撮影日記 2010年11月分 バックナンバーへ今週のスケジュールへTopPageへ
 
 
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2010.11.30(火) 前置き

 時々家の事務所に寄ってくださるある編集者から、以前、
「武田さんって、いきなり本題に入りますよね。」
 と笑われたことがある。
 言われてみれば確かに、僕は前置きは極めて短いか、全くない前置きしないことも珍しくない。
 ふと思い出してみれば、今一緒に本を作っている凹山さんと初めて顔を合わせた時もそうだった。冬の北海道で、僕は車に乗ったまま、
「こんにちは。さあ、行きましょうか!」
 とやってしまい、後でそれが気になったことがあった。
 写真も、本題の部分以外の写真が、ひどく手薄になっていることが、今回の本作りでよくわかった。
 物語として本を作る場合は、それでは少々困る。
 そこで、まずは最初に意識的に視野を広げて写真を撮る試みをしてみると、世の中にはカメラを向けるに値するものがたくさんあることがわかった。
 よく、本題に関する写真だけでなくスナップ写真が欲しいと言われるが、それが何を意味するかわかった。
 ただし、良く言われるように本当にスナップ写真を撮っても、使えない写真になることが多く、実際にはスナップ写真のように見える写真を、狙って撮らなければならないのだと思う。
 
 
 

2010.11.29(月) 高速道路


NikonD3X AF-S NIKKOR 24-70mm F2.8G ED SILKYPIX

 写真展の後片付けをするために、都市高速にのって小倉に向かう。
 小倉は、事務所がある八幡とは同じ北九州市内になるが、途中車が多くて距離の割に時間がかかるので、有料道路を使うことが多い。
 ところが、事故でその有料道路が渋滞をして、一般道を利用するよりも遅くなってしまった。
 一層のことほとんど車が動かないほどひどく渋滞したら、途中見晴らしがいいところで車を降り、北九州の町の景色をちょこっと撮影してみたい願望がある。高速道路上には、ここから写真が撮れたらなぁとつい考えてしまうような、見晴らしがいい場所が多い。
 が、今日はそこまでの渋滞ではなかった。
 事故は数台による玉突きだった。
 一緒に写真展を開催し、一緒に片づけをすることになっていた野村さんも渋滞に巻き込まれたという連絡があった。
 有料なのに30分ほど余計に時間がかかったから、
「金返せ!」
 という罵声を浴びせながら現場を通過した。
 というのはもちろん嘘だが、お金よりも時間がもったいない。
 野村さんはまだ渋滞に巻き込まれたままだろう、と優越感に浸りながら現場についたのに、先に到着しておられたのには鼻をへし折られたみたいで参った。

 先日は、まだ未完成の陸橋の上から、北九州の工業地帯の写真を撮った。写真の場所は、多分三菱化学の工場だと思うが、付近にはもっと大きな新日鉄の工場もある。
 
 
 

2010.11.28(日) 更新のお知らせ

 今月の水辺を更新しました。。

 

2010.11.26〜27(金〜土) 所変われば品変わる

 室内で人物にカメラを向けることになった。
 カメラは、今僕が主に使用しているNikonのD3XではなくてD700。
 このカメラは高感度に設定してもザラザラしたノイズが発生しにくいことでよく知られているが、それだけでなく、絵作りの方向性が、室内や薄暗い場所での使用に適してるように感じる。
 野外で自然風景などを撮影した際には、D700の絵は軽過ぎて質感に欠けると思うのだが、その特性が室内で使用した場合には、爽やかな感じとして現れるのだ。
 僕の場合、スタジオは別にして、普通の室内での撮影はほとんどないのでそのD700の良さを普段感じる機会はあまりないのだが、今日は改めて、
「こりゃあスゲーなぁ。」
 とこのカメラの凄さを思い知らされた。
 機材ややっぱり適材適所ですね。
 同じカメラでも、使う状況によって画質が良く感じられたり悪く感じられたりするのが普通であり、絶対的な善し悪しなどあるはずもないのだ。
 
【 お知らせ 】
恒例の写真展 (野村芳宏・西本晋也・武田晋一) のお知らせです。
場所 http://yamada-park.com/
10月30日(土)〜11月28日(日)。
休園日は毎週火曜日。
入場は無料だが駐車場が300円。

 

