今月の水辺 / ため池

NikonZ7U
NIKKOR Z 17-28mm f/2.8
PL
(撮影機材の話)
僕が愛用しているNIKKOR Z 17-28mm f/2.8は、タムロン社製のレンズのOEMだと言われているが、その元になったレンズであるタムロン17-28mm F/2.8 Di III RXDが、最近リニューアルした。なんと、焦点距離がワイド側と望遠側にそれぞれ伸び16-30mmのワイドズームとして登場したのだから、実用面で欲しくなる。さて、どうしたものか。将来、新しくなったタムロンレンズのOEMが、ニコンから、ニコンのレンズに揃えたデザインや手触りで発売されるのならそれを待ちたいが、発売されないのならタムロンを買いたいので悩ましい。がしかし、よく考えてみるとお金がないので、悩んでもしかたがないという気もしてきた。


撮影後記 

 今月は出来事があって、どうしても写真を撮る気になれなかった。
 僕の場合、写真撮影は、それに集中できる環境が整っていて初めて可能になる活動なんだと痛感した。
 それは、若いころから、漠然と分かっていることではあった。
 というのは、僕は普段、一生懸命写真を撮ろうとするよりも、写真に打ち込むことを妨げる諸々の要素を取り除くことに力を入れているから。
 僕の場合、写真を撮りたいと思う情熱は、環境さえ整っていれば勝手に後からついてくるものだから。
 ふと昔、釣りの師匠が話してくださったことを思い出した。
「師匠には釣りがあるから、どんな時でも楽しく過ごせていいですね。」
 という僕の投げかけに対して、
「いやいや、釣りに行く気になれるというのは、その段階ですでに幸せだということなんよ。何かを大きなことを抱えている時には、わしはとても釣りに行こうなんて気持ちになれんよ。」
 と。
 そんな事情があり、6月は、今月の水辺をパスしようかとも思ったのだけど、このため池ならなんとか行けるような気がしたので、ぶらりと行ってみた。
 割と最近教えてもらったことだが、このため池はある市の所有で、ここに来る人たちが自由に生き物と接することができるように、何人かの方がボランティアで手入れをしておられるらしい。
 実に実に実に、ありがたいことだと思う。

 とても小さな池なので、僕にとってはあくまでも生き物を撮影する場所であり、この場所そのものをまとめようと思ったことはなかった。
 ところが今回池を眺めていると、そんなまとめ方もありなんじゃないか、という気がしてきた。池の生き物たちは言うまでもなく、「ため池」をテーマにするようなまとめ方だ。
 だとすると、普段の僕の写真の撮り方を変える必要がある。
 僕は、ここで生き物を撮影する際には、なるべく人工物が画面に入らないように撮影してきた。
 だがため池は人が水をためて作った人工の水辺であり、ため池をテーマにするのなら、生き物だけが写っていればいいわけではない。
 そこで、いつもなら池に到着したら真っ先に水の中を見に行くところを、今回は遠巻きにして、離れたところに三脚を立てて、水をせき止めている堰にカメラを向けてみた。
 あたりは広場になっているので、三脚を立てる位置は、前後左右に多少の選択肢がある。
 そして前後に関して言うと、三脚をより池から遠い位置に立てれば、この場の雰囲気がより伝わる写真になる。だが、池から離れれば離れるほど、池の中は見えにくくなる。
 そんなケースでは、僕は、堰が5割、池が3割、池の周辺の木々が2割などと、画面構成をいったん数字に置き換えて、その割合に近づくように自分の立ち位置を前後することで撮影ポジションを決める場合が多い。
 そうすることで、自分が表したいものと実際に写っているものとが一致しない写真になることを防ぎ、誰かがその写真を見た時に、写真に添えられるキャプションと見る人の第一印象が一致するように仕向ける。
 ともあれ、人工物を画面に入れるような写真は、多少練習したり研究する必要があるかなぁ。
 人工物と自然物とは、写真撮影の要領がかなり違うのだ。
 
 
 
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自然写真家・武田晋一のHP「水の贈り物」 毎月の撮影結果を紹介する今月の水辺 2025年6月分


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