撮影メモ

2001年7月分

7月31日
(火)

壁の上のカタツムリを、手で無理やりにはがすと、時によって2種類の感触があります。
1つは、「ぬちゃ」という感触で、あとの1つは、「パリッ」という感触ですが、「ぬちゃ」は、壁にくっついているカタツムリの胴体と壁とが離れる時の感触で、「パリッ」は、カタツムリが乾燥を防ぐために殻の入り口に作った膜と壁とがはがれる時の感触です。
カタツムリは、暑い日や乾燥をした日には、ほとんど活動をせずにじっとしていますが、次第に胴体を殻の奥の方に引っ込めていき、殻の入り口にセロファンのような膜を作り、内部の水分が失われるのを防ぎます。
殻の入り口に作られる膜は、のりの役割も果たし、膜が張られると体を殻の奥の方に引っ込めてしまっても壁の上にとまり続けることができます。
壁にとまって間もないカタツムリをはがすと「ぬちゃ」で、十分に時間が経ったカタツムリをはがすと「パリッ」ということになります。
今日は、ガラスの上でカタツムリにこの膜を作らせ、最初は体でガラスにとまっていたカタツムリが、膜を張りながら胴体を殻の奥に引っ込めていく様子を撮影していますが、ガラスの上で思うように膜を作ってくれません。
午前中からトライしていますが、深夜の12時をまわった今の時点でも、まだ撮影にいたっていません。
実は、この撮影は、昨日・一昨日もトライしていて、待つことが大嫌いな僕は、さすがにイライラが限界に達しつつあります。
今日は、この撮影を早く終わらせ、明日の早朝から、大分〜熊本に撮影旅行に行きたかったのですが、予定を変更せざるを得ないようです。
飼育をしながらのスタジオ撮影は、本当に辛い作業です。
 
 
7月30日
(月)
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 サッカーの解説者に、セルジオ越後という人がいます。
日本のサッカーは決定力不足だと言われますが、セルジオ越後さんは、その原因が、日本人の練習にあると分析していました。
「10本のシュートを練習する」というと、日本ではシュートを10本蹴ることを意味するのに対して、ブラジルではシュートを10本決めることを意味するというのです。
僕にも、思い当たるふしがあります。
子供の頃、習字を習いに行っていましたが、先生が僕に与えたノルマは、20枚書くことであり、その20枚の内容は問題ではありませんでした。
僕の字は、上手くなりませんでした。
写真は、結果の世界なので、どれだけ時間やフィルムやエネルギーを費やしたのかは問題ではなく、結果を出すことが大切で、サッカーでいうなら、シュートを10本決めるという感覚は大切です。
僕も、これまで「結果を出るまで撮る。」という姿勢で撮影をしてきましたが、最近になり、日本的なやり方にも良さがあると感じるようになりました。
あらかじめ、「今日は、このシーンをフィルム2本以内で撮る。」などと決めることによって、より丁寧に撮影することができるからです。
撮れるまで撮るというスタイルから脱却して、自ら押すシャッターの回数に制限を作り、その中で、注意深く、繊細に撮ることを当面のテーマにしようと考えています。
今日は、次の撮影のための撮影セットを作りました。
今日、準備したセットは、森の地面の上を再現したセットと、池の水際を再現したセットで、決められた枚数のフィルムの中で確実に撮影できるように、土の色・敷き詰めた枯葉の種類・植え込んだ植物の雰囲気にまで、十分に時間をかけ吟味したセットです。
 
 
7月29日
(日)
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 カタツムリは、ガラスのような取っ掛かりのない所にでも登ることができます。
水の中に住んでいる貝を祖先にもつカタツムリが、どのようにして陸上生活をするようになったのか僕は知りませんが、貝の足が、陸の上でガラスなどという人工物を登るのに適しているなんて不思議ですね。
ガラスをよじ登る様子を裏側から観察してみると、足の部分をガラスに密着させつつ、少しずつ波打たせることで、上へ上へと登っていることがわかります。
ガラスの裏側から撮影するだけなので、簡単に撮影ができると思っていたのですが、今日の撮影は、かなりの苦戦を強いられました。
拡大画像を、やや遠目から、あまり凝視しすぎずに見ると、カタツムリが密着させた足を波打たせているようすがわかりますが、この波打っている様子がデジタルカメラによるテスト撮影では、なかなか写真に写らなかったからです。
照明の位置を何度も変え、数え切れないくらいのテスト撮影をして、一番よく波打ちがわかるる照明の位置を割り出し、本番の撮影をしました。
デジタルカメラとフィルムを使ったカメラとでは、描写に違いがあり、今回のような微妙な濃淡を写すことにはフィルムの方が向いています。
もしかしたら、フィルムによる本番撮影の方は、問題なく写っているのかもしれませんが、「もう少しわかりやすく写ってほしい!」という思いが多少残る今日の撮影でした。
(フィルム1本撮影)
 

