撮影日記 2012年8月分 バックナンバーへ今週のスケジュールへTopPageへ
 
 
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2012.8.29〜31(水〜金) 犬の記憶


CanonEOS7D
EF-S15-85mm F3.5-5.6 IS USM SILKYPIX

 子供の頃の記憶の中でも、犬のことはよく覚えている。物心ついた時から、うちの庭には、ほぼ途切れることなく柴犬が飼われていた。
 最初はユミというメス。
 次に太郎というオスがやってきた。
 子供の記憶なので何とも言えぬが、この太郎は、あまり気に入られてなかったような印象がある。もしかしたら、あまり懐かなかったのかもしれない。
 ある日、太郎が庭から逃げ出した。
 うちの犬は、逃げ出してもしばらくしたらだいたい帰ってきた。
 太郎も庭に帰ってきていたので、母にそれを告げた。
 が、
「後で捕まえるから放っておいていい。」
 と言われ、その通りに放っておいたら、太郎はまた出て行って、今度はついに帰ってこなかった。
 それから数年後、駅前の直方ペットで、父が衝動的に一匹の雄の子犬を買い、やはり太郎と名付けられた。
 今度の太郎は、大変に可愛がられた。
 ユミとの間に何度か子犬が産まれ、うちで生まれた子犬たちの可愛らしさは格別だった。

 その後、ユミが死に、太郎も死んでしまい、今度はメスのミキがやってきた。
 犬の本を開けば、柴犬は野性味が強く、時に飼いにくい場合もあるなどと書かれているが、うちの犬たちはいずれも従順だったから、本に書いてあることなんてウソばっかりと感じたものだった。
 ミキが死んでしまった後は、メスのアイがやってきた。
 アイは、多少神経質な犬だった。が、人の暮らしを乱すような犬ではなく、手のかからない犬だと言ってもいいだろう。
 アイは、今ではヨボヨボのお婆さんだが、まだ生きている。
 とにかく、柴犬は飼い易いという印象が強い。
 
 ところが、うちの事務所のナナは、一転して実に手がかかる。
 。
 本に、こんな問題行動が生じた時には・・・・と書かれあるような現象は、とにかく一通り片っ端から全部表れる。
 今は壁紙をはがすのに夢中。
 避妊手術を受けた直後で、傷口を舐めないように首にカラーを取り付けられていても、何の取っ掛かりもない壁紙を実に器用にはがす。
 椅子の脚、引き出しの取っ手などは、すでにボロボロ。
 ともあれ、本ってやっぱり役に立つこと書いてあるやん、と思う今日この頃だ。
 
 
 

2012.8.27〜28(月〜火) 太陽は1つ

 何をするにしても、相性や向き不向きがある。
 誰かに依頼された写真を撮影する場合だって、ある方からの依頼はいつも楽で、またある方からの依頼は辛いなどということがよくある。
 不思議なことに、楽というのは必ずしも自分にとって簡単であるというわけではなく、難しいのに楽な撮影もあれば、簡単なのに辛い撮影もある。
 僕の場合、その撮影中に何か新たな道のりが見えてくるようであれば楽になり、逆に、それが見えなければ、撮影は辛く感じられる。
 そういう意味で、確かな技術が求められるような撮影は、その場でどれだけ苦労しようが楽な撮影だと言える。苦労の結果身に付いた技術や経験が、それまで気付くことが出来なかった世界に気付かせてくれるからだ。


NikonD800
AF-S VR Micro-Nikkor ED 105mm F2.8G(IF) SILKYPIX ストロボ

 フナの体表を描き出すのに、思いがけず、時間がかかってしまった。
 照明をいろいろと扱ってみるが、どれもイマイチ。
 そんな時は、その日の他の予定をすべて取りやめにして、ああ、そうか!と感じられるところまで徹底して研究しておくに限る。

 まずは、基本に立ち返り、複数使用していた照明を1つにする。
 スタジオでの照明の基本は、自然の光を再現することだと言える。
 そしてその自然の光にもいろいろあって、再現したいのが晴れの日の光なのか曇りの日の光なのか、夕方の光なのか日中の光なのかによって器具の使い方が変わってくる。
 が、いずれにしても、太陽は1つしかないという大原則があり、1つの照明をきちんと使いこなすことが求められる。
 仮にスタジオ内で複数の照明器具を使用している場合だって、基本は、太陽と照明器具の光の性質の違いの結果、たった1つの太陽を再現するのに、複数の照明器具を要しているに過ぎない。

