今月の水辺 / ヒキガエル

NikonZ7
AF-S Micro NIKKOR 60mm f/2.8G ED
ストロボ
(撮影機材の話)
ニコンのワイヤレスストロボ・SB-R200は、発光部の重さが100グラム台と超軽量で、器用さが求められる小動物の撮影では他に変わる製品がほぼほぼ存在しない、最適の製品。カメラが一眼レフからミラーレスへと移り変わる際に取り残された感があるニコンから離れていくユーザーが多い中で、僕が今でもニコンを使うのは、このストロボの存在が大きい。ニコンは、なぜこのストロボをもっと宣伝しなかったんだろう?設計が古いので、今となっては不満もあるけど、今でもこれに代わるものはない。


撮影後記 

 暖かい雨の夜にニホンアカガエルやカスミサンショウウオの撮影に向かうと、この森では、途中でたくさんのヒキガエルに出会う。
 多い日になると、ざっと見ただけでも40〜50匹。
 ニホンアカガエルもカスミサンショウウオもヒキガエルも、ちょうど同じ頃に繁殖が始まるのだ。
 残念ながらヒキガエルが卵を産むその池は撮影には不向きで、ヒキガエルに関しては、僕は、行き交う様子をただ見ているだけ。
 だが、次々と現れるその姿を見るのは幸せ。
 池からかなり離れた場所で出会うヒキガエルでも、向かっているのはみんな池の方。そちらに池があることが分かっているのだろう。
 中には、池の方向は向いているものの、じっと佇んでいる個体もいる。
 そしてじっとしている個体の多くが背筋を伸ばしているのは、より遠くの気配をうかがっているのだろうか?その行動の理由を知りたい。
 懐中電灯の明かりで照らすと警戒して身を伏せてしまうので、動物を刺激しにくい赤いライトで照らしながらカメラのシャッターを押す。
 カメラを地面に近づけて低くすればするほど、背筋を伸ばしている様子が分かりやすくなるけど、同時に背景が遠くなり撮影用の照明器具の光が背景まで届かなくなって、ヒキガエルの背景が真っ暗になり過ぎる。
 そこで、カメラの目線を少しずつ高くしながら、多少見下ろすような感じで写真を撮ってみて、ヒキガエルが背筋を伸ばしている様子がよく分かると同時に、背景が暗くなり過ぎないバランスが取れたカメラポジションを探る。

 書物を読むと、ヒキガエルは都会でも比較的よく生き残っていると記されていて、確かにSNSなどを眺めていると東京や近辺の町でも比較的よく見られるようだが、うちの近所では、自然度が高い場所でしか見られない。
 東京のヒキガエルはアズマヒキガエルだが、僕が普段見ているのはニホンヒキガエルであり、その違いだろうか?
 しかし、アズマヒキガエルとニホンヒキガエルの性質の違いがそんなに大きいとは思えないので、町の作り方やその他、人間の側の事情だろうか?
 書物は東京中心に書かれている傾向があり、怪しからんなと思う。
 
 
 
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自然写真家・武田晋一のHP「水の贈り物」 毎月の撮影結果を紹介する今月の水辺 2021年1月分


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