撮影日記 2011年11月分 バックナンバーへ今週のスケジュールへTopPageへ
 
 
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2011.11.29(火) 人ごみ

 僕は、人が多いとか音がうるさいなどというのが、大の苦手。
 人ごみで順番待ちをしたり、騒がしい場にとどまり続けると、空しい気持ち、投げやりな気持ちに支配されがちであり、やがてウツにでもなってしまうのではないか?という気がしてならない。
 人がそんなことで本当にウツになるかどうかは知らぬし、逆に人ごみが好きで過疎地に行くと気分が滅入るという方もおられるが、ともあれ、自分の健康は自分で守らなければならないのであり、そのような場にはなるべく近づかないことにしている。
 人が多く繰り出す土曜日や日曜日や祭日や年末年始などは、可能な限り、事務所にこもって作業をしてきた。

 ただ、年を重ねるごとに、そうとばかりは言ってはおられないようにもなってきた。
 新たな付き合いが生じ、自由業以外の人と付き合えば、休日に約束をしなければならない場合が多い。
 近頃は、土曜日か日曜日は、ほぼ100%外食をするようになった。
 すると、ちょっと食事にでもと思っても、どこも人で溢れかえっていたりして、休日ってこんなにスゴイの・・・と、この年になり改めて世の喧騒を思い知らされる。
 或いは、休日は限られているから、人からの誘いが同じ日に集中したりもして、さあ、どれに参加しようか?とクヨクヨ悩んでみたりも。
 迷った時には、なるべく1対1で心を通わせて、「僕はこう思います。」とゆっくりと話をできる場を選択するが、その手の迷いは、どちらに決めても誰かに悪いような気がして、どうもスッキリしない。ああ、これがサラリーマンの皆さんのストレスではなかろうか?などと今更ながら思い知らされる。
 
 
 (写真展のお知らせ)
 北九州市小倉北区の山田緑地公園にて
1、出品者  武田晋一 「沢の流れの物語」  10点
         西本晋也 「トンボの動と静のシーン」 10点
         野村芳宏 「野鳥撮影における写真表現」 10点
(展示内容は、平尾台自然観察センター・響灘グリーンパークと同じ)

2、開催期間 11月3日(木)〜28日(金)
3、開園時間 9:00〜17:00
4、休園日  火曜日
5、駐車料  300円
6、入館料  無料
 
 
 

2011.11.27〜28(日〜月) 芸術家宣言

 先日、芸術家宣言をした。
 まずは、ゴキブリを最初の被写体に選んだ。
 真面目な写真はもうヤメ。見たものを見た通りに撮影するなんて、当たり前すぎて、何も面白くないではないか!
 というのは冗談であり、ただ単にカメラの設定が上手くいかずに、妙に明るく写ってしまったゴキブリの写真。



 今年は学校の先生方の前で話をする機会が多かったことは、これまで何度も書いた。日記の読者からは、
「いったいどんな話をするのですか?」
 とあちこちで聞かれたりもしたが、中でもゴキブリの話は、大変に受けが良かった。
 実は、僕は、ゴキブリが大嫌いだ。
 ところが、その写真を撮ろうとすると、ゴキブリの出没が嬉しくなる。
 それが観察であり、科学の目。
「そういう意味では、大半の人がゴキブリを好きになれますよ!」
 と言うと、みなさん
「ない、ない。」
 と手を横に振られるが、現に、ゴキブリの話をしている時に一番盛り上がるのだった。

 冷静に自分を分析してみれば、僕だって、別にゴキブリを好きになったわけではない。相変わらず大嫌いなままだが、写真を撮りたいという気持ちが、嫌いという気持ちをマスクして隠してしまう。ゴキブリが嫌いという感情を仮に数字であらわしたら100、ゴキブリを写真に撮りたい気持ちが101だったとすると、100の嫌いが101の好きに覆い隠されてしまい、僕にとっては0対1で、ゴキブリの写真を撮りたい、となってしまうのだ。
 これは何事にも当てはまるのだ、と臨床心理学の河合隼雄さんの著作に書いてあった。



 人の、好きや嫌いといった感情は、常に大接戦なのだと。
 文句なしに好きだと思って結婚した相手が、やがてどうにもならないくらいに嫌いになったりする。
 それは、気が変わったわけでもなんでもなく、そもそもその人のことを好きだ思っていても、実は好きと嫌いとが100:99くらいでせめぎ合っているものなのだそうだ。
 が、普段は好きが嫌いをマスクして見えなくしているので、文句なしに好きだと誤解してしまうのだそうだ。
 そういえば、僕の自然写真だって、好きで好きでどうしても自然写真家になりたくてこの道を選んだわけだけど、写真を撮りたくない時だってある。そんな時は、普段好きに覆い隠されている部分が、チラッチラッと見えているのだろう。