2010.11.25(木) 昔の生活


NikonD3X AF-S NIKKOR 24-70mm F2.8G ED SILKYPIX

NikonD3X AF-S NIKKOR 24-70mm F2.8G ED SILKYPIX

 都会から島へ移住したある写真家が書いておられたことが思い出された。
 都会から島に通っていた当時は、島の自然はよく見えていたけど、都会のことが見えてなかった。島に引っ越してからは、都会のことが見えるようになり、ようやくこの本が完成した、と。
 本の中の写真はすべて島の自然の写真であり都会の景色は一枚もないのだから、その文が大変に印象に残った。
 今問題になっている環境問題の大半が産業革命をきっかけに始まり、少なくとも日本人のほぼ全員がその産業革命の恩恵にどっぷり浸って生きていることを思うと、日本人の中には、「今のに人間の暮らしは間違えている」などと主張できる偉い人はいないことになる。
 だからそれを恥ずかしげもなく言える人は、もしかしたら、便利な暮らしにどっぷりつかっているがゆえに、自分が便利な暮らしをしていることに気付かない人なのかもしれない。
 いや、自分のことを棚に上げるのが、もしかしたら大切なことなのかもしれない。
 別に、投げやりになっているわけではない。 
 自然が失われていくことを僕はとても悲しく思うが、かといって、人間が昔の生活に戻れるとはとうてい思えないし、今の暮らしにだっていいところはたくさんある。
 人は文明の利器を否定するのではなく、それで生じた問題はさらなる新しい工夫で乗り越えていくしかない気がする。今の人の暮らしを否定して嘆き続けることほど不毛なことはないような気がする。
 いつか、人間という生き物の生態にもカメラを向けてみたい。人間を卑下するわけでもなく、賛美するわけでもなく、生物学者が生き物を見つめるような目で。

 写真は、そんなつもりで撮影したものではない。
 北九州に住んでいると、おのずと北九州の自然にカメラを向けることが多くなり、それに伴って、北九州とはどんな場所かを説明しなければならないケースがいずれ出てくるだろうから、、そのための素材として撮影したものだ。
 そんな写真を撮るために、わざわざどこかに出てい行こうという気持ちはないが、昨日、イノシシを撮影するための自動撮影カメラをセットするために外出した際についでに写真を撮った。
 カメラを構えた場所は高架橋の上で、今は片道2車線のうちの1車線のみを使用し、残る一車線は工事中でところどころ空き地になっているので車を止めることができる。が、いずれ道路が完成したら、駐車はできなくなるだろう。
 
【 お知らせ 】
恒例の写真展 (野村芳宏・西本晋也・武田晋一) のお知らせです。
場所 http://yamada-park.com/
10月30日(土)〜11月28日(日)。
休園日は毎週火曜日。
入場は無料だが駐車場が300円。

 

2010.11.24(水) 勉強

 夜になると、近所の子供が、家に勉強にやってくる。今はちょうど定期考査の直前なので、おかげで、自分が子供の頃には全く勉強しなかった教科を今頃になって学ぶ。
 僕の場合、得意科目でまとめて点を稼ぐタイプだったので、5教科7科目の共通一次テストを受けたにもかかわらず、一度も勉強しなかった教科もある。古典や漢文などは、模試のたびにO点だと最初からほぼ決まっていた。
 ともあれ、勉強で一番大切なことは、自分で勉強できるようになることだが、そのためには、誰かが最初に勉強のやり方を教えてあげる必要がある。
 そしてあと1つ知っておいた方がいい大切なことは、やり方や考え方がまずいと、勉強をすればするほど成績が悪くなっていくケースだって珍しくないということ。
 やればやるほど成績が落ちるなどあるはずない、と固く信じている方もおられるが、医師が間違った診断を下したら、病気が治るどころか下手をしたら死んでしまうのに似てなくはない。
 真面目なのに成績が悪いという人は、大抵このタイプではなかろうか。

 何も勉強に限った話ではなく、子供を自然観察に連れ出すのだって同じようなことが言える。
 僕が誰かを案内する際に、案内する場所が悪くて楽しくなかったなら、その子は自然なんて面白くないと受け止めかねない。最初は、あまりに楽しくて、思い出されて当分他のことが手に付かなくなるくらいに楽しませることが肝心であるし、案内する側は、そうできるように、本気の中の本気、ある意味真剣勝負であってほしい。
 形だけ、ガス抜き程度にどこかに連れていくくらいなら、大抵、行かない方がマシなのだ。
 町おこしのために文化的なイベントを開催するのだってそうだろう。
 時々僕もイベントの類に引っ張り出されたり、出されそうになるが、中には、これならやらない方がマシ、やるだけ有害と思えるものもある。
 そんなイベントの主催者に限って、「やらないよりは、やった方がいい。」と主張するパターンが多いのには閉口させられる。
 おそらく 『参加することに意義がある』 と言いたいのだろうが、それは本気で取り組んだ上での話であり、形式的にしか取り組まないのなら、実は参加してないことになる。
 そして、参加していないのに参加した気になるくらいなら、最初から参加しない方が、自分はまだ何もしていないことを自覚している分マシだ。
 もしも、『参加することに意義がある』と主張するのなら、「じゃあ、参加するってどうすることだろう?」と考える必要がある。つまり、哲学が大切になる。
 僕にとっての自然写真の仕事にも、全く同じことが言える。
 一生懸命に取り組んでいる、というよりは、一生懸命に取り組むとはどうすることだろうと考え、思いついたことを試すのに一生懸命なのだ。

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入場は無料だが駐車場が300円。

 