 
7月28日
(土)
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 滝の水しぶきの中には、マイナスイオンと呼ばれる物質が多く含まれていて、人の心を癒す効果があると聞いたことがあります。
その話は、マイナスイオンを放出する電気製品のテレビショッピングの中で紹介された話で、「うちの製品は、マイナスイオンを出すので、こんなにすばらしい効果がある商品なんですよ。」と説明をするための小話でした。
「なるほど。」と思い当たるふしがありました。
渓流での撮影の後は、体力的に厳しい撮影の後でも気分がいいからです。
「そんなに健康にいいことをしていたのか!」と感激しました。
昨日、一昨日と菊池渓谷で作品作りをしましたが、とてもいい気分転換になりました。
今日から3日間は、作品作りではなく、仕事としてカタツムリの撮影をします。
カタツムリの生態を子供にも理解できるくらいに分かりやすく撮影するためには、野外での撮影よりも、室内のスタジオでの撮影の方が適しています。
撮影セットを作り、自然の太陽の光を忠実に再現し、生き物をその中で撮影者の思うように動かさなければならないスタジオ撮影は、とても細やかで、疲れる作業であり、スタジオ撮影が続くと写真をやめたい衝動にかられますが、本当に写真が上手くなるためには、あらゆることにトライしなければならず、スタジオ撮影もその一つです。
スタジオで、「写真をやめようか?」と感じる限界までもがき、確かな技術を身に付ける事も、僕にとっては大切なことです。
できないことを克服できると、ますます撮影が楽しくなるからです。
その喜びは、何かにチャレンジし、それを克服した人(僕は、手を動かしている人と呼んでいます。)にしかわかりませんが、とても大きな喜びです。
今日は、カタツムリが金網の上を歩く様子を撮影しました。
(フィルム2本撮影)
 
  
7月27日
(金)
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 今日も昨日に引き続き、菊池渓谷で、滝の撮影です。
本来は、昨日、撮影を終えているはずの滝だったのですが、なんと!わざと撮影の邪魔をする人がいて、昨日は撮影をすることができませんでした。
邪魔をしてきた人はカメラと三脚をもったおじさんで、僕が撮影をしている場所の対岸に降りてきて、わざとカメラのフレームの中に入るように三脚を立て撮影するふりをして、すでに撮影の体勢に入っている僕が撮影できなくするような行為をしかけてきました。
昨日〜今日の渓谷は水量が多く、安全に川を渡り対岸に移動をすることが難しかったため、僕は、その方の視界に入る位置に近づき、手でフレームに入っていることを知らせましたが、「わかった、わかった」と合図を返すだけで、撮影を終えた後も、わざと画面に入る位置でタバコを吸ったりというような行為を繰り返しています。
さすがに我慢の限度を超え、同行者に意見を求めたのですが、やはり限度を超えているという意見で一致したため、僕が苦情を伝えにいきました。
渓谷入り口に戻り、橋を渡り、また山道を登り、そのおじさんが邪魔をするために陣取っている場所に近づきました。
「おっさん!!!」「そんなに邪魔をして楽しいか!!!」と叫びかけました。
おっさんの顔色が恐怖で青ざめるのがわかりました。
まさか、対岸にまで渡ってくるとは思わなかったのでしょう。
「自分には撮影の経験があまりないので、わかりませんでした。」と言い訳を始めました。
しかし、その方が、川を歩く様子や、どこに立てば撮影の邪魔になるかをよく知っていることから、それが言い訳であることは明らかでした。
「もう一回言ってみろ!」
さすがに観念したようで、今度は、土下座でもしかねなほどの平謝りを始めました。

 僕は、元の場所に戻り、撮影を再開しようとしましたが、今度は、家族連れが弁当を広げ食事を始めました。
すでに太陽の位置は、撮影に適した位置を通り過ぎつつあります。
僕は、その場所での撮影をあきらめることにしました。
家族連れや観光客がカメラのフレームの中に入ることは、まったく構わないと思います。
しかし、写真を撮っている所に写真を撮るために入り、しかも、撮影を終えた後も邪魔をするなどというのは論外です。
その方が、日頃はごく普通の人であることは、言葉遣いや、「しまった」という顔つきや、謝る様子をみるとすぐにわかりました。
もしも、川の水量が少なくて、簡単に僕が対岸に渡っていける状況であったなら、その方がそんな意地悪をすることもなかったでしょう。
でも、誰にでも意地悪い要素があり、「どうせ渡ってこれまい。」という思いが、意地悪な態度を引き出したのだと思いました。
旅の恥は掻き捨てといいますが、取材にいくと、その醜さに情けなくなることが普段よりも多く、無用なもめごとは、むしろ楽しいはずの自由な時間に多いように感じます。
人であることや、人が自由であることは、時々、とてもとても悲しいことでもあります。
(フィルム5本撮影)
  
  
7月26日
(木)
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 昨晩は、天気予報と相談をして、熊本県の菊池渓谷に移動をしました。
日本の渓谷の中でも菊池渓谷はとても人気が高く、西の菊地、東の奥入瀬と、菊池渓谷を西日本NO1の渓谷だと主張する人もたくさんいます。
僕は、数年前に初めて菊池渓谷をおとずれた際には、それほどに写真栄えする渓谷だとは思わなかったのですが、何度もこの川を歩くうちに、その考えを訂正せざるをえなくなりました。
菊池渓谷で撮影する際には、天候、時間がとても大切で、晴れの日の早朝の時間帯が最高の条件になります。
今朝は、5時に起床をして、6時頃には渓流に入り、撮影に取り掛かりました。
今日の一番のねらいは、四十三万の滝に朝日が射し込んだ瞬間を撮影することです。
(フィルム3本撮影)
 
  
7月25日
(水)
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 昨日から取り掛かっている写真展のための準備は予想以上に時間がかかり、今朝になって、ようやく昨日中に予定していた分の作業が終了しました。
あとは、飼育をしている生き物達の世話をすると、自由の身になることができます。
今日は、これから作品作りにでかけますが、昨日から予定している通り、島根県の渓流に行くのか、ある日は熊本県〜宮崎県の渓流に行くのかを、天気予報などを参考にして決めなければなりません。
今回の撮影は、2泊3日の短い旅ですが、この暑さの中、飼育中の生き物達の維持を考えると2泊3日くらいが最長の旅になります。
特に、この秋にまとまった量の撮影を予定しているカタツムリたちを死なせるわけにはいきません。
カタツムリは、自宅の庭の日が当たらない場所で飼育をしていますが、それでも3日も放っておくとケースが乾燥して、干からびてしまう可能性があるからです。
撮影用の生き物を飼育しているというと、「面白そうですね。」という人が多いのですが、単に生かしておくだけでなく、撮影用のモデルをいい状態で維持することはとても負担になることです。
 
