今月の水辺 / 砂浜の小さな水流

NikonZ7U
NIKKOR Z 17-28mm f/2.8
(撮影機材の話)
風景の撮影で僕が使用しているワイドズームは、 NIKKOR Z 14-30mm f/4 S と NIKKOR Z 17-28mm f/2.8 の2本。14-30mmの方はSレンズと呼ばれる描写にこだわった高性能なシリーズ。17-28mmの方はSレンズではないけど、最短撮影距離が短いのが特徴。したがって、風景に加えて小さな生き物も撮影する可能性がある日は、17-28mmの方を選ぶことが多い。17-28mmはタムロンのOEMだと言われている。描写は決して悪くない。Sレンズである14-30mm f/4 Sとの比較で、ワイド側の焦点距離の違いを感じることはあるが、画質の差を感じたことはない。ただ、両者で同じ被写体を撮影すると、色味の違いはある。

撮影後記 

 7月にカブトガニが産卵をしていた砂浜を見に行ってみた。
 カブトガニが産卵をするのは、潮位が高い日の満潮の頃。一方今回僕が行ったのは、干潮のタイミング。
 したがって産卵を撮影した日には海の底だった場所が、陸地になっていた。
 陸地になった砂浜からは、幾筋ものの細い流れが忽然と湧きだし、海に流れ込んでいた。
 その細い流れがカブトガニの生息にいい影響を与えるかどうかは、僕にはわからないけど、そうした伏流水がある場所では、生き物がたくさん見られることが多い。
 この場所にはスナガニが多く生息しているのだが、スナガニが集中して生息している場所も、単なる砂浜というよりは、細流が海に流れ込んでいるような場所が多い。
 そうなると、僕にはこの水流が何者なのかが気になる。
 淡水が流れ込んでいるのかもしれないし、満潮の時に砂の中に蓄えられた海水が染み出している可能性もあるだろう。
 この流れが淡水なのか海水なのかを次回調べるために、帰宅後に、塩分の濃度を測る機器を購入してみた。
 そんな機器を新たに買わなくても、海水魚の飼育の際に使用しているボーメで測れば、正確な濃度まではわからなくても淡水か海水かくらいなら分かるしそれでいいという気もする。
 でも現場でいろいろな箇所を測ってみるとなると、少量の水で瞬時に数値を表示してくれる文明の利器はありがたい。そこでさっそく塩分濃度系を注文をして、まずはうちの海水水槽の濃度を測ってみた。
 すると、なぜか数字ではなくHの文字が表示された。
 機械は、塩分濃度が濃すぎて測れないという。
 そんなバカなと思って説明書をよく読んでみると、測定できるのは1.9%までだと記されていた。なるほど、約3%の濃さがある海水が測れるわけがない。
 どうも僕が購入したのは料理用であり、おそらく料理では、その程度の濃さが測れれば十分なのだろう。
 痛い!約2500円の損失だ。
 仕方がないので今度はよく調べて、25%の濃さまで測れるものを購入した。
 そしてうちの海水水槽を測定してみたら、約3%であることが確かめられた。
 値段は約5000円。
 最初から気になっていた製品ではあったけど、2500円をケチった結果、2500円を損してしまった。
 2500円と言えば、かなりいい物が食べられる。
 実にもったいないのだけど、塩分濃度を測定できる道具を手に入れたのだから、次回またこの場所に行くのがいっそう楽しみになった。
 ちなみに、カブトガニの卵が産みつけられたのは、今月の画像の中では、画面左側の写真の枠の外になる。
 したがって干潮の波打ち際から見ると、かなり海から遠い。
 卵は一か月以上砂の中にあると言われているので、この砂浜の陸地になっている箇所には、この日、カブトガニの卵が埋まっていたことになる。
  
 
 
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自然写真家・武田晋一のHP「水の贈り物」 毎月の撮影結果を紹介する今月の水辺 2024年8分


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