撮影メモ

2001年8月分

   
8月31日
(金)
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 今日は、雨とカタツムリのイメージを撮影しました。
カタツムリは、雨の湿気を好みますが、雨そのものは、好きではないようです。
雨粒が体にあたることを嫌がり、雨が胴体部分にあたると体を殻の中に引っ込め、とまっている場所からコロっと地面に落ちてしまいます。
カタツムリが嫌う水滴の中に、カタツムリをとまらせなければならないため、撮影は、困難を極めます。
何度も何度もカタツムリを水滴の中にとまらせ、うまい具居合に殻から胴体を出した瞬間を撮影するのみで、1シーンの撮影に、数時間の時間が必要になり、その間、転げ落ちたカタツムリを、何度水滴の中に止まらせ直したのか数えきれません。
カタツムリは疲れ果ててしまいます。
生き物を材料にして、一つのイメージを撮影することは、残酷なことでもあります。
僕が、撮影や研究など、自然のイメージや自然のメカニズムを記録・報道する行為と、自然保護・環境問題を訴える行為とを、全く別のことと位置付ける理由の1つは、そこにあります。
生物学の研究にしても、一つの命を理解しようとする実験で、数え切れないくらいの生き物を殺します。
(フィルム3本撮影)
 

 
8月30日
(木)

 今日は、僕が所属するSSP展の写真展・「第22回SSP展」の会場に顔を出すために、博多に出向きました。
会場は、博多駅の近くにあるのですが、ついでに、呉服町にある現像所にここ一週間くらいで撮影したフィルムを持ち込み、その場で現像をしてもらいました。
昨日、撮影したばかりのカタツムリの腹部の様子は、ちゃんと撮影されていました。
撮影してすぐに現像をすると、やはり、安心して次に進めます。
今月は、僕がいつもフィルムを現像する東京の現像所までの郵送料を安く上げるために、一ヶ月ほど撮影済みのフィルムをためておき、まとめて現像をしましたが、やはり、こまめに現像をしておくべきでした。
細かな失敗ですが、同じ失敗を何度も繰り返しているようなケースがあり、「ああ、早めに現像をして早く気付くべきだった。」と感じる写真がありました。
 
 
8月29日
(水)
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 疲れがたまりがちな状態が続いています。
仕事が終わり、僕が帰宅をする時間は、PM10:00〜12:00の間、平均して11:00くらいですが、昨晩は、早めに、9:30分頃に帰宅をしました。
早く寝て十分な睡眠を取る予定だったのですが、運悪くというか、運良くというか、カタツムリの卵が孵化を始め、撮影が終わったのは、朝の3時ごろでした。
ゆっくり寝るどころでは、ありません。
講演会の時に、「カメラマンの辛いところはどこですか?」と尋ねられ、生き物の世話等、生き物の都合に僕の方があわせなければならず、自由が利かない点と答えましたが、生き物の都合に合わせて暮らすことは、時として大変なことです。
一つ、自分が好きなことをするためには、他のすべてのことを捨てなければなりません。
当り前にくつろぐ時間、家族とゆっくり過ごす時間、当り前の労働時間・・・・。
「好きなことをしていいですね。」とよく言われますが、全てを投げ打てば、誰でも好きなことをすることができます。
「好きなことをしていいですね。」という人の誰もが、今の自分の生活を維持したまま、好きなことをできたらいいのに考えていますが、とても馬鹿げた話です。
 今日は、以前にも撮影をしたガラス面を歩くカタツムリの撮影をしました。
カタツムリはお腹を波打たせて歩きますが、前回撮影した写真ではその様子がわかりにくかったため、再度、撮影のやり直しです。
今回は、照明を変えてみましたが、デジカメでのテスト撮影の結果は、とてもいい結果が得られました。
多分、大丈夫です。
(フィルム2本撮影)
 