 (写真展のお知らせ)
 北九州市小倉北区の山田緑地公園にて
1、出品者  武田晋一 「沢の流れの物語」  10点
         西本晋也 「トンボの動と静のシーン」 10点
         野村芳宏 「野鳥撮影における写真表現」 10点
(展示内容は、平尾台自然観察センター・響灘グリーンパークと同じ)

2、開催期間 11月3日(木)〜28日(金)
3、開園時間 9:00〜17:00
4、休園日  火曜日
5、駐車料  300円
6、入館料  無料
 
 
 

2011.11.26(土) 作業


OLYMPUS PEN Lite E-PL1s M.ZUIKO DIGITAL 14-42mm F3.5-5.6 U SILKYPIX

 先日、事務所の一角に設置してあったカメの飼育場を別の場所へと移動させたら、結構なスペースができた。
 イシガメが2匹に、クサガメとアカミミガメが一匹ずつ。
 池の代わりに埋めてあったプラスチックの容器を取り出し、周りに持ってあった土を取り除くために掘り起こしてみたら、干からびた数個の卵が出てきた。期待に反して一度も繁殖に成功したことがないイシガメのつがいだが、卵だけは産んでいたようだ。


OLYMPUS PEN Lite E-PL1s M.ZUIKO DIGITAL 14-42mm F3.5-5.6 U SILKYPIX

 蛇口を1つ増設。


OLYMPUS PEN Lite E-PL1s M.ZUIKO DIGITAL 14-42mm F3.5-5.6 U SILKYPIX

 扉を1つ取り付ける。


携帯電話のカメラにて


 (写真展のお知らせ)
 北九州市小倉北区の山田緑地公園にて
1、出品者  武田晋一 「沢の流れの物語」  10点
         西本晋也 「トンボの動と静のシーン」 10点
         野村芳宏 「野鳥撮影における写真表現」 10点
(展示内容は、平尾台自然観察センター・響灘グリーンパークと同じ)

2、開催期間 11月3日(木)〜28日(金)
3、開園時間 9:00〜17:00
4、休園日  火曜日
5、駐車料  300円
6、入館料  無料
 
 
 

2011.11.24〜25(木〜金) 境目



 イチョウの木の撮影でお日様が上がるのを待っていたら、視線を感じ、視線の先を注視してみたら、桜の新芽だった。
 


 その桜の新芽にカメラを向けていると、今度はカタツムリの落書きに気が付いた。
 僕の場合、何かを撮影している最中に、別の何かに気付くことが多い。だから撮影は、手っ取り早く終わり過ぎないように、あえて能率を上げ過ぎないように心掛けている。
 可能ならなるべく三脚を使うし、主に使用する機材は、手軽すぎないもの、便利過ぎないものと決めている。
 僕にとって大抵の場合、カメラは物を見るための手段であり、面倒であり、時間がかかることに意味がある。



 カタツムリの落書きがあったのは、駐車場にクッションの代わりに置かれたタイヤの側面。
 落書きの正体は、タイヤの表面に生えたこけをカタツムリが食べた結果できた模様だ。



 だが、同じタイヤの裏側にはほとんどこけはなく、したがってカタツムリの食痕もない。タイヤの裏側は、物陰になっていて光が不足し、こけが生えにくい環境になっていた。
 逆に、日当たりが良すぎる場所に置いてあったタイヤにもこけはほとんどなく、カタツムリの痕跡もなし。
 カタツムリと言えば湿った日陰のイメージが強く、確かにスカッと抜けた場所よりも薄暗い場所に多いが、厳密には、森と開けた場所の境目の、光が当たる場所と当たらない場所の境界に多い。

 カタツムリに限らず、多くの生き物が、そうした環境が変化をするその境目を好む。
 藪の中を好むとされている鳥だって、大きな藪のど真ん中よりも、開けた場所との境界に近い藪の中に多いし、ヤマメは、川と川の合流点になっていて水質や水温が変化する場所でよく釣れる。
 環境が変化する境目は、しばしば豊かなのだ。