 太陽の光の中でもどんな光を再現すればいいのかは、被写体のタイプによって違ってくる。
 だから次は、目の前にある被写体がどんなタイプの被写体であるのか検討し直す。
 今回のフナの撮影に関しては、最初、この被写体のタイプ分けに難があり、それが撮影を難しくしていた。
 
 
 (写真展のお知らせ)
● 野村芳宏さん西本晋也さんと僕の3人展
● 場所 北九州市小倉南区平尾台 平尾台自然観察センター
● 期間 7月3日(火)〜8月30日(木)
● 休み 毎週月曜日(ただし夏休み期間中は無休)
● 入場 無料
● 展示数  1人10点  合計30点  B4

 展示は、平尾台自然観察センター、白野江植物公園、山田緑地公園の順に、北九州市内の会場を巡回予定。
  
  
 

2012.8.23〜26(木〜日) 図鑑

 お金なんてどうでもいい、と思うことがある。
 一方で、やっぱりお金は大切だな、と思うこともある。
 それが交互にやってくるが、今は、お金が欲しいなと思う。

 そのお金で、図鑑を揃えたい。
 いい図鑑は非常に高価だ。これは、それを作るのに要する労力や費用を考えると当然だと言える。 
 うちにある一番高価な図鑑は32000円だが、日本産のあらゆる種類の生き物について、そのクラスの図鑑をずらりと揃え、事務所の壁面を一面に本棚にして、名前を調べることに関して日本一の部屋で仕事をしてみたいものだと憧れる。
 生き物の名前がスパッと明快に分かれば、名前が分からない生き物を撮影したり、その名前を調べることが楽しくなる。
 中途半端な図鑑で、そもそも自分が名前を知りたいその生き物が、掲載されているのか掲載されていないのかが分からない時ほど、中途半端な状態はない。
 図鑑は、なるべく多くの種類を網羅しているに限る。
 写真に執着し過ぎずに、細密な絵も、是非とも採用してほしい。生き物だけでなく、雲や岩石などの図鑑も揃えたい。
 
 僕には収集癖がないので、僕自身は、図鑑の撮影には不適だと思う。
 だが図鑑が欲しいという思いが強くなるにつれて、図鑑的な写真を撮ることにも、次第に興味が湧いてくる。
 それでも僕の場合、特定のタイプの生き物の図鑑を作るよりも、場所を決め、例えば、ある池に生息する動植物をなるべくの種類多く把握し、さらに地質学的な視点からも見つめたい気持ちが強い。
 つまり、図鑑の制作よりも、自分が知りたい気持ちが強い。

 図鑑の品ぞろえ日本一になるにはまだまだ時間を要するから、当面、i-Padでも購入し、そこに名前を知りたい生き物の画像を納めと定期的に図書館にでも出向こうかと考えるのだが、僕はその手のデジタルのアイテムがあまり好きではないし、
「武田さんは、買っても結局使わない気がするな〜」
 という声があったりして、迷っているところだ。
 また、東京ならともかく、福岡県で図書館に図鑑の品揃えを期待しすぎてはならないだろう。
 ともあれ、大きな図鑑を買ったものの使わずに邪魔になっているという人や、図鑑の著者の方で献本してくださる方がおられるなら、何の図鑑であるかに関わらず、是非譲って欲しい。
 
 
 (写真展のお知らせ)
● 野村芳宏さん西本晋也さんと僕の3人展
● 場所 北九州市小倉南区平尾台 平尾台自然観察センター
● 期間 7月3日(火)〜8月30日(木)
● 休み 毎週月曜日(ただし夏休み期間中は無休)
● 入場 無料
● 展示数  1人10点  合計30点  B4

 展示は、平尾台自然観察センター、白野江植物公園、山田緑地公園の順に、北九州市内の会場を巡回予定。
  
 
 

2012.8.21〜22(火〜水) つながり


CanonEOS7D EF-S15-85mm F3.5-5.6 IS USM SILKYPIX

 犬を繁殖させるつもりはないので、避妊手術を受けさせることになった。
 繁殖させてみたい気持ちはあったが、うちの犬は自分のことを人間だと思っている節がある。だから、犬としてちゃんと子供を育てない可能性が高いだろうと判断せざるを得なかった。
 室内で人間の中に混じって特に制限を受けずに自由に暮らしているのだから、そうなる確率が高いとは思ったが、中にはそれ以上に母性が強い犬もいるのではなかろうか?と多少の期待はあった。
 メスの獣は、子供を産ませずにおくと高い確率でやがて婦人科系の病気になり、それが命取りになるケースも多々あるという。だから、それらの病気の予防のために避妊手術するのが、近頃ではセオリーになりつつあるのだという。