 
8月28日
(火)
 アマガエルの体色変化

  写真は、時にとても残酷です。
技術的にすぐれた写真でも、写っている被写体に魅力がなければ、なかなか評価をしてもらえません。
逆に、たとえ写っているだけの写真でも、被写体に魅力があれば、人の心を動かすことができます。
先日の講演会では、メダカ、アマガエル、ザリガニ、カワセミの写真を映写しましたが、カワセミの写真を映写すると、単にカワセミが魚をくわえ、枝に止まっているだけの写真でも、見ている人たちの目が輝きます。
「どれもすばらしいですよ。」という人もいますが、その人の表情・態度を見れば一目瞭然で、やはりきれいな、絵になる被写体が映し出されると人の目が輝きます。
講演会の時に、聴衆の表情を見ていると、何が一般の人たちに魅力があるのかがよくわかります。
今回の講演会では、緑色のアマガエルが、周囲の色に合わせて体色変化をする写真を映写した時に、フーンという反応がありました。
さっそく、体色変化の写真を強化することにしました。
緑色の葉っぱの上、灰色のコンクリートの上、黒い土の上、青いバケツの上、茶色の枯葉の上・・・・、いろいろなアイディアが浮かびます。
今日は、コンクリートの上のアマガエルと植木鉢の上のアマガエルを撮影しました。
(フィルム2本撮影)
 
 
8月27日
(月)

  写真展・講演会のための準備でごった返していた部屋を整理して仕事ができる状態に整えました。
僕は、いつも写真展の際に、長めの文章をつけますが、今回は、同時に講演会の準備をしなければならなかったため、挨拶文以外の文章をつける時間がありませんでした。
明日は、会場の山田緑地がお休みですが、明後日から、5日間期間があるので、できる限り文章も準備をしたいと考えています。
撮影をするリズムも取り戻さなければなりません。
アマチュアのカメラマンが写真を撮る時、まずカメラマンが「いいな〜」と思う被写体があり、写真を撮りたいとカメラを向けます。
プロのカメラマンの場合は、「こういう写真を撮ってほしい」というニーズがあり、そのニーズに応えるように撮らなければなりません。
何がニーズで、そのニーズに応えるためには、どう撮ったらいいのかを考える領域を頭の中に確保しなければならず、そのための心の準備が必要です。
 
 
8月26日
(日)

  講演会が終わりました。
たくさんの子供を相手に話をする予定だったのですが、聴衆の平均年齢は、間違いなく55歳は超えていたでしょう。
学生時代の学会発表などと比較して、写真の公演の難しいところは、話を聞きにくる相手がどんな人なのかがわからないところです。
ごく普通に暮らしている人が、公演を依頼されることは、滅多にありません。
では、自然カメラマンに何を求めて公演を依頼するのでしょう?
自然カメラマンが公演に招かれる時、大きく分けて3つの話を期待されています。
1つ目は、『自分らしく生きる』という話。
2つ目は、環境問題、自然保護など、『人が自然に対していかに接するか?』という話。
3つ目は、生き物のことを紹介する話です。
僕は、いつも生き物のことを紹介するという立場で話しをします。
そういう意味では、生物学の研究者の立場に近いかもしれません。
研究者との違いは、生き物の美しさ、可愛さなど、生物学(科学)の対象にならない部分も写真で紹介する点です。
まず、生き物のことを知らなければ話にならないと思うからです。
生き物ことを知ろうとした上で、ある人が『自然が残っていてほしい』、あるいは『自然より日々の快適な生活がほしい』、どちらに判断をしても、その方の好みや人生観の問題で、僕は構わないと考えています。
ところが、生き物の話をすると、即、「自然を守りましょう。」という話をしているように受け止められてしまいます。
自然が大好きな人、自然を仕事にしている人、自然を壊して人間のための土地を作りたいと考えている人、作物を荒され困っている人・・・・。
自然が好きだでも、嫌いだでもなく、自分の立場とは無関係に、「自然ってこんなもんなんだ。」と冷静に自然を見る目が大切だと思うからです。
 
 
8月
24〜25日
(金〜土)
 写真展会場

  明日から北九州市・山田緑地での写真展「鳥のいる風景」が始まります。
昨日〜今日にかけて、写真展のための準備をしました。
昨日は、写真につける鳥の名前や挨拶文を準備、今日は、写真の展示作業です。
昨年も同じ山田緑地で写真展を開催し、期間中会場に出向きましたが、今年は、カタツムリの撮影スケジュールとの兼ね合いで、会場に滞在する日時を決定できずにいます。
そのため、今回は案内状を発送していませんが、詳しいことは下記の通りになります。