2010.11.21〜23(日〜火) 立場が違えば

 先日、オリンパスのカメラを新たに一台注文した。
 本当なら、機材は今主に使っているニコンと他はオリンパスのみにして、そこにお金を集中させたいところだが、キヤノンにはニコンにない拡大撮影用のレンズ(MP-E65mm F2.8 1-5×マクロフォト)があるので、キヤノンも所有することになる。
 拡大用のレンズに限らず特殊なレンズの場合、一般的なレンズに比べると性能が落ちる。キヤノンの拡大用のレンズだって、拡大用のレンズとしては大したものだと思うが、一般的な普通のレンズを評価する基準で考えれば、写りはあまりよくない言える。
 だが多少性能が落ちても、小さな被写体を大きく拡大して撮影したいケースはあるのだから、そんなレンズが存在することは大変にありがたい。自然写真の場合、描写を犠牲にしても、まず写真が撮れることが優先されるケースが多々ある。
 そのキヤノンの拡大撮影用に匹敵するものを、ニコンも発売してくれればいいのだが、ニコンの品質管理部門は大変に基準が厳しく、仮にそのような多少性能は落ちるものの、他にはない特技を持ったレンズが開発されても品質管理部門の審査をパスできる可能性は低く、それ故にニコンからは拡大専用のレンズは出ない、と言われている。
 ニコンの品質管理部門が厳しい、というのはいろいろなメーカーのカメラを使っているとよくわかる。確かに、ニコンのカメラはトラブルが少ない。
 一方で、もうちょっと融通をきかせてくれたら・・・と思うことも多々ある。

 開発を担当する人と品質を管理する人。開発者が作りたいと思っても品質管理をする人がNOを突き付けるなど、同じ会社の人だって、立場が異なれば考え方が違う。
 出版社だって、編集の人と営業の人とでは、全く価値観が異なる。
 おそらく物を作る側の人にとって、売る側の人の目は、しばしば大変に厳しいものだろう。
 そう言えばちょっと前に、今作っている本について編集のOさんから、
「今の段階のものを営業の人に見てもらったら・・・」
 という連絡があった。
 まるで合格発表を見に来た受験生のように、自分の体がカチカチにこわばるのを感じたが、営業の方の反応は、
「これは、今年の一押しになりますよ。」
 と好評だったようだ。
 今回の本は、自分が作りたいものを作るのと同時に、営業の人の立場から見てもいい本にするのが技術面での大きな目標の1つだった。
 まずは目標を1つクリアーできたことになる。

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2010.11.20(土) いろいろな好きがある

 以前、小学生と幼稚園の男の子の兄弟二人をつれて昆虫採集に行ったら、実に激しい喧嘩をするのが面白かった。
 喧嘩というよりは、まさに真剣勝負。
 一緒にいった子供たちのお母さんやおばあちゃんの立場を考えると、、面白かったというと不謹慎かもしれないが、兄弟という存在について、いろいろと考えさせられた。

 その後、幼馴染のたー坊と顔を合わせる機会があったので聞いてみた。
「たー坊の子供は喧嘩したりする?」
「するばい。毎日毎日喧嘩ばっかりやけ、気が狂いそうになることがある。」
 そのたー坊にお願いして、今朝は子供たちをモデルにして写真を撮った。
 6年生のトシちゃんは生き物が大好き。ヘビを虫籠に押し込めて飼育したいと言いだし、お父さんを困らせたりするという。
 トシちゃんには幼稚園に通っていたころから何度もモデルになってもらっているので、僕が撮影を担当した生き物の本の中に所々登場する。
 一方、3年生のタケちゃんは、生き物には全く興味なし。
 グローブを身につけたり、ボールを手にすると目が輝く。
 同じ家庭に育った兄弟にそれだけの違いがあるのだから、自然が好きかどうかは、ある程度は産まれ持った好みなのだろう。
 
 一言で好きと言っても、いろいろなレベルがある。
 まずは、生まれつきに好き、と言ってもいいようなレベル。
 このタイプの生き物好きは、物心ついた時にはすでに生き物にのめり込んでおり、仮に親が生き物から引き離そうとしても無駄だろう。
 トシちゃんは学校一の中でも生き物博士として名が知られており、下級生から生き物について質問をされることがあるそうだ。500人に1人くらいの存在ではなかろうか。
「自然写真家になりたい。」
 などと真顔で言い出すのもこのタイプだ。
 次に、半分は素質、半分は環境の影響といったタイプの自然好きがいる。
 理科の先生のことが好きだったことがきっかけで生き物に興味を持つようになったというような人が、このタイプに相当するだろう。
 世の中の自然愛好家の大半はこのタイプであり、僕が今作ろうとしている本は、そうしたタイプの人をターゲットにした本だ。

 僕の場合、生き物が好きということに関しては、前者に属するだろうが、写真が好きということについては、後者に属するように思う。
 写真は、あくまでも生き物が好きだから撮っているに過ぎない。
 例えば、写真が好きだから、その写真の題材としてネコにカメラを向けるのではなく、ネコが面白いからカメラを手にしたくなる。
 そこに写っていてほしいのは、風流や絵心ではなく、ありのままのネコなのだ。