 
7月24日
(火)
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 夏休みというと、自然観察のイメージがありますが、大部分の生き物は暑さが苦手で、暑さから逃れ隠れこんでしまうため、真夏は、自然観察に適した季節ではありません。
これから8月にかけては、あくせくせずに、気楽に撮影をすることにしています。
僕が、憧れの写真家である海野先生を初めてたずね写真を見てもらった時に、海野先生の言葉で、理解できない一言がありました。
僕の写真を見た海野先生の「これは作品ですね。」という言葉です。
カメラマンが撮影する写真には、仕事として撮影する写真と、仕事を抜きに撮影する写真とがあり、仕事を抜きにして撮影する写真のことを作品とよんでいます。
僕は、アマガエルやメダカやザリガニやカタツムリといった小動物を撮影しますが、これは仕事としての撮影で、もしも写真が趣味なのであれば、僕が、それらの生き物を撮影することはありません。
そういった仕事とは別に、自分自身のライフワークとして、あるいは趣味として撮影している写真が作品です。
仕事には仕事の喜びがありますが、作品作りをできる時間は、やはり楽しい時間です。
僕には僕の行きたい場所、撮影したいものがあります。
明日の夜からは、島根県の渓流にでかけ、作品作りをする予定です。
写真を趣味としている人は、しばしば、自分達には時間がないから・・・・といいますが、仕事として写真を選ぶと、自分の作品作りをする時間は、もっと少なくなります。
今年、僕が好きな場所に行き、作品作りをした時間は、ほんの数日しかありません。
これから8月にかけては、気楽に旅行や作品作りができる唯一の季節です。
そのためには、8月末に予定している講演会と写真展の準備に手を付けておかなければなりません。
今日は、そのための準備に取り掛かりました。
主催者からは、講演用の立派なチラシを作ってもらいました。
(フィルム1本撮影)
 
 
7月23日
(月)
 拡大
 
 今晩は11時過ぎに帰宅をしましたが、鍵を開け、家の中に入ろうとした時に、入り口のすぐ横の壁で、セミが羽化をしていることに気がつきました。
まだ、色もついてなく白っぽい色で、幼虫の抜け殻の上にとまっています。
うちの庭は、僕が子供の頃からありますが、セミの抜け殻が確実に見つかるようになったのは、割と最近のことです。
羽化をしている現場には、初めて遭遇しました。
子供の頃は、庭でセミが鳴くようなこともありませんでしたが、最近は、ニイニイゼミやアブラゼミやクマゼミなどが鳴く音を時々聞くことができます。
小さな庭ですが、そんな場所でも長い期間をかけて、少しずつ変わっていくのですね。
僕が通った小学校の裏門の近くにあった庭の木には、たくさんのセミの抜け殻が残されていて、僕は、その庭をいつもうらやましく思っていたことを思い出しました。
落ち葉がたくさん落ちていて、地面の表面には落ち葉が腐ってできた腐葉土があり、庭としては失格だったのかもしれませんが、セミの幼虫が抜け出した穴がたくさんあり、両親にそんな庭を造るようにお願いした記憶があります。
 
 
7月22日
(日)
 
 今日は、久しぶりの休みです。
僕は、休みの日でも、大抵は、半日くらいの仕事をします。
休みの日と、そうでない日の違いは、朝起きて寝るまでの間、仕事をしようという意思を持ち、もがき続ける日が仕事の日で、ある時間を過ぎたら「やーめた。」と切り上げる日が休みの日です。
今日の午前中は、オタマジャクシを採集した他、飼育している生き物の世話、フィルムの整理をして過ごしましたが、その後は仕事をする意思を持たずに過ごしました。
夜のテレビ番組で神風特攻隊を特集した番組がありました。
当時の映像、再現映像と、当時撮影された写真などで構成された番組でした。
僕は、当時撮影された写真が、いずれもクオリティーが高いことに驚きを感じました。
現在のプロカメラマンが、雑誌の中で全国の人に見てもらうために撮影した写真よりも、当時の人が、割とプライベートに近い状況で撮影した写真の方が平均してレベルが高いのではないでしょうか?
当時は、今ほど、たくさんフィルムを費やすことはできなかったはずですが、特攻隊員を撮影した写真、当時の学校で撮影された集合写真など、とてもクオリティーが高い。
どの写真も、本当に基本に忠実に撮影されている。
機材の特製やフィルムの特製を知り尽くしている。
一枚の写真の中に、被写体だけ写っているだけでなく、撮影者の訓練された技術や勉強の痕跡、丁寧に撮影する心、写真を撮る喜び、被写体に対する愛情など、当時の日本人が、一つ一つ積み上げていったものまでもが写っている。
もっと、勉強して、心のこもった写真を撮れるように、努力しなければなりませんね。
 
