2001年3月分

3月31日

(土)

ここ3週間で撮影したフィルムの現像が仕上がりました。

雪の中の桜の木の写真、スギ花粉の写真、ザリガニの親子の写真、メダカの卵の

写真などが、ほぼ、僕のイメージ通りに撮影されていました。

今日は、すべての写真に目を通し、必要な物とそうでない物とに分類をしました。

現像結果を踏まえて、次に何を撮影するのかを頭の中でイメージしているところです。

撮影結果がいい時はとても楽しく、そうでない時はとても疲れる時間です。

(フィルム1本撮影)

   
   
3月30日

(金)

メダカの卵の撮影の次は、生まれたばかりの稚魚の成長を撮影します。

こちらは、卵の撮影と異なり毎日撮影するのではなく、孵化直後の撮影をした後は、

数日おきに何度か撮影をするだけなので日程的には楽な撮影です。

技術的にはとても難しい面があります。

まずは、稚魚を撮影するための特製水槽を自作しなければなりません。

稚魚のサイズは長さが5ミリ弱、幅が1ミリ弱ですから、かなりの拡大をしなければ撮影

ができません。

稚魚がほんの1センチ泳いだだけでも、拡大撮影をしているカメラの中では、とても

大きな移動をしたことになり、その移動をカメラで追いかけ、ピントを合わせるのは、

とても技術的に難しい作業です。

また、拡大をして撮影をすると、ガラス面に付着したホコリ、水の中の浮遊物など、

メダカの稚魚だけでなく、他のすべてのものが拡大され写真に影響を与えます。

特に、稚魚は水槽のガラス越しに撮影されるわけですから、水槽のガラスの厚みは写真

の仕上がりに大きく影響を与えます。

一般的なガラス水槽に使用されているガラスには2ミリの厚みがありますが、これは、

とても厚過ぎるため全くの論外で、今回は、0.1ミリの厚さのガラスで水槽を自作する

ことにしました。

自作する水槽は、幅が3センチくらい、奥行きが5ミリくらいの超小型水槽です。

一般的には、厚さ0.1ミリのガラスなど販売されていないため、顕微鏡で観察をする

際に使用するカバーガラスという極薄のガラスを今日は入手しました。

   
   
3月29日

(木)

子供の頃に、父から勉強の仕方を教わったことがあります。

数学の問題を解いたり、英語の長文を読んだりといった頭を使う勉強は、一番頭が冴え

ている時間帯にするようにして、ノートの整理のような特別に頭を使わない作業を、頭を

使う勉強を終えた後の時間帯にこなすようにと教わりました。

撮影にも、本腰を入れなければ撮れないものと、そうでないものとがあります。

例えば、メダカの産卵の瞬間は、それなりの準備をして腰を据えなければ撮影すること

ができませんが、メダカが水草に生みつけた卵は、もっと軽い気持ちで撮影することが

できます。

僕は、子供の頃に父に教わった勉強法の影響か、難しい撮影を一番気分が乗って

いる時間帯に、その後の疲れた時間帯で簡単な撮影をこなそうとする計画をいつも

たてます。

ところが、僕は父ほど勤勉ではないためか、先に取り掛かった難しい撮影で全ての

エネルギーを使い果たし、その後でこなすはずの難しくない撮影をため込んでしまう

傾向にあります。

また、撮影以外でも、簡単な工作を必要とする機材の改良や、昨日の水槽用の砂利の

採取のような撮影の合間にもこなせそうな小さな仕事を、同様にため込みがちです。

僕が、毎日がなんとなく充実していないと感じるときは、大抵は小さな仕事をため込ん

でいる時です。

昨日の水槽に使用する砂利の採取に引き続き、今日は、ヒメダカが餌をつつくシーンや

ヒメダカが水草に産みつけた卵の撮影など、小さな撮影を幾つかこなしました。

小さな仕事や簡単な仕事でも、それなりに時間を作って取り組んだ方が、僕の場合は

いい結果が得られるようです。

(フィルム4本撮影)

   
   
3月28日

(水)