写真展「鳥のいる風景」
場所 北九州市山田緑地公園 TEL093-582-4870
8月26日〜9月2日(火曜日は休館)、9時〜17時まで。
写真展の入場料は無料ですが、山田緑地への入場料が必要になります。
写真は、四つ切で30点。
明日は、写真展に先駆けての講演会「写真家の仕事」で、アマガエル、アメリカザリガニ、メダカ、カワセミの観察のノウハウについて話をします。
 
 
8月23日
(木)

  僕は、撮影したフィルムを東京のクリエイトという現像所で現像しています。
僕が使用している220フィルムは現像料が高く、地方で現像をすると一本の現像料が1500円前後になりますが、東京に送ると800円以下で現像をすることができます。
その代わりに、東京までの郵送料が必要となるため、ある程度、フィルムがたまってから、まとめて現像に出すようにしてます。
通常は、一週間に一度現像をしますが、今月は、経費節約のため約一ヶ月間フィルムを未現像のままためていました。
その分の現像が終わり、今日現像済みのフィルムが届けられましたが、一ヶ月分とフィルムの本数が多かったため、たくさん喜び、たくさんがっかりした一日になりました。
結果が良し悪しにかかわらず、現像結果を踏まえて、次の撮影のスケジュールを考えなければならないため、仕上がりが届いた日はとても疲れます。
 
 
8月22日
(水)
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  僕の父は、生き物があまり好きではありません。
カブトムシを捕りに杉林に連れて行ってくれたほどで、杉林では、茶色っぽくて地味な色合いをしたヒカゲチョウの仲間しか捕まえることができませんでした。
そのチョウも夜寝るときに炊いた蚊取り線香の煙で、翌日には、死んでいたというくらいですから、筋金入りです。
それでも僕が子供の頃、「生き物を飼おう。」と父から言い出したことが何度かあります。
「ハトを飼おうか。」だったり、「蜘蛛を飼おうか。」だったり、生き物の種類はさまざまでしたが、大抵は、父にとって何らかの思い出が生き物だったように思います。
最終的には、ハトは仲間を連れてきて糞が汚いから・・・など、「やっぱり止めようか。」となるのですが、その中の一つに、カタツムリを飼おうというのがありました。
その時に、「カタツムリは、卵を産むんだ。」と父から聞き、僕はカタツムリの卵が見たくて見たくてたまらなくなりました。
この撮影メモの中では、カタツムリの卵の写真を掲載したことがありますが、カタツムリは土の中に穴を掘り卵を産み落とします。
今日は、土の中に産み落とされたカタツムリの卵を撮影しました。
写真のように、産卵の際に掘った穴の入り口は土で塞がれています。
(フィルム3本撮影)
 
 
8月
20〜21日
(月〜火)
 第22回SSP展・福岡展

  今日から、僕が所属する日本自然科学写真協会(SSP)の写真展が、福岡のフジフォトサロンで開催されます。
この写真展は、毎年、東京・大阪・福岡・その他数箇所で開催されていて、「自然の中の不思議を知る」というサブタイトルで、興味深い自然現象の写真を展示しています。
昨日は、写真展のための展示で、僕の他にSSPの会員の方が5人ほど、展示に駆けつけてくれました。
この写真展の面白いところは、単に自然をきれいに写すのではなく、不思議な自然現象を人に説明するという視点で写真が選ばれているところです。
写真には、記録報道的な要素と芸術的な要素がありますが、記録報道は、どちらかというと写真のもつ実用的な部分で、芸術は娯楽的な部分です。
今、主流になっているのは、圧倒的に芸術性や美しさを追及した写真ですが、その分、娯楽的になり、内容の薄い写真が増えてきているように感じています。
僕は、写真は見るものではなく読むものだと思っていますが、その点、SSP展で展示される写真には、読むべき内容が濃く、写真展の展示作業の過程で、僕は、とてもいい刺激を受けています。
 
 
8月19日
(日)
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  季節を代表する植物と小動物とを組み合わせた花鳥風月的な写真は定番で、僕も、機会があるごとに撮影をしています。
今朝は、アサガオとアマガエルの組み合わせ、アサガオとカタツムリの組み合わせで撮影をしましたが、アサガオは、開花の時間が午前中に限られているので、アサガオの開花に合わせて僕の一日もはじまりました。
今の時期、毎朝、何時頃に花が咲くのかを正確に把握しておいた方が仕事がしやすいと考え、ここ数日間、開花の時間帯を注意して見ていましたが、株によって花が咲く時間帯が少しずつずれているような気がします。
寝坊ができるように、遅い時間帯に花が咲くアサガオを、今日の撮影用に選んだことは言うまでもありません。
午後からは、アマガエルの体色変化の撮影です。
アマガエルは、周囲の色に合わせて体の色を変化させます。
今日、撮影したのは、枯葉の中にいる黄土色のアマガエルと、黒い土の上にいるこげ茶色のアマガエルです。
(フィルム5本撮影)
 