 
7月21日
(土)
 拡大
 
 今日は、ザリガニがオタマジャクシをムシャムシャ食べているその口元を撮影する予定にしていたのですが、アクシデントの発生です。
モデルに予定していたザリガニが水槽をよじ登り、脱走してしまったのです。
水槽には、ガラス蓋を被せていたのですが、蓋をこじ開けての脱走です。
脱走に気がづき、ザリガニを発見したのですが、長時間、水から上がっていたことの影響で、かなり衰弱しています。
撮影どころではなくなってしまいました。
野外から採集してきたザリガニは、泥や苔がこびり付いていて赤い色が汚れているので、撮影のモデルとしては、あまりよくありません。
今回撮影に使用する予定だったザリガニは、昨年の冬に採集し、水槽内で一度の脱皮を経験させた、とびっきりの美形ザリガニだっただけに、やる気が失せてしまいました。
こんな時は、写真を辞めてしまいたくなります。
何とか気を取り直し、やはり今日撮影する予定にしていたカタツムリの撮影に取り組むのが精一杯でした。
カタツムリはとても器用で、え!と驚くような場所を歩くことができます。
今日、撮影したシーンは、そんなシーンの幾つかで、今日の画像は、カタツムリが細い糸を渡るシーンです。
カタツムリってすごいですね。
(フィルム2本撮影)
 

 
7月20日
(金)
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 17日に、ザリガニがオタマジャクシを襲う様子を撮影しました。
襲ったあとは、食べてしまいますが、オタマジャクシが食べられている様子は、まだ撮影できていません。
ザリガニの口元は、ザリガニが正面を向かなければ見えない位置についていて、オタマジャクシが食べられているようすは、ザリガニを正面から撮影しなければ写らないのですが、これまでザリガニの撮影に使用していた水槽の中では、ザリガニが必ず横向きになり、正面からの撮影ができずにいます。
この撮影は、18日、19日、そして今日と3日目になり、この3日間、なんとか正面を向かせようと試みているのですが、今日は、これまで撮影に使用していた水槽に見切りをつけ、奥行きが深い、別のサイズの水槽を準備してみることにしました。
新しい水槽にザリガニを入れ、カメラの方をザリガニが向いてくれるように、いろいろな試行錯誤をした結果、明日は撮影ができそうです。
今日は、ほぼ、この作業だけで、夜の10時半過ぎまでかかってしまいました。
早くスタジオ撮影を終え、渓流に行きたいのですが、思うようにならないものですね。
今年、自分が望む場所で撮影をしたのは、ほんの数日です。
(フィルム1本撮影)
 

 
7月19日
(木)
 
  11日の撮影メモの中で、撮影済みのフィルムを、さらに写真に撮ることで、写真のコピーを作ると書きました。
具体的には、645版のフィルムを35ミリ版のカメラで写真に撮り、35ミリ版専用のフィルムスキャナーで使用できるようにする作業でした。
また、そういった作業は、意外に難しいとも書きました。
単に写真を写真に撮るだけなのに、なぜ難しいのか?
自然の写真は、その構図や表現によって、時として実物以上にきれいに写ります。
また、写真には、実物とは違った魅力もあります。
ところが、フィルムのコピーでは、基本的には、元のフィルムよりもいいものを作ることができません。
コピーをすればするほどに、元のフィルムのクオリティーが損なわれます。
その、損失を少しでも少なくするという、とても地道な作業であり、感性も何もない、100%技術の世界の難しさです。
コピーをする際に、元のフィルムの色が微妙に変わってしまうことが多々あります。
11日に掲載した元の画像とコピーの画像とは、コピーの方が、ほんのわずかに青く、実は微妙に色が異なります。
今日は、博多の町で、その青みを修正するための色温度補正フィルターというものを購入しました。
東京であれば簡単に手に入る道具も、地方ではなかなか手に入りません。
注文をすれば一週間の時間がかかります。
直方から、博多まで買い物に行けば、一日がかりの買い物になってしまいます。
 
 
7月18日
(水)
 拡大
 
 子供の頃、うちの近くで、カブトムシやクワガタを売る行商のおじさんがいました。
おじさんの虫は、ショップで売られているものと比べて、大きく、元気が良くて、種類、数も豊富で、夏休みになると、おじさんの出現をいつも心待ちにしていたものです。
そのおじさんでさえ、もっていなかったのがオオクワガタです。
僕は、図鑑が大好きでしたので、見たこともないオオクワガタのことを知っていて、おじさんに「オオクワガタを捕まえてきてよ。」とお願いしたことがあります。
数日後、おじさんに「オオクワガタ捕まえた?」と聞くと、「捕まえたよ。」という返事が返ってきて、胸がときめきました。
「そこにおるはずやが、・・・」と、出てきたクワガタムシは、オオクワガタとほぼ同寸のヒラタクワガタでした。
僕は、「やっぱりか。」とがっかりしました。
当時、オオクワガタは幻のような存在で、形やサイズが近い特大サイズのヒラタクワガタをオオクワガタと呼んでいる業者が大部分だったのです。
今では、繁殖技術が確立され、素人でも飼育・繁殖をできるようになりましたが、当時の憧れもあり、今でも特別な思いがあります。
そのオオクワガタを知人から分けてもらいました。
 
 
7月17日
(火)
 拡大
 
 昨晩から撮影を試みているトンボの幼虫は、まだ羽化をしていません。
水から上がり上陸したものの、これで、丸一晩、稲の茎に止まったままです。
昨日〜今日は、雨なので、羽化をしないのかもしれませんね。
ただ、待機しておくのも、時間がもったいなので、並行してザリガニがオタマジャクシを襲う様子を撮影してみました。
(フィルム2本撮影)
 

 
7月16日
(月)
 拡大
 
 今日は、昨日に引き続き、カタツムリの子供を撮影しました。
昨日は、アジサイの上に、一匹のカタツムリがとまっているところを撮影しましたが、今日は、カタツムリが2匹とまっているシーンの撮影です。
昨日の画像を見ていただければわかるように、カタツムリの子供はとても小さくて、撮影の時のピント合わせにとても神経を使います。
今日は、さらに難易度が高く、2匹のカタツムリにピントが合うように撮影しなければならず、頭が割れそうなくらい目に力が入りました。
あー疲れた。
 カタツムリの撮影が終わった後は、次の撮影のための準備をしていたのですが、その際に、飼育しているトンボの幼虫が羽化しそうになっていることに気が付きました。
トンボの幼虫は、水の中に住んでいますが、羽化が近づくと上陸をして、幼虫の殻を脱ぎ捨てます。
さっそく、撮影の準備をして現在待機中です。
今晩中に、トンボが姿をあらわす予定ですが、どうなることでしょう?
(フィルム2本撮影)
 