CanonEOS7D EF-S15-85mm F3.5-5.6 IS USM SILKYPIX

 手術日に犬を預けておいたら、事前検査で望ましくない値がでたので、その日の手術は取りやめになったとの連絡があった。
 心電図検査の結果が1項目望ましくなく、全身麻酔の際にそのまま目覚めなくなるリスクが、若干高まるとのことだった。
 その項目は、慎重ではない病院ではそもそも調べない項目であり手術を決行してもいいが、たかが避妊手術で無暗にリスクを取るのはセンスが悪いという判断だった。
 それから一ヶ月間薬を飲んだ。定期的に心電図検査を受けたが、数値は改善されなかった。
 仕方がないので、できるだけのことはやったのだから、手術を決行することになった。
 わずかなリスクの増加とは言え、予想以上に落ち着かなかった。たかが犬ではあっても、やっぱり命って重たいな、とじみじみ思った。

 ただ、その命の重みを野生の生き物に当てはめるのは、ナンセンスだ。
 以前、インターネット上の掲示板に、アサギマダラという蝶を捕まえて標本にした人に対しての批判の書き込みがあった。
 アサギマダラが採集された時期からして、その蝶の寿命は、もうそう長くないと思われた。また、その蝶の羽には、他の場所で採集され書きこまれたデータが2つもあり、資料としても価値があった。が、
「その蝶は、人に殺されるよりも、アリに食べられたかったに違いない。採集者のモラルに問題がある」
 と。
 それを書き込んだ人は、多分、あまりよく野生の生き物を見たことがないのだろう。少なくとも、普段蝶を心を込めて観察するような機会は、ないのではなかろうか。
 蝶にとって、クモに食べられるのも、アリに食べられるのも、人に殺されるのも同じこと。アリに食べられるのならまだ納得できても、人なら納得できないなど、死に方に、その手の納得など求めるのは、多様な生き物の中でも人間だけではなかろうか。
 野生の生き物には野生の生き物の論理があるし、野生の生き物との接し方がある。
 また同じ野生の生き物でも、昆虫と獣とではまったく違ったものになり、何もかも擬人化して、人間の論理に当てはめればいいわけではない。
 
 では命の重みって、いったい何なのだろうか?
 うちの犬は、仮に麻酔の事故で死んでしまったとしても、寝ている間に死んでしまうのだから苦痛ではなかろうし、麻酔から覚めようが覚めまいが、いずれにしても同じだけの苦痛を体験することになり、犬にとっては同じことになる。
 しかし、その犬を大切に思っている人にとっては、麻酔から覚めなければ、大変に悲しい出来事になる。
 命の重みは、その生き物そのものにあるのではなく、人とのつながりの中に生じる。
 僕は、ペットの写真を撮ることには興味はないし、エンターテインメイントとしてのペットの写真で仕事をするつもりもないが、そのつながりを写真で表してみたい気持ちはある。
 

CanonEOS7D EF-S15-85mm F3.5-5.6 IS USM SILKYPIX
 
 (写真展のお知らせ)
● 野村芳宏さん西本晋也さんと僕の3人展
● 場所 北九州市小倉南区平尾台 平尾台自然観察センター
● 期間 7月3日(火)〜8月30日(木)
● 休み 毎週月曜日(ただし夏休み期間中は無休)
● 入場 無料
● 展示数  1人10点  合計30点  B4

 展示は、平尾台自然観察センター、白野江植物公園、山田緑地公園の順に、北九州市内の会場を巡回予定。
  
  
 

2012.8.19〜20(日〜月) 町の喧騒

 ちょっと用事があって、 先日、博多の街へと出かけた。
 博多までは大した時間ではないが、僕は人ごみが大嫌いなので、滅多に町へ行くことはない。
 博多まで行けば撮影機材が豊富に在庫された店もあるが、機材は、ほぼ100%通販で購入する。
 現物を見て買うことの良さを否定するつもりはないし、それどころか、現物を見て買った方が絶対的にいいと思っているし、買えもしない憧れの機材をお店で触ることなども大好きなのだけど、それ以上に、どうしても都会の喧騒に耐えることができない。
 帰宅後は、頭がガンガン痛くて、全身が気だるくて、どうにも耐えられなくなった。
 町に行くといつも決まってそうなる。
 あまりに気だるくて、時に、生きていてもしょうがないような気がしてくるから、よほどのことがない限り、町へは近づかない、とある時決めてしまった。