NikonD700 AF-S VR Zoom-Nikkor ED 70-200mm F2.8G(IF) SILKYPIX
 
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2010.11.19(金) こだわりどころ

 一緒に組んで本を作っていても、僕と、本の見え方を決める役割りの凹山さんとでは、こだわりどころが違うのが面白い。
 さらに編集のOさんも、僕や凹山さんとは違った部分にこだわる。
 僕の場合、言葉で説明するには限界がある自然を、写真で、ビジュアルでちゃんと表現できている本を作りたい。
 凹山さんの場合は、読者の気持ちが明るく楽しくなるような本作り、つまりムードにこだっておられるようにみえる。
 編集のOさんは、安易に突っ込まれないような隙のなさ。責任を持った本作りにこだわる。
 さらに、今回の本作りには言葉の専門家のKさんも参加しておられるが、Kさんは、作者というよりは読者のような目で本を読んでくださる。

 一方でみんなが共通してこだわるのは、流れだ。
 しかし同じように流れにこだわるにしても、それぞれ着眼が異なる。
 僕の場合は、その本を科学の本として見たときの展開にこだわる。仮にこの本の内容を自分が学校で先生として授業するなら、ここと、ここと、あそこに重点を置き、こんな順番で語る、というような流れである。
 しかし、科学の目にこだわるというのは、現象の中からポイントになるエキスの部分(法則性)を抜き出し、枝葉をばっさり切り捨ててしまうことであり、僕の見方は視野が狭いとも言える。
 また凹山さんの場合は、大人が子供にお話として語るなら・・・という感じになるのかもしれない。
 編集のOさんは、僕や凹山さんよりももっと引いた目で、僕がその科学に至るまでの過程を、凹山さんがそのお話に至るまでの過程までを含めて、1つの流れとして見ておられるように思う

 自然写真家はスペシャリストであることが求められるので、基本的には視野は狭くてもいいし、その視野の狭さを補ってくれる人をちゃんと知っていることが大切なのだと思うが、今回の本作りで、もう少し視野を広げておいた方が良さそうだ、と思うようになった。
 そこで、視野を広げるために、新しいカメラを1台注文することにした。
 カメラはまだ届いてないが、今ある機材で、ここ数年取材を続けてきた場所を、ちょっと引いた目で撮影してみた。
 もっとも、それらの写真は引き過ぎていて、見る人には意味がわからないだろうが、本の中では、そんな写真が必要になることがあるのだ。
 

NikonD3X AF-S NIKKOR 24-70mm F2.8G ED SILKYPIX

NikonD3X AF-S NIKKOR 24-70mm F2.8G ED SILKYPIX

NikonD3X AF-S NIKKOR 24-70mm F2.8G ED SILKYPIX

NikonD3X AF-S NIKKOR 24-70mm F2.8G ED SILKYPIX

NikonD3X Carl Zeiss Distagon T*2.8/21ZF.2 SILKYPIX

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2010.11.18(木) お金と時間

 10万円のお金を稼ぐのに20万円の交通費を出すのでは、仕事というよりは趣味になる。
 言うまでもないことだが、写真を撮るには機材や取材費などお金が必要であり、そのお金を幾らまでなら使ってもいいのかは、ギャラの額を考慮せざるを得ない。
 また、原稿を書くのだって似たようなことが言える。
 原稿を書くのにそんなにお金がかかるのか?と感じる方もおられるだろうが、ギャラの額が3万円の原稿を書くのに実質一ヶ月を費やしていては、仕事としては成り立たない。
 ところが単行本の場合は、本が何冊売れるかによってその得られる額が違ってくるので、費やすことができるお金や時間を単純に割り出すことができない。そして本が何冊売れるかは、本を出してみなければわからないのだから、結局、本が出る前の段階で自分にどれくらいの自信があるのかが、費やすお金の額や時間の長さに現れていると言ってもいい。

 普通の暮らしをしている人なら、一冊本を出して100万円得られる自信があれば、そのための作業に正味一ヶ月から場合によっては二ヶ月がかかってもいいだろうし、得られるお金が50万円ならその半分の資金で半分の期間、売り上げがもっと少ないと思うのならそれに応じてかけられるお金も時間も少なくというような計算が頭に思い浮かんでくる。
 そんな勘定をして、なるべく短時間で、なるべくお金をかけないようして利益率を上げたいのではない。
 僕にとって写真を撮ったり本を作るのは、目前の仕事に取り組むことであると同時に、常に次の仕事への先行投資なのだからケチるつもりは毛頭ないし、逆に、いいお金のかけ方や、可能な限り時間を費やしたいのだ。
 今の僕にとって本を作ることは、最低これくらいは売れるはずだから、これくらいお金や時間をかけてもいいはずだという自信の部分と、そんなことをしていて本当に大丈夫か?という不安との綱引きだ。
 実際に本作りの作業の段階に入り、さまざまな壁に直面して自分の経験や力の無さを実感すると当初の自信は軽く消し飛び、弱気になるというのが正直なところではある。
 けどれも、写真や本作りの仕事は最初から並ではできないことが求められているのだし、難しくて当たり前。いちいちそんなことでビビっていたらきりがないし、別に命を取られるわけではないのだから、そのリスクやスリルが楽しいというくらいのゆとりが欲しい。
 最終的には、普段冷静な時にこうしたらいいはずと導き出した結論を、困難で視野が狭くなりがちな時にも貫き通すしかない。
 
