今月の水辺 / ニホンアカガエル

NikonZ7
AF-S Micro NIKKOR 60mm f/2.8G ED
ストロボ
(撮影機材の話)
ストロボをカメラに取り付けて使用する場合は、なるべく被写体に近づきたい。ストロボを近づけた方が、影が柔らかくなるから。ところがカエルが数匹で団子状態になっている場合など被写体が大きい場合は、被写体から離れざるを得なくなる。そこで僕は、普段は60mmマクロをDXフォーマットで使用し、被写体が大きい場合は、自分が後ろに下がるのではなく、カメラをFXフォーマットに切り替える。FXフォーマットの画質が必要なのではなく、瞬時により広い画角に切り替えるためだ。理想を言えば、35o〜105mmをカバーするようなマクロズームが欲しいのだけど。


撮影後記 

 ニホンアカガエルは、僕の憧れのカエルだ。
 というのは、図鑑には『普通』と書いてあるのに、子供の頃、一度も見たことがなかったから。
 見つからなかったのには理由がある。それは、武田家は平地の町の中にあり、家から自転車で行ける範囲に、ニホンアカガエルが生息するような、森があって湿地があるような場所がなかったから。
 僕が普段見かけるカエルと言えば、アマガエル、ヌマガエル、ツチガエル、ウシガエルに、たまにトノサマガエルだった。
 山に渓流釣りに連れて行ってもらった際には、ヒキガエルも見た。
 だが、ニホンアカガエルは、ちょうど僕が行けない場所や行かない場所にスポッとはまるカエルだったのだ。
 それはともあれ、ニホンアカガエルを見たことがなかった僕は、図鑑って嘘つきやなぁと思った。

 図鑑は嘘つき、というその思いは、今でも僕の心の中にある。
 それくらい、普通と書いてある生き物が見れなかった時にガッカリしたわけで、今自分が生き物の記事を書く際には、それを読んだ人全員が、その生き物に会えるように書きたいと思う。
 一方で読者全員の状況を把握して、みんなが納得できるようなページを作るのは不可能な話で、子供の頃の不満が、今頃になって癒されることもある。
 そして、図鑑は嘘つきと思ったことが、必ずしも悪くなかったと感じる面も。
 冒頭に書いたように、図鑑は嘘つきだと思ったからこそ、いまだにニホンアカガエルが憧れのカエルであり、毎年毎年見ても、相変わらずワクワクするから。
 書物はちゃんと伝わり、ちゃんと分かるに越したことはないと思う。けれども、伝わらなかったとしても、それでおしまいではないというのも、大切なことではないかという気がする。

 ニホンアカガエルを見たことがなかった理由の1つに、季節と時間の問題もある。
 ニホンアカガエルを一番よく目にするのは、繁殖期である1〜2月頃。子供があまり水辺に行かない時期だ。
 それから、繁殖行動は夜の間が多い。
 アマガエルやウシガエルのように豪快に鳴いてくれれば、夜でも気付けるかもしれないが、ニホンアカガエルは体の割に鳴き声は小さく、奥ゆかしい。
 
 
 
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自然写真家・武田晋一のHP「水の贈り物」 毎月の撮影結果を紹介する今月の水辺 2020年1月分


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