今月の水辺 / 雨の中

NikonZ7
NIKKOR Z 14-30mm f/4 S
(撮影機材の話)
青空が一転して真っ暗になり、激しい雨が降った後にまた青空に戻る過程を撮影しようとすると、合計で2〜3時間くらいの時間は要する。その間に撮影する写真の枚数が仮に1000枚だとすると、ミラーレスカメラの場合、バッテリーが無くなってしまうので、外部バッテリーを使わなければならない。僕は、カメラの専用バッテリーを抜いて、代わりにモバイルバッテリーに接続されたダミーのバッテリーを入れるやり方で、モバイルバッテリーからミラーレスカメラに給電する。最新の機種では、ダミーのバッテリーを使用せずに、ミラーレスカメラのUSB端子から給電できるものもある。


撮影後記 

 山上の東屋に三脚を立ててカメラをセットし、通り雨がやってくるのを待つ。
 どうやったら自分があらかじめ予定した場所で、雨をしのぎつつ雨の写真が撮れるだろう?といろいろと試行錯誤し、ハイエースの後ろのドアを開けて大きな傘代わりにするなども試してみたのだけど、激しい雨ではレンズが濡れてしまうので、展望台に設けられた東屋の中から撮影することにした。
 しかし東屋の中から撮ろうとすると、今度は場所が限られる。
 今はスマートフォンを使えばどこを雨雲が通りそうなのか、予報を随時チェックすることは可能だけど、狙って写真を撮るとなるとさすがに精度不足なので、できれば空の具合を見ながら、車を走らせながら場所を決めたい気持ちもあった。
 がしかし、ここで写真を撮ると決め、雨雲が撮影可能な位置を通らなければ景色を眺めに来たのだと思うことにして、開き直った。
 最初は本当に雨なんか降るのか?というくらいの、見事な青空だった。
 自分で進んで雨の写真を撮りに来ているくせに、雨なんか降るわけないと内心思った。
 ところがやがてカメラの画面の右端に雲の塊が見え、その後、雨雲がグングン近づいてきて、最後は目の前が真っ白になるほどの激しい雨に。
 ひとしきり降ると雨脚は弱まり、小雨の中、虫やそれを狙うツバメが盛んに飛び交い、いいなぁと眺めていたら、いつの間にかまた元の青空が戻り虹が出た。
 面白いなぁ。
 以前、とある田舎の橋の上から、マスの産卵の様子を観察していたら、通りがかりの女性が実は近くの小学校の校長先生で、子どもたちを連れてマスを見に来たことがあった。
 田舎の小さな学校だからできたことではあるけど、もっと先生がそんなことをできる社会なら、近くに展望所があるような学校の子供たちが通り雨がやってくる様子を見に行くのも楽しいだろうな。
 もちろん、予定通りにいかずに通り雨が見れないこともある。いや、見れないことの方が多いだろうけど、それならそれで虫や鳥などを見ることができるし、楽しいことはたくさんある。

 現実には、田舎の小さな小さな学校でもない限り、今日は通り雨がきそうだから見に行きましょう、とその日に決めて見に行くことは、できないだろう。
 それをできなくしているのは、事故が起きたら困るという心配だ。
 事故を起こさないためには、なるべくすべてを予定のもとに行わなければならない。つまり、予定調和だ。
 その傾向は、今後もっと強くなるだろうし、そちらへ向かったものが逆戻りすることはないような気がする。多少リスクが増すとしても、それを受け入れて面白いことをしましょうとは、責任という概念が存在する限り、ならないだろう。
 ではどうしたらいいのだろうか?
 僕らのようなカメラマンが代表して見に行って、記録をして、それをみんなに伝えるのは1つの手だ。
 その場合、僕らがレンズを向ける被写体は、人が予定して見れないものであればあるほどいい。
 そういう意味で、気象現象は、今後力を入れて取材したい。
 
 
 
戻る≫
 

自然写真家・武田晋一のHP「水の贈り物」 毎月の撮影結果を紹介する今月の水辺 2020年7月分


のサイトに掲載されている文章・画像の無断転用を禁じます
Copyright Shinichi Takeda All rights reserved.
- since 2001/5/26 -

Top Page