 
7月15日
(日)
 拡大
 
 天気がいいと、「撮影日和ですね。」とよく言われますが、撮影には、被写体によって適した天候があり、必ずしも晴れの天気が適しているとは限りません。
今朝は、アマガエルの上陸したばかりの子供達を、兄弟のイメージで撮影をしようと予定していたのですが、僕は曇りの天気を期待していました。
ところが、今朝は、晴れで、撮影に適した天候とはいえなかったため、予定を変更して、田んぼで、田んぼの生き物たちを撮影したり、撮影用に採集をしたりして過ごしました。
昼頃からは、急激に雲が広がってきたため、午前中に予定をしていたアマガエルの兄弟を撮影し、午後からは、カタツムリの子供とアジサイの組み合わせでの撮影です。
今朝の田んぼは、毎年稲が植えられる時期が遅く、7月の中旬でも、稲が短く、水がはってあるため、水辺の生き物を観察することができます。
また、今日、カタツムリの撮影ステージとなったアジサイは、僕の自宅から車で15分ほどの上野(あがの)という場所のアジサイで、ここのアジサイは、他の場所に比べて開花が遅いため、アジサイの季節が終わっても、まだ花を楽しむことができます。
僕は、怠け者なので、撮影が後手後手にまわりがちで、今朝の田んぼや上野のアジサイのような存在をとてもありがたく感じます。
(フィルム9本撮影)
 

 
7月14日
(土)
 拡大
 
 昨日の画像の中で、ザリガニの頭の上に乗っていたオタマジャクシは、今日は、上陸をして、もうカエルと言った方がいいような姿になっていました。
子供の頃、「アマガエルのオタマジャクシは何色?」という疑問をもったことがあります。
大人のアマガエルは緑色ですが、緑色のオタマジャクシを見たことがなかったからです。
アマガエルは、オタマジャクシの時は土色ですが、上陸を始める頃には少しずつ緑色になり、尾っぽがなくなるころには、明らかな緑へと変化します。
今なら、好きな時間に車で田んぼに行き、すぐに確認することができますが、子供の頃は、自転車しかなく、好きな時間に好きなだけ遊びにいけるわけでもなく、町の中に住んでいる僕には、簡単には確かめられないことだったのです。
上陸したばかりのアマガエルを見るたびに、子供の頃の疑問を思い出し、大人には簡単なことでも、子供には、そうでないことがたくさんあることを確認させられます。
 今日は、ザリガニとメダカの組み合わせで撮影をしました。
ザリガニは、オタマジャクシが好物で、同じ容器に入れると、次々と食べてしまいます。
ところが、ザリガニがメダカを捕まえることは滅多にありません。
ザリガニの口や、食べ物をつかむための手(ハサミではない)は、体の下についているため、ザリガニにとっては、オタマジャクシのような地面の上にいる生き物は捕まえやすいのですが、メダカのように水の中に浮いている生き物は、なかなか捕まえることができないからです。
(フィルム5本撮影)

「今月の水辺」を更新しました。今月は、「雨の季節〜梅雨明け」です。
 

 
7月13日
(金)
 拡大
 
 メダカ、アマガエル、アメリカザリガニ、カタツムリの4種類の生き物に関しては、思いつく限りのシーンを撮影して、子供の本を作っている出版社に売り込みをしたいと考えています。
生き物の写真は、子供向けの本や図鑑や写真集や写真雑誌など、さまざまな媒体で使用されますが、中でも、子供の本に使用される写真の特徴はユーモアだと思います。
生き物の生活の様子を単に正確に説明するのではなく、時には、生き物を主人公にした物語りを作り、その物語に合うような写真を撮影することも必要になります。
子供が見る本の場合、フィクションでしか説明できないものがあるからです。
今週は、水曜日からそういった写真の撮影にトライしていて、昨日はメダカとアマガエルの出会いを、今日は、ザリガニとアマガエルの出会いを撮影しました。
水槽撮影の場合、ガラスの奥にいる生き物を撮影するため、通常の撮影よりも制限が多くなります。
特に、1枚の写真の中に、2種類の生き物を、共にピントが合った状態で写し込むことは、水槽撮影では難しい作業です。
今日も、かなりの苦戦を予測していましたが、今日撮影に使用したザリガニは、とてもおっとりとしていて、逃げ回ったり、穴を掘って隠れようとしたりするようなことがなかったため、思いの他スムーズに撮影を終えることができました。
(フィルム6本撮影)
 

 
7月12日
(木)
 拡大
 
 今日は、アマガエルのオタマジャクシとメダカの組み合わせで撮影をしました。
池の中で、両者が対面をするという設定での撮影です。
今の季節に、九州の里の田んぼを歩くと、たくさんのカエルの姿を見かけますが、特にたくさん見られるカエルは、アマガエルとツチガエルです。
アマガエルは、ご存知の通り緑色のカエルで、ツチガエルは、イボガエルとも呼ばれる土色のカエルです。
写真のニーズが多いのは、圧倒的に、かわいいアマガエルの方で、僕がカエルの撮影をする時は、ほとんどすべてアマガエルの撮影です。
今日撮影したアマガエルのオタマジャクシは、ほんの数日前に近くの田んぼから採集してきたものですが、撮影の途中で、その中に2種類のオタマジャクシが混在していることに気がつきました。
一種類が、アマガエルで、あとの一種類がツチガエルのオタマジャクシです。
両者は、大人のカエルになると全然違った姿になるのですが、オタマジャクシの段階では、よく似た姿をしていて、混在していても、大部分の人には区別が付かないのではないかと思います。
ところが、カメラを構え、一生懸命にその姿を見つめていると両者が全然違った姿に見えてくるから不思議です。
(フィルム7本撮影)
 