 翌日は、ある編集者がうちにお越しになった。
 自分が上京することを思うと、都会が苦手な僕としては、そうして来てもらえることは、大変にありがたい。
 編集のみなさんとの付き合いも、少しずつ長くなってきた。
 まだ学生の頃、
「生き物の写真家になりたい。」
 と言うと、
「それで飯が食える人間が日本に何人おるか?なれるわけなかろうが。」
 と指摘をしてくださった方がおられた。
 確かに、その通りだと思う。
 つまり、自然写真家になることに関して、僕に教えることができる立場の人が、いや、教えるどころか何か会話ができる相手が世の中にはほどんど存在しないのだから、僕は一人ぼっちだった。
 それだけに、アドバイスをしてくださった先輩の存在や、この世界で知り合いになることができた業界のみなさんの存在は、その人の主義主張がどんなものであるかに関わらず、非常にありがたい。
 自分にとっての、一番の財産ではなかろうかと思う。
 
(イベントのお知らせ)
● おいでよ!絵本ミュージアム2012 -未来へGO-
● 期間 7月25日〜8月21日

 (写真展のお知らせ)
● 野村芳宏さん西本晋也さんと僕の3人展
● 場所 北九州市小倉南区平尾台 平尾台自然観察センター
● 期間 7月3日(火)〜8月30日(木)
● 休み 毎週月曜日(ただし夏休み期間中は無休)
● 入場 無料
● 展示数  1人10点  合計30点  B4

 展示は、平尾台自然観察センター、白野江植物公園、山田緑地公園の順に、北九州市内の会場を巡回予定。
  
  
 

2012.8.14〜18(火〜土) 赤ちゃん


NikonD800 Carl Zeiss Distagon T*2.8/21ZF.2 SILKYPIX

 生まれて間もない赤ちゃんを連れて、幼馴染の竜ちゃんが東京から帰省。短い時間ではあったが、久しぶりに話をする機会があった。
 赤ちゃんを数枚を撮影したら、おばあちゃんが喜んでいたので、もっと写真を撮った。
 その中からいいものだけを選んで渡そうと思った。
 がしかし選ぼうとすると、赤ちゃんの顔がすべて違っていて同じ表情の写真は2枚とないし、すべての表情に意味があって、こちらが上、こちらが下と言えるような優劣もない。
 それらの表情が持つ意味に比べると、多少ピントが悪いとかぶれているというのは些細なことであり、写真の優劣を決定的に左右する要因にはならない。
 そこに、写真を見る楽しさがあるのだと言える。

 本を仕事の中心に据えると、本はページ数が限られているので良くも悪くも写真を選ぶ癖がつく。またその限られたスペースに、ピントを合わせるつもりでピントが合わなかったピンボケ写真やブレ写真が選ばれることは滅多にない。
 ピンボケ写真はゴミ同然だ、という考え方があるが、それはプロの仕事の現場では正しいかもしれないが、それが写真のすべではないように思う。
 ともあれ、写真を選ぶなどという野暮なことはやめて、ほぼすべての写真をCDに焼いて贈ることにした。
 
(撮影機材の話)
 コシナが製造販売している Carl Zeiss Distagon T*2.8/21ZF.2 の自然な描写は、実に見事。
 このレンズが威力を発揮するのは、生き物とか人物のようなはっきりしたターゲットが存在するケースだ。
 写真愛好家で、小さなお子さんがおられ、35ミリ判フルサイズセンサーのカメラをお持ちの方は、ちょっと高いが、手に入れてみてはどうだろう。
 自然風景の撮影にも悪くはないが、風景の場合は、もっとカリカリにシャープなレンズの方が適するように感じる。
 広角レンズで撮影すると、歪が生じて、被写体が、自分の目で見ているものとは違って写る場合が多い。それを有効に生かすのも、広角レンズの表現の1つではあるけど、使い方が限られてしまう。
 その点、このレンズは、非常に扱い易い。
 広角レンズの扱いが上手くなったのではないか?と錯覚させてくれる。
 