22日に設置した大型水槽の中に使用する砂利と岩を採取するために、朝から彦山川

にでかけました。

彦山川は、僕が最もたくさん撮影に訪れた場所のひとつで、特に4〜5年前には、

カワセミの撮影のために連日通ったお気に入りの場所です。

ところが、ここ2〜3年は水の汚れが激しく、全く撮影ができなくなってしまいました。

今日も、砂利がきれいな場所を探しながら車を走らせましたが、汚れはさらに進んでいて

いい場所が見つからず、結局、源流付近まで遡らなければきれいな砂利を採集すること

ができませんでした。

「こんなに急激に水が汚れて、本当に大丈夫なんだろうか?」と不安にさせられます。

午後からは、採取した砂利と岩を使って水槽をレイアウトしました。

   
   
3月27日

(火)

昨日、孵化をはじめたメダカの卵がすべて稚魚になりました。

卵の成長の撮影が終了しました。

メダカの卵は直径わずか1ミリ前後ととても小さく、撮影は、遠くを走る電車の振動の

影響を受けるほどに細かな作業になります。

室内を自分が歩いただけで、メダカの卵が揺れ、完全に揺れが収まるまで何秒間か

待たなければなりません。

細かい作業なので、やはり終わるとホッとしますね。

(フィルム1本撮影)

   
   
3月26日

(月)

21日に産み落とされたメダカの卵が孵化をはじめました。

卵が孵化するまでの日数は水温によって異なりますが、今回の撮影では水温30℃

で卵を飼育しており、30℃ではメダカの卵は約5日で孵化をします。

30℃という水温は真夏の水温ですが、真夏にはメダカは毎日約30個くらいの卵を

産卵をします。

その毎日産み落とされる卵が5日で稚魚になるわけですから、5日後には、一つがい

のメダカが30匹に、6日後には60匹に、7日後には90匹に、8日後には100匹を

突破することになります。

そのまま全てのメダカの稚魚が成長をすると、あたりの水辺はメダカだらけになって

しまいますが、実際にはそのようなことはありません。

大部分のメダカの稚魚は他の生き物たちに食べられてしまいます。

(フィルム1本撮影)

   
   
3月25日

(日)

今日は、久しぶりにヒメダカの産卵行動を撮影しました。

以前に、この撮影メモの中で、ヒメダカには奇形が多いということを書いたことがあります。

現在、僕は一つの水槽を仕切り坂で2つに仕切り、一方にメダカ、他方にヒメダカを飼育

していますが、同じ水で飼育しているにもかかわらず、ヒメダカの方は成長するにつれて

ヒレが縮んでしまったり、体形が崩れてしまったりという異常が次々と生じます。

数箇所のペットショップでヒメダカを購入して試してみたのですが、結果はいずれも同じ

でした。

ところが、最近になって日曜大工のお店に買い物にいった際に何気なく目にした水槽の

中に売られているヒメダカが、きれいな体形のものばかりであることに気が付き、その

中からオスメス10ずつ、合計20匹を購入して帰りました。

今日、撮影したヒメダカは、その時に購入したオスとメスのつがいです。

ヒメダカは、メダカの中に生まれる突然変異で、自然の水辺では滅多に採集することは

できず、販売されているものはすべて人の手で養殖をされたものです。

僕は、ヒメダカの異常は養殖の際の近親交配が原因ではないかと推測しています。

ヒメダカを他の肉食魚たちに与える餌として多量に消費するペットショップと、飼育用の

観賞魚として販売している日曜大工のお店とでは、ヒメダカを仕入れる仕入先が異なっ

ていて、ペットショップに魚を卸している業者の方が、大量に魚を供給するために養殖

の方法が雑なのではないかと思います。

(フィルム5本撮影)

   
   
3月24日

(土)

今日は、メダカの卵の撮影の合間に近くの田んぼに出かけてみました。

田んぼの合間を流れる水路には、たくさんの小魚の姿を見つけることができ、また、

この春、さなぎから羽化したモンシロチョウやモンキチョウの姿も数は少ないのですが

見かけ、春がきたことを実感することができました。

冬の間は、なるべく余計なことを考えないようにして、水槽での撮影に集中して打ち込ん

できましたが、これからは、次々と生き物たちが姿をあらわし、刻々と季節が移り変わ

っていくため、何か一つのことに集中して打ち込むことが難しくなってきます。

午後からは、約半年分の計画をホワイトボードに記入し、手際よく撮影するために気持ち

の整理をしました。

(フィルム2本撮影)

