツムリの記事を書こうかと思う。
 菅原さんが粟島滞在時に見た野鳥に関しては、文一総合出版のBirder(バーダー)4月号に掲載されている。

 菅原さんのイベントが6/17に新宿で開催されます。
 詳細は、ここ(フェイスブックのアカウントを持たない人は見れないかも)



● 2015.6.9〜12 ナカヤママイマイ

 世界中で、北九州のある一帯にだけ分布するナカヤママイマイ。
 他の生き物なら、そこにしかいないとなればそれなりに話題になるものだが、カタツムリの場合はそうした極めて狭い分布の例はざらにあり、特に話題になるようなことはない。
 ナカヤママイマイもよほどにその筋の生き物に詳しい人でなければ、北九州在住でもまず名前すら知らないだろう。
 カタツムリは移動能力が乏しく、各地で独自の進化を遂げた種類が多い。


NikonD610 AF-S NIKKOR 16-35mm f/4G ED VR SILKYPIX

NikonD610 AF-S VR Micro-Nikkor ED 105mm F2.8G(IF) SILKYPIX

上の画像とは別個体(2013年撮影)

 特に石灰岩地帯には、そこにしか分布しない特殊なカタツムリが多い。
 そこから想像されるのは、広く分布しているカタツムリが石灰岩地帯に住み着くと、やがて別の生き物になるということ。一般的には、石灰岩地帯では殻の背が低くなり、殻が角張る傾向がある。
 ナカヤママイマイの場合は、恐らく比較的広く分布するシメクチマイマイが変化したものだと思う。
 シメクチマイマイから発生したと思われるカタツムリは他にも何種類か知られているが、そうしたことが模式的に分かるようなカタツムリの家系図的な図鑑を、将来作ってみたいものだ。
 
 

● 2015.6.7〜8 盗作、盗用



 上が名作中の名作と評価がかった、フランスのルブレックス社製のオークラ。下が日本のダイワ製のクルセイダー。
 いずれも僕が子供の頃に購入したもので、クルセイダーは、名作オークラを模したものだと思われる。デザインのみならず、重さやカーブの具合もそっくりで、両者は重ねると、なんとピッタリ重なる。
 重なるくらい良く似ていてオークラが良く釣れるのだから、当然クルセイダーでも良く釣れた。しかもクルセイダーは電車に長時間揺られて専門店に行かずとも近所の釣具屋で買うことができ、安価だったので、現場で使うのはたいていクルセイダーだった。
 地球を釣ってしまった場合の紛失に備えてクルセイダーを2〜3個ケースに入れ、その上から蓋をするかのようにオークラを重ねておくのが僕の流儀だった。新聞紙の束の上に万札を重ねておけば100万円に見えるようなものだ。
 オークラを使うのは、紛失が考えられない状況のみだった。
 クルセイダーは、今なら盗作と訴えられそうだが、当時の日本製にはその手のコピー商品が溢れていた。ダイワが無名の会社だったのならともかく、その頃すでに、日本のトップメーカーだった。
 近年は、知的財産権などということが主張されるようになった。
 それをかわすためか、あるいは類似性を指摘されたのか、今生産されているクルセイダーは、オークラとは形が違っているという話を聞いたことがある。そして昔のクルセイダーほどは釣れないとも。

 知的財産権という概念の中にも、幅がある。
 知的財産権の中でも、誰かが生み出したものを自分が作ったものとして欺く盗用は、許しがたい。
 しかし盗用ではなく盗作となると、個人的には、必ずしも悪というわけではないと感じる。
 盗作がなぜ悪いのか?と言えば、そんな風にルールを定めたからに過ぎない。ルールを決めたのは先進国であり、当然それらの決め事は先進国にとって都合よくできている。
 すべての盗作を認めるわけではないけど、そこに一抹の如何わしさも感じる。
 オークラとクルセイダーの場合はどうかな?
 僕は、この盗作は、質が悪いと感じる。
 クルセイダーは人気商品なので、その分、ルブレックス社の売り上げは減ったはずだ。
 一方で、時たま、あなたの写真を絵に描いていいですか?と聞かれるが、僕はそうしたことに対して何の抵抗もない。
 絵と写真は別物だし、その人が絵を描いたところで、その分僕の売り上げが減るとは考えにくいから。
 そこまで権利権利でガチガチに社会を固められるのは、楽しくないなと思う。
 せめて、論文の世界に引用という概念があるけど、引用しましたという表記で許されるくらいであって欲しい。



● 2015.6.6 経験則



上)リシケオトメマイマイ
下)チャイロオトメマイマイ(或いはその一種)