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2010.11.17(水) ぬた場のイノシシ


CanonEOS30D EF20-35mm F3.5-4.5 USM

 昨年、イノシシが泥を浴びるぬた場に自動撮影カメラを仕掛けたら、途端にイノシシが来なくなってしまった。
 何度やってみてもダメ。何の成果も得られないまま、随分時間を費やした。
 そこが人が頻繁に通る場所でなければ、カメラをしばらく放置すればイノシシも慣れ、そのうち写真は撮れるに違いない。
 だが困ったことに、人が来ないどころか、昼間は常にだれかがいるような北九州市民の散歩の場。撮影に使おうとちょっと置いておいたものでさえ、あっという間に持ちされてしまうのだ。
 撮影は人気がない夜の間の短期勝負を強いられる。
 そこで、まずは急がば回れで自動撮影カメラの何をイノシシがいやがっているのかを1つずつ確認してみた。
 最初はイノシシの出没を感知する赤外線のセンサーだけを仕掛けてみたら、イノシシはいつものようにやってきた。イノシシが嫌っているのはセンサーではないことがわかった。
 次は三脚、その次は・・・・と順番に試した。そして、たぶんこれだろうという見当がついた。
 ところが、そうこうするうちにぬた場の水量が増え過ぎ、今度はイノシシの出物自体が無くなってしまった。
 仕方がないので、付近にあるイノシシの通り道にカメラを仕掛けてみたら、たくさんのイノシシの姿が写った。
 それから数カ月が経過し、ここのところ、またぬた場にイノシシの痕跡が見られるようになった。
 今のところ、盛大に泥を浴びた形跡はほとんどないが、水辺を歩き回った跡や、おそらく水を飲んでいるのだと思うが、水際に集中して足跡が見られる。
 そして一昨日の晩、ぬた場にカメラを仕掛けてみたら、とにかくイノシシの姿が写った。
 さて、この写真の質を高めていきたいが、問題は手前に水があること。この水が機材の置き場を制限する。
 1つは、イノシシがいたずらをして三脚を倒してしまうケースがあること。水の中に三脚を立て、それを倒されると、水中カメラでもない限り、機材が故障してしまう可能性が高い。
 2つ目は、水が画面に写り込む場合は、反射の関係で照明の位置がかなり制限されてしまうこと。
 今回は、まずは写ればいい、ということで写りは二の次にして、ただカメラを置いたのだが・・・さて、どうしたものか。
 
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2010.11.16(火) JR直方駅

 僕の自宅の最寄り駅・JR直方駅が一旦取り壊されて新しくなるというニュースが、先日新聞の地方版に載った。聞いたところでは駅前の開発に伴うものらしいが、強いて言えば、バリアフリーにする必要があるからだとか。
 伝統ある駅を、勿体ないなと思う。
 文化とか情緒の観点から勿体ないと言いたいのではない。
 木造で趣のある今の駅をあと30年そのまま置いておいたら、初めて直方駅に降りた人はみなびっくりするのではなかろうか?中には、駅前で記念撮影をしてそれを写メールで送ったり、ブログに掲載する人も出てきて、直方という名前を勝手にみなが宣伝してくれるに違いない。
 それをお金に換算したら、相当な額の宣伝費に匹敵するのではなかろうか?
 バリアフリーにする必要があるのなら、今の駅に工夫を施せばいいのではなかろうか。

 福岡県の直方市、田川市、飯塚市あたりは筑豊と呼ばれ、以前は炭鉱で栄えた。
 直方の場合は、石炭が出るというよりは、田川や飯塚で産出した石炭が集まる交通の要所だったようだ。
 その直方の駅なのである。
 例えば、駅を今のままにしておき、石炭の象徴であるSLを定期的に走らせることなどはできなかったのだろうか?筑豊に多くある石炭関連の施設をもっと魅力的なものにして、そのSLの乗って、それらの場所を1つずつめぐる。
 人が来てくれそうな気がするのだが・・・
 先々週、津和野でSL山口号が走るのを見た。春〜秋の間の週末に新山口〜津和野間で運行されるSL山口号は、なかなかの人気で、週によっては一カ月前の予約開始日に全席が埋まってしまうようだ。
 僕が見た場所はちょうど登り坂になっていて、ガシャガシャガシャガシャガシャ、という車輪の音が、これぞ機械という感じで凄かった。鉄道に興味がない僕でさえ胸が熱くなった。
 あれが、筑豊本線を走り、今の直方駅にとまれば・・・と思わずにはいられなかった。
 そう言えば、蒸気機関車が発明されたのは、産業革命のころだ。
 当時の人は、蒸気機関車の登場をどのように受け止めたのだろうか?
 今、世界で叫ばれている環境問題の多くは産業革命をきっかけに引き起こされたものであることを思うと、今を生きる人間は、産業革命を境にして人の暮らしがどう変わったのか、整理しなければならないのではなかろうか?
 もちろん、その良かった点も悪かった点も。
 僕は、それがエコを考えることであるような気がする。