 
8月18日
(土)
 淡水記へ

 26日からの写真展で展示するプリントが準備できました。
講演用のスライドも準備ができています。
講演では、アマガエル・ザリガニ・メダカ・カワセミの観察のノウハウを紹介する予定にしていますが、今日は、その中のアマガエルの写真をデジタル化して、講演に先駆けて淡水記を更新しました。
「昨日から今日にかけて写真が上達しましたか?」と聞かれると何とも言えませんが、「三ヶ月前と比較して写真が上達しましたか?」と聞かれると、「はい」と答えることができます。
それくらい今の僕は未熟で、勉強することがたくさんありますが、最近になって「身に付いてきたな〜」と感じることは、どのような場で、誰に、何を伝えるのかを考えながら写真を撮る習慣が付いてきたことです。
これは、多分に、講演の機会を与えてくれたり、HPを見てくれたり、意見や感想を聞かせてくれる方々のおかげです。
ありがたいことですね。
(フィルム2本撮影)
 
 
8月17日
(金)
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 先日、カタツムリがレタスやニンジンを食べるシーンを撮影しました。
さらに、レタスを食べた時の緑色の糞、ニンジンを食べた時にオレンジ色の糞、自然状態での茶い糞を撮影して、カタツムリの糞三部作が完成しました。
今日は、レタスを食べている口元のアップの撮影から一日の仕事を始めました。
カタツムリは、食べ物にはり付き、静かに削り落とすように食物を食べるため、レタスやニンジンを食べているようすを撮影しても、果たして野菜の上にとまっているのか、野菜を食べているのか、写真から区別をすることは困難です。
そこで、食べている口元のアップの写真が時として必要になります。
今日の撮影は、カメラの目線を下げ、カタツムリの顔をのぞき込むようして、少しでも口元に野菜が運ばれる様子をわかり易く撮影するように心がけました。
豪快に食べている雰囲気を写し撮れるように、僕が飼育しているカタツムリの中でも特に、食欲旺盛な種類を選び、今日のモデルに任命しました。
今日、撮影に使用したカタツムリは500円玉よりも少し大きく、里の畑に植えられた木の上から採集したものですが、とても活動的で、暑い日でも膜を張って寝てしまうようなことは滅多にありません。
夏になると、山で採集したカタツムリ達が、食べ物を食べなくなり寝てしまうのとは対照的で、食事のシーンの撮影には、申し分ありません。
静かなスタジオで撮影をしていると、バリバリと野菜を食べる音が聞こえてきました。
(フィルム1本撮影)
 
 
8月16日
(木)
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 先月の末から何度もチャレンジしていたカタツムリの膜張りの撮影に成功しました。
この写真は、ガラスにカタツムリを止まらせ、カタツムリが殻の入り口に膜を張る様子を撮影したものですが、ガラスは滑りやすく、カタツムリが膜を作っている途中でガラスから剥がれ落ちてしまうため、撮影ができずにいました。
大きなカタツムリをモデルにした方が、より膜張りの様子がわかりやすいのですが、大きなカタツムリほど体重が重く、ガラスから剥がれ落ちてしまいやすいため、今日は、妥協をして小さなカタツムリを使用して一応撮影したという感じです。
このフィルムを現像して結果を見た上で、次回は大きなカタツムリで膜張りの様子を再度撮影する予定にしています。
僕は、どうしても撮影がうまくいかない時には、今回のように、間にちょっと妥協した撮影を挿むことがあります。
一応の結果を出しておくことで気分的に楽になり、より集中して次の撮影に望むことができるからです。
(フィルム2本撮影)
 