 
7月11日
(水)
 拡大
 
 今日は、オタマジャクシとメダカの組み合わせで撮影をする予定でしたが、水槽に取り付けているフィルターの不具合で撮影をすることができませんでした。
今日の撮影に備え、昨日水槽の水替えをしましたが、水換えをすると、水槽の砂利の中にたまった小さな汚れが巻き上がり、しばらくの間、水が汚れた状態になります。
再度水がきれいになるまでの時間は、水槽の大きさや、その他の条件によって異なりますが、通常、1日の時間があれば十分です。
ところが、今日、撮影をしようと思い水槽をのぞいてみると、小さな汚れがまだまだ目立つことがわかりました。
水槽の水は、ポンプによって一度水槽外に抜き取られ、フィルターをくぐり抜け、再度元の水槽内に戻されるようになっていますが、そのフィルターに汚れがたまりすぎて、フィルターの能力が低下していたようです。
撮影は、撮影そのものよりも、撮影をできる状態に整えることの方が、しばしば難しいように思います。
 今日は、その他に、645版のフィルムを35ミリ版にコピーをする作業をしました。
上に掲載した画像の大きい方が645版、小さい方が35ミリ版で、小さいほうの画面のサイズは、みなさんが通常使用しているフィルムの1コマと同じサイズです。
僕が使用しているフィルムスキャナーは35ミリ版用なので、645版のフィルムをHPに使用するためには、一旦35ミリ版にコピーをしなければなりません。
今日、取り扱ったフィルムは、「今月の水辺」で使用するためのフィルムです。
この作業は、昨日終えているはずだったのですが、不具合があり、今日までずれ込んでしまいました。
小さな作業でも、どんなことでも、本当に難しいですね。
毎日、うまくできないことだらけです。
 

 
7月10日
(火)
 撮影用水槽
 
 今日は、撮影に使用する水槽の手入れです。
現在は、撮影用の水槽を合計で4つ設置していますが、その中でも一番大きな水槽には、たくさんの水草が茂り、まるで本物の池の中のような自然さです。
以前に、この水槽を使用して、メダカの群れを撮影したのですが、明日からは、オタマジャクシとメダカの組み合わせ、オタマジャクシとザリガニの組み合わせでの撮影です。
そろそろオタマジャクシのシーズンが終わってしまうので、オタマジャクシがいなくなってしまう前に撮影をしなければなりません。
オタマジャクシが、メダカやザリガニなど、似た環境にすむ他の生き物と出会うイメージで撮影をしたいのですが、この撮影は、なかなか難しそうです。
撮影をする前は、水槽の水を半分ほど替え、水槽の硝子についた汚れを取り除きます。
約1日ほど、放置すると、水替えや硝子の掃除の際に巻き上がった小さな粒子が落ち着き、きれいな水になり撮影をすることができます。
(フィルム1本撮影)

 
 
7月9日
(月)
 拡大
 
 うちの庭には、以前からアマガエルが住んでいましたが、その他に、僕が撮影に使用したアマガエルたちが放されています。
直方市は田舎ですが、うちはアーケード通りにあるため、周囲が住宅に囲まれていて、庭を上から見ると、建物の合間にポツンと取り残された緑のように見えます。
そのため、長距離の移動をしない生き物は、一度、うちの庭に住み着くと、なかなか他の場所にでていくことがありません。
また、周囲を高い壁に囲まれているため、日陰になる場所も多く、小動物たちが夏の暑さから身を隠す場所もあります。
去年からは、水辺の植物を植え込んだ鉢を数個置いているので、その中にカエルが卵を産むのでは?と期待をしていましたが、昨日、増えすぎた植物の間引きしている時に、アマガエルのオタマジャクシを見つけました。
さらに、他の残り全てのスイレン鉢や、間引いた植物を捨てるにしのびなくて入れておいた小さな洗面器の中にさえ、オタマジャクシが見つかりました。
このアマガエルたちは何世代くらい、うちの庭の中で生き続けるのでしょう。
今年は、カタツムリの子供をたくさん放しています。
いつか、うちの家もなくなる日がきて、庭がブルドーザーで壊される日がくると思うと、今から寂しい気持ちになります。
(フィルム1本撮影)

 
 