 【 お知らせ 】
恒例の写真展 (野村芳宏・西本晋也・武田晋一) のお知らせです。
場所 http://yamada-park.com/
10月30日(土)〜11月28日(日)。
休園日は毎週火曜日。
入場は無料だが駐車場が300円。

 

2010.11.13〜15(土〜月) 38(さんぱち)宿坊の会

 中学〜高校と、学校で授業を聞いた記憶があまりない。
 ノートもほとんど取ったことがない。一学期の一番最初の授業の際に1〜2行黒板をうつして、そのままの状態で学年末を迎える。
 勉強は、必要な時に最低限教科書を読む。
「それで勉強ができるんだから、すごいじゃないですか!」
 と言われることもあるが、できなかったのである。最高で7科目の赤点を取ったことがある。
 弟が全く同じことを言うのには驚かされた。
 弟の場合、物理だけはそれで大変に痛い目にあったようだった。 試験前に教科書を読んでみたらチンプンカンプンであり、最低限の手の打ちようもなかったらしい。全身から血の気が引くのを感じたようだ。
 僕の場合、授業だけでなく、話全般を聞いていなかったようで、先生の話の記憶自体がほとんどない。
 僕が通った鞍手高校38回卒の同窓会は、「38宿坊の会」と名付けられたようだが、先日届いた世話人の方からの手紙には、
「宿坊という言葉を使った理由は、みなさんよくご存知のように、われわれの修学旅行は訳あってホテルではなくて宿坊に泊まったことです。」
 と書かれていた。
 ところが僕はそのエピソードを知らなかったし、それどころか自分が泊まった場所が宿坊であったことさえ知らなかったし、宿坊という言葉自体を初耳だった。改めて、先生の説明を何も聞いていなかったのだろうな、と思い知った。
 ともあれ、自らが独学型の僕は、本来は人に何かを教える気にはなかなかなれない。
 だから例えば、写真を趣味にしている人たちに対して写真教室を開催する気にはなれないのだが、不思議なことに初心者の方々に対してカメラの使い方やその他を紹介するのなら、なぜか楽しい。
 写真を趣味にする中級〜ベテランの人にありがちな自己顕示欲みたいなものが、初心者の方々にはないからかな?

 山田緑地公園での写真教室が、先日無事終了した。
 中には、カメラを箱から出したばかりという方もおられた。
 そこで、教えることを、「露出補正」の1つに絞った。
 露出補正とは写真の明るさの調整であり、これを知っているか知っていないかだけで、写真が随分変わる。
 ついでに、つい欲が出て「ホワイトバランス」についても少し説明しようとしたのだが、これは全くの余計だった。途中で、あっ余計だったと思ったとたんに、頭が真っ白になり、上手く説明できなくなった。
「今日は露出補正だけ覚えて、屋外で写真を撮って試してみましょう。」
「先生、私のカメラの露出補正の方法を教えてください。」
 手渡されたカメラを必死に操作して、露出補正のやり方を探る。
 最初の方はキャノン、次はソニー、次はパナソニック、次はオリンパス、さらにカシオ・・・・・・。
 ニコンとリコーなら、コンパクトカメラを自分で持っているからわかる。
 ついに僕は、全メーカーのコンパクトデジタルカメラの露出補正の操作方法を、3時間の写真教室の間にマスターすることになった。

 【 お知らせ-1 】
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10月30日(土)〜11月28日(日)。
休園日は毎週火曜日。
入場は無料だが駐車場が300円。

 

2010.11.9〜12(火〜金) 消費


NikonD3X AF-S VR Zoom-Nikkor ED 70-300mm F4.5-5.6G(IF) SILKYPIX

NikonD3X AF-S NIKKOR 24-70mm F2.8G ED SILKYPIX

NikonD3X AF-S NIKKOR 24-70mm F2.8G ED SILKYPIX

 一昨日は、洞窟で有名な平尾台に、新たな気持ちで登ってみた。


NikonD3X AF-S NIKKOR 24-70mm F2.8G ED SILKYPIX

NikonD3X AF-S NIKKOR 24-70mm F2.8G ED SILKYPIX

NikonD3X AF-S VR Zoom-Nikkor ED 70-300mm F4.5-5.6G(IF) SILKYPIX

 昨日は、サンショウウオやアカガエルが卵を産みにやってくる、森の中の水たまりの周辺を歩いた。
 今日は、明日の写真教室の準備をしなければならない。その前に、ここ数日分の日記の更新をしておこう。