 
8月15日
(水)
 拡大

 自然写真の世界には、定番のシーンが幾つかあり、その1つに、大小のカタツムリが一枚の写真の中に写っている写真があります。
葉っぱの上や茎に大小2匹のカタツムリが止まっているような写真です。
今日は、その定番のシーン・大小2匹のカタツムリを撮影しました。
僕が、これまで出会った先輩カメラマン達の中でも、特に一流の人達が共通して口にすることがあります。
「定番の物も敬遠せずに撮影しなさい。」ということです。
「人と違うものを撮ろう撮ろうと思うから、人を意識して、人と同じ写真になってしまうんだよ。」とも教わりました。
2流、3流の人には、「俺は、人と同じ物を撮らない。」という人が多いように思います。
定番の写真を真似してみると、なかなか真似ができないことに気付かされます。
技術が曖昧で、どうしたら目の前にある写真と同じ写真が撮れるのかがよく理解できていないからです。
真似をすると、自分がいかに、未熟であるかがよくわかります。
「人と同じ物は撮らない。」という人は、自分がいかに未熟であるかを知ることを恐れているかもしれません。
もちろん、定番のものだけを撮っているようでは、つまらないと思います。
人の真似をしたり、自分だけの世界に篭ってみたり、色々なことにトライすることが大切なんですね。
(フィルム5本撮影)
 
 
8月14日
(火)

 今日は、スタジオ撮影を予定していましたが、車のトラブルで撮影ができませんでした。
今朝、自宅を出た後、買い物をしてから、北九州の事務所に向かい撮影をするはずだったのですが、買い物先の駐車場で、車のエンジンがかからなくなってしまいました。
車に積んでいた予備のバッテリーを使用してもエンジンがかからず、JAFを呼び、JAFの車からの電気に加え、さらに携帯用のバッテリーを1つ加え、ようやくエンジンを始動することができました。
原因は、バッテリーの破損で、バッテリーのトラブルの中で最も質が悪いトラブルでした。
ライトの消し忘れ等、単なるバッテリー上がりの場合は、予備のバッテリーをつなぐことでエンジンを始動することができるらしいのですが、バッテリーの破損の場合は、JAF等の応援をよんだ方が、早くトラブルが解消するようです。
とんだ災難でしたが、山の中じゃなくて良かった。
散々もがいて、時間を浪費しましたが、早くJAFを呼べば、なお良かった。

 数年前に、山の中で、前輪と後輪の2輪が同時にパンクをしたことがあります。
最短のタイヤ屋さんまで普通に運転しても1時間近く、九州でも一番厳しい2本杉峠を越えなければ町に出ることができず、民家もなければ、携帯電話の電波も届かない場所で、僕は、途方に暮れました。
スペア−タイヤを使用しても、まだ1本タイヤが足りませんが、ハンドルを切るための前輪は最低限、正常なタイヤを取り付けないとならないので、スペア−タイヤを前輪に取り付けようとしました。
車をジャッキアップして、パンクしたタイヤを取り外したところで、なんと、地面が崩れ、ジャッキが車からはずれて、タイヤを外した車が地面とくっ付いてしまいました。
同時に2本のタイヤがパンクするような場所なので、地面が悪く、ジャッキにかかった重量に地面の方が耐えられなかったのです。
冷静になれ!と言い聞かせました。
僕は、スコップを取り出し、地面を掘り続けました。
穴が、ジャッキを入れることができる深さに達するまで掘り続け、ジャッキを当て、倒れないでくれ〜と祈りながら、再度ジャッキアップをしました。
そーっと、スペア−タイヤを取り付けました。
車がギリギリ1台くらい通れる場所で、片側は、切り立った断崖でした。
後輪がパンクしたままの車で、恐る恐る走るしかありませんでした。
数時間をかけ、ようやく町まで降り、タイヤを購入して帰宅をしました。
車は、捨てて帰るには高価すぎるし、トラブルが起きた車ほど、お荷物になるものはありません。
 
  
8月
12〜13日
(日〜月)
 今月の水辺へ

 撮影がどうしても調子に乗らない時があります。
大抵は、撮りたい!という気持ちにならない時です。
そんな時を、スランプというのかもしれませんが、先月の末から今月にかけては、まさにスランプの真っ只中で、どこに行って何を撮影しても、心の底からは充実できない。
2度と、まともな写真が撮れる気がしない日が続いていましたが、ようやく、その谷間から抜け出しつつあります。
スランプを抜け出したきっかけになったのは、9日に撮影したオニヤンマの姿があまりに美しく、無心で撮影に打ち込めたことです。
昨日は、カタツムリが刃物の刃の上を歩く写真、カタツムリの兄弟がアサガオのツルにぶら下がっている写真、・・・・・・・。 
これまでに体験がないほど、次々といろいろなシーンを撮影することができました。
その勢いで、「今月の水辺」も更新です。
今月は、身近な水辺の生き物達の共演です。
よく、「写真は、フィルム代や現像料もかかるし、大変でしょう。」という人がいますが、僕にとって大変なのは、写真が撮れなくて現像料がかからない時です。
(フィルム7本撮影)
 