(イベントのお知らせ)
● おいでよ!絵本ミュージアム2012 -未来へGO-
● 期間 7月25日〜8月21日

 (写真展のお知らせ)
● 野村芳宏さん西本晋也さんと僕の3人展
● 場所 北九州市小倉南区平尾台 平尾台自然観察センター
● 期間 7月3日(火)〜8月30日(木)
● 休み 毎週月曜日(ただし夏休み期間中は無休)
● 入場 無料
● 展示数  1人10点  合計30点  B4

 展示は、平尾台自然観察センター、白野江植物公園、山田緑地公園の順に、北九州市内の会場を巡回予定。
  
  
 

2012.8.13(月) 機材は適材適所


NikonD800 TAMRON SP AF90mmF/2.8 Di MACRO1:1 SILKYPIX

 学生時代に将来の進路を決める際に、博物館の学芸員には、強く強く憧れた。今でも学芸員と聞くと、羨望のまなざしでその人を見てしまうようなところがある。
 生き物の研究をしてお給料をもらう。安定した環境で好きなことをする。夢のような仕事だなぁ、と感じたのだった。
 同時に、給料をもらうのは嫌だという思いもあった。
 自営の方が僕にはしっくりきたのと、他に、自然はとても面白いものだし、それに商品価値がないわけがないのだから、自然を仕事にしてちゃんと利潤が上がるはずだという思いもあった。
 今は生き物の写真を撮って生活ができているのだから、それはそれでいいのだけど、他にどんな選択肢があり得たのかについては、時々考えることがある。

 自然を相手にして利潤を上げることは、思っていたよりもずっと難しいように感じる。
 自然写真も、つくづく割に合わない仕事だなと思う。
 雨の中でのシーンがあるのなら、いつでも撮影ができるくらいにそこそこ暇な状態で、雨を待たなければならないのだから、時にたかが一枚の写真を撮影するのに、自然の写真は時間がかかる。
 一方で、かなりの量の写真を撮らなければ、自然の写真を仕事として成立されることはできない。
 この量をクリアーするのが、非常に難しい。


CanonEOS7D EF-S15-85mm F3.5-5.6 IS USM SILKYPIX

 カメラを持って、犬の散歩についていってみた。
 たまに、いつもと違う被写体にカメラを向けると、普段自分が気に入って使っているカメラが、必ずしも使い易いわけではなく、普段、あまり使わないカメラが大変に使いやすかったりする。 
 やっぱり道具は適材適所。
 僕の自然写真は、気象条件やその他の条件を待ち、構えて撮影する写真だが、そうした撮り方に適するカメラやレンズと、スナップ写真的に、ふとした瞬間を撮影するのに適するカメラは異なる。
 スナップ写真的な撮影の場合、予測不能なほんの一瞬のチャンスに対応するために、カメラはなるべく自動化されている方がいい。カメラの設定がどうだこうだと言っている暇などない。
 キヤノンのカメラは、そうしてカメラ任せにして使ってみると、実に優秀!
 全自動だと味気ないが、とにかくよく写る。
 
(イベントのお知らせ)
● おいでよ!絵本ミュージアム2012 -未来へGO-
● 期間 7月25日〜8月21日

 (写真展のお知らせ)
● 野村芳宏さん西本晋也さんと僕の3人展
● 場所 北九州市小倉南区平尾台 平尾台自然観察センター
● 期間 7月3日(火)〜8月30日(木)
● 休み 毎週月曜日(ただし夏休み期間中は無休)
● 入場 無料
● 展示数  1人10点  合計30点  B4

 展示は、平尾台自然観察センター、白野江植物公園、山田緑地公園の順に、北九州市内の会場を巡回予定。
  
  
 

2012.8.11〜12(土〜日) 更新のお知らせ

今月の水辺を更新しました。
 
 
(イベントのお知らせ)
● おいでよ!絵本ミュージアム2012 -未来へGO-
● 期間 7月25日〜8月21日

 (写真展のお知らせ)
● 野村芳宏さん西本晋也さんと僕の3人展
● 場所 北九州市小倉南区平尾台 平尾台自然観察センター
● 期間 7月3日(火)〜8月30日(木)
● 休み 毎週月曜日(ただし夏休み期間中は無休)
● 入場 無料
● 展示数  1人10点  合計30点  B4

 展示は、平尾台自然観察センター、白野江植物公園、山田緑地公園の順に、北九州市内の会場を巡回予定。
  
 
 