   
   
3月23日

(金)

21日から撮影を始めたメダカの卵は、すでに魚の形が出来はじめており、卵の殻の

中で稚魚が向きを変えたり、心臓が拍動するようすを観察することができます。

何もなかったところにあっという間に生き物の形ができてくる様子は、何度見ても

神秘的です。

卵は刻々と変化をするため、今回は、毎日、朝、昼、晩の一日に3度の撮影を行うこと

にしました。

同時に6個の卵を並行して撮影しており、一度の撮影時間は30分程度。

一日の仕事時間は、3度の撮影の合計でわずか1時間30分です。

このような撮影の時には、中途半端な空き時間がたくさんできてしまいます。

朝、昼、晩とシャッターを押さなければならず遠くに撮影にでかけることはできませんが、

何もしないでおくには時間があリ過ぎます。

そこで、僕は、カメラや撮影機材に改良を加えたり、撮影用水槽をより効率よく撮影で

きるように工夫したりする工作と組み合わせて作業をすることにしています。

今日は、撮影に使う小道具を製作するために、町工場を訪ねました。

工場に依頼したのは簡単な金属加工だったため、無料で作ってもらうことができました。

   
   
3月22日

(木)

今日は、新たに撮影用水槽を一つ設置しました。

今日設置した水槽は、それまでに撮影に使用していた物と比べて一回り大きな水槽で、

フナやナマズなど、大きめの魚を撮影するための水槽です。

一般に販売されている水槽の規格よりも大きなものとなると、水槽を設置する台や、

その他の周辺器具などが手に入りにくかったり、値段が高価になったりと思うように

事が進みません。

今日は、価格を検討するために何件も何件も店を回ったり、高価な器具を買う代わりに

自分で工作したりと、たった一つの水槽を準備するのに、一日の時間がかかってしまい

ました。

(フィルム1本撮影)

   
   
3月21日

(水)

誰しもカレンダーや絵葉書の中で、風景の写真を目にすることがあると思います。

そんな写真を良く見ると、カメラに近い場所にある地面から、ずっと遠くにある山並み

にまでピントがあっていて、画面全体にしっかりとピントがあっていることがわかります。

ところが、花を大きく拡大して写した写真を見ると、ピントがあっているのは、花の

部分だけで、残りの大部分はピンぼけになっています。

一般に、風景のような大きなものを写すと、カメラに近い場所から遠くにある場所にまで

広い範囲にピントがあい、植物のような小さなものを拡大して写すと、狭い範囲にしか

ピントがあいません。

カメラに限らず、顕微鏡や虫眼鏡など、レンズを通して小さな物体を拡大する際には、

拡大の倍率が高くなればなるほどに、ピントがあう範囲が狭くなるという法則があります。

花などは、小さいといっても大したことはありません。

メダカの卵を拡大してある程度の大きさに写そうとすると、大体ピントが合って見える

範囲が0.1ミリくらいしかありません。

直径1.2ミリのメダカの卵には、1.2ミリの厚みがあるわけですが、その中でピン

トが合って見える部分が0.1ミリくらいで、残りの1.1ミリの部分はピンぼけになります。

つまり1.2ミリのものを0.1ミリの範囲で表現しなければなりません。

今日は、メダカの卵を撮影しました。

メダカの卵が成長して稚魚になる様子は、すでに一通り撮影をしていますが、最後に

卵の殻を破って稚魚がでてくるところだけが撮影できていません。

その撮影にチャレンジするついでに、卵の成長のようすを、もう一度、撮影する予定です。

(フィルム2本撮影)

   
   
3月20日

(火)