7月8日
(日)
 拡大
 
 出版物の中で使用されている小動物の写真には、室内のスタジオで撮影されたものが少なくありません。
スタジオの中に自然を再現したセットを作り、あたかも自然の中であるかのような写真を撮影するわけですが、そのような方法をとらなければならないのには理由があります。
小動物の撮影の際に、度々問題となるのは生き物の動きです。
動きをしっかりと止め、鮮明な画像を撮影できる条件は、自然の中では限られています。
そこで、いろいろな工夫がなされますが、動きを止めるのに有効な手段は、ストロボという人工の照明を使用することで、ストロボを使用すると、動いている被写体をしっかりと止めて鮮明に写しとめることができます。
ところが、今度は、ストロボの光と太陽の光の違いが生じ、ストロボを使用すると、太陽光線下で撮影した時の自然さが失わてしまいます。
それに対して、ストロボの光を太陽の光に近づけるための、さまざまな工夫をしますが、その結果、撮影機材がとても複雑になり、屋外で、迅速に使用できるようなものではなくなってしまい、自然の方を、室内に持ち込まなければならないのです。
 スタジオにはスタジオの難しさがあります。
自然は、刻々と変化をするので、自然の中での撮影は、たくさんシャッターを押せば、写真のことを深く理解していなくても、いい写真が撮れることもあり、言い換えるなら、自然の方から写真に写りにきてくれます。
ところが、スタジオの中は、いい条件をすべて自分で作らなければならず、それがスタジオ撮影の難しさです。
水槽やスタジオで撮影をするようになって、自分が信じていた撮影技術がいかに曖昧であったかが、よくわかりました。
僕が、これまでに使用していたスタジオでは、植物の葉っぱの空を向いている面が白っぽく反射をして、緑の色が出にくい面がありましたが、今日は、その問題点を改良するために、午前中から夕方まで試行錯誤の一日でした。
まだ、完全ではありませんが、解決できそうです。
 

 
7月7日
(土)
 ストロボのテスト撮影 第二弾
 
 水槽を使った魚・オタマジャクシの撮影・カタツムリの生態(生活の様子)の撮影は、自然の撮影の中でも、とくに仕事的な要素が強い撮影で、趣味として写真を撮っている人で、このような撮影をする人は、ほとんどいないのではないでしょうか?
僕も、もしも趣味として写真を撮るのであれば、水槽の中に川を再現して、それを撮影したり、カタツムリの面白い性質を紹介するための撮影をすることはないと思います。
趣味で自然を撮影するほとんどすべての人が美を追い求めていますが、きっと僕も同じように美しいものを追い求めているに違いありません。
大部分の、写真雑誌や写真の撮り方を紹介する本は、アマチュアの人をターゲットにして作られていますので、美しい自然を美しく撮る方法に関しては、参考にできる本がたくさん出版されていますが、仕事的な写真を撮るためのノウハウに関しては、ほとんど、どこにも紹介されてなく、自分で撮影方法を編み出さなければなりません。
今日は、先月末に撮影したカタツムリの写真の現像が仕上がりましたが、ほんの少しだけ、写真の色に納得できない部分があったため、撮影に使用した照明器具であるストロボの光の質について調べてみることにしました。
ストロボのテストは、まったく同じ被写体を2種類のストロボで撮り比べてみて、発色の傾向を調べるという内容で、デジタルカメラで テストをした結果 、ストロボによって思いの他に、色にばらつきがあり、同じ白でもかなり違った感じに発色することがわかりました。
そして、どちらのストロボが優れているということではなく、撮影の内容によって、適したものを選択することが大切で、カタツムリの撮影の際には、その選択が不適切だったこともわかり、写真の発色に納得できなかった原因を突き止めることができました。
(フィルム3本撮影)

 
 
7月6日
(金)
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 カタツムリには意外に神経質なところがあり、一つのケースでたくさん飼育をしていると、次々と死んでしまうことがあります。
そのため、過密にならないように、幾つかの入れ物に分けて飼育をしていますが、その分世話が大変になります。
どうしたら、カタツムリを長生きさせることができるのか、小さな改良を加えながら飼育を続けています。
今日の午前中は、カタツムリの飼育ケースの大掃除をしました。
 午後からは、田んぼに出向き、アマガエルのオタマジャクシを採集しましたが、雨で水面が波立ち水中が見にくいため苦戦をし、ほんの10匹程度を採集するのに、2時間近くを費やしてしまいました。
今日採集したオタマジャクシは、足が出ているものと、手と足とが出ているもので、さっそくスタジオに持ち帰り、水槽を使用して撮影をしました。
 オタマジャクシを採集しようと思い、田んぼの片隅に駐車した車から降り、ふと目の前の壁を見ると、一匹のカタツムリが目に入りました。
よく見ると、同じ壁に数種類のカタツムリがいて、その一部を30分ほど採集してみましたが、後で数えると合計で70匹以上のカタツムリを採集できたことがわかりました。
採集の途中で、マムシが足元でとぐろを巻いていることに気が付きました。
僕は、カタツムリの採集に夢中になっていたため、深く考えもせずに棒でマムシを追い払いましたが、撮影をしておくべきだったと反省をしています。
今日は、温度が低く、蛇の動きが鈍かったので、ゆっくりと構えていい写真が撮れたはずです。
(フィルム2本撮影)

 
 
7月5日
(木)
 ストロボのテスト撮影
 
 先月の19日に、この撮影メモの中で、ストロボに施した改造について紹介しました。
野外での動物の撮影の場合、ストロボは、その使い方にもよりますが、使用前にテストが必要で、新しい物を買ってもいきなり実際の撮影で使用をすることができません。
改造を加えた場合でも同じで、どのような設定で使用をしたら、どの程度に明るく写るのかを前もってテストし、ストロボを使用できる状態に準備をしなければなりません。
先月は、ストロボに改造を加えたものの、撮影が忙しく、テストをする時間が取れなかったのですが、今日は、そのテストにようやく取り掛かることができ、フィルムを入れたカメラで、レンズの設定をいろいろと変え、どのような設定にしたら適当な明るさに写るのかを試しました。
テスト撮影の結果は、フィルムを現像してみなければわからないため、明日現像をし、その結果を踏まえて、さらにテストを繰り返し、自分なりのデータを積み上げていきます。
 今回のストロボの改造は、ストロボによってできる影を柔らかくすることが目的ですが、影のつき方に関しては、デジタルカメラで撮影をすると、すぐにでも改造の効果を確認することができます。
デジタルカメラでの 撮影テストの結果 は、とても良好で、改造に費やした時間は無駄ではありませんでした。
(フィルム2本撮影)