 

2012.8.8〜10(水〜金) 少年の日の思い出


NikonD800 TAMRON SP 70-300mm F/4-5.6 Di VC USD SILKYPIX

 日本人の多数派はサラリーマンだというのに、子供の頃、僕の身の周りには、サラリーマンがほとんどいなかった。だからサラリーマンという言葉がピンと来なかったし、サラリーマンとセールスマンの区別がつくようになったのは、恥ずかしながら高校生になってからだった。
 父は自営であるし、両親の周辺の大人たちもほとんどが自営。
 さらに商業地域に自宅があったため、近所の人たちの大半の商店主であって、やはりサラリーマンではなかった。
 よく遊んだ友達は、みな、商店の息子たちだった。

 商業地域と言っても、小さな公園なら近所に幾つかあったから、夏になるとアブラゼミやクマゼミをよく捕まえた。
 向かいの家のT君が、東京から来たという従弟を連れて遊びに来た時にそのセミを見せたところ、
「その野生のセミがどうしても欲しい。」
 と強くねだられた。東京では、セミはデパートで売っているものだと聞かされた。
 ツクツクボウシくらいまでなら、なんとか近所でも見かけた。
 しかし、森にすむヒグラシあたりになると、商店が林立する地区では、小学生の行動範囲の中では見かけることはなかった。
 ヒグラシを初めて見たのは、車で10分ほどの小野牟田と呼ばれる場所に連れて行ってもらった時だった。
 小さな森の中に足を踏み入れると、驚いたセミたちがあちこちから飛び出してきた。
 僕は夢中になって捕まえた。
 ところが、寄生虫に寄生されまゆを抱えたヒグラシが多いものだから、気持ちが悪くなった。
 今でもヒグラシが多い場所に足を踏み入れると、セミにまつわる子供の頃の思い出が芋づる式に一気に思い出される。
 あの日見たセミたちは、もうちょっと低い位置に止まっていたのだが、薄暗い森の中、所々の木漏れ日とそれを受けて反射するヒグラシの羽の輝き。
 水辺の撮影のついでに、ヒグラシにカメラを向けてみた。


NikonD800 AF-S Micro NIKKOR 60mm f/2.8G ED

NikonD800 TAMRON SP AF90mmF/2.8 Di MACRO1:1 SILKYPIX

 谷間の湿地では、小さな植物たちが花を咲かせている。
 周囲の林には、ヒメアカネ。
 
 
(イベントのお知らせ)
● おいでよ!絵本ミュージアム2012 -未来へGO-
● 期間 7月25日〜8月21日

 (写真展のお知らせ)
● 野村芳宏さん西本晋也さんと僕の3人展
● 場所 北九州市小倉南区平尾台 平尾台自然観察センター
● 期間 7月3日(火)〜8月30日(木)
● 休み 毎週月曜日(ただし夏休み期間中は無休)
● 入場 無料
● 展示数  1人10点  合計30点  B4

 展示は、平尾台自然観察センター、白野江植物公園、山田緑地公園の順に、北九州市内の会場を巡回予定。
  
 
 

2012.8.5〜7(日〜火) 就職



 トノサマガエルとよく似たカエルとされるダルマガエルだが、実物を見ると、かなり印象が異なる。
 生き物って面白いなぁ。
 
 日帰りで広島へ。今回は持ち歩く荷物が多かったので、荷物持ちの学生さんが同行。
 行き帰りの車の中で音楽を聴きたいというので、ミスチルのCDを選んだら、メロディーに合わせて口笛で鳴らしたくなった。
「これなんていう曲?」
「さあ、曲名は知らんよ。調べてみようか。」
 調べてみたら、なんと口笛という曲だ。
 曲の中で口笛という歌詞を聞いた記憶もないのに口笛をふかせてしまうとは、さすがミスチル。人気があるだけのことはある。
 ちなみに、僕は、ミスチルはあまり好みではない。
 
 もしもこの日記をご覧の学生さんがおられるなら、仕事を選ぶ際にまず第一に考えるべきは、自分が具体的に何をしたいか?ではなくて、直観的に、大まかに、自営をしたいのかお勤めをしたいのかだと思う。
 まずそこに、自営向きの人、お勤め向きの人がある。
 さらに勤めを選ぶ場合、利潤を上げることを目的にする組織に勤めたいのか、そうではない組織、例えば公務員とか学校とか公共サービスに関係するお役所に近い組織に勤めたいのかによって、やはり向き不向きがあるように思う。
 順に並べるのなら、自営、営利目的の組織、公共のサービスをする組織の順に並ぶだろう。
 別にどれが正しいとか優れているとかじゃなく、好みの問題であり、論理が違う。