先月からアメリカザリガニの繁殖のようすを撮影していますが、撮影に使用したメスの

ザリガニの他に、あと1匹、別のメスザリガニを飼育しています。

水槽内での撮影でも、余すところなく生態を撮影することは難しく、撮影しそこねたシーン

を撮影するためです。

今日は、そのメスのザリガニをオスと同じ容器に入れ交尾をさせ、交尾にいたるまでの

オスとメスとの行動を撮影する予定だったのですが、飼育水槽から取り出してみて

びっくり。

メスだけを単独で飼育していたにもかかわらず、お腹に卵を抱えていたのです。

昨年の秋に交尾をした結果成熟した卵が、この春産み落とされた可能性もありますが、

おそらくは、無精卵を産んだのではないかと思います。

僕は、ザリガニが無精卵を産むことを知りませんでした。

知らないことが本当にたくさんあります。

   
   
3月19日

(月)

今日も、杉花粉の撮影。

杉の木は、とてもたくさんあり、花粉をたっぷりと蓄えたつぼみは簡単に見つかりますが、

撮影可能な場所にある木となると、そうたくさんはありません。

太陽の向きや、木の高さや、道路からの距離など、今シーズンは、撮影に適した場所を

2箇所見つけていましたが、その2箇所では、花粉の数がかなり少なくなってきました。

標高の高いところの杉の木は、まだまだたくさんの花粉を蓄えていますが、花粉症の

人は、あと少しの辛抱です。

(フィルム2本撮影)

   
   
3月18日

(日)

今日は、杉花粉が撒き散らされる様子を撮影しました。

4度目の撮影で初めて理想的な気象条件に恵まれ、順調に撮影することができました。

4度の撮影のうちの一度はテスト的な撮影で、一度は強風でシャッターが押せず、今日

が実質2度目の撮影です。

前回までに撮影したフィルムはすでに現像済みで、何枚かは使用に耐える写真が撮影

されていますので、今日撮影した分を加えると、ある程度の枚数の写真を確保すること

ができそうです。

できれば、あと一回撮影をして駄目押しをしたいと考えています。

趣味で写真を撮る人は、自分が好きな場所で、好きなものを撮影します。

それに対して、仕事での撮影は、必ずしも自分が「いいな。」と思ったものを撮影できる

わけではありません。

今回の杉花粉の撮影も、花粉がきれいだと思ってシャッターを押すのではなく、

アレルギーの原因になる杉花粉のことを説明するための撮影です。

「そんなの、夢がなくてつまらない。」という人もいます。

でも、その人は、本当の意味で何かに打ち込んだことがない人だと思います。

どんな撮影であろうが、工夫をして、頭を働かせ、一生懸命取り組むことは、おもしろい

ことだからです。

写真を見ただけで目が痒くなり、鼻水が滴り落ち、花粉症が悪化するような凄まじい杉

花粉の写真を撮りたいと考えています。

(フィルム4本撮影)

   
   
3月17日

(土)

今日は、撮影済みのフィルムと撮影データの整理をしました。

僕は、屋外での撮影の際はあまりデータに頼り過ぎないようにしていますが、室内での

スタジオ撮影の際には過去の撮影データがとても役に立ちます。

今日、データを整理したのは、この冬に撮影したメダカとザリガニの撮影の記録です。

撮影セットを作る際の注意点、撮影の際のカメラの設定、撮影用の生き物の取り扱い

などの注意点を細かくノートに書き込みました。

   
   
3月16日

(金)

今日の天気予報は晴れのち曇り。

早朝は放射冷却で冷えるものの、午前中は風が弱くて穏やかな晴れという予報でした。

そこで、晴れの予報に期待して、今日は、朝からスギ花粉が撒き散らされる様子を撮影

するために出かけたのですが、予報に反して風がとても強く、とうとう一枚も撮影する

ことができませんでした。

今シーズン、スギ花粉の撮影は3度目で、いずれも前日の天気予報から考えて撮影に

適していると思われる日に撮影していますが、まだ一度も「今日が理想だ。」と思える

天候に巡りあえていません。

被写体によって撮影に適した天候は違います。

晴れでないと撮影できない被写体もあれば、曇った方が撮影に適している被写体も

あります。

自分が撮影しようとしている被写体の特性をよく考えて、天気、気温、風向き、風力など

撮影に適した天候の日を選び撮影を試みますが、どのような天候を待っている時で

も、いざ撮影しようと思うと、なかなか理想の日にめぐり会えないものです。

天候待ちをしている時には、安易に人と約束をすることもできません。

シーズンにたった数日しかない理想の天気がいつめぐってくるかわからないからです。

たかが自然の撮影ですが、撮影以外の他のことをすべて捨て、自分の持てる時間の

全てを撮影につぎ込むくらいの覚悟が必要です。

   
   