 
8月11日
(土)
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 動物園に出かけると、ゾウやキリンを見ることができます。
ゾウやキリンは、誰でもが知っているポピュラーな動物ですが、外国産の生き物を目にする機会がなかった時代に、初めてゾウやキリンの姿を目にした日本人は、恐らくその形の面白さに言葉を失ったに違いありません。
亀も、ゾウやキリンに負けず劣らず、面白い格好をしています。
もしも、僕が亀が生息しない土地に住んでいて、その僕がどこかで亀と初対面を果たしたら・・・・・、と考えると胸がワクワクします。
見慣れてしまうと何でもない生き物の中にも、本当は、言葉を失うくらい面白い生き物がたくさんいるのでしょうね。
本当は面白い生き物は、子供にとても人気があり、子供の本でたくさんの写真が消費されるため、カメラマンの仕事をすると、何が本当は面白いのかがよくわかります。
今日は、裏返しになった亀が起き上がる様子を撮影しました。
(フィルム5本撮影)
 
 
8月10日
(金)

 昨晩〜今朝は、菊池渓谷の駐車場に車を止め、車内で眠りました。
渓谷の駐車場の気温は、20度前後で、快適そのものですが、菊池市の市街まで、ほんの20分くらい車を走らせると、気温は30度前後にもなります。
8月の九州で、市街地から車でほんの20分ほどの位置に、気温がわずか20度しかない場所があるなんて、自然の力はすごいですね。
僕が撮影に使用している車は、箱型のワンボックスタイプの車ですが、ワンボックスは、普通の車であれば、ボンネットがある位置に、運転席と助手席がある構造をしています。
ボンネットから逃げていくはずのエンジンの熱は、ワンボックスでは、運転席や助手席に伝わり、車内の温度を上昇させます。
車のエンジンが動いている間は、冷却装置が働いているため、エンジンルームの温度がある程度以上に上昇することはありませんが、一旦エンジンを切ると、エンジンが冷めるまでの間、ワンボックスの車内は、かなりの高温になり、眠るどころではありません。
気温が、30度を越えるような夜には、エンジンが冷めるのにも時間がかかり、あくる日の朝になっても、前日運転したエンジンが、ほのかに暖かい状態を保っています。
今の季節は、夜中の気温が25度を越えない場所を何箇所か頭に入れておき、涼しい場所で寝るようにしておかねければ、夜中に暑さで何度も目を覚ますことになります。
 
 
8月9日
(木)
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 今日は、大分県の九重の麓でオニヤンマの撮影をしました。
今日、撮影したオニヤンマは、ただのオニヤンマではありません。
飛んでいるところを、真正面からバシッと写しとめた写真です。
今日、押したシャッターの中の数枚は、「これ以上ない。」といっても過言ではないほどのタイミングでしたので、いい写真が撮れているような予感がしています。
九重や阿蘇の周辺には、湧き水が多く見られますが、今日の場所もそんな湧き水の流れの一つです。
森の中を流れる流れは、とても小さく、幅50センチくらい、深さは数センチしかありませんが、真夏でも枯れることはありません。
オニヤンマは、その小さな流れに沿って何匹も生息していて、流れの上50センチくらいの高さを立ち替り入替わり飛行します。
流れの際でじっとしていると、オニヤンマが水の中に産卵をしたり、水辺の羽虫を捕食したり、オス同士が激しく喧嘩をしたりと、いろいろな行動を観察することができ、場所をうまく設定すると、目の前の数センチのところを、次から次へとオニヤンマが飛するようすを観察することができます。
そんな場所の一箇所にカメラを構え、オニヤンマがレンズの先端から15センチくらいの位置を飛行することを予測して前もってピントを合わせておき、オニヤンマが通過した瞬間にシャッターを押すという方法で、約2時間くらいの間に60枚強のシャッターを切るチャンスがありました。
(フィルム2本撮影)
 