 日本だって、まさにそんな環境だと言える。
 陸のプレートと海のプレートがぶつかり、その際の摩擦で地下で地面が溶け、それが溶岩として噴出して火山ができ、火山の噴火の影響で豊かな湧水が湧いて出る。
 しかし、境目は境目であるから、一方で大変に際どい。


 (写真展のお知らせ)
 北九州市小倉北区の山田緑地公園にて
1、出品者  武田晋一 「沢の流れの物語」  10点
         西本晋也 「トンボの動と静のシーン」 10点
         野村芳宏 「野鳥撮影における写真表現」 10点
(展示内容は、平尾台自然観察センター・響灘グリーンパークと同じ)

2、開催期間 11月3日(木)〜28日(金)
3、開園時間 9:00〜17:00
4、休園日  火曜日
5、駐車料  300円
6、入館料  無料
 
 
 

2011.11.22〜23(火〜水) 分割とつなぎ

 体を冷やさないように、シャツをズボンの中にしっかり入れておいても、僕はやせ形なので、すぐに飛び出してしまう。
 多少なりとも肉があれば、ベルトでズボンをキュッと締めさえすれば、肉が言うならばパッキンの役割をしてシャツがピタッと固定されるのだろうし、もうちょい太りたいと思うのだが、体質なので仕方がない。
 そんな僕にとって、防寒タイプのつなぎは、大変にありがたい。
 体温を逃がしにくいつなぎの暖かさは、格別であり、これからの季節には、インターとアウターにつなぎを重ね着したいくらいだ。
 あるいは、あらゆる防寒つなぎを試し、防寒つなぎ評論家の旗を揚げてみたいくらいに、つなぎにはひかれる。
 ただ、つなぎには大きな欠点があり、それは、トイレがやりにくいこと。
 僕が内に着るつなぎの場合には、腰のあたりにジッパーがあり、そこからお尻を出せるようになってはいるものの、やっぱり用を達しにくいのは確か。

 アウターにつなぎを着る場合、お尻を出すには、つなぎを脱ぐしかない。それらを重ね着すれば、緊急の事態には、おもらしをしてしまう危険性だってある。



 特に、ここ数日のように、腹具合があまり良くない場合、その不安は、現実味を帯びてくる。つい昨日も、撮影の最中に腹具合が悪くなり、わずか数秒というタイミングで、絶体絶命の危機を逃れたばかりだ。
 ジッパーで上下に二分割できるようなつなぎも存在するようだが、防寒タイプでそのようなものは、まだ見たことがない。
 そう、分割とつなぎ。
 もしも、そのようなものがあれば、ぜひ、手に入れたいものだ。
 今日は腹具合も良くなったのだが、まだ体がだるくて頭の働きが悪い。
 
 
 (写真展のお知らせ)
 北九州市小倉北区の山田緑地公園にて
1、出品者  武田晋一 「沢の流れの物語」  10点
         西本晋也 「トンボの動と静のシーン」 10点
         野村芳宏 「野鳥撮影における写真表現」 10点
(展示内容は、平尾台自然観察センター・響灘グリーンパークと同じ)

2、開催期間 11月3日(木)〜28日(金)
3、開園時間 9:00〜17:00
4、休園日  火曜日
5、駐車料  300円
6、入館料  無料
 
 
 

2011.11.20〜21(日〜月) ああ、外れ

 風邪でもひいてしまったのだろうか?ここ数日、何となく体調がすぐれなかったのだが、昨日はついにひどくお腹を下してしまい、どうにもならなくなった。
 食べ物が吸収されないものだから体がだるいし、何よりも脳が機能しない。こんな日は仕事にならないから、生活必需品の買い物を済ませておこうとお店に出かけるが、そこでも何度もトイレに駆け込まなければならず、仕方がないので大人しくベッドの中へ。

 夕刻、目を覚ましてみれば、腹具合はややよし。
 そこで軽く夕食を食べ、風呂に入り、寝る前に翌日の天気を確認しておこうとパソコンを開いてみれば、晴れだという。
 ならばと阿蘇の天気を開いてみると、やはり晴れ。しかも特筆すべきは、早朝の気温が氷点下であり、湿度が90%で微風だという。
 これは雲海が出るのではないかと思うと、いてもたってもいられなくなる。