3月15日

(木)

今日の午前中はアメリカザリガニの子供の撮影、午後からは、インフルエンザの間に

たまっていた雑用をこなしました。

アメリカザリガニは脱皮を重ねながら成長をするため、体の大きさは何度殻を脱いだか

によって決まり、脱皮をすると明らかに大きくなり、その変化は定規などで測らなくて

も目で見て確認することができるほどです。

ところが子エビの大きさを写真で表現するとなると、なかなか難しく、1センチの子エビも

2センチの子エビも同じように写真に写ってしまいます。

そこで、今回は水槽の中に石を置き、その石の上にのったザリガニを撮影することに

より、ザリガニの子供が成長していく過程を表現することにしました。

この石は数ヶ月間移動させないようにして、水槽の中での定点撮影を行います。

定点撮影は意外と難しく、今回のザリガニの撮影でも、幾つかのクリアーしないとなら

ない点がありますが、特に僕が気になっているのは、、数ヶ月の間、水槽内の雰囲気が

大きく変わってしまわないように維持しなければならない点です。

水槽内の水質や水草の生長を維持するためには、時に、底に敷き詰めた砂利を洗った

り、水草を思い切って短く切り詰めたりといった思い切った手入れが必要になります

が、そういったことなしに水槽を維持するためには、高い飼育技術が求められます。

(フィルム1本撮影)

   
   
3月14日

(水)

今日は、朝から杉花粉が撒き散らされる様子を撮影しました。

空は曇り気味。

恵まれた撮影条件とは言えませんが、今年は曇りの日が多く、理想の天候を待ってば

かりもいられなくなってきました。

今日、僕の予測に反して撮影の妨げになったのが強風です。

杉花粉が撒き散らされるようすの撮影なので、風が強い日の方が撮影に適していると

考えていたのですが逆でした。

杉のつぼみからこぼれだした花粉は強い風のため、あっという間にかき消されてしまい

カメラのファインダーの中での花粉の密度が低くなってしまい写りにくくなるからです。

風のない日の方が、杉花粉がよく写ります。

頭の中で考えて導き出した予測と、実際に手を動かし、行動にうつした末に得られた

結論とが、正反対になってしまうことは珍しくありません。

失敗は付き物です。

他の人が撮影している様子や、他の人が撮影した写真を見ると、僕が犯したことのある

間違えは、他の人にも得てして起こりがちであることがわかります。

素質という要素がないわけではありませんが、人の能力は意外と似たり寄ったりで、

撮影された写真に現れてくる能力の差は、積み上げられた失敗を乗り越えた数の差で

あり、面倒くさくても一つ一つ失敗して体験する以外に手はないように思います。

失敗を重ねる僕の姿を見て、「悲壮感が漂っているけど大丈夫ですか?」と声をかけて

もらうことがありますが、僕にとっては全く逆なのです。

失敗をすると、「これで上手くなれるんだな。」と安らげるからです。

(フィルム6本撮影)

   
   
3月

12〜13日

11日の夕刻から再度39℃を超える発熱。

ここは、安静にした方が得だと判断。

直方の自宅に帰宅し、12日は、暖かい部屋で一日テレビを見て過ごしました。

そして、今日(13日)は、事務所に移動。

撮影用の生き物たちの世話をしました。



健康な人の体温は、一日に1℃くらいの幅で変化すると言われています。

一日の中で体温が最低になるのが起床の直前で、最高になるのが午後の3時くらいだ

ったように記憶していますが、最低の体温と最高の体温の温度差が1℃もあるわけです

から、闇雲に体温を測定するのではなく、時間帯を決めて測定することが大切です。

僕は理科系の出身なので、体温を測る時にも、ついつい実験の時にデーターをとる

時のように一時間ごとに体温を測り、結果を頭の中でグラフにし、結果がどのような

曲線を描いているのをイメージしながら体温の測定をしてしまいます。

   
   