 ただ、日本人の多数派はサラリーマンであり、世間でよく言われることは、しばしばお勤めの人の論理だと言える。
 例えば、節約の名人と言う人がテレビで節約のコツを語る。
「買い物に行くときに何を買うかをあらかじめ決めておき、そうではないものを買わないように。」
 と。
 しかしそれは、お勤めの人の考え方だと言える。
 お勤めの場合、収入が決まっているので、お金を残すことを考えるなら、支払いを減らすしかない。
 一方で自営の場合は、自分のアイディア次第で収入を増やすことができる。
 買い物に行った際に、何かここから生まれてくるものはないか?と目を皿のようにしてお店の隅から隅まで探してみたりする。
 ともあれ、カメラマンでも、フリーのカメラマンなのか、コマーシャルフォトの会社のカメラマンなのか、NHKのカメラマンなのかでまったく別の仕事だと考えておいた方がいい。
 自営をしたい人がいきなり自営が難しい場合に、仮に勤めに出るにしても、その先に自営を思い描いているのか、そこに骨をうずめるつもりなのかによって働き方が違ってくるだろう。

 自営の人は、基本的に個を重視する。
 みんなで一緒に撮影に行っても、決め事などを嫌うし、車を乗合ったりなどせず、それぞれが自分の車に乗り、あくまでも個の集まりであると振舞い、いつでも臨機応変に対応できることを重視する。
 これは、組織好きの人には全く理解できない感覚だろうと思う。僕も時々、
「みんなで写真を撮りに行くのに、別の車で行って、みんなそれぞれ別の場所で写真を撮って何が楽しいの?」
 と言われることがある。
 逆に、公共サービスに携わっているような方は、組織や団体という意識が強い。
 僕の場合は、まず父が自営であり、親戚や身の回りの大人にまで範囲を広げて考えてみても大半が自営なので、勤めに出るイメージは全く湧かなかった。
 その人が就職をする年齢に達するまでに染みついた考え方は、変えがたいものがある。

(イベントのお知らせ)
● おいでよ!絵本ミュージアム2012 -未来へGO-
● 期間 7月25日〜8月21日

 (写真展のお知らせ)
● 野村芳宏さん西本晋也さんと僕の3人展
● 場所 北九州市小倉南区平尾台 平尾台自然観察センター
● 期間 7月3日(火)〜8月30日(木)
● 休み 毎週月曜日(ただし夏休み期間中は無休)
● 入場 無料
● 展示数  1人10点  合計30点  B4

 展示は、平尾台自然観察センター、白野江植物公園、山田緑地公園の順に、北九州市内の会場を巡回予定。
  
 
 

2012.8.2〜4(木〜土) イベント

 時々、イベントの類に誘われる。
 そして正直に言えば、イベントは、参加してみるとガッカリさせられることが多い。主催者が、
「文化、文化!」
 と力強くいうので参加をしてみたら、政治家や政治家の秘書の方の挨拶といった時間が長々と取ってあり、そうした政治の部分に参加するように誘う時だけは、あり得ないくらいに強引で熱心だが、肝心な文化の中身に関してはひどい手抜き。
 政治的な活動を否定するつもりはさらさらないし、それが必要な場合だって多々あることは重々承知だが、僕は技術屋の職人的な世界が好きだし、政治だけのイベントに参加するつもりはない。

 そんな思いもあって、イベントは、相手の話をよく聞き、主催者の方の情熱と人間性を尊敬できる場合にだけ参加をすると決めている。
 時々、僕が自然写真に関して真面目に考え過ぎていて、思いつめすぎているのではないかと心配してもらうことがあるが、誤解を恐れずに言えば、自分の自然写真はくだらないものであり、どうでもいいものだと思っている。
 どうでもいいものであるから、やりたくなければやらなければいい。どうでもいいものであるから、やめたければ即座にやめればいいという気持ちが常にある。
 逆に、やるからには、本気でやらなければ、意味がない。
 さて、『 おいでよ!絵本ミュージアム2012 -未来へGO- 』というイベントに参加させてもらった。会期は、8/21まで。