 時間は23時。
 北九州から目的地までは高速道路を使えば、約3時間。
 楽ではないが、不可能ではない。
 体調がなぁ・・・という面もあるが、逆に昼間腹具合が悪くて布団の中に潜り込んでいたから、災い転じてというやつで睡眠は十分だという考え方もある。
 僕は事務所をたち、阿蘇を目指した。
 とはいえ、急きょの出発で、準備が疎かになった。
 途中で防寒が十分ではないことに気付いたのだが、もう遅い。仕方がないから、野外で身に着けるジャケットの上に防寒つなぎを着て、氷点下ではちょい厳しい薄手の寝袋に潜り込む。
 満天の星空が実に見事だった。
 翌朝は、予想に反して風が強くて、寝袋にくるまったまま外を眺めると、ススキがひどく揺れている。
 これだけ風があると、雲海は無理かな。
 果たして、悪い気配は見事に的中。
 ああ、あの辛い深夜の運転は、なんだったのだろうか・・・・ 天気予報にはいつも裏切られる。
 


 せめて、何か代わりに拾って帰りたいなと検討してみれば、数年前に定点撮影した大桜が思い出された。
 場所取りをするために、朝の4時からカメラを構えて待ったんだっけ。
 木の定点撮影は、何度か依頼されたことがあるが、その桜の撮影を除いて、そららにリクエストにまともに応えられたことはなかった。
 木は、動かないからこそ難しいのだ。
 あまりの厄介さに、当時は、もう木の撮影はごめんだ、と思った。
 だがその後、あの時、もうちょっと頑張れたはずだよなぁ、と悔いも残った。
 動かいないものを撮るには、それなりのコツがあるのだ。
 そこで、数本の木に目星をつけ、定期的にカメラを向けてみることにした。
 ポイントは、そららの写真の使い道はたいていは教材になるだろうから、教材向けに。
 そして、教材という用途に加えて定点撮影の場合、そのためだけに撮影に出かけるのでは業務的になってしまいがちだから、付近に別に魅力的な被写体があり、ワクワクした気持ちで出かけられるような場所を見つけることとした。





 (写真展のお知らせ)
 北九州市小倉北区の山田緑地公園にて
1、出品者  武田晋一 「沢の流れの物語」  10点
         西本晋也 「トンボの動と静のシーン」 10点
         野村芳宏 「野鳥撮影における写真表現」 10点
(展示内容は、平尾台自然観察センター・響灘グリーンパークと同じ)

2、開催期間 11月3日(木)〜28日(金)
3、開園時間 9:00〜17:00
4、休園日  火曜日
5、駐車料  300円
6、入館料  無料
 
 
 

2011.11.19(木〜土) 大前提

「水と地球の研究ノート/全五巻・偕成社」の企画が通った際には、とにかく報われた!と胸をなでおろした。どこも企画を買ってくれる出版社がなかったなら、それまで準備をしたものがすべて無駄になってしまう。
 しかも5冊組の本なので、準備も5冊分あり、すでに膨大な時間を費やしていた。
 ただ一番楽しかったのは、 企画が通るまでの不安定な過程だった。本のイラストやデザインや構成を担当してくださったボコヤマさんと、勝手な妄想の世界に浸った。
 その人の性格に大きく左右されるところだろうが、僕の場合、不確定なことにチャレンジをして道がないところに道をつけている過程に生きがいを感じる。
 逆に、何かを保障されたり約束を取り付けると、守りに入ってしまったり、もう十分と満たされてしまう傾向がある。
 
 今シーズンはその本作りを終え、その一番やりがいを感じる部分、また新たなチャレンジに没頭するつもりだったが、思いがけず違った道を歩んだ。
 小学校の教育の現場を意識して作った「水と地球の研究ノート」を小学校の先生たちに知ってもらうために、先生方の集会に参加させてもらったのがきっかけで、別の地区の先生や別の団体に属しておられる先生方からも声をかけてもらい、人前に立ち、自然や命や科学や写真について話をする機会をたくさん作ってもらった。
 あるいは、小さな食事会や集まりにも、随分呼んでもらった。

 さて、つい先日、そんな小さな食事会で、ある先生から、
「武田さんは、イチロー選手は好きですか?」
 と聞かれた。
 おそらく、理にかなっていることを重視する僕なら、理にかなっていることを重んじるイチロー選手が好みに合うとお考えになったのではなかろうか?
 スポーツの話題をふられ、ふと気付いたのは、年を取り往年の力を発揮できなくなっても、なお現役にこだわる選手が好きだということだった。
 僕は、自分自身が手を動かすことにこだわりたいのだ。
 だから人前で話をするにしても、その前にまず十分な時間をかけ、魂を込めて全身全霊で写真を撮り、本を作り、それによって自分の生活が成り立っていることが、やっぱり大前提。
 そこを間違えていかんな、と改めて思った。
 