3月

10〜11日

10日は、発熱で一日中動くことができませんでした。

一日中何も仕事ができなかったのは、はじめてです。

朝、目を覚ました時点では38℃弱だった体温はぐんぐん上昇し、夕方には39℃を突破。

この高温で脳の細胞が破壊されているのかな?と不安になりましたが、夜になると徐々

に熱が収まり、今朝になって、ようやく37℃台へ。

やっと床から出て何かをできる状態になりました。

僕は、休憩をするよりも、手を動かして何か作業をしている方がリラックスできるので、

撮影用と飼育用の水槽の水替えをして午前中の時間を過ごしました。

   
   
3月9日 今朝は朝一番に阿蘇で大桜の撮影をしました。

気温は−4℃。

雪は、残念ながら霜と見間違える程度でした。

撮影を終え緊張の糸が切れた途端に、昨晩からの風邪の症状がひどくなり、急に苦しく

なってきましたが、これは、いつものことです。

体調が悪くても一旦撮影を始めると、体の不具合を感じなくなります。

しかし、撮影を終え車に戻った途端に症状があらわれ、時には動けなくなってしまいます。

動けなくなる前に急いで帰宅をし、なんとか帰り着くことができました。

午後からは、暖かい部屋で「今月の水辺」の更新です。

(フィルム2本撮影)

   
   
3月8日 明日は雪の予報です。

今晩から阿蘇に向けて出発し、明日は雪の中の大桜を撮影する予定です。

運が悪いことに風邪の具合が悪く、今年初めての発熱で、現在38℃弱の体温ですが

仕方がありません。

いつも阿蘇に向う時は、直方を発ったあと冷水峠を越え、筑後小郡で高速道路に乗り、

熊本インターで降りた後に国道57号線に入ります。

しかし、今回は、風邪の具合もあり、直方からすぐに高速道路を利用することにしました。

(フィルム1本撮影)

   
   
3月7日 ザリガニの子供が大きくなってきました。

親と離し、別々の水槽で飼育することが好ましい時期になりました。

同じ水槽で飼育を続けると、親が子供を食べてしまいます。

それ以上に、子供どうしの共食いは激しく、日に日に、目に見えて子エビの数が減って

います。

共食いをする様子もまた、撮影したいと考えています。

それもまた、自然界で見られる現象だからです。

自然のカメラマンを仕事に選ぶような人はロマンチストだと思い込まれがちですが、

僕は、自分を現実主義者だと受け止めています。

自然や生き物の美しさや、かわいさや、微笑ましさを強調したり、人の頭の中で美化

され、作りあげられた自然を愛するのではなく、目の前でおこる現象を受け止め、自分

が見たものを人に伝えたいと思っています。

   
   
3月6日 今日は、スギ花粉が撒き散らされる様子を撮影しました。

撮影したフィルムの本数は控えめの3本。

撮影はいつも難しいのですが、何が一番難しいかと考えてみると、やはり動くものの

撮影が難しいように思います。

その中でも、不規則に動く被写体の撮影は特に難しく、フィルムが現像された結果を

自分の目で確認するまでは、正直なところ、自分でも結果の予測ができません。

スギ花粉は、まだ撮影するチャンスがたくさんあるので、今日は、少なめに撮影をして

おき、その結果を踏まえて、まとまった量の撮影をすることにしました。

(フィルム3本撮影)

   
   
