今月の水辺 / 田んぼ

NikonZ7
NIKKOR Z 14-30mm f/4 S
(撮影機材の話)
広角レンズで撮影すると、物の形が歪む。特に画面の周辺でそれが顕著になる。今回の写真なら、電柱や鉄塔は、画面の外側に向かって倒れて写る。今月の写真はその歪をフォトショップで修正してある。撮影段階でそれを修正できるレンズもある。が、高価なので僕は持っていないし、買えたとしても荷物が増えてしまうのでパソコンでの修正でいいと思っている。ただしその際には画角が狭くなる。だから目検討で、その分より広く撮っておく必要があり、時には狭く撮り過ぎてしまったという失敗もおきる。カメラのファインダー内で、ソフト的に歪の修正がができたらなぁと思う。


撮影後記 

 カブトエビを初めて見たのは中学生の時だった。
 将棋仲間の本松君が
「うちの近所の田んぼにカブトエビがいるよ」
 と案内をしてくれたのは、本松君のお宅の向かいの田んぼだった。
 僕が通った直方第三中学校は、主に直方北小学校と新入小学校に通った子供たちが集められた学校だった。
 そして、僕が町の中心部の商店街に近い直方北小学校の出身であるのに対して、本松君は田んぼに囲まれた新入小学校の出身で、田んぼの生き物たちを日常的に見ていたのだった。
 小学生の時は、僕はクラスの中で、生き物好きとして知られていたけど、中学にあがってからは、生き物好きを隠していたつもりはないけど、友人に生き物の話をした記憶がない。
 だが、本松君がカブトエビのことを教えてくれたということは、僕が生き物を好きだと知っていたことになり、何か生き物の話をしていたのだろう。
 その日、何匹かカブトエビを持ち帰り、水槽で飼育することにした。
 それを見た弟がうらやましがり、場所を教えたら、弟も探しに行った。
 
 それから20年以上の月日が流れ、ある時カブトエビの写真を撮ることになり、さて、どこにいるのだろう?と最初に探しに行ったのが、本松君の家の付近だった。
 残念ながら、あたりを探してみても、カブトエビは見つからなかったけど、少し車で移動をして、あちこちの田んぼを順に見ていくと、カブトエビの姿があった。
 僕はカブトエビの姿を田んぼ以外では見たことがない。そして、ある田んぼでは毎年見られるのに隣の田んぼには一匹もいないなど、分布を広げる力はあまり強くないと思われる。
 加えて日本で見られるカブトエビはすべて外国からやってきた生き物であり、何らかの事情があって住みついた場所以外では見つからない。
 直方市の周辺のカブトエビは、いつ頃、どんな経緯でやってきたのだろう?
 当時子供たちの間で人気があった学研の雑誌「科学」の付録に、カブトエビの飼育キットが採用されていた時期があり、それらが野に放たれたという説もあるが、カブトエビにも種類があり「科学」の付録だったのはアメリカカブトエビだ。一方でうちの近所で見かけるのは、別の種類のアジアカブトエビなのだ。
 カブトエビは土をかき混ぜる性質があり、カブトエビを探す際のコツは、濁った田んぼを探すこと。いる場所にはたくさんいるし、いない場所には一匹もいない生き物なので、細かに田んぼを見るよりも、ざっと見るくらいにとどめ、それよりも広い範囲を探した方が見つかる確率が高い。
 それからあと1つ。カブトエビの卵は土の中にあり、田んぼに水が入ると数日のうちに孵化をして、比較的短期間で大人になって卵を産んで死んでしまう。
 したがって、田んぼに水が入って1〜2週間くらいのタイミングで探すといい。
 それはともあれ、カブトエビがすむ田んぼを目にすると、本松君のことを思い出す。
 いい場所を教えてくれて、ありがとう。 
 
 
 
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自然写真家・武田晋一のHP「水の贈り物」 毎月の撮影結果を紹介する今月の水辺 2020年6月分


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