NikonD800 AF-S NIKKOR 24-70mm F2.8G ED SILKYPIX

 そのプレイベントである子供たちとのワークショップの際に作った手作りの本や、大量の写真プリントを展示してもった。
 どの写真を展示するのか、主催者の方はギリギリまで悩まれたようだ。
 開催の日が近づいているのに、たくさん展示することだけが決まっていて、どれをプリントするのかの指示がこないのでハラハラした。
 ようやくそれが決まり、大急ぎでプリントをして郵送した。が、イベントの開催までにほとんど時間がなく、本当に大丈夫?と若干不安にもなった。
 しかし、 先日会場に行ってみたら、実に見事に展示されていた。
 子供の頃、学校では、何事も時間にゆとりをもって仕上げるように教わったものだが、いい仕事をする人は、僕が知り得る範囲ではギリギリまで粘る。
 もちろん、事と次第によっては余裕を持たなければならないケースもあるが、創作と名のつくものの場合は、直前のギリギリまで迷い、考え、悩むことから、何かが生まれてくるような気がしてならない。
 写真家でも、写真展を開催するのにちょっとでもいい写真を見せたい、といよいよギリギリの期限の前日まで粘る方がたくさんおられる。
 直前になると誰しも焦るし辛いものだが、僕は、人と何かをするのであれば、その苦労を取れる人と時間を共にしたい気持ちが強い。


NikonD800 AF-S NIKKOR 24-70mm F2.8G ED SILKYPIX

(イベントのお知らせ)
● おいでよ!絵本ミュージアム2012 -未来へGO-
● 期間 7月25日〜8月21日

 (写真展のお知らせ)
● 野村芳宏さん西本晋也さんと僕の3人展
● 場所 北九州市小倉南区平尾台 平尾台自然観察センター
● 期間 7月3日(火)〜8月30日(木)
● 休み 毎週月曜日(ただし夏休み期間中は無休)
● 入場 無料
● 展示数  1人10点  合計30点  B4

 展示は、平尾台自然観察センター、白野江植物公園、山田緑地公園の順に、北九州市内の会場を巡回予定。
  
 
 

2012.8.1(水) 暇人


NikonD800 AF-S NIKKOR 24-70mm F2.8G ED SILKYPIX

NikonD800 AF-S VR Zoom-Nikkor ED 70-300mm F4.5-5.6G(IF) SILKYPIX

NikonD700 AF-S NIKKOR 24-70mm F2.8G ED SILKYPIX

 先日、木の枝にマルタンヤンマが止まっているのを見つけた。関東に一カ所、そうしたシーンを高い確率で見られる場所があるそうだが、他の地域でそれを自力で見るのは極めて難しい、とトンボマニアの方に聞いたことがある。
「何を隠そう、私も止まっているところは、まともに見たことがないんですよ。」
 と。
 それを僕が見つけたのだから嬉しかったけど、写真を撮るかどうかは、一瞬迷った。
 理由は、他の撮影で忙しかったから。
 そんなケースは、僕の場合、よくある。
 しかし写真の基本は、簡単に撮れるチャンスを逃さないことだと言える。
 そのチャンスを逃さないためには、そこそこ暇である必要がある。仕事に追われまくっているようでは話にならない。

 1つの撮影にのめりこみ過ぎる癖を、直そうとしている。
 その結果、そこですべての時間を使い果たしてしまう嫌いがある。
 撮影時間の半分はあらかじめ予定を決めるにしても、残りの半分は、偶然出会ったものにカメラを向けるくらいになるよう、今、自分に修正を加えているところだ。
 今日は、予定の撮影を、やや時間にゆとりを持って切り上げた。
 近づいてきた台風の影響だろうか、空の抜けが良くて、雲が実に表情豊か。
 帰りは、5分車を走らせてはどこかに止め、雲にカメラを向けることの繰り返し。
 雲は、僕のテーマである水辺の源であるから、いずれきちんと勉強したい。


 (写真展のお知らせ)
● 野村芳宏さん西本晋也さんと僕の3人展
● 場所 北九州市小倉南区平尾台 平尾台自然観察センター
● 期間 7月3日(火)〜8月30日(木)
● 休み 毎週月曜日(ただし夏休み期間中は無休)
● 入場 無料
● 展示数  1人10点  合計30点  B4

 展示は、平尾台自然観察センター、白野江植物公園、山田緑地公園の順に、北九州市内の会場を巡回予定。
  
  
   
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