 
8月
7〜8日
(火〜水)
熊牧場のウマグマ
 
 今日(8日)は、久しぶりに雨の予報です。
雨の撮影をするために、早起きをして熊本県に出かけました。
昨晩は、公演の準備で寝る時間が遅くなったため、今朝の早起きに自信がもてなかったのですが、久しぶりに雨の撮影にトライできるとあって、思いの他、すんなりと起床することができました。
ところが、目的地付近に到着したものの、肝心の雨が降る気配が全くありません。
インターネットで一時間ごとの天気予報を調べてみると、あと1時間もすると雨が降り出すと予報をしているので、1時間ほど待ってみたのですが、それでも雨が降る気配がありません。
再度、天気予報を調べてみると、さらに1時間待つと雨が降り出す予報へと変更されているため、もう一時間待ってみたのですが、やはり雨が降り出す気配がありません。
雨が降り出す予定の時刻は、天気予報を調べるたびに、1時間ずつ、遅い時間帯にずれ込んでいき、12時を過ぎてもまだ雨が降り出す気配すら感じられません。
結局、今日の熊本は、雨が降らず、撮影をすることができませんでした。
ここのところ、天気予報が当たらないような気がするのは、僕だけでしょうか?
天気予報が役に立つことよりも、天気予報に振り回される日の方が、どちらかというと多いくらいです。

 代わりに、今日は、阿蘇の熊牧場を見物して一日を過ごしました。
熊牧場は、子供の頃に連れきてもらって以来です。
丸一日の間、全く仕事をしなかった日は、本当に久しぶりです。
たまにはこんな日もいいかもしれませんね。
 

 
8月6日
(月)
 
 今月の末に、北九州市の山田緑地公園で講演をすることになっています。
僕は、公演その他、人前で何かをすることが嫌いですが、修業と思い、公演の依頼は受けることにしています。
たかが人前で話をするくらいでびびるようでは、本当にいいカメラマンになれるはずもないと思うのがその理由ですが、準備の煩わしさには毎回閉口します。
公演の時には、写真をスライド映写機で投影しますが、映写機の熱で写真がいたんでしまうため、スライド映写用にフィルムのコピーを作ります。
この作業が、なかなか面倒で、先延ばしになってしまうのですが、「早くやらなければ。」と心の奥に引っかかり、毎日がなんとなく憂鬱に、撮影にも集中できなくなります。
そのたびに、「断れば良かった。」と思うのですが、公演が終わってみると、面白い質問があったり、自分自身の気持ちが公演前よりも整理されていたりと、「やって良かった。」という気持ちへと変化します。
早く準備をすれば?という人もいるのですが、公演で何を話すがよく練られなければ、使用する写真が決まらないため、写真のコピーを作ることができません。
何を話すかは、公演が近づくにつれて自然と頭に浮かんでくるものなので、十分前には準備をすることができませんし、仮に十分に前もって話の内容を決めてしまったとしても、公演が近づくにつれて、一度決めた内容は少しずつ変化します。
今日は、いよいよ、公演のための準備に取り掛かりました。
 
 
8月5日
(日)
 カタツムリの糞
 
 先日ニンジンを食べさせたカタツムリは糞をしました。
糞の色は、ニンジンの色と同じ、オレンジ色です。
レタスを食べさせたカタツムリは、まだ糞をしていませんが、緑色の糞をします。
膜張りのようすの撮影は、まだ成功していません。
撮影は、水槽の中にカタツムリを入れ、水槽のガラス面にくっついたカタツムリが膜を張っていく様子を撮影していますが、カタツムリが涼しい場所を探してウロウロしたり、水槽の隅っこの撮影できない場所で膜を張ろうとしたり・・・・、とにかくうまくいきません。
一番撮影を難しくしているのは、カタツムリが膜を張り始める直前から撮影を始め、膜を張り終えるまでの過程を撮影しなければならない点で、膜を張り始める直前のカタツムは、まだ活動的で、撮影用のストロボの光に反応して膜張りを止め、動き出してしまう点です。
また、カタツムリがガラス面を歩き回った後は、粘膜でガラスが汚れてしまうため、撮影の直前にガラス面の掃除をしますが、その際の小さな振動もカタツムリの膜張りを中止させてしまう原因になっているような気がします。
(フィルム1本撮影)
 

 
8月4日
(土)