 何か作品作りをすることを、「創作する」とか「クリエイトする」などと言い表すと、それはあたかも生産であるような印象を与える。
 だが実際は、生産ではなくて、むしろその逆の消費ではなかろうか。
 僕の場合、今制作中の本が出来上がってしまえば、そのテーマはもう過去のものであり、その分自分の心の中からネタが無くなってしまう。今自分を動かしている原動力、大げさに言えば、明日の朝、目を覚ますための一番の動機のようなものが、心の中から消費される。
  だから僕にとって大切なことは、目先の本をただ仕上げることではなく、そこで身につけたものが次の作品作りにつながって行くこと。今創作しなければならないのは、今度出版される本ではなくて、その次以降に出るはずの本なのだ。
 そのためには、何が大切なのだろうか?
 それは、一緒に作業をする人たちから指摘をしてもらい、教えてもらうことではなかろうか。つまり、自分が前向きに変わること。
 逆に、自分が作りたい本を寸分違わないように作るのは完全な消費であり、最悪なやり方だろう。
 ともあれ、今回の本作りがうまくいったかどうかは、次の本を作る時に明白になるに違いない。
 例えば、次の本の企画を出版社に持ち込んだ時にその企画の完成度がより高くなっていて、以前よりも確実に企画が通るようになっているのが、一つの理想形だ。

 【 お知らせ-1 】
写真教室の先生をつとめます。
詳しくは、山田緑地のホームページ
http://yamada-park.com/
から、NEWS/イベント情報一覧の
山田緑地のカメラ教室(初心者向け)
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 【 お知らせ-2 】
恒例の写真展 (野村芳宏・西本晋也・武田晋一) のお知らせです。
場所 http://yamada-park.com/
10月30日(土)〜11月28日(日)。
休園日は毎週火曜日。
入場は無料だが駐車場が300円。

 

2010.11.6〜8(土〜月) 子供


NikonD3X AF-S NIKKOR 24-70mm F2.8G ED SILKYPIX

NikonD3X AF-S NIKKOR 24-70mm F2.8G ED SILKYPIX

NikonD3X AF-S NIKKOR 24-70mm F2.8G ED SILKYPIX

 どんなに文明が発達して人の暮らしが変化しても、生まれたばかりの赤ちゃんの段階では、なんら文明の影響はない。お母さんの栄養状態が良くなった結果、以前よりも赤ちゃんが重たくなったくらいのことはあるのかもしれないが、それとて、最近の赤ちゃんの方が高度な文明を持っているというようなものではない。
 そういう意味では赤ちゃんは昔から変わらないものであり、文明以前の状態、野生の生き物、自然物と言ってもいいのではなかろうか。
 その赤ちゃんが、良くも悪くも文明に染まりながら人間になる、というか大人になる。
 その中間の過程が子供であるとするならば、子供は自然と人工の中間。子供を見るのは、一種の自然観察であり、同時に人間観察でもあって、そこが大変に面白い。
 小さな子供の多くが平気で生き物を触るのに、大人になるとしばしば触れなくなるのも、そんな例の1つであろう。
 
 さて、約束の昆虫採集の日。
 実は、天気の具合で、先々週、先週と延期になっていたもの。
 先々週は大雨。先週は台風。いったい誰が雨男だと思っていたら、今回は心地いい青空。
 最初は、トンボを題材にした実験をする予定だったのだが、
「バッタの方がいい。」
 とトノサマバッタに夢中になった。草むらからピョ〜ンと飛び出してくるあの感じがいいのかな?
 いつも思うことだが、子供は、大人の予測とは違う部分に興味を示す。
 前回 ( 2010年8月28日の記事 )はビオトープに連れて行ったら、ビオトープよりも脇を流れる小さな川に夢中だった。
 そして、せっかく採れた希少な魚よりも、子供たちはドジョウに夢中だった。
 それこそが自然観察であり、大人の計画にそって進むのは、行進のようなものではなかろうか? 次は、僕が車に積んできた大きな網を使ってみたいというのでため池に行ったら、子供たちの希望だったミズカマキリがたくさん網に入った。
 網の中からミズカマキリを取りだしていると、子供の頭にトンボが止まった。
 あわててカメラを手にし、写真を撮った。
 が、今度は僕が喜びすぎて、写真がよくなかった。
 ともあれ、子供は面白い。

