今月の水辺 /満潮の干潟

NikonZ7
NIKKOR Z 14-30mm f/4 S
(撮影機材の話)
今回の干潟の撮影は、満潮から干潮まで、満ち引きの様子をタイムラプスで撮影した。撮影が長時間に及ぶとカメラの電池がなくなるので、モバイルバッテリーからカメラの電源を取りるが、NikonZ7ではUSBターミナルからの給電ができない。そこで、バッテリーボックスに、そういう用途のために準備されているダミーのバッテリーを入れ、そこにモバイルバッテリーを接続して給電する。最近のカメラにはUSBターミナルからの給電が可能な製品もあるが、USBターミナルは他の用途にも使用するので開けておきたい事情があり、ダミーのバッテリーから給電する方法は、今後も使うことになるだろう。


撮影後記 

 4月の上旬に、干潟を、満潮の状態から干潮まで数時間かけて撮影した。それらの写真はつなぎ合わせると動画のようになり、そうした手法はタイムラプス撮影などと呼ばれる。
 干潟と言えば、干潮時に現れる広大な地面が特徴的であり、満潮を撮影する機会はあまりない。
 だがタイムラプス撮影をする場合は、特徴的な干潮よりも、満潮の状態の方が重要になる。なぜなら、干潮の時間帯はどこにどうカメラを向けても同じような絵になるが、満潮の時間帯は、画面の中のどこに波打ち際が入るかなどによって絵が全く違ってくるから。
 そこで撮影は、満潮の時間帯から始めることになる。
 これが磯なら逆になり、磯の場合は干潮時にできる潮だまりに表情があるので、干潮の時間帯から撮影を始めることになる。

 撮影が長時間に及ぶと、いろいろなことが起きる。例えば、カメラの前を人が横切ることもある。
 したがって、場所の設定が通常の撮影よりも難しくなる。
 今回の撮影では、潮が引き始めたタイミングでおばちゃんがやってきてゴミ拾いを始めた。
 カメラのタイマーを一分に一枚のペースで写真が撮れるようにセットしておいたら、おばちゃんが写っている写真が3枚ほどあった。つまりおばちゃんは、画面の範囲を、3分間ほど掃除したことになる。
 おばちゃんが写っている写真は、動画にする段階で抜くことになるが、動画はスムーズにつながってくれるのだろうか?
 果たしてやってみると、別に違和感なくつながった。潮の満ち引きは劇的なスピードでおきるわけではないし、たまたまこの日は空に雲がなく、画面の中に一定のスピードで動くものがなかったからだろう。
 おばちゃんは、四六時中、
「ヤッホー、ヤッホー、ヤッホー、ヤッホー」
 と叫び続けていた。
 山では、「ヤッホー」を耳にすることがあるけど、干潟では初めて。
 時々、
「海は広いな、大きいな・・・」
 と歌が始まることもあった。
 写真を撮っていると、野山に発声に来ている人に出会うことがある。別の場所では、
「あ、あ、あ、あ・・・・」
 と大きな声で、切れよく、発声をしている方もおられた。
 僕はそんなことをしようとは毛頭思わないので、いろいろな人がいるもんだなと思う。
 タイムラプスという手法がよく使われるようになったのは割と最近だが、一ヶ所にとどまる時間が長い分、これまでよりもいろいろな人を目にするのは、新しく登場した撮影手法の思わぬ副産物だ。
 
 
 
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自然写真家・武田晋一のHP「水の贈り物」 毎月の撮影結果を紹介する今月の水辺 2022年4月分


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