 
 (写真展のお知らせ)
 北九州市小倉北区の山田緑地公園にて
1、出品者  武田晋一 「沢の流れの物語」  10点
         西本晋也 「トンボの動と静のシーン」 10点
         野村芳宏 「野鳥撮影における写真表現」 10点
(展示内容は、平尾台自然観察センター・響灘グリーンパークと同じ)

2、開催期間 11月3日(木)〜28日(金)
3、開園時間 9:00〜17:00
4、休園日  火曜日
5、駐車料  300円
6、入館料  無料
 
 
 

2011.11.14〜16(月〜水) 感情




 夕刻の撮影を終え、渓流の際を歩いている最中に沢が三途の川に見えたり、ススキの群落の向こう側に違う世界が広がっているように感じられたり、或いは、あたりに結界がはられているように感じられたりすることがある。
 非科学的な!と感じる方もおられるだろう。
 だが、誰しもそんな感覚を、少なからず持っているに違いない。
 例えば、夜の森を歩いてみると、そこに人に危害を加えるような生き物がいないと言われても、多くの人が怖いと感じるのではなかろうか。夜なんて、ただの日陰じゃないか!というわけには、なかなかいかない部分がある。
 そんな部分、つまり知識よりもおのずと込み上げてくるものを撮影のテーマの中心に据えたいなぁという気持ちが、近年強くなってきた。
 ところが僕らは、すでに与えられた知識抜きに物を考えることができにくい。その点、昔の人がどんな風に感じたのかは、実に興味深い。

 知識を軽視するつもりはない。
 人の体を調べてみれば、昼よりも夜に多く分泌されるホルモンがあり、そのホルモンには人を不安にさせる効果があるのだと学生時代に勉強したことがあった。確かに、同じ真っ暗な場所でも、昼間と夜とでは夜の方が怖く感じる。
 ああ、怖いってそんなことなのか!
 体内の単なる化学反応?
 体の中のどこかに、人を怖いと感じさせる仕組みがあり、そのスイッチが入れば、たとえ別に何もなくても怖くなる。
 そうした説明を否定したいどころか、スゴイなぁと思う。統合失調症の人が見る妄想や幻覚が薬で抑えられるという事実は、僕にとって衝撃的な驚きでさえある。
 人の心が、単なる化学反応ですって!科学って面白いなぁ。
 
ただそれは論理の面白さであり、自分の感情はまた別の場所にある。そしてその感情こそが、人の本質であるような気がする。
 僕は、論理を知ることで、感情を超越したいわけではない。
 怖いものは怖いで、不思議なものは不思議でいい、と感じるのだ。
 


 
 (写真展のお知らせ)
 北九州市小倉北区の山田緑地公園にて
1、出品者  武田晋一 「沢の流れの物語」  10点
         西本晋也 「トンボの動と静のシーン」 10点
         野村芳宏 「野鳥撮影における写真表現」 10点
(展示内容は、平尾台自然観察センター・響灘グリーンパークと同じ)

2、開催期間 11月3日(木)〜28日(金)
3、開園時間 9:00〜17:00
4、休園日  火曜日
5、駐車料  300円
6、入館料  無料
 
 
 

2011.11.12〜13(土〜日) 約束

 自然相手の仕事には、常に不確定な要素が付きまとう。だから、求められた写真が撮れなかったとしても、
「全力を尽くしたけどダメだったから、何とかしてよ!」
 と言えるくらいの開き直りが必要なのだろうと思う。
 また、気を見るに敏でなければならないから、型にはまった暮らしはできにくいし、チャンスと思えば仮にその後に約束事があったとしても、少々のものはキャンセルをしてでも好機をものにするくらいの柔軟さだって、あってもいいのかもしれない。
 ところが、これが案外難しい。
 僕は、いったん誰かを約束をすると、その約束が気になって気になって仕方がない。
 ひどい場合には、他のすべてが手に付かなくなる傾向もある。
 仕事が少ない時は、それでもよかった。いや、その方が良かった。
 たった1つの仕事だけに向かい合い、十分過ぎるくらいの時間をかけ、これでもか!これでもか!徹底してやり続けた経験は、大きな財産になっていると思う。
 ところが仕事が増え、約束事が増えてくると、その約束を違えたくない性格が災いするようになってきた。
 僕は、人と会う約束が入っている前日などは、遠出をして撮影をするのを避けたい気持ちになる。撮影に出かけた先で車が故障でもして帰れなくなったら、翌日の約束が守れなくなるじゃないか、と心配になるからだが、そんなことを言っていると、撮影ができなくなるか、約束ができなくなる。
 もうちょい、鈍感になる必要があるな、と思う。
 