 スタジオで撮影する際に、上のカタツムリは、割と容易く殻から出てきて、ご機嫌に這いまわってくれた。
 一方で下はとてもデリケート。なかなか出てこないし、出てきてもやや縮こまりがちで、手で触れるとすぐに殻に閉じ篭る。
 もちろん、たくさん採集してみれば個体差もあるだろう。けれども大雑把に言うと、殻の色が黒っぽいカタツムリは敏感だ。これは法則と言い切れるほどコンスタントではないから、経験則だと理解してもらえればいい。
 カタツムリの殻の色には変異が多いのだが、同種内の明るい殻の色のものと暗い殻の色のものを比較しても比較的それが当てはまるし、別種の明るい殻の種類と暗い殻の種類とを比較してもそう言える。
 したがってカメラマンとしては、黒っぽいカタツムリの撮影は、殻から出てくるまでに時間がかかるので嫌〜な感じがする。
 下手をすると数時間。数時間待ってもダメで、何日もかけて他愛のない写真をほんの数枚撮影するようなケースだってある。飼育ケース内ならまだしも、スタジオの白い紙の上では、なかなか出てこないのだ。



 豊橋市自然史博物館の特別企画展「ザ・カタツムリ」の際に作られた図録には、黒い殻には隠ぺい効果があり、明るい殻には温度の上昇を防ぐ効果があると記されているが、これは、自分でフィールドを歩いてみると非常に説得力がある。
 白っぽい殻の色のカタツムリは、比較的目立つ場所にいて、黒っぽいものは隠れている傾向があり、言い換えると、白っぽいものは大胆で、黒っぽいものは臆病なのだ。
 上記の図録は
こちらで購入可能です。



● 2015.6.5 チャイロオトメ?

 雨上がり。
 山口県でカエルを観察する際にわざと遠くに車を止め、沼まで歩いていく間にカタツムリを探してみた。
 あたりは絶好のカタツムリポイントに見えた。あちこちに色々な種類がくっついていてもおかしくないと思った。
 ところが予想に反して、何も見つからない。カタツムリとはそんな生き物であり、計算できないところがある。
 しかし過去には、そんな外れの場所で唯一見つかったのが非常に見つけにくい種類であったことが何度かあり、それを期待して探し続けるとカタツムリを見つけた。

 


 中国地方の東部で見たことがあるチャイロオトメマイマイかな?と思ったのだが、殻の周囲がツルンと丸い。チャイロオトメならそこにあるはずの弱い角がないように見える。
 未記載種かな?

 九州南部には、今回採集したものに良く似たダコスタマイマイというカタツムリが分布するのだが、昨年、九州北部のうちの自宅の近くで、そのダコスタに良く似たカタツムリを見つけた。
 まだ幼貝であり種類を確かめることができない段階だったため、持ち帰って育ててみることにしたのだが、上手く育てることができず正体は不明のまま。
 それがダコスタで分布が従来知られていたよりも実際は広いのか、或いは未記載の種類なのかは分からないのだが、今シーズンは、是非大人の貝を採集したい。
 もしかしたら、今回山口県で採集した不明のカタツムリと同じものという可能性もあるだろう。
 因みに下はダコスタマイマイ。
 矢印のところが今回採集したものとは違って、スムーズではなくガクガク凸凹している。




● 2015.6.3〜4 イボイボ





 あっ、イボイボナメクジだ!
 イボイボナメクジは、非常に見つけにくい生き物だ。
 少なくとも日本の本土に分布するものは、狙って探し出すのはほぼ不可能。体長は、2〜3センチ。
 カタツムリの採集中に、ごくたまに、偶然見つかる。
 非常にデリケートで、採集しても長生きしない。肉食で、カタツムリを食べると言われているが、確かに昨年、高知県でイボイボナメクジを見つけた際には、小型のカタツムリを襲って食べている最中だった。
 多くの人がイメージするナメクジはカタツムリ(陸貝)の殻が退化したものだが、イボイボは、カタツムリではない別の巻貝の殻が退化したものだとどこかで聞いたことがある。

 イボイボナメクジというユーモラスな名前は、陸貝の第一人者、湊先生がつけたもの。
 湊先生は100種類以上のカタツムリを記載しておられるが、ユニークな名前を付けるように心がけておられるのだそうで、スベスベヤマキサゴとか、オモイガケナマイマイとか、ハジメテビロウドマイマイなどカタツムリの名前にはおもろい物が多いのは、そのせいだ。

 外来種で沖縄に分布するアシヒダナメクジが、これに近いということになっているが、横から見ると、確かに似た感じがする。


アシヒダナメクジ

アシヒダナメクジ



● 2015.6.1〜2 クラムボン現る?

今月の水辺を更新しました。


   
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自然写真家・武田晋一のHP 「水の贈り物」 毎日の撮影を紹介する撮影日記 2015年6月分


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