 
 
7月4日
(水)
 掲載紙
 
 アマガエルの写真の掲載紙を何冊か送ってもらいました。
「こどもとしぜん」という雑誌の表紙には、雨の中のアマガエルの写真を使ってもらいましたが、この写真は、ちょうど去年の今頃、うちの庭で撮影をしたものです。
アマガエルとカタツムリは、ともに雨やアジサイと、よく組み合わされる生き物ですが、同じようにアジサイの上に止まっている写真でも、アマガエルとカタツムリとでは、撮影の方法が全く異なります。
数枚程度の写真を撮るのであれば、パッと思いつく方法で強引に撮影をすればいいのですが、ある程度まとまった量の撮影をしようと思えば、前もって一番いい撮影方法を確立しておく必要があります。
アマガエルの撮影では、すでに、自分なりに、「これ!」と思える方法を確立していますが、カタツムリの撮影では、なかなか納得できる撮影方法が確立できずに苦心をしてきました。
今年は、カタツムリの撮影でも、「これかな?」と思える方法が確立できつつあります。
あとは、その方法でたくさんの撮影をして、撮影の手順を体におぼえさせなければなりません。
(フィルム8本撮影)

 
 
7月3日
(火)
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 先月、産み落とされたカタツムリの卵が孵化をしたという連絡を取材先でもらいました。
孵化をする様子を撮影したかったのですが、撮り損ねてしまいました。
生まれたてのカタツムリの子供を撮影しなければならず、「急いで帰宅をしなけらば・・・。」という気持ちに駆り立てられ、昨日から落ち着かない気持ちです。
今なら、まだ、かろうじてアジサイの花が咲いている場所もあるかもしれません。
生まれたての子供とアジサイといった組み合わせの撮影も考えられます。
こういった点が、生き物を飼育しながら撮影することの辛さで、すべて生き物の都合に合わせて生活をしなければならず、自然の中で撮影をしていも、飼育している生き物の撮影が頭にあるため、開放された気持ちで撮影に打ち込むことができません。
かといって、飼育している生き物につきっきりになるというのも馬鹿げた話のなので、結局今のような撮影スタイルになります。
今日は、早朝の菊池渓谷で渓流の撮影をしてから、なんとか午前中の間に、福岡まで急ぎ帰宅をすることにしました。
今朝の菊地渓谷は、昨日とは異なり、早朝から快晴の天気で、水面に湧き立つ霧と霧の間を通り抜けてくる朝日が、文句無しの美しさです。
あまりの美しさに、デジタルカメラで撮影メモ用の写真を撮ることを忘れてしまった点が残念なのですが、撮影機材をかたずけ、車へと戻る帰り道で思い出し、再度引き返して撮影をしました。
一番美しかった時間帯を過ぎてしまっていますが、それでもなかなかの雰囲気です。
(フィルム5本撮影)

 
 
7月2日
(月)
 阿蘇の草原
 
 今日は、昨日からの予定通り、早朝に菊池渓谷を、午前中は水前寺公園でササゴイを撮影しました。
今朝は5時に起床して天候を確認しましたが、快晴です。
菊地渓谷は晴れの日の夜明けが特に美しい渓谷なので、願ってもない滑り出しです。
ところが、よく空を見てみると、遠くの山の尾根、ちょうど菊池渓谷のあたりにだけは雲がかかっていて、不吉な予感がします。
車を走らせ、渓谷に近づくにつれて雲は厚くなり、渓谷付近は完全に曇り空に覆われていて悪い予感が的中です。
菊池渓谷では、今日のようなケースが多々ありますが、恐らく地理的にそうなりやすい要素を備えているのだと思います。
だからこそ豊かな森が育ち、とびっきりに澄んだ水が湧く菊池渓谷なのかもしれません。
それでも平野部が晴れということもあり、30分に一度くらい、雲の合間に青空が出現し、青空の部分から太陽がのぞいた一瞬一瞬に撮影をすることができました。
早朝の撮影は8時に切り上げ、9時30分には水前寺公園に到着しササゴイを撮影。
午後からは阿蘇に移動をして草原と青い空を撮影しました。
草原は、4度の目の阿蘇行きでようやく撮影をすることができました
(フィルム4本撮影)

 
 
7月1日
(日)
 水前寺公園
 
 ササゴイの若鳥
 
熊本市にある水前寺公園には、初夏になるとササゴイというサギの仲間が子育てにやってきます。
水前寺公園のササゴイは、どこからともなく小さな虫を拾ってきて、その虫を水面にそっと置き、虫を食べようとして近づいてきた魚を捕まるという面白い習性を持っていることでよく知られており、いずれその様子をじっくりと撮影したいと思っています。
今日は、ササゴイの捕食の様子を撮影するために水前寺公園を下見に訪れました。
ちょうど今の時期、今年生まれた若鳥が巣立ちをしたばかりで、公園の中の池では、あちこちでササゴイの若鳥が魚を狙って水面を見つめる姿を観察することができます。
数時間の観察を続けたにもかかわらず、今日は、捕食の決定的な瞬間を観察することができず、「この場所」といえるような撮影ポジョションを定めることができませんでしたが、撮影に適した時間帯とその時の太陽の位置から逆算して考えてみて、「この位置でなければ本当にいい写真が撮れない。」というポジションを一応定めることができました。
午後からは場所を変え、同じ熊本県の菊池渓谷を歩きました。
明日は夜明け前に動き出し、日の出と同時に菊池渓谷で撮影をし、その後、移動をして水前寺公園が開園する9:30からはササゴイの撮影をする予定です。
移動にかかる時間から考えてみるとかなりの強行軍になりそうです。
(フィルム1本撮影)