 カタツムリの食事
 
 先日からトライしているカタツムリの膜張りの撮影は、まだ成功していません。
飼育ケースの中のカタツムリは、毎日、殻の入り口に膜を張り、ケースに張り付いているのですが、同じことを、カメラの前の僕が思う場所で再現しようとすると難しいのです。
今日は、カタツムリが膜を張るのを待ちつつ、別のカタツムリを使って、カタツムリの食事のようすを撮影しました。
飼育しているカタツムリは、ニンジンやレタスを好んで食べます。
今日、撮影したのは、ニンジンを食べているシーンとレタスを食べているシーンで、ニンジンを食べたカタツムリの糞は赤く、レタスを食べたカタツムリの糞は緑色になります。
食べ物による糞の色の違いも、もちろん後日撮影をします。
(フィルム2本撮影)
ギャラリーを更新しました。
 

 
8月3日
(金)
 拡大
 
 今朝は、5時に起床をして、夜明けの渓流を撮影しました。
昨年の夏に渓流をテーマにした写真展を開催しましたが、写真展が撮影の終着駅ではありません。
渓流は、毎年少しずつ視点を変えながら撮影をして、最終的には一冊の写真集にまとめたいと考えています。
今年は、渓流の夜〜夜明けの撮影を計画していたのですが、小動物のスタジオ撮影が思うように進まず、今のところ、ほとんど実行できていません。
夜明けや夜のような極端に光が少ない状況下での撮影では、センスや根気よりも、そういった条件下での撮影の経験が求められます。
カメラは、極端に光が少ない条件下で撮影することをほとんど想定していないため、夜や夜明けが、どうしたら自分のイメージ通りに写るのかを、一つ一つ試し、データを積み上げなければならないからです。
今年の間に、夜明け・夜の撮影をする時間をどの程度作れるかはわかりませんが、最低限、光が少ない状況でもイメージ通りの写真が撮れるようにするためのデータ作りだけは終わらせておきたいと考えています。
蓄積されたデータは、来年、夜のホタルを撮影する際にも約に立つはずです。
(フィルム2本撮影)
 

 
8月2日
(木)
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 今日は、島根県の匹見(ひきみ)という場所で渓流を歩き、水辺の風景や生き物達を撮影しました。
今朝は、不思議なくらいヒキガエルが多く、大人の握りこぶしよりも大きなカエルが、点々と岩の上にいる姿を見かけました。
これまでに何度も歩いたことがある沢ですが、今日のような日は初めてです。
あまりにたくさんヒキガエルを見かけるので、その中の一匹に近づき、背中を棒で軽く突っつくと、カエルが起き上がり、面白い威嚇のポーズをとるので、今日の画像は、ヒキガエルになりました。
(フィルム2本撮影)
 

 
8月1日
(水)
 
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 昨日は、カタツムリが殻に膜を張る様子の撮影を試みましたが、思うように膜を張ってくれず、撮影をすることができませんでした。
今朝は、新たに幾つかの工夫を加え、その撮影のやり直しから仕事を始めています。
渓流に行く予定にしていたのですが、仕方がありません。
今日の夕方からは、山陰の渓流に出かけることにしました。
今日は、カタツムリが膜を張る待ち時間に、並行して幾つかの撮影を進めています。
その中の一つに、カタツムリが呼吸をするための穴の撮影があります。
カタツムリの殻と胴体の付け根の部分には、肺孔という穴があり、この穴からカタツムリは空気を取り込みます。
 カタツムリの膜張りの撮影だけでなく、生き物の生態の撮影は本当に難しい!
芸術的な、きれいな写真を撮ることが難しいと考える人が多いのですが、生き物の生態をわかりやすく撮影することに比べれば、きれいな写真を撮ることなど屁の河童です。
僕は、芸術を志していると受け止められたり、人を癒す仕事をしていると受け止められがちですが、自分自身では、「自然ってこんなもんだよ。」と生き物や自然のことを人に伝える、記録・報道の仕事をしていると思っています。
カタツムリは、嫌いな人も多く、「なんでこんな気持ちが悪いものを・・・。」という人も少なくありません。
自然は時に美しいので、美しい自然の写真が人を癒すことはいいことだと思いますが、美しいものばかりを選んで取り上げたり、強調したり、他の物を見せないようにすることは好きではありません。
(フィルム1本撮影)