 (写真展のお知らせ)
 北九州市小倉北区の山田緑地公園にて
1、出品者  武田晋一 「沢の流れの物語」  10点
         西本晋也 「トンボの動と静のシーン」 10点
         野村芳宏 「野鳥撮影における写真表現」 10点
(展示内容は、平尾台自然観察センター・響灘グリーンパークと同じ)

2、開催期間 11月3日(木)〜28日(金)
3、開園時間 9:00〜17:00
4、休園日  火曜日
5、駐車料  300円
6、入館料  無料
 
 
 

2011.11.11(金) 少年の日の思い出


 ケースの中に三つ折りになった網が収められていて、柄を引っ張ると同時にパッと開く釣り用の網。
 その名もインスタントネット。
 同様の仕組みでテントがパッと開いて出来上がったり、今ではその手の物をちょくちょく見かけるが、30年くらい前に初めてインスタントネットを見たときには衝撃を受けた。
 当時、僕は小学生。何よりも好奇心旺盛な年頃であり、欲しくて欲しくてたまらなくなり、気が狂いそうになった。

 見せてくれたのは、僕の釣りの師匠の弟であるSさんだった。
 師匠がルアーの名人で、僕はそのルアーの手ほどきを受けたのに対して、Sさんは毛鉤の達人。毛鉤の場合、ルアーよりも使用する糸が細いため、釣れた魚を宙に持ちあげるのではなく、水の中から網で掬い取る。そのために網が必要になるのだそうだ。
 どこで買ったのか?と聞いたら、Sさんがお店の名前と場所を教えてくださった。当時としては珍しい、ブラックバス釣りの専門店だった。
 釣りに行ったついでに、Sさんに、そのお店に連れて行ってもらったこともあった。Sさんが釣った体長70センチほどのニジマスの剥製が飾られていた。
 それから数年後、中学生になった僕は、お年玉を握りしめお店に電話を掛けた。
「インスタントネットはありますか?」
「そんなものはありません。」
 と同時に、ガチャンと電話を切られた。
 プロショップ的なお店にありがちな対応ではある。あるいは、真冬でブラックバス釣りはシーズンオフだっただろうし、お正月で営業をしていなかったのかもしれない。
 冷たい対応に、悲しくなった。
 
 さて、僕は、可能な限り、人のリクエストに応えることにしている。
 自然写真に関するリクエストの中には、商業主義に偏っているものもあり、リクエストの内容のすべてに納得しているわけではないし、写真家として、そんな場合にNOを主張するのも大切ではないか?と考えることもある。
 が、少年の日の出来事を思い出すのである。
 こだわりの世界にありがちな殿様商売は、したくない。
 今僕が所有しているインスタントネットは、大学生に時に通信販売で手に入れたものだが、同様のもの(商品名は違う)は、今でも販売されているようだ。
 
 
(写真展のお知らせ)
 北九州市小倉北区の山田緑地公園にて
1、出品者  武田晋一 「沢の流れの物語」  10点
         西本晋也 「トンボの動と静のシーン」 10点
         野村芳宏 「野鳥撮影における写真表現」 10点
(展示内容は、平尾台自然観察センター・響灘グリーンパークと同じ)

2、開催期間 11月3日(木)〜28日(金)
3、開園時間 9:00〜17:00
4、休園日  火曜日
5、駐車料  300円
6、入館料  無料
 
 
 

2011.11.8〜10(火〜木) オリンパス

 形あるものを壊すのには抵抗があって、僕は機材の改造の際に、元に戻らないようなことは可能な限りやらないことにしている。
 ただ、持っている道具が故障した時や、まったく使わないものなどは、それをばらして部品を取ったり、元に戻らないような改造を施す場合もある。