3月5日 杉が花粉を撒き散らす様子を撮影したいのですが、なかなか天候にめぐまれず、撮影

できていません。

昨日〜今日は強風で、花粉が全て飛ばされてしまったのではと心配しました。

そこで、道路沿いの杉の木のつぼみを手で触ってみたところ、気温の低さのためつぼみ

が固く、花粉が飛びにくい状態になっていることがわかり安心しました。

杉花粉はアレルギーの原因、杉は従来の樹木を切り倒しての植林の象徴でもあり、

僕にとって杉花粉は、あまりいいイメージではありませんが、撮影を試みると、また

違った面が見えてきます。

大量に撒き散らされるスギ花粉といえど、気温や天候に合わせて放出されるように

できていて、生き物が、とてもうまく自然に適応していることに驚きを感じました。

嫌われ者のゴキブリでも、その姿を写真に撮りたいと待ち構えている昆虫のカメラマン

にとっては、とても待ち遠しい存在に違い在りません。

人に都合が悪い自然現象や生き物を、ただひたすらに敬遠するのではなく、なんらかの

接点を持ち、知ろうと試みることは大切なことだと思います。



以前に身近な野鳥に関する講演をした際に、出席者の中の農家の方から、「鳥による

農作物の被害も大きく、自然を守ることばかり考えることはできない。」という意見を

いただきました。

僕は、講演の中で、身近な鳥のことを知ってもらうための話をしましたが、その鳥が人

にとって善か悪かを論じたつもりはありませんでしたので、とても不本意に感じました。

善か悪かの前に、一旦感情をよそに置いておき、冷静に知ろうとすることが大切だと

思うからです。

自分を主張することが以前に比べ認められ、そういった主張が美化される傾向にあり

ますが、ただひたすらに感情をむきだしにすることは、ただの我がままであり、自分

を主張することとは別なものだと思います。

   
   
3月4日 この冬は、早朝から夕方まで室内での撮影ばかりで、しかもほとんど人と接すること

がなかったためか風邪と無縁だったのですが、どうも風邪をひいてしまったようです。

僕は、多少のアクシデントがあっても日頃の生活ペースを崩すことをしません。

インフルエンザで高熱が出ている時に、雪が降り積もり、岩が凍りついた渓谷のような

場所で撮影をしても、一旦カメラを持ち撮影を始めると寒さを感じなくなります。

インフルエンザにかかっても、いつもと同じように外にでかけ、撮影をし、寝込んだ

りするようなことはありませんが、それでも冬の間に何度か風邪を毎年ひきます。

今年は、自分の記憶に残っている範囲で、風邪をひかなかった初めての年になるのか

と思っていたのですが、今日は、一日体調不良でした。

(フィルム1本撮影)

   
   
3月

2〜3日

花粉症の季節ですね。

杉の枝から花粉が放出される瞬間は、まるで、花粉というよりは煙といったイメージで、

この時期に野外で撮影をしていると、強風のたびに大量の杉花粉が撒き散らされる様子

を目にします。

スギ花粉のように人の生活となんらかの関係をもっている自然現象には、必ず写真の

ニーズがあり、今シーズンは花粉が放出される瞬間の写真を依頼されました。

放出された花粉で、画面中が真っ黄色になっているような写真です。

先月イチョウの木の撮影の帰り道に杉の木が多い場所をロケハンしたのですが、3月に

入り撮影の時期になったため、改めて花粉の様子を観察しにでかけました。

次の晴れた日が撮影日です。

   
   
3月1日 ヒメダカには、野生のメダカに比べて奇形が多いということを以前に書いたことがありま

すが、形だけでなく、行動面でも異常な行動が多く見られます。

撮影に使用したヒメダカを飼い続けていると成長をするにしたがって形の異常が目立つ

ようになり、さらに、突然にクルクルと回りだすような行動の異常が見られたり、急に

弱って死んでしまうようなケースも見られます。

ヒメダカは、突然変異のメダカなので自然条件下にも稀に生まれるはずですが、

販売されているものは、その突然変異のメダカを人工的に繁殖させたものです。

その際の人工繁殖の悪影響で、奇形や異常行動が多く見られるものと思われます。

僕が子供の頃は、ヒメダカは観賞魚としてお店に売られていました。

その後、美しい熱帯魚の輸入が増えるにつれて、ヒメダカの需要は少なくなっていたの

ですが、さらに色々な熱帯魚が輸入されるようになり、今度は肉食の熱帯魚に与える

餌として、再度店頭に並ぶようになりました。

餌として消費されるヒメダカの量は、僕が子供の頃に観賞魚として消費されていた量

とは比較にならないくらい多い量です。

一人の人が、一度に100匹というような単位で、しかも定期的にヒメダカを購入する

ことも珍しくありません。

多量にヒメダカを生産するために、かなりの無理をしているのではないかと思われます。

人って恐ろしいですね。

(フィルム1本撮影)

   
   
2000/03〜