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2010.11.5(金) 人間の証明


NikonD3X Carl Zeiss Distagon T*2.8/21ZF.2 SILKYPIX

NikonD3X Carl Zeiss Distagon T*2.8/21ZF.2 SILKYPIX

NikonD3X AF-S NIKKOR 24-70mm F2.8G ED SILKYPIX

 コマーシャル写真のような世界なら、撮影は依頼されてから始めるものだろうから、極端に言えば、腕と信頼されあれば身ひとつでも生きていくことができ、僕らよりも、ずっと身軽なのではなかろうか。
 それに対して自然写真の場合は、依頼されて写真を撮るよりも、あらかじめ撮影してある写真を貸すケースの方が多い。だから、自然写真家を目指す人は、事務所を開設できるくらいの量の写真を蓄積するために、せっせとせっせと写真を撮りだめる。
 事務所を開設できるくらいの量の写真とは、それだけ持っていれば、何がしかの貸し出しの依頼が絶えず、常にお金が入ってきて生活が成り立つくらいの量のことであり、相当な量が必要になる。
 撮影済みの写真はまさに財産であるし、それを火災などですべて失ってしまったなら・・・。考えただけで恐ろしい。
 そんなわけで、以前は、火災などでフィルムを失うことが大変に怖かった。
 だが時代はデジタルになり、簡単にコピーが作れるようになった。
 僕は、事務所と自宅の二か所に、仕事の上で欠かせない画像を保存している。
 その点では、本当に気持ちが楽になった。
 フィルムの紛失と言えば、お気に入りを紛失した痛恨の思い出が幾つかある。何かに紛れて捨ててしまったのだろうか。
 一方、3000万年も前の生き物の痕跡がまだ残っているのだから、なんと不思議なことだろう。
 映画・人間の証明の予告編が思い出された。
 母さん、僕のあのフィルム、どうしたんでしょうねえ?
http://www.youtube.com/watch?v=G_VraNDv3J0


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2010.11.3〜4(水〜木) 岩


NikonD3X AF-S NIKKOR 24-70mm F2.8G ED SILKYPIX

NikonD3X AF-S VR Zoom-Nikkor ED 70-300mm F4.5-5.6G(IF) SILKYPIX

 撮影は、なるべく自分一人で完結させたい気持ちが強い。
 だが、それでも時々は、知人に助けてもらうことがある。
 お礼にお金を支払おうか、と思うのだが、身の回りの人とは、できればお金のやり取りをする関係になりたくない。
 ならば何か特別な見返りを、とも考えるが、見返りを期待しあうのも、まるで政治みたいでどうもあまり好みではない。
 僕は、政治的な動きが性に合わないので、人に会う時も、その人と話をしたいから会いに行くのであり、何か見返りを期待していくことはないし、仮に自分が人のお手伝いをしても、見返りが欲しいなどと考えることもない。
 そんな僕のことを褒めてくれる人もおられるのだが、何のことはない、逆に人に何かしてもらっても、見返りを提供しなければならない!とはならないのだから、ギブアンドテイクを重視する方にとっては、僕は稀に見る失礼な人間であるに違いない。
 大学時代に僕が所属した時間生物学の研究室も、純粋にその研究に興味がある人が選ぶ場所であり、就職やその他の世話などの見返りはないのが特徴だった。
 たまたま、企業から依頼があれば、「誰か希望者いる?」くらいの声はかかるものの、自分の進路は自分で探すものだというのが先生の考え方であり、僕の好みにピッタリだったし、その結果、今写真を撮っている僕が存在するのだともいえる。
 できれば、漁師さんと農家の人が魚と野菜を交換しあうような、見返りというよりは、自分がしてあげたいことをする関係がいい。
 そこで僕は、自分が手伝ってもらったお礼に、相手にお子さんがおられるのなら、学校の勉強を教えてあげたり、どこか自然の中を案内することが多い。

 そんなわけでうちに勉強にやってくる子供たちを連れて、山口に行くことになった。
 僕の役割は子供たちを新山口駅まで送り、そこでSL山口号にのせて、数時間後にSLの終点の島根の津和野に迎えに行って連れて帰ること。
 津和野では、つい最近観光客がクマに襲われる事故が起きたようなので、それだけが多少心配だった。
「森の近くで人がおらん場所を歩くときは、奇声を出したりして、熊を追い払わないかんよ。」
「変な人と思われるやん。」
「いや、人がおらん時の話よ。」
 結局、何のトラブルもなく無事だったが、山辺の津和野城址へと向かう散策道の入り口のところでは、かばんに鈴をつけられたようだ。
 僕はその間に、車を走らせ萩の海まで行って、海辺で岩の写真を撮った。

 岩は、そのでき方によって、大きく分けると3つに分類できる。
 まず、マグマが冷えて固まった火成岩。それから、堆積物が押し固められてできた堆積岩。そして、火成岩や堆積岩に、高温や高圧の影響が加わり、元とはちがう別の岩石に変わってしまった変成岩。
 先月、兵庫県の玄武洞で撮影した玄武岩は火成岩。また、今僕が制作中の本の中に出てくる鍾乳洞の石灰岩は堆積岩。そして、今回の画像は変成岩。
 3種類の岩がそろい踏みしたわけだが、何か本ができそうな感じがする。
 中学生のころの岩石の授業は、退屈極まりなかった。岩の種類をただ覚えるなんて、実に無機質だと思う。おそらくそれを教えていた先生も、教科書の上のことしか知らなかったのではなかろうか?
 だが、岩は面白い。
 面白くなかった授業に対する反発の気持ちをぶつけ、岩の面白さが伝わる本を作ってみたいではないか!

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2010.11.1〜2(月〜火) 更新のお知らせ

今月の水辺を更新しました。

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