 さて、M.ZUIKO DIGITAL 14-42mm F3.5-5.6 から一番外側のレンズ群を取り外すと、微小なものを拡大できるレンズに早変わりする。
 理屈はこうだ。
 ズームレンズは、一番外側のレンズ群が作る像をその内側にある拡大系と呼ばれるレンズ群で拡大することによって画角を変える。だからその拡大系の部分だけを使えば、物を拡大して撮影できるレンズになる。
 まずは、工具を使用して一番外側のレンズ群を固定しているリングを取り外す。
 次に、一番外側のレンズ群を取り出す。
 作業はたったこれだけ。
 ただ、そのままではレンズの銅鏡の部分にゴミなどが侵入してしまうから、保護フィルターを取り付ける。保護フィルターは市販されている40.5ミリ径のものを取り付ければいい。
 取り外した部品は、再度元の状態に戻すこともできる(十分な精度がでるかどうかは不明)。

 
 マイクロフォーサーズのカメラやレンズは価格が安い。だからこうした改造も、実に気楽にできる。
 それから、オリンパスとパナソニックが同一の規格を採用しているため、カメラを買うにしてもレンズを買うにしても、2社の製品の中から選ぶことができる。
 今、マイクロフォーサーズが大変に面白い。
 それだけに、報道されているオリンパスの不祥事は実に残念。
 
 
(写真展のお知らせ)
 北九州市小倉北区の山田緑地公園にて
1、出品者  武田晋一 「沢の流れの物語」  10点
         西本晋也 「トンボの動と静のシーン」 10点
         野村芳宏 「野鳥撮影における写真表現」 10点
(展示内容は、平尾台自然観察センター・響灘グリーンパークと同じ)

2、開催期間 11月3日(木)〜28日(金)
3、開園時間 9:00〜17:00
4、休園日  火曜日
5、駐車料  300円
6、入館料  無料
 
 
 

2011.11.7(月) 雲



 僕は理科の教員の免許を持っていて、実際に理科を教えたこともある。
 ところが、理科は得意ではないし、好きな教科でもない。
 学校の教科の中では、理科よりも断然に数学が好きだ。訳あって、今でも高校の数学の教科書を開く機会があるが、数十年ぶりに読んでも、数学なら、まるで昨日まで勉強していたかのように問題が解ける。
 だが理科に関しては、先生としておそらく1500時間くらいは授業をした経験があるはずなのに、相変わらず自信がない。
 岩石の種類や雲の名称やその特徴などは、何度覚えても、必ず忘れてしまう。
 いや、何の種類の雲が上空何メートルくらいのところにできるかなど、あまりにくだらなくて覚える気にもなれない。
 教科書に限らず雲の本にも言えることだが、何雲が上層にできるとか、中層にできるとか、下層にできるなどと書かれても、何が上層で何が中層で何が下層なのか、何の実感もない。
 もうちょっと面白い説明をしてくれないものか、と思う。
 何で、こんな風に説明してくれないのだろうか?と思う。
 そしてそれが高じて、やがて自分で本を作りたくなる。
 つまり、自分が不得意で本を読んでも理解ができにくいジャンルの被写体を、本にまとめたくなる。
 損な性格だなぁ。元々好きなことをやりたいはずなのに。
 今日は、空に数種類の雲を確認することができた。
 それらの雲の重なり合いを見ていくと、どの雲が高い場所にあり、どの雲が低い場所にあるのかが分かる。
 ああ、これが高層で、これが下層なのか!
 
 
(写真展のお知らせ)
 北九州市小倉北区の山田緑地公園にて
1、出品者  武田晋一 「沢の流れの物語」  10点
         西本晋也 「トンボの動と静のシーン」 10点
         野村芳宏 「野鳥撮影における写真表現」 10点
(展示内容は、平尾台自然観察センター・響灘グリーンパークと同じ)

2、開催期間 11月3日(木)〜28日(金)
3、開園時間 9:00〜17:00
4、休園日  火曜日
5、駐車料  300円
6、入館料  無料
 
 
 

2011.11.5〜6(土〜日) 難しいカメラの操作

 北九州市小倉北区の山田緑地公園で、恒例の3人展。それに先立って、昨日5日土曜日は写真教室の講師を務めた。
 僕は、コンテストに入賞するための指導のようなものには全く興味がない、というか興味が持てないので、内容は初心者向けのカメラの使い方とした。
 時間は3時間。
 大変に疲れた。
 というのも、みなさんが持ちのカメラの使い方を説明書を見ながら説明する際に、カメラの操作性が複雑で扱いにくいのだ。
「説明書を読んでも、年寄りには何だなんだかさっぱりなんですよ。」
 とおっしゃるが、まったくその通り!
 いや、お年寄りじゃなくてもよくわかりません。
 便利な世の中と言えばそうなのかもしれない。が、優しくないなぁ。
 こんなことができますよ。あんなこともできますよ、と細かに書いてある説明書とは裏腹に、カメラを触ってみると、「ゴチャゴチャ言わんと、全自動でただシャッターを押すだけであんたには十分やろう」とでも、設計者が主張しているかのように感じられてしまう。
 若者はまだしも、年配の方には、一見たくさんの選択肢がありそうで、実は一切選択肢がない。
 大雑把な生き方を押し付けられているような気がしてくる。
 僕は反骨型の人間なので、そんなケースで、「この野郎、お前の言う通りになるもんか」、とむしろ燃えてくるからいいが、そうではない方が大半であろう。

 一人、何度も何度もセルフタイマーの使い方を質問するおじいちゃんがおられた。
 おそらく、みんなで旅行に行って、記念撮影をしたいのだと思う。
 その方が日頃楽しみにしていることが目に浮かぶようだった。
 何度試してみても、セルフタイマーの操作が、どうしても馴染めないようだった。

(写真展のお知らせ)
 北九州市小倉北区の山田緑地公園にて
1、出品者  武田晋一 「沢の流れの物語」  10点
         西本晋也 「トンボの動と静のシーン」 10点
         野村芳宏 「野鳥撮影における写真表現」 10点
(展示内容は、平尾台自然観察センター・響灘グリーンパークと同じ)

2、開催期間 11月3日(木)〜28日(金)
3、開園時間 9:00〜17:00
4、休園日  火曜日
5、駐車料  300円
6、入館料  無料
 
 
 

2011.11.2〜4(水〜金) 地学


NikonD3X AF-S NIKKOR 24-70mm F2.8G ED SILKYPIX

NikonD3X AF-S NIKKOR 24-70mm F2.8G ED SILKYPIX

NikonD3X AF-S NIKKOR 24-70mm F2.8G ED SILKYPIX

 僕は過去に、高校で理科を教えたことがある。
 学校の事情で、専門外の物理も化学も地学も教えたものだが、地学の時間には、地震や津波のところにずいぶん時間を割いた。
 別に、大地震が東北を襲うことを予測をしていたわけではない。就職希望で勉強には基本的に興味がない子供たちが、それらの話には大変に興味を示し、僕も教えていて楽しかったから自然とそうなった。

 身近な生き物たちと、その住処に残された地球規模の巨大な出来事の痕跡。なぜそこに水辺があるのか?それを、まるでタイムマシーンに乗って過去を振り返るかのように一つずつ紐解いていく。僕が今テーマに掲げているそれは、高校生に地学を教えた経験が大きい。
 ただ、地学のジャンルの風景写真と小さな生き物の動物写真は、案外相性が悪い。
 風景写真には、高画質なカメラを高性能なレンズが欲しい。一方で小さな生き物の撮影には、特殊なレンズや照明器具が欲しい。
 それらを共にバッグに詰め込むと、荷物が重すぎて野を歩くのが楽しくないのだ。
 そこで先日バッグを2つに分け、1つは風景重視で生き物は最低限の機材のみ。あとの1つは、生き物重視で風景はやや妥協した機材とした。
 今回は、風景を中心とした機材を選んだ。 

 東北の大地震や津波は想定外だったという専門家もいれば、いやちゃんと警告されていたという話もある。
 地学の専門教育を受けたことがない僕には、そこのところの常識がよく分からないのだが、今巷で名前が出てくる過去の大地震や津波に関しては、その授業の準備の際に作成した資料の中に、すべて名前があり、高校生用の資料に載っているくらいだから、すでによく知られていたものばかりだ。
 先日、自宅の部屋を整理する際に、それらの授業の準備のために作った資料がまとまった量出てきた。


NikonD3X AF-S VR Zoom-Nikkor ED 70-300mm F4.5-5.6G(IF) SILKYPIX

NikonD3X AF-S VR Zoom-Nikkor ED 70-300mm F4.5-5.6G(IF) SILKYPIX

NikonD3X AF-S VR Zoom-Nikkor ED 70-300mm F4.5-5.6G(IF) SILKYPIX
 
 風景の撮影の最中に、渡りの途中のヒヨドリが、何度も何度も僕の頭の上を舞う。
 海に飛び出したヒヨドリの中の一匹を、ハヤブサがさらっていった。
 
 
 

2011.11.1(火) 更新

 今月の水辺を更新しました。
 
 
   
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自然写真家・武田晋一のHP 「水の贈り物」 毎日の撮影を紹介する撮影日記